【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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743話 堕ちた、魔王さん

『己……! 貴様らぁぁぁぁ!!』

 

おじゃるさんが、もだえている。

 

四方八方から打ち込まれているミサイルが、まるで魚を採るときの銛とか槍のように、突き刺さっても爆発せずにただただ深くへと突き刺さり続けている。

 

長い翼に脚、胴体に――何百もの楔が撃ち込まれている。

 

それはまるで、かつての僕たちのご先祖様たちが食べつくしたマンモスを捕まえるときのようで。

 

『矮小な劣等種族が! おのれおのれ小癪な!!』

 

じたばたと怒り狂うも、突き刺さったそれらの数が増えるにしたがってみるみる動きが鈍くなっていく。

 

「ふむ」

「ほう」

 

「かんせいど」

 

「さんじゅっぱーせんと」

 

「でもかずは」

「きたいいじょう」

 

「ひょうか」

「きゅうだいてん」

 

「「ぐっじょぶ」」

 

【おお】

【世界最大国家の年間予算10%×11年=110%でもその評価か】

【まぁ女神様特製の技術とか、すぐには再現不可能よね】

【それでも機能はしてるようで助かった】

【戦いは数だよな!】

【それはそう】

 

【質を数で補ったか】

【合衆国さんの考え方そのものね】

【今回はまじグッジョブだわ】

 

ふらふらゆらゆらよれよれとしているおじゃるさん。

 

「………………………………」

 

そんな姿を見せられると、こころがきゅってなるけど。

 

「それでは」

 

「じゅうりょくてんかい」

 

「はる、ある」

「おはねぱたぱた」

 

「重力――っ!? こ、この空間自体が完全に外から切り離されている……?」

「お、足元に引っ張られる。懐かしい感覚」

 

ぐぐぐっ。

 

巨人さんたちのもとを離れてからずっとふわふわしてたもんだから、本当に久しぶりに重さってのを感じてきている。

 

「あ、でもお船たちは――あ、渦に戻ってく」

 

やけくそのようにミサイルを乱射したお船たちは、ずぶずぶとおしりから渦に吸い込まれていっている。

 

「へー、おしりから戻ってくんだ。斬新ですね」

 

【草】

【草】

【ハルちゃんの感想がいちいちかわいい】

【気持ちは分かるけどかわいくて草】

 

【驚いてるのかいないのかわからないローテンションがいいんだ】

【わかる】

【始原もそう思います】

【草】

 

【あ、けど……配信ドローンも重力に引っ張られてるのか、上下がはっきりと】

 

【これでようやくに酔い止めとはおさらばできるか……(3D酔い勢】

【草】

【かわいそうに……】

【あー、ずっと上下のない画面でしたからねぇ……】

【近所の薬局とコンビニ、いつも酔い止めが切れてるのお前らかよ!!】

【草】

 

ぐぐぐ。

 

ぐぐぐぐぐぐっ。

 

――――――――どすんっ。

 

『GUUUUU……!』

 

そうして。

 

ずっとずっと、僕たちを見下ろしてきた魔王が――――――――ついに、地へ堕ちた。

 

僕たち人間と同じ土俵に、引きずり下ろすことができたんだ。

 

【速報・魔王、堕ちる】

 

【しかも人の手でな!】

【※ノーネームちゃんたち女神様から完成品を渡されて劣化量産しただけです】

【それでも人の手は、少しは入ってるだろ?】

【それはそう】

【及第点なんだから良いんだよ】

 

「よっ……と」

 

とすん。

 

僕の足の裏が、地面に吸い付く感覚。

懐かしい感覚。

 

「ぴったりフィット。……しっくりフィット?」

 

【草】

【かわいい】

【ハルちゃん、それほんと好きね】

【ハルちゃんの語彙力……じゃないな、チョイスか】

【語彙力はご本ですごいからね、ハルちゃん】

【女神換算では生まれたて?な幼女にしてはね】

 

『GRUUUUUU……ハル……!!』

 

「……おじゃるさん」

 

どういう力なのかはわからないけど、翼も体もぺたんと地面へ張り付けられているおじゃるさんが、恨めし気な目を向けてきている。

 

完全に、起き上がる力を失っているらしい。

 

……きゅってなるけど、でも。

 

「……ハルの優しさに免じて、改めて問う。魔王、休戦協定を結ぼう。そうだね……ひとまずは1万年程度は相互不干渉。どうかな」

 

ぱさりと優雅に下りてきた姉さんが、僕の真横に立っている。

 

「おたがい」

「ぎりぎり」

 

「おやすみ」

「ひつよう」

 

ぱさぱさ。

 

ノーネームさんとノームさんが、僕たちを左右から挟み込むように降りてくる。

 

――ぎゅっ。

 

「しゅきぃ……❤」

「はいはい、そうですね」

 

「……ハルは、もう少し危機感を……」

「がんば」

 

【草】

【アルちゃんから言われてるぞハルちゃん!!】

【ハルちゃんはなぁ……普段はぼーっとしてるしなぁ……】

【ノーネームちゃんとか子供たちにまさぐられても気づかずに眠りこけてたくらいだしなぁ……】

 

【え、でも、るるちゃん&くしまさぁんからは逃げ出すよ? 脱走の前科2犯だよ?】

 

【草】

【猫かわいがりっ子とママは別枠だから……】

【あー、あれだ  自分を邪魔してこないんならどうでもいいんだわ、ハルちゃん】

【! それだ!】

【ああ……るるちゃんは構ってアピールすごそうだもんねぇ……】

 

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