【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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706話 だらだらして良いらしい  天国かな?

『近親相姦って燃えるでしょ? 私たちの時代は流行ったのよ? 誰も彼も、一応で作っただけの倫理なんて――設定したから逆に燃えたし!』

 

「さぁ?」

 

世代の話なのかな。

世代の話なんだね。

 

『ああ、初対面の息子と母という存在矛盾……魂同士で遺伝子配列のなんちゃらもなく、衝動のままに結ばれる……そんな妄想が実現しなくって、お母さんがっかり』

 

「そうですか」

 

なんだかちょっとおかしな方向に話が進んでいる気がする。

 

……困った。

 

この人――顔つきはどう見ても姉さんと僕、色違いでのノーネームさんを10歳15歳くらい育てた想像図通りの美人さんは、話の通じない妄想癖持ちの自称母親みたいだ。

 

……これならるるさんの方がまだマシだった気がする。

 

『ちょっと、女の子とお話ししてるときに他の女の子のこと考えちゃダメよ?』

「女の子? あ、はい、そうですね」

 

確かに、元25歳成人男性だった僕としては……会社に居るお調子者の女性の上司って印象だから、「女の子」でも嘘じゃないね。

 

今どきはその上の世代も「女子」って言うらしいし、年齢で決めつけるのは良くないもんね。

 

それ言ったら25歳の僕だって、現役高校生のるるさんたちからすれば「おじさん」だし。

るるさんから「おじさん」って言われたらちくちくって微妙に傷つくのは分かるし、目の前の人は「女の子」――そういうことにしておこう。

 

『……及第点。私の! 私のニュー息子っていう極甘採点で合格ね!』

 

「そんなことより、ここ、どこです? 僕、今急いでるんですけど」

 

自称ニュー母さんは置いておいて、もっかい周りをぐるりと見回してみる。

 

……やっぱり何もない。

 

『んー……どこでもあるしどこでもないっていうか、始まりであり終わりでもあるっていうか……自己認識と全然違うことしゃべっちゃうと、うっかり精神崩壊しちゃうから難しいのよねぇ、初期段階の子たちって』

 

「はぁ」

 

くねくねとおしりを振りながら、それでも一応はちゃんと考えてくれているらしい彼女を眺めるしかない様子。

 

見るものがないんならしょうがないよね。

 

ダンジョンに巣ごもりしてたときにタブレットのバッテリーが切れたときとか、絶妙な岩の形とか毒々しいけどおいしいキノコさんたちの形とか何時間とか眺めてた、あの懐かしい時期を思い出す。

 

『大丈夫よ、時間の流れは「ここでは関係ない」から』

「よく分かりませんけど、急がなくて良いんならのんびりしますね」

 

床らしきものはないけども、とりあえずでごろりと横になってみる。

 

ごろり。

だらだら。

 

ひとまずは自室に居るかのごとく、徹底的にだらけてみる。

特に疲労とかがなくったって、ごろごろするのは至福なんだ。

 

『……ハルくんって、ほんとに人間? その魂、偽装のための加工とかしてない??』

 

立ったままの彼女が――これは九島さんの視線そっくりだ――僕を見下ろしてくる。

 

「一応は魔法とか無かった世界の現代社会出身の人間だと思ってる身なので、僕視点では一切分かりませんね。そもそも魂とか科学的には無いって思ってる派閥なので」

 

本当にね。

 

ダンジョンのこととか、実際に潜って初めて「あ、本当に魔法ってあるんだ」って思ったし。

 

魔法があるんなら魂もあるかな、そんな程度だもん。

 

『……もうちょっと待ってね。今ね、ちょっと前に宇宙何個かをぎゅぎゅっと丸めて作られてる超高純度の魔力体に無防備にも飛び込んじゃって、ぱぁんって爆発四散しちゃったハル君のこと、こねこねして治してるから』

 

「恐れ入ります」

 

『本当にそう思ってる?』

 

「はい。めんどくさいことをしてくれてるありがたさは本当です」

 

僕の心からの気持ちだよ?

 

『………………………………そう……』

 

僕からすっと視線を逸らし、軽く息を吐く彼女。

 

む、これもまた九島さんのため息。

なんで九島さんと反応がおんなじなんだろう。

 

『……うん、魂の容量も構造も第■/■■■■■ランクの人間そのもの……でも、私を見てても発狂しないどころか、こともあろうか神様って認識してる私に対してお酒を求めるレベルで落ち着いてる……単純にハル君の、上位次元と接触してもへっちゃらなタイプっていう精神構造と性格によるもの……?』

 

「お酒あるんですか?」

 

だらけようとしてたら「お酒」って聞こえたんだけど?

 

僕は体を起こした。

 

『……帰るとき、あげるから待っててね?』

「分かりました」

 

なにもかもがよく分からないけども、僕は心強くうなずいて体をだるっとした。

 

僕はお酒と自由時間をもらえるときだけは元気に返事をするんだ。

 

会社でも、飲み会と名前のつく行事には、たとえサービスでの残業だったとしても果敢に立ち向かったんだ。

 

だから新人のときから年上のおじさんたちに大人気だったんだ。

 

でも毎回、その翌日とかに「昇進しない?」とか「娘との縁談とかどうかな?」とか「うちの会社、興味ある?」とか、僕の楽な平社員生活を妨げようとする謎の提案ばっかしてくるから困ってたけども。

 

僕はただ、なんにもしないでだるだるとお酒を飲んでたいだけなのにね。

 

なんでなんだろうね。

 

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