【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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709話 楽しそうな、もう2人の両親

「いろいろ落ち着いたら家に来てください、父さん。僕、もともとは平社員からのダンジョン潜りで小金持ちになってたところにTSしてなぜかお金持ちになったのと、下の階に住んでる人からの打ち出のお酒がありますので、お酒もごはんもたらふくごちそうします……あ、僕たち人間の範囲内でならです」

 

リリさんっていう小槌が居るからね。

 

あの子に頼めばワインの本場からもいくらでも航空便で届けてくれるって言ってたし。

 

便利なタワマン暮らしなもんだからエレベーター直通でスーパーもお店もあるし、デリバリーもできるし……あ、警備の人たちにお願いして買ってきてもらうのもありかな?

 

そう思うと、あの日九島さんが僕のお風呂に入り込んできてあれよこれよといつの間にか最上階暮らしになったのも悪くはないよね。

 

よかった。

 

るるさんの救助要請に乗り込んだとこで爆風で吹っ飛んだおかげでカードキー落としてて。

 

『お、息子からの酒か……あ、やべ、なんか泣けてくるわ……末っ子のアルとノームはそもそもとして子供んときにあの戦いなもんだから「大人になってから~」ってのが無かったし、その上の連中は神族の平準的なコイツみたいにアレだったし……何度も鉄拳制裁して回ってたから嫌われてるもんなぁ、俺……コイツが無駄に全肯定するから……』

 

「大変ですね」

『息子よ……!』

 

『なんでこの人のことはすぐに「お父さん」って言うのに、私のことは変な呼び方なの!?』

「なんとなくです」

 

ああ、残念だ。

 

ここにきちゃない袋さんがあれば、安酒でも一緒に呑めたかもしれないのに。

 

あ、自称第2さんにはあげないよ。

 

だってあなた、酔っ払うと絶対手がつけられなくなるでしょ……僕を着せ替えてテンション上がってるときのるるさんみたいにさ。

 

『……と。アルが忙しそうだから、そろそろ行ってやってくれねぇか? ハル』

 

「忙しいんですか、姉さん」

『ハルくん……私、お母さん……私、母親……』

 

僕を後ろから抱きしめて耳元でASMR、それとも刷り込みってのをしようと企む人のことは置いておいて――なんだか良い匂いと柔らかい女の人の感触が少し気になるけど、

 

『!!!!!!!!!!』

『息子に発情すんなバカ』

 

ノーネームさんとがんばってるはずの姉さんのことを思い出したら、なんとなく出ていかないといけない気がしてきたんだ。

 

『ほら、お前もアバンギャルドな神話生み出そうとしてないで見てみろ。健気な末の双子、その姉が絶賛殴り合いしてんぞ』

 

『うぅ……あらほんと! 肉弾戦だなんて、アルちゃん肉体派ね!』

『俺の筋肉美を――体は女だが心は引いてるからな、アイツ。良い魂してるぜ。あと5千年くらいしたら本格的にトレーニングで肉体美をだな……』

 

姉さんはマッチョが好きらしい。

そして格闘技が好きらしい。

 

僕はちょっと引いた。

 

『ここはな……あー、科学文明……の超初期段階の出身か……そんなハルに分かりやすく言うとだな……あー、宇宙が何個かそのまま凝縮した、こう、めっちゃエネルギーが溜まってとんでもなく濃い場所なんだよ』

 

「あ、分かりやすいです」

 

――――――――ぶんっ。

 

僕たちの横に魔法陣が展開される。

 

「おー」

 

『エネルギー、魔力、神力、精霊力、魂や宇宙そのもの――言い方はともかく、つまるところお前は生身のまま発電所の1番熱いとこに飛び込んで一瞬で蒸発したみたいな感じだったんだぞ?』

 

「そうなんですか」

 

僕、じゅってなったんだね。

 

『んで、それを熱さに強い俺が蒸発した分までかき集めて囲って……そのままだとまた蒸発しちまうから、ちょいと俺の成分も混ぜて修復したってこった。星の最後に巻き込まれなきゃ大丈夫くらいには頑丈だぜ』

 

「つまり今の僕には姉さんの体に父さんの汗を塗りたくったって感じなんですね」

 

『……貴方……』

『おいバカ止めろどうしてそんな発想になるんだお前は、いや表現はともかく再構成した肉体をコーティングしたって絵面は合ってるが』

 

「すんすん」

 

僕は腕を上げ、鼻をくっつけて嗅いでみる。

 

「匂いは変わりませんね」

 

どう嗅いでも女の子――それも幼女として1年間、や、もう2年くらいなんだっけ?――として嗅ぎ慣れてきたそれでしかなかった。

 

『だからさっきのは比喩表現だっつってんだろ……』

 

『娘の肉体に自分の体液を……貴方だってたいして変わらないじゃない!』

『ちょっと黙っててくれな? 今はアルたちのためにハルを送るところだからな? あとお前は未遂だったとはいえマジでやらかそうとしてたじゃねぇか』

 

ふむ。

 

こっちの父さんはツッコミ……と。

 

あっちの、産みの親の父さん?

いつも母さんの尻に敷かれて悲しそうな目をしてるだけだよ?

 

おかげで影が薄くって、だから僕は母さんより父さんの方が好きなんだ。

 

なにより、お酒飲んでても怒ってこないし。

あっちの父さんは下戸だから一緒に呑めないけどね。

 

『ともかく、だ。こんな攻撃を魔王から食らった以上、もっかいアイツとやり合うのは怖いかもしれねぇが』

 

「え?」

『あ?』

 

元気いっぱいな方の父さんの目が、初めて点になる。

 

なかなかレアだね。

 

「僕、そんなことされてませんよ? おじゃるさんに」

 

『お、おじゃ……あー、いわゆる「魔王」と対峙してたんだよな?』

「そのあと姉さんが来てくれて大艦隊率いて戦ってましたね」

 

『んじゃお前はなにやってたんだよ』

 

「観戦しながらお酒飲んでましたね」

『そうか、酒か。……数千年前のリベンジ神魔大戦の最前線で、酒ぇぇぇ!?』

 

「?」

 

そんなに驚くこと?

 

ほら、戦争って昔は遠足で見物してたって言うじゃん?

みんなでおにぎり作って近くの山とかから――とかさ。

 

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