【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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702話 【悲報・女神様、最後の最後で盛大なおもらしする】

「みんな。――――――――――突撃だよ」

 

『『『――――アルムの導きのままに』』』

 

数千年前の決戦で、ただ1匹生き延びた――正確には「余力を保持したまま敵味方全ての主戦力の轟沈を目論んだ」おかげで、以来は自分が最も強大な存在として天下を得んと進めてきた、魔王。

 

神族側の世界を侵食する際、予想以上に「神族の眷属」を屠り貪る手応えがないと疑問を持ち――調べさせた結果として「何者かが神族の末裔を名乗り、常に何処かから自分の進軍情報を入手して先回りし、喰らうべき命や得るべき糧を横取りしている」と知り、憤慨し。

 

――どれだけ自らの手駒を粛清しようとも、結局数千年経とうとも先手を取ることが敵わなかった魔王。

 

だが、それは天下へ王手をかけたからといって慢心はせず、全力を持ってあらゆる世界を手中へ収め続けてきた。

 

自らをより強大に――核融合反応を安定的に継続させて光を放ち続ける最小サイズとはいえ、恒星と同等の図体と魔力にまで強化し続けた、文字通りの「化物」の「王」。

 

――その絶望的な脅威が自分たちの主神により翻弄され、「演技」とはいえ配信のコメント欄と会話をしながら適当な反撃を食らい、思わずでペースを乱して……ほんの数十秒とはいえ、息切れを起こした。

 

――――それに全てを賭けない眷属は、存在しなかった。

 

全ての戦力が、その命を振るう。

味方が倒されていくのをじっと見続けて息を潜め続けた彼らが、そのやるせなさを込めて、振るう。

 

【うお】

【すげぇ】

【え? まだ戦艦とかあったの?】

【あとから追いついてきたのか、隠し球か】

【アルちゃんの余裕っぷりを見ると隠し球だろうな  そういう作戦の】

【さすが女神様】

【これは女神様】

 

【世紀の大決戦どころか数十世紀の大決戦の大将同士の一騎打ちの場で俺たちなんかと戯れるとかいう舐めプされたら、そら激おこよ  そういう精神攻撃での切り札投入か】

 

【精神攻撃は最強  古事記にも書かれている】

【ちょうちょも?】

【歴史への敬意が爆発四散しそうだからその言葉は口にするな】

【草】

 

【もしかして:俺たち、役に立ってる】

【え? 俺たちってばこの状況で手も足も出ないみじんこみたいなくせに口だけ達者な馬鹿どもなのに?】

 

【草】

【草】

【それはそう】

【言い返せねぇ……】

 

【馬鹿は馬鹿なりに役に立つ  さすがは女神様だ、俺たちの有効な活用法を見出されていたとは】

【部屋を飛び回るだけのよわっちい羽虫は気が散るからな!】

 

魔王を囲むようにワープアウトしてきたのは、1度後退したり応急修理を受けたり――1回主砲を撃つためだけに戦線復帰してきた、戦艦群。

 

それに加え、遙か遠い異世界からもかき集められたあらゆる戦力が、ここへ投入。

 

魔王へ――世界の大半を手中に収めた「世界そのもの」へ、それらの全てを注いだ一撃が下ろされる。

 

それはまるで、星を囲んだ大砲が一斉にその表面に向かって振り下ろした雷。

 

オレンジに沸き立つ恒星が――一瞬にして青い炎に覆い尽くされた。

 

『GUOOOOOOOOOOOO――――――!?』

 

【すげぇ……】

【これが……超新星爆発……】

【って言われても信じるレベルのまぶしさ】

 

【目がないないされたよー】

【大丈夫大丈夫  ノーネームちゃんが数十年後に返してくれるよ】

 

【それまで待てと……?】

【そうだけど?】

【まぁ返してくれるんなら……】

【草】

 

「……ハルがやらかしちゃったけど、それでも作戦の途中でハルを組み込んで先制奇襲攻撃できた分、予備戦力が残っていた……うん。なぜか突然自爆するようなことをしでかしちゃったけど、ハルはがんばったんだよ。これだけの有利を、作り出せたんだ」

 

【草】

【草】

【ハルちゃんの功罪で草】

【ハルちゃん……どうして……】

 

【だから! ノーネームちゃん!!】

 

 

【拒否】

 

【LOVE】

 

 

【ふぁっ!?】

【草】

【もうだめだ……】

【悲報・ノーネームちゃん、骨の髄までちょうちょに侵食された】

【アルちゃん??? 戦いが終わってからで良いからノーネームちゃん見たげて??? 絶対深刻な精神汚染受けてるから】

 

「うーん……魂の状態は極めて良好なんだけどなぁ……あるとすれば、あの宇宙蝶の出所かなぁ」

 

魔王への数千隻による集中砲火、間髪を入れずにワープアウトした小型艦により追撃が降り注ぐのを――誰にも見せず、けれども苦しかった息を静かに整えながら、女神が軽い調子で相づちを打つ。

 

【でも……ハルちゃんは、もう……】

 

【バカ、ハルちゃんは無事に決まってる  そうに決まってる】

【ぶわっ】

【なかないで】

【アルちゃん、教えて  ハルちゃんは……生きてるの?】

 

「……分からない」

 

【えっ……】

【そんなぁ】

 

「……だけど、その肝心のハルの魂は『nai-nai』――『ないない』されてない。てことは無事ではあるか、半分溶けてるくらいで済んでるんだろうけども……しょうがないか。だってあの子、もともと人間だし。あとでなんとでも――――――あっ」

 

【え】

【?】

【えっ】

【???】

【人間!? ハルちゃんが!?】

 

「やばっ――――――えっと、ジャッジメントで。ほらほら、攻撃するよ」

 

ごうっ。

 

――4連射目の光は、これまでのどれよりもひときわにまばゆく戦場を包み込んでいく。

 

『GAAAAA―――!?!?』

 

それは――これまでは魔王から攻撃しての反撃という形だった均衡が予測のできないタイミングで破られたところへ不意の大艦隊による集中攻撃――そこへの追い打ちという形に、魔王が防御を喪失したところへ直撃。

 

この戦いの反攻が期待される場面ではあったが――。

 

【アルちゃん????】

【ハルちゃんについてくわしく】

【ハルちゃんが人間ってどういうこと?】

【ハルちゃんは女神じゃないの?】

 

「……あちゃー……」

 

――女神とその眷属達にとっては、それどころではない重大局面が訪れていた。

 




定期のないないのため、次回の投稿は17日火曜日の予定です。
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