【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

731 / 742
730話 僕を置いて、僕のために、勝手に決めるみんな

「姉さん姉さん」

 

「ごめんね、お姉ちゃん、今お仕事中だから」

「そこをなんとか」

 

かといって、なぜか僕を過保護にしてくる姉さんは、僕をおじゃるさんと会わせてくれないし。

 

「姉さんってば」

 

「静かにしていようね」

 

「んぁ……♥」

「ほら、ノーネームが甘えてる。ハルも存分に甘えて良いんだよ」

 

「えー」

 

【草】

【草】

【嫌がってて草】

【ハルちゃんがかわいくて草】

【もうこれでいいや……】

【ハルちゃんはもうなんにもしなくていいからね】

 

【扱いが完全にお姉ちゃんから小さい妹へのそれで草】

【まぁ実際幼女だし】

【見た目はおんなじだけど、精神面はね……】

【お姉ちゃんと一緒だとびっくりするくらい幼く見えるハルちゃん】

 

【かわいいね】

【かわいいね】

【かわい――はっ!? ちょうちょの仕業か!】

【ここもいまだに宇宙ちょうちょの影響下だからな……】

【ノーネームちゃん!! ちゃんとリリースしなさい!!】

 

 

【NO】

 

 

【草】

【なぁんでぇ……?】

 

【もしかして:ハルちゃんの精神を癒やすためにちょうちょを  なわけないよな、うん……】

【そうじゃないといいね……】

【あはは! ちょうちょ! ちょうちょ!】

【おお、もう……】

 

『ゆえに――――――我は、貴様を滅ぼす。滅ぼし、探し出して旧主神も滅ぼす。それが成ってからならば、星1つ程度なら被造物共を残してやろう……それが、我の友である、ハルとの約束ゆえ』

 

「……ハルは、殺さないんだね?」

 

『戦闘に参加せねば。そうでなくば、加減はできぬ』

「……そう」

 

僕の方を、光る金髪をさらりと流してのぞき見てきた姉さんの表情。

 

それは……あんまり見たいものじゃなくって。

 

「ハル。……ノーネームも良いかな。殺さないで、静かに暮らさせてあげてくれるのって」

 

『その黒き神族は碌に戦えぬ――なによりハルのためには必要であろう』

 

「分かった」

 

【お姉ちゃん……】

【おい、まさか】

【やめて】

 

「大丈夫。もちろん全力で戦うし、負けるつもりはないよ。……けどね、ハル、ノーネーム」

 

金髪碧眼の小さな女の子が、僕の方に手を載せてきて――優しく抱き寄せてくる。

 

「2人は、離れてて」

「でも」

 

「そうじゃないと、私はすべてを失うかもしれない。……魔王はハルのおかげで、あとお父さんのおかげでずいぶん弱ってるけど、それは私だって同じ。さっきだって、あとちょっとのところまで追い詰められてたし――消えかけたから、魔力だって」

 

「姉さん」

「ある……」

 

「わかってる。こんなのは、何千年もみんなを焚きつけて今日のために用意させてきた首謀者がしていい選択じゃないんだって。たくさんの人たちが――確かに生きてはいるけど、戦った結果が手を抜いたものになったなら、きっと怒るんだって分かってる。……でもね、ごめん、みんな。私も……妹が。家族が、大切なんだ」

 

【ぶわっ】

【お姉ちゃんとしては、その選択になるか……】

 

【ハルちゃんを戦わせてハルちゃんごと全部を奪われるよりは、ハルちゃんのこと気に入ってるから殺しはしないだろう魔王の言葉を信じてハルちゃんたちを蚊帳の外に置くことで、最悪でもハルちゃんたちにどっかの星だけは守って、絶滅を……か  たとえ勝つつもりでも、もし負けたらって】

 

【ここまで来たのになぁ】

【でも、ハルちゃんまでってのは……】

 

【でもね  大切な人ならえこひいきしていいんだよ、アルちゃん】

【アルちゃんが1番がんばってるんだから、それでいいんだ】

【部外者の俺たちが言ってもしょうがないだろうけど、俺たちだけは肯定するよ】

 

【\10000000  全財産だ  アルちゃんに、全賭けするよ】

 

【草】

【ムーチューブに投げ銭しても意味ねぇだろ草】

【気持ちは立派だけど無意味で草】

【し、収益は無事に帰ってきたら何割かはハルちゃんのになるから……】

 

「姉さん」

 

「駄目」

 

「僕も戦いますって」

 

「駄目。……戦おうとしたら、力尽くでも遠ざけるから」

 

姉さんの手のひらに、見せるだけだろうけどもかなりの魔力。

 

でも。

 

「………………………………」

 

……今の姉さんには、これだけしか、ない。

これで、僕を遠くにやれるって、思ってる。

 

父さんのとこで結構魔力とかを得た僕にとっては、とても少ない力しかないのに――それなのに、僕よりも先に生まれたからってだけの理由で、僕を守ろうと。

 

「………………………………」

 

「……ふふっ。ありがと、素直に聞いてくれて」

 

やるせない気持ちでもやもやしてる僕のことを勘違いしたのか、姉さんが目の前でにっこりと綺麗な笑顔を見せてから――そっと、離れていく。

 

「ノーネームも……短い時間だったけど、会えて嬉しかったよ。生き延びてたら、あの子にもよろしくね」

「ん」

 

柔らかい顔でノーネームさんへも手をふりふり。

 

――けども、その様子はどう見ても。

 

【死地……か】

【ああ……】

【アルちゃん……】

 

「………………………………」

 

僕の、ことなのに。

 

みんなが僕を置いて、勝手に決めている。

 

――――――こんなの。

 

こんなのは、僕は――――――。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。