【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
――――ごぉぉぉぉっ。
金色の光が、光の球が、まだまだ燃えさかっている。
おじゃるさんが、まだまだ元気に悶えている。
本当にしぶといんだね、おじゃるさん。
「魔王――あれさえ動けなければ、こちら側が有利。今のうちにやつの手下を削って、たとえこの戦いが痛み分けに終わったとしても、魔王が動かせる駒さえなければなんとでもなる――そういう作戦なんだ」
僕と同じ長さの細い指が、それを指す。
「あの魔王は、少しばかり強くなりすぎていたからね。……この作戦を始める直前、ハルが仲良くなって説得してくれていたから少しは期待したんだけど……」
「あれはくっころさんのおかげですね」
ちょっと仲良くなって、ちょっと一緒にため息をついて――引いてくれるかと思ったんだけどね。
けども攻撃的なところは変わってなかったんだ。
残念だけど、言葉が通じないんならひっぱたくしかないんだ。
「!!!!!!」
「ぎぶ、ぎぶ」
【ハルちゃん……】
【おい、ノーネームちゃんがつぶれかけてるぞ】
【草】
【今良いところだから静かに潰されてねノーネームちゃん】
【ひでぇ】
【くっころ……お前ってやつは……】
【変態過ぎたゆえにドラゴンの恥として認識されたからこそ、ちょっとは仲良くなれてたんだよなぁ】
【あのままくっころを敵に仕立て続けてたら案外こうはならなかったかもなぁ】
【けど、どっちにしろ世界の大半を握ってる魔王とか怖すぎだし】
【それな】
すっごくでっかかった魔王さん。
良いところも苦労人なところもあったけども、あれくらいでっかくて強くって、それで僕たちに対して敵対的だったなら――動けるようになった瞬間、大変なことになるのは目に見えている。
見てるだけで怖くなるようなサイズにまで膨れ上がって――まるで恒星そのものみたいな魔力を放つ存在だもんね。
おじゃるさん。
……あのとき、考えさえ変えてくれたのなら。
「魔王は不意打ちで行動不能にしてはいるけども、戦闘不能というわけではない。やつが戦線に復帰すれば――『宇宙の大半を手中に収める戦力という個体』が、牙を剥く。あと千年もすれば宇宙のほとんど全てを支配するだろう存在と、その指揮系統が自動的に生物を滅ぼし続ける。――それまでに、やつ以外の戦力を削ぐ。だから、その前にやつの主力の手下を倒し切る……私たちには、それしか選択肢がないんだよ」
「はぇー」
手下さんさえいなければ、まだなんとかなるらしい。
確かに、今も頭上でごうんごうん言ってるすごい数の戦力と、同じくらいのでかいドラゴンさんたちがわんさかとたむろしてるもんね。
遠くの方では、もう索敵スキルでカウントできないくらいに増えすぎてるドラゴンの群れ。
――あれを倒すのだって、とんでもなくたいへんなはずなのに。
「怖いかい?」
「いえ、別に」
姉さんはそんなにも堂々と自信ありげに出てきたんだし、説明が足りなかったし突然だったけども僕を使っておじゃるさんに不意打ちビンタさせたし、ものすごい数の戦う艦――戦艦も居るから、本当に怖くない。
「ふふん。そうでしょ。宇宙を掌握しかけた魔王を倒せそうなのが私たちなんだよ。安心して良いんだよ、ハル」
「すごいんですね」
よく分からないけども、姉さんがごきげんだ。
女の子がごきげんなときには褒めておくに限る。
るるさんで教わった、対女の子処世術だ。
「すごいでしょ」
「すごいですね」
「かっこいいでしょ」
「かっこいいですね」
「むふんっ」
【かわいい】
【かわいい】
【ハルちゃんおだて上手】
【アルちゃんちょろかわ】
【相手は女神様だぞ あ、いや、ないないされないってことは、このくらいはOKっていうカジュアルな神様なのか】
【草】
【じゃなきゃコメント欄なんて封鎖してるわ】
【それはそう】
【それにしてもアルちゃんがごきげん】
【アルちゃんがハルちゃん相手にダダ甘っていうか】
【生き別れ状態だったらしいお姉ちゃんだからね】
【少なくともハルちゃんたちが地球に来てからはずっとだったっぽいしな】
【ノーネームちゃんはちょうちょに囚われてるし、それに比べてハルちゃんは純粋な目で自分を褒めてくれるし……うん、ハルちゃんにお熱になるわけだわこれ】
【草】
【草】
【ノーネームちゃん……どうして……】
【あんのちょうちょめ、よくもシリアスな戦いをちょうちょにしやがって……】
【ノーネームちゃんから好きだからなぁ……】
「そういうわけなんだけど――みんな、そろそろ射程圏内だよ。あっちからも来てる――超遠距離戦、始めちゃって」
『亜・始原輪廻砲、使用許可が下されました』
――――――ごうん。
僕たちの頭上で――ものすごい数のものすごい魔力が、いっせいに渦を巻き始めた。