【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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736話 ノーネームさんとノームさんの作った「ダンジョン/ゲーム」

「――――まおうぐんのしんこう、ぼうがいするための、だんじょんまほう」

 

「――――かいそう、ひろさ、どろっぷ、なんいどでぜつみょうなばらんす」

 

ノーネームさんと、ノームさん。

 

2人が、歌う。

楽しそうに、歌う。

 

「けっこうたいへん」

 

「でも、がんばった」

 

唄う。

 

世界を創り出す歌を、唱う。

 

【あっ……】

 

【え?】

【またなにかあるのぉ……?】

 

【ノーネームちゃんが、世界中のダンジョンにモンスターを閉じ込めた……】

 

【それを、いろんなとこでやってた……】

 

【でも、それらは応用する前――つまりは、「試作品」……】

 

【本命が……だとしたら……】

 

【もしかして  もしかして……すべては、このために……?】

 

【……ノーネームちゃん、ノームちゃん  2人は一体どこからどこまで……】

 

ぱたぱた。

 

ぱたぱたぱたぱた。

 

上下左右の、タイル。

それらが、広がっていく。

 

気持ちのいい音を立てながら、塗り替えていく。

 

足元、右、左――――上。

 

「空間を四角に区切る」、見慣れた構造物が――――できあがっていく。

 

僕の見慣れた空間が、広がっていく。

 

………………………………ああ、そっか。

 

僕が大好きだった、あのじめじめした空間は――この子たちが。

 

だから、居心地がよかったんだ。

 

しっとりじめじめしていて、きのこまで生えていて。

 

「ダンジョンが……できていくんだ。こうやって、できてたんだ」

 

【……ダンジョンを創る、内側の光景……】

 

【ぞわっとしたわ】

【ノーネームちゃんたち女神が、俺たち人間のために作った場所……それが、ダンジョン】

【ハルちゃんを――人間を、守るための場所  それが、ダンジョン……】

 

【ダンジョンからモンスターがあふれたらどうなるかなんてのは、11年前のでよーく知ってる  そうさせないための、ダンジョン……】

 

【上下左右のない宇宙空間に、ダンジョンが……】

【できていく……】

【あ、もうちょっとでアルちゃんたちのとこに……】

 

【それに、魔王が気づいてない  この時点で、ノーネームちゃんとノームちゃんの勝利だな】

 

【ああ……!】

 

【そうか  これがしたかったんだね、2人とも】

【ハルちゃんのお願いだからね】

【とっても楽しそうだね】

【もしかしたら別のとこで別の形で使うかもだったけど】

【ハルちゃんがしたいことだから、今しかないもんね】

 

「たいへんだったけど」

 

「できた」

 

「なれた」

「だから」

 

「がんばれば」

 

「まおうだって」

 

そう宣言し、黒髪の女神たちが――詠唱を終える。

 

「はるのとくいな、だんじょんのなかへ」

「ちいさいほうがゆうりな、ちのそこへ」

 

「「――――――『まおう/ぼすもんすたー』だって、準備さえすれば……『ないない』できる」」

 

――――――――――――――がしゃんっ。

 

僕がまばたきをする一瞬で――――――世界が、反転した。

 

世界っていうものが、閉じられた。

 

でも、それに姉さんとおじゃるさんは気づいていない。

 

「……こうやって、モンスターを閉じ込めて。それで、びっくりしてるとこへ人間が攻略しに来るんだ……」

 

――「定期的な湧きポイント」。

 

――「ダンジョンごとにレベルと属性や種類の傾向がある」。

 

――「通常モンスターよりワンランク強いモンスターが、ボスフロアで待機している」。

 

――「モンスターは、階段などのセーフエリアをまたいで移動できない」。

 

――「ボスモンスターは、ダンジョンがあふれない限り外へは出られない」。

 

――「攻略したご褒美として置いておく宝箱」。

 

――「攻略中にもドロップ品があちこち落ちている」。

 

――「水分補給も食事も、口に合うものが用意されている」。

 

「あんまりにも、都合が良すぎる。だから僕は、ダンジョンに慣れて潜ってるときに、いつも思っていたんだ――だって」

 

振り返ってきた双子が、僕を見る。

 

「「「ゲーム/げーむを、参考/さんこうにしたから」」」

 

「ん」

「おまーじゅ、りすぺくと。ちゃんとあれんじ」

 

「つくりてへ、けいいはたいせつ」

「げーむ、たのしいから」

 

【ノーネームちゃん……ノームちゃん……】

 

【なにも知らなかったハルちゃんですら、ぶらり旅で遊んだゲームを知ってたんだ  裏方としていろいろ動いてた2人なら……】

 

【まぁ宇宙戦艦とか見る限り、どう考えても先進文明の方のゲームを参考にしたんだろうけど】

【技術とかってね、ベースの環境が近ければある程度収斂していくんだよ】

【生き物とかですら見た目が似たりするもんな】

【あー】

 

【ゲーム――遊戯のためのそれを、気の遠くなる時間をかけてあまねく世界へ……女神様、人間が好き過ぎるだろ……】

 

えっへん。

 

心なしか胸を張って小鼻が膨らんでいる黒髪の子たちに光る、紅いおめめ。

普段の眠そうなのとは全然違って、らんらんと輝いていて。

 

「ノーネームさん、ノームさん。ひとつ、聞いてもいいですか」

 

だから僕は、これを聞くのを止められない。

 

「――ゲームって、作るの……楽しかったですか?」

 

ぱちぱち。

 

黒い羽を動かしてお互いに顔を寄せ合った2人は――――

 

「――――ん」

 

「すごく。すっごく」

 

――――僕が初めて見るような、まぶしい笑顔をしていた。

 

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