【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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694話 ドラゴンさんたちから受け継いだ、球

どしゅううう。

 

どぉん。

 

大きな船たちがお互いに当たったら大怪我をする攻撃を撃ち続け、撃たれ続けている。

 

「戦艦群の損耗率が予想より高い……だけど、敵も相応に削れている。中破未満の子たちなら治癒魔法で早期に戦線復帰できるだろうし……ここは予定より少し早いけど、小型艦隊の転移を……」

 

「ないない……ないない……っ」

 

「これが……神族と魔王、支配種族の戦い。この場に居るのも恐ろしいくらいの魔力が飛び交っているだなんて……」

 

【くっころが完全に俺たちの感覚なんよ】

【ハルちゃんをストーキングして誘拐して、ノーネームちゃんと戦うも圧倒的な差を見せてたくっころもといGが、俺たち側だなんて……】

【くっころは魔王?ではあってもおじゃる朕とは次元が違うしな】

 

【さしずめ大魔王とか魔神と自称魔王レベルの差だもんなぁ】

【あー】

【地球としてはとんでもない脅威でも、宇宙規模だとなぁ】

 

【やべー魔王と互角に戦えるだけの戦力を揃えてきたやべー女神、その双方の主力の殴り合いとかと比べたら、いくら強くても個である以上はな】

 

【だって、そもそもこの戦い……まだ女神様も魔王も殴り合いしてないし……】

【しないように仕向けたアルちゃんと、丸焼きにしたハルちゃんのおかげではあるんだけど……】

【おろろろろろ】

 

【アルちゃんも観戦して指揮してるだけだし、厳密には直接対決してないのよね】

【そもそも最初のやべー砲撃だって、肝心の砲塔はいろんな世界の人間がこしらえたものっぽいし……】

 

【今戦ってる戦艦たちも、駒のひとつだからなぁ】

【あれ1隻ずつでも地球を落とせそうな威力の主砲持ってるのに、それが無数にやけくそみたいに撃ち合ってるとかなぁ】

【それが見渡す限りの艦隊を組んで正面決戦してるとか、どんな怪獣大戦争だよ】

 

【決戦だからな  数千年分の】

【あれ、ハルちゃん、さっきから映ってないっぽい?】

【カメラの外に出ちゃってるか】

【ノーネームちゃんもそれどころじゃないね】

【すっかり忘れてたわ】

【まぁハルちゃんは魔力切れだし】

 

【ここまでがんばってきたんだ、ハルちゃんは休ませてあげよう】

【お酒でも呑んで観戦させて……いや、してるだろ絶対】

【草】

【ハルちゃんの行動原理は静かにお酒だからね……】

【ハルちゃんは働きすぎたんだよ  もう休んでて良いんだよ】

 

「………………………………」

 

『ぎ』

 

上空での戦いから振り返ると、ドラゴンさんたちが並んでいて。

 

その奥には――おじゃるさんの集めた、途方もない魔力を貯め込んだ球が浮いていて。

サイズは前に見たときよりもかなり小さく――たぶん、途中でドラゴンさんたちに魔力を使われたんだろう――なっているけども、それでも僕たちにとっては膨大な力。

 

単純には比較できないけども、上で乱れ撃ちして乱れ撃ちされている力と同等以上のそれが、ぎゅっと詰め込まれている宝石。

 

それでもやたらとでっかいしきらきら光ってるし魔力をぶわっと放出してるし囲んでる檻みたいなのがかっこいいのに、どうして注目されずに戦場の端から端まで持ってくることができたのかとかは気になるけども。

 

『ぎぎっ』

 

「本当に、良いんですか。だってあなたたちはおじゃるさんの手下――仲間で」

 

『ぎ』

 

ドラゴンさんたち。

 

魔力を使い果たして降参して、一緒にお酒を飲むついでにいろいろ教えてくれた中の何匹な彼らは、1匹ずつが巨大な競技場とかよりもでっかい体をしていて。

 

けども、

 

「友達、だから。……そう、ですか」

 

体の大きさ、力の強さ、見た目――敵味方関係なく「僕と友達になったから」。

そんな原始的すぎる理由で僕を守ってくれて、こうして大切なものを渡してくれようとしている彼ら。

 

大きなおめめたちに映る僕は、とても小さい存在。

人間の幼女――そうとしか見えない、吹けばどこまでも飛んで行きそうなちんまさなのに。

 

「………………………………」

 

僕には、分からない。

 

初対面で気が合ったからといってすぐに「友達」って言える、その感覚が。

 

かつての僕も今の僕も基本的に僕以外に興味がないもんだから、他人のことなんて「そういう人が居る」としか認識していない。

 

それは僕の悪い癖でもあって、けども僕が生きていくのにはとても楽な気質であって。

 

――だから僕は、たかが通りすがりの救助要請に応じただけで、何度でもダンジョンゲート前に張り紙で「助けてくれた人を探しています」って。

ときにはゲート前で立ったまま、訪れる人1人1人に「助けてくれた人、知りませんか」って声をかけ続けるほどに有り難がって。

 

――るるさんみたく僕の家を突き止めるほどの情熱で迫ってきて、「恩返し」とか言いながらずっと一緒に居ようとしてくるような感覚は、どうしても分からない。

 

理解はしてるけども、分からないんだ。

 

『ぎっ』

『ぎぎぎっ』

 

だけれども。

 

「……分かりました」

 

僕は、寄ってきてくれた彼らのお鼻を軽く撫でて回って――決めた。

 

「姉さん」

 

「うん、そろそろ魔王が砲撃の余波を打ち破ろうとしている……だから急がないと。うん? ちょっと待ってね……あ、編成? いや、今ハルが……」

 

ふむ。

 

僕とまったく同じ体をしているくせに威厳のある彼女は忙しそうだ。

 

なにしろさっきまでしつこいくらいにいろいろ教えてくれてたのに、呼びかけても目すら向けてこないくらいだ。

 

そりゃそうだ、とても大切な戦いの大将さんなんだから。

 

なら……僕は僕で動こう。

 

大丈夫、こんなにたくさん居たら僕1人が好き勝手したってバレないって。

 

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