【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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732話 【ノーネームちゃんと――ノームちゃん】 

【完成】

 

【「ダンジョン」魔法】

 

 

「どくじかいはつ」

 

「とっきょかくじつ」

 

「ゆいいつ、むに」

 

「しさくひんで、てすとずみ」

 

「せかいじゅう」

 

「だんじょん」

 

「だんじょん、はいしん」

 

「でーたは、ぼうだい」

 

「えんざん」

 

「おしまい」

 

「ながい、ながい」

 

「けいさん」

 

「おしまい」

 

「ふぅ」

 

ノーネームさんの、いつものひとりごと。

 

そう思ってちらりと見た彼女の表情は、いつも通りではなくって。

 

【!?】

【えっ】

【ノーネームちゃん……?】

 

【え、あの  ノーネームちゃんの書き込んだアカウントなんだけどさ  ……今、2個に増えてるんだけど……今までのと、新しいの……】

 

【えっ】

【え?】

【どういうこと?】

【さぁ……?】

 

【あ、ほんとだ  ノーネームちゃんの、バグってるアカウントとそっくりなのが、もうひとつ……】

 

【なんでもいい  ノーネームちゃん、やってくれ  ハルちゃんが泣くのなんか、見たくないんだ】

 

「はる」

 

「……なんですか、ノーネームさん」

 

僕は、なぜか濡れていた頬を手の甲で拭いながら尋ねる。

 

ぴこぴこ。

 

頭の上でひとりごとをぴたりと止めた彼女が、そっと、ちょうちょを差し出してくる。

 

「ちゅ、して」

 

「?」

 

僕が?

 

ちょうちょに?

 

いきなりの言葉に困惑していた僕は――――

 

「――――――んむ」

 

「!?」

 

その何度目かの――彼女自身の唇の、僕のそれへの悪戯に――間に合うわけもなく。

 

【!?】

【!?】

【!!??】

【この百合っ子……やりやがった!?】

【この場面で!?】

【ノーネームちゃん!!!!】

 

ノーネームさんの、小さな唇が――僕のそれと、触れ合う。

 

……あ。

 

僕の中から、ごっそりと魔力が抜き取られている。

なるほど、ノーネームさんは何かをするために魔力を。

 

うん。

 

良いよ。

持ってって。

 

君のすることなら――――――絶対、正しいはずだから。

 

「ぷはっ」

 

――――――きぃぃぃぃんっ。

 

離れた唇の熱さを感じていた僕たちの胸元で、何かが光り輝いている。

 

それは、ちょうちょ。

 

小さな、蝶。

 

宇宙空間なのにひらひらぱたぱたとしていて、なぜかずっとノーネームの指に留まっている半透明の存在。

 

その光は、やがてノーネームさんの魔力の色に変化していって――――――

 

にゅるんっ。

 

裏と表が、「ひっくり返った」。

 

【!?】

【!!??】

【ふぁっ!?】

 

「おまたせ」

「まってた」

 

「じっけんかんりょう」

 

「もんだいは?」

「んぅ」

 

――――――ノーネームさんが、もう1人。

 

ちょうちょだと思っていたものが、もう1人のノーネームさんに――変身した。

 

【えっ】

【ノーネームちゃんが……】

【増えた!?】

【え、じゃあちょうちょってノーネームちゃんだったの?】

【あっ……】

【おいなんか分かったっぽいやつ、はよ!】

【?????】

 

「……ノーネームさんが、2人……?」

 

「んぅ」

「ちがう」

 

違うって言うわりにはぴったりと息の合った2人が――わさりと羽を広げ、心なしか大きくなった黒髪紅眼の双子が、告げる。

 

「のーねーむ」

「のーむ」

 

「にてるけど」

「ちがう」

 

「それが」

「なまえ」

 

「にたのは」

「ぐうぜん」

 

「――――――あなたたちとおなじ」

「ひつぜんのいんがからのぐうぜん」

 

【?????】

【??????】

【んにゃぴ……】

 

【なんだかかつての「ノーネーム様」時代を思い出すわけわからん具合】

 

【あー】

【「呪い様」時代とか、マジで分かんなかったからなぁ】

【ノーネームちゃん、言いたいことだけ言うからねぇ】

【ごらんよ、ハルちゃんですら分からなさそうな顔してる】

 

「のーねーむ、のーむ」

 

「はる、ある」

 

顔も表情も声も、なにもかもがまったくおんなじ存在。

分裂したノーネームさん、それともちょうちょが進化したらノーネームさんに。

 

……あ、でも、違う。

 

分裂じゃない、この子たちは別々の存在なんだ。

 

「……ノーネームさんと、ノーム……さん、ですか」

 

「……ぽっ♥」

「むぅ」

 

「ごめん」

「いい」

 

「しゅき、いる」

「ん」

 

「うむ」

「うむ!」

 

「うむ!」

「うむ……!」

 

「たくさん?」

「うむ!」

 

「?」

 

【草】

【なんだこのかわいいの】

【ノーネームちゃんっていうの  かわいいいいいいいいいい】

【草】

【あーあ】

【ノーネームちゃん! ノームちゃん! ハルちゃんの前なんだから集中しなさい!】

 

……どう見ても、いつもよく分からない反応をしてるし良く分からないひとりごとで楽しんでるノーネームさん、でしかないけども。

 

あ、でも、新しい子は髪の毛がすごく長い。

 

それはもう、長すぎて途中から渦――転移魔法のあれかな――に収納されてるほどに。

それくらいしか見分け方がないともいうね。

 

髪の毛がすごく長いのが新しい子のノームさん、僕と同じくらいなのが今までのノーネームさん。

 

……本当に、それ以外に見分ける手段がないんだ。

髪の毛を同じにされたら、もうどっちがどっちか。

 

「ふたごいれかわり」

「いたずら?」

 

「……しないでくださいね?」

 

まぁされたとしても、両方ともほとんどノーネームさんにしか感じないんだろうけどさ。

 

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