【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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690話 初撃は痛み分けらしい

『正面、魔王軍より大規模な魔力の行使を検知――ロングブレスです』

 

『防御魔法、最大出力で展開します』

『「盾」の方々は所定の位置へ移動してください』

 

ぶぅん、ぶぅん。

 

渦から現れた塊たちが、いっせいに熱を帯び始める。

 

鉄の塊は上下のどっちかに張りつけた大砲に。

石ころ――土の塊は中にくぼむようにしてめり込ませてある穴に。

ブロッ――木の塊は枝葉の1本1本へ分散して。

オブジェ――針金の塊はその細長い先端のうち敵を向いている先っぽへ。

 

「ハル、私たちは少し下がろう。盾持ちのみんなも後ろへ……何度も言ったけど、無理はしないでね」

 

姉さんが僕たちを軽く押して、物理的に下へと下がる。

 

「?」

 

相対している、まだまだ遠いところにいる手下さんたちからも――熱を、魔力を、光を感じる。

 

索敵スキルが、ものすごい警告を発している。

 

そのせいで本能的なぞわっとした感覚が足先からしびびびって来て、だからなんとなくで見上げた空では――いつの間にか、巨人さんたちが戦艦さんたちと同じくらいまで下がってきていて。

 

――――――ごおっ。

 

スキルで見えているマップ、その上の端っこが、まるで四角い板みたいにいっせいに真っ赤に染まる。

 

まるで、ダンジョンの大部屋、それを仕切る壁がそのままこちらへ向かって迫ってくるトラップ――潰してくるあれみたいな、単純だからこそ怖い感覚。

 

『解析完了――敵正面部隊、最大出力でのブレスを発射した模様』

 

『威力は最大にセットしてください。亜・始原輪廻砲――順次射撃開始』

 

ぶぅんぶぅん――――――ばしゅううう。

 

僕たちのはるか頭上から、たくさんの高濃度の魔力が収束して発射される。

 

色とりどりの流れ星が、僕たちの上から前へと飛んでいく。

 

「ほへー」

 

綺麗な光。

 

虹の7色を超えた光が滝となって飛翔していく。

真っ暗な夜空に、突然に雨の後の虹みたいな光景が花開く。

 

ばしゅううう、ばしゅううう。

 

それは1発の花火じゃなくって、何発もこれでもかと執拗に宙を繰り返し染めていく。

発射しているお船の数が大変なことになってるから、それぞれのタイミングで発射していても全体で見るとまとまった束になっているよう。

 

「人も魔も、戦いの口火を切るのはいつだって、集団の中で最も遠くまで飛ばせる攻撃から。――本格的な戦闘に入るよ、ハル。戦意発揚のための観艦式はおしまい……ここからは、魔王退治だ」

 

頭上の光はいつの間にかに見渡す限りを覆い尽くすほどの幅にまで増えていて、目ではただまぶしくて綺麗なだけだけども索敵スキルで見ると、こちらへ迫ってきている炎の壁みたいに広がっていっている。

 

巨人さんたちを飛び越え、ずっとずっと先へ行って――同じように対面から飛んできていたオレンジ一色の、ちょうどコンロの赤い火みたいに迫ってきていた膨大な力と正面から、

 

――――――新しい星が生まれたのかって思った。

 

それほどの光と熱が、僕たちを包む。

 

危ないかなって思ったら、誰かが守ってくれてる感覚。

たぶん姉さんかノーネームさんが防御魔法でも張ってくれてるんだろう。

 

特に熱くもなんともないけども、ただただすさまじい魔力が渦を巻いて僕たちを避けながら通過していく。

 

【うおっまぶし】

【みえない】

【なにもみえない】

【人生の先が見えない】

 

【結婚する未来が見えない】

【おれたちにはもはやなにもない】

【もはやこれまで】

【結婚できても墓場、結婚できなくても墓場】

【↑できたやつは潔く散るべし】

【草】

【お前ら画面が真っ白になるたびに何も見えなくなってるよな】

 

【今の攻撃……ハルちゃんがおじゃるにぶっ放したやつほどじゃないけど、数が……】

【え? 敵も味方もあそこまでじゃないにしても、あんな感じの攻撃手段持ってるの? 真っ暗な宇宙がまぶしすぎてなんにも見えなくなるレベルのやべーの】

 

【アルちゃんがオッケーしてたし】

【敵が持ってる――単純なブレスだったとしても、同等の攻撃力はないとこっちがやられるだけだし】

【なるほど】

【あ、光が引いてきた】

 

目を開けられそうになって、そっと開いてみて。

 

そこから見上げた先には、少しずつ暗くなっていく光の塊がはぜていて。

 

『第725艦、大破! 緊急離脱!』

『第35本、炎上中です!』

『最低でも5塊、戦線を離脱します』

 

『概算で20%の船が戦闘継続不能――順次退避を』

 

――ごうごうと燃えさかる戦艦さんたちがおろおろとしていて。

 

『盾部隊、半壊――ご武運を』

 

盾が燃えさかり、ケガをしている大きな人たちが、それらと一緒に渦を作って入っていく。

 

【やべぇ】

【ボロボロじゃねぇか】

【最初ので2割減って】

【でかい人たちに至っては半減とか】

【あの盾であのブレスから守ってたんだからしょうがないんだろうけど】

 

【改めて戦いのスケールがはてしないな】

【本当にな】

【おじゃる朕のサイズとかもやばかったけど……その手下ですらこれか】

【おろろろろろ】

【これでも有利な戦いになってるんだよな……】

 

【ハルちゃんが朕をビンタしたおかげで親玉からの横やりがなくても、最大戦力っぽいのががんばっても、これかぁ】

 

【大丈夫  少なくともみんな、ワープ魔法?の渦に逃げてってるから、戦闘不能でもやられたわけじゃない  きっと、大丈夫だよ】

 

【ハルちゃんも居るし、お姉ちゃんのアルちゃんも居る  あとちょうちょのせいでどう見ても戦力外になっちゃったノーネームちゃんもかわいいからなんとかなるって】

 

【草】

【力が……抜ける……】

【ちょうちょなときにシリアスの話するのやめろ!!】

【逆ぅ!】

【草】

 




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