【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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695話 【悲報・ハルちゃんがちょうちょしちゃった】

戦場は、お互いに遠距離なくせにインファイトで殴り合うような構図で入り乱れている。

そんな中へ情報共有もなしに勝手にふわふわ飛んでいくだなんて、無謀だって怒られるだろう。

 

でも大丈夫。

こういうのは、だいたいうまく行けば見逃されるんだ。

 

僕は、球へ手を伸ばす。

 

伸ばした手のひらから、あたたかい力が流れ込んでくる。

 

「姫、代わりに私が……!? そ、それは――――――」

 

「ないな……ないない!? ないないないないない!?」

 

【草】

【なんだ今の声】

【ノーネームちゃんがなにかにびびって……ふぁっ!?】

【あ、カメラが】

 

【草  ……ゑっ】

【え、ハルちゃん!?】

【なんか光ってる】

【ハルちゃん……とうとう発光するに至ったか……】

【言ってる場合!?】

 

【アルちゃんアルちゃん!? 下見て下!? ハルちゃんがなんかしでかそうと――】

 

くっころさんとノーネームさんの声が聞こえる。

 

でも、残念。

ちょっとだけ遅かったね。

 

もう――膨大な魔力が、僕へ流れ込んできているんだもん。

 

だって僕は――――――

 

「ありがたく使わせていただきます。……おじゃるさんを、何度だって引っ叩いて止めるために。あなたたちの魔王さんを止めて――はい。『友達』に、なるために。ときには引っ叩くことだって、調子に乗っていけいけで強くなりすぎた人の目を覚ますためには必要なんですから」

 

戦場は砲撃とブレスが飛び交ってるから、一見して空間が全部埋め尽くされているような気にはなるけども――僕からすれば、穴だらけだし安全地帯だらけ、つまりは良い感じのくぼみだらけだ。

 

なにしろ僕は小さい。

小さい人間の中でもさらに小さい。

 

だからこそ、その編み目をかいくぐって移動できる。

 

その編み目は――そう。

 

「ダンジョン」の「部屋」と「廊下」みたいに複雑に入り組んでいて、生え替わり中のそれみたいに変化するけども。

 

「僕が何年、モンスターからも他の人たちからも逃げ倒してきたと思ってるんだ。僕はプロだぞ。めんどくさくないプロなんだ」

 

――――――みんなに気づかれないように安全地帯を移動して回るレンジャーで、スナイパーなんだから。

 

だから、たとえ上下左右が囲われていなくっても――ここは、「ダンジョン」そのもの。

 

その編み目を複雑で巨大なダンジョンの中だって思えば……飛んでくる攻撃は「毒矢」とか「ブレス」の「罠」だって思ったなら、何の違和感もない。

 

魔力。

 

それは、つい10年前――や、もう11年になってたんだっけ?――までは地球に存在しなかった、あるいは誰も知覚できず利用できなかったお伽話の力。

 

魔法。

 

それは、魔力っていう――主にダンジョン、あるいはダンジョンが地上にあふれて飲み込まれた大地ほど行使可能な、ファンタジーな力。

 

スキル。

 

それは、魔力の濃いダンジョンの中で経験を積むと生やすことのできる――ツリーみたいに伸ばしたりつまみ食いしたりできる、ゲーム的な力。

 

レベル。

 

それは、僕は気がついたら中級者までは上げられていた――ダンジョンの中での経験値で上昇する、強さの目安。

 

そのレベルは、あの日にTSして幼女になってからちょっとおかしなバグり方をしていて……その理由が、どうやら姉さんやノーネームさんと同じ神族っていう種族?みたいなのになっていたせいらしくて。

 

そういやその話、詳しく聞く前に忙しくなっちゃったな。

まぁいいや、あとで時間ができたらいくらでも聞こう。

 

あの子は僕が聞けばいくらだって教えてくれるし、もう必要ないって言ってもしつこく要らない知識まで教えてくれるだろうから。

 

――TSして好き勝手のんびり生きて、るるさんに見つかって。

 

それからしばらくはこれまで通りに「一時期慣れるまで弱く感じたけど、筋力強化に回せる魔力があった分、それまでよりも効率的に長丁場の攻略をできたから男のときより強くなった実感のあった体」で過ごして。

 

そのときに、「★10」とかいう良く分からない強さだって知って。

 

でもなぜか、ダンジョンで鍛え上げたはずの――少なくとも僕が籠もってちくちくモンスターを倒し続けたりして育てたそれは、500階層へ潜った後にリセットされていて。

 

だからくっころさんがのぞき込んできた、なぜかモンスターがぶちゅんってはじけ飛んでも消えなくってぐろかったダンジョンから始め直して。

 

くっころさんに連れて行かれかけたと思ったらノーネームさんが助けに来てくれたあと、黒い魔法に飲み込まれかけて――あるいは飲み込まれてから、羽が生えて。

 

あの子供たちの居た異世界のダンジョンに着いたころには、もう頭の輪っかと羽の力、なによりも光の弓矢の力でぶいぶい言わせられて。

 

――それが神族って種族の力だったってことは、後で知って。

 

「この体」は、人間だったときとは違って周囲の魔力を五感で感じるように読み取ることができて、吸い込むことができて。

 

……そういうのができちゃってたとき、ふと「あ、僕、もう人間じゃないんだな」って、実は1人でちょっぴり落ち込んでたりして。

 

けども僕は自堕落だから使えるものはなんだって使うし、便利なものはその原理とかは気にせずに使い倒せばいいやって、気にならなくなってて。

 

だから――――――すぅっと大きく息を吸い込むように、魔力の塊を吸い込んでいく。

 

この小さな体に詰め込めるだけ詰め込んで、この戦いを終わらせるために。

 

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