【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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739話 ごきげんなノーネームさんとノームさん

ぱたぱたぱた。

 

ぱたぱたぱたぱた。

 

僕たちを囲んでいる壁が、強固になっていく。

 

『だが、所詮は幼体の神族による魔法、こんなものなど――――――魔力の供給までが断たれているだと!?』

 

「えんぐん」

「ほきゅう」

 

「――――――そんなもの」

 

「『だんじょんにでてきたもんすたー』には」

 

「あるわけ、ない」

 

【かっこいい】

【すげぇ】

【そうだよな  「ダンジョン」だもんな】

【湧きスポット以外で新しいモンスターも出ないし、魔力回復とかあってたまるかって話だもんな】

 

【よく考えたら、理不尽なまでに人類に都合が良かったダンジョン……】

【すべてが  すべてが、このときのための「ダンジョン」……か】

 

がしゃん、がしゃん。

 

何かが、組み替えられていく。

全部が、組み替えられていく。

 

「……! 2人とも――まさか……いや、あり得ない。この世界で最も強力な存在になってしまった魔王を、初めから――――――」

 

「ん」

 

「ひみつ」

 

「のーむがふたりになったときから」

「のーねーむがうまれたときから」

 

「みんなをたすける、ないない」

「だんじょんまほう」

 

「その、おうよう」

「まほうは、とくい」

 

ふんす。

 

【かわいい】

【かわいい】

【ないない……いや、今くらいは応援しないとな】

【ああ……】

 

2人が――いつものノーネームさんが、ちょっぴり自慢げなときみたいな顔をして、告げる。

 

「だんじょんまほう、だんじょんしすてむ」

 

「ひとつひとつのだんじょんのつよさにおうじて、しんにゅうしてくるまものとまぞくをはいぶん」

 

「まぞくは、だんじょんのなかのまりょくがはれつしないかぎり、ちじょうにはでられない」

「にんげんは、だんじょんのなかのまりょくをせいげんすれば、ちじょうがへいわ」

 

「すたんぴーど」

「あふれること」

 

「このしすてむにすれば」

 

「――――――ぜったい、だんじょんはこうりゃくされる」

 

「「でしょ?」」

 

2人の声が、ぴったりと合っている。

 

きっとどこかで繋がってるんだろう、ノーネームさんとノームさんの声が。

 

【うん】

【そうだよ】

【よわよわな地球だって、どうにか立て直せたんだ】

【こっそりハルちゃんたちの助けも借りてたけどね】

【こっそり……?】

【情報統制が10年以上徹底してたって意味では「こっそり」だぞ】

【それもそうだな】

 

「よわいところはよわいにんげんが、たたかう」

「つよいところはつよいにんげんが、たたかう」

 

「まりょくは、まぞくとまものの、もちだし」

「たおされるたび、にんげんたちがすいとる」

 

「つよくなる」

「よわくなる」

 

「すうひゃくねんですうまんねんぶん、にんげんのつよさがそこあげ」

 

「『ゆうしゃ』も、うまれる」

 

「それが、だんじょん」

「がんばってつくった」

 

「にんげんの『げーむ』を、みて」

 

「でんしのうみにただようひんとを、みて」

 

「しすてむは、よさげなのをこぴー」

「ちょさくけんは……よくわかんない」

 

【草】

【草】

【こんな戦いに使ってもらえたら喜ぶだろ制作者も草】

【ところどころ人間の価値観に染まってる女神様たち】

 

「でも、とてもべんり」

「かんせいされててらくちん」

 

「……はる」

 

「きかせて」

 

「? 僕ですか?」

 

遠くで唸りながら無茶苦茶にタイルを攻撃しているおじゃるさん、お口をあんぐりと開けてこっちを見てきている姉さんを余所に、僕は問われる。

 

「この、げーむ」

 

「かんせいど、いかが?」

 

「……おもしろい?」

 

「たのしい?」

 

「――――………………」

 

そわそわ。

ぱたぱた。

 

2人の聞きたい言葉は、手に取るように分かる。

 

ちょっぴりの、不安。

けども、きっと大丈夫って気持ち。

 

……2人は、こんなものをずっとずっと、2人だけで作ってきたんだ。

 

そりゃあ自慢もしたいだろうし、褒められたいよね。

 

うん、分かったよ。

 

【ハルちゃん】

【言ったげて】

【そうだよ】

【すっごく嬉しそう】

【見えない尻尾がぶんぶんしてる】

 

【こういうときは外さないのがかっこいいんだぞ、ハルちゃん】

【大丈夫だよ  ハルちゃんは、狙った獲物は逃がさないんだ】

 

だから、僕は言ってあげる。

 

人間として生まれ、ゲームを楽しんできたちっぽけな存在として。

 

「とっても。とってもよくできていて――――楽しいですよ。とっても、攻略のし甲斐があるんです」

 

そうだ。

 

僕がずっと、ずっとずっとダンジョンに潜り続けていたのも、そのシステムそのものが快適だったからだもん。

 

『――――ぬううううう! GAAAAAA――!!』

 

どごん、どごん。

 

怒り狂ったおじゃるさんが、手あたり次第の攻撃を手あたり次第のタイルへぶつけていく。

 

「むり」

「むだ」

 

「たいきゅうど」

「ましまし」

 

「まおう」

「よわよわ」

 

「はるのおかげ」

「あるのおかげ」

 

「「みんなの、おかげ」」

 

1秒ごとにタイルごとに広がっていく空間。

それは、たぶん――どんな攻撃でも壊れなくって。

 

それを無理に壊そうとして、必死すぎるせいで結構攻撃が跳ね返っているおじゃるさん。

 

諦めが悪いなぁ。

 

それとも逆に、諦めが悪くってしぶといからこそ魔王にまでなれたのかな。

 

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