【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「――ハル! 朕を無視して愚弄するでにゃい! 朕を見るのでおじゃ! 人間の小娘なんぞより朕ぞ! 朕を見よ! おじゃああああ!!」
るるさんとしんみりとしていたら、後ろからぎゃあぎゃあと騒ぐ声。
……構って欲しい子供かな。
「あ、おじゃるさん。この人はるるさんです」
「るるって言います! 深谷るるです!」
「おみゃあのことなんぞ聞いとらんわ!」
さすがはるるさん、初対面でもへっちゃら。
むしろ手をふりふりで全力の笑顔。
なんなら近づいていきそうな気配まである。
「仲良くしようね、おじゃるちゃん!」
「するか! 朕、魔王ぞ!!」
「その髪の毛、すごいね! 炎魔法かな?」
「貴様の髪を燃してやろうか!! さぞかし燃え上がりそうな髪じゃのう!」
「えー、でも、ハルちゃんがこの髪型、かっこいいって」
「おみゃえー!!」
【草】
【つよい】
【コミュ力がカンストしている】
【かわいいのはともかく、あの不幸状態でアイドルになっただけのメンタルもあるからな】
【さすがは初手で仲良くなるのが得意なるるちゃん】
【なかよく? なかよくなってるか……】
【草】
【ていうか魔王、マジでガキだな】
【精神的に幼いよな】
【まぁ肉体に釣られてるんだろうとは思うが】
【あのおっぱいとおしりとふとももなのに?】
【あのおっぱいとおしりとふとももなのに】
【草】
【そら数千歳?なでかでかドラゴンと、たぶん作りたての人間の体だし】
【0歳児ならしゃあない】
【あの見た目で0歳児……えみちゃんの判定やいかに】
【ロリコンとは魂の叫び……つまり、えみちゃんがここに来たら……】
【草】
【もうやめたげてよぉ!】
【でもハルちゃんよりも幼い幼女っぽいのはマジだよな 生きてきた時間はともかく、内面が】
【むしろハルちゃんがかしこい幼女なだけ疑惑もあるけど】
【確かに】
【ハルちゃんに見てもらえないだけで怒るとかほんそれ】
【見た目は破廉恥痴女だけど、これもうハルちゃんと同じく幼女でしょ……】
【おしりとかおっぱいのこと気にしてないあたりもガキ感あるな】
【あー】
【あー】
【「この方が強そうでそれっぽいから」とかそんな理由だったっぽいしな】
【メンタル面ではよっぽどハルちゃんのほうがお姉さんよね】
【やはりご本……本は、心を養うんだ】
【本は読んどけ!】
「――――――許さん」
ごおおおっ。
怒ったおじゃるさんが、口から炎を――ブレスを吐いてくる。
「! るるさん、避けてください」
「ううん、大丈夫。………………だよね?」
僕はぞわっとして、るるさんへ駆け寄ろうとするも――彼女は動く気配もなく、笑いながらブレスを吐く魔王さんを眺めている。
……いや。
見ているのは、それよりもずっと手前?
「…………ええ、るる様。――――――アイスソード」
ひゅんっ。
炎の柱が――魔王さんと僕たちのあいだに降り立った誰かの魔法で、左右真っ二つに逸れていく。
【Lv.】
【60】
【限界突破:1回】
――――――さらり。
僕たちの前に……銀色の髪の毛が揺らめいた。
「……レベル60。あら、そんなに上がっていたのですね? 通りで最近は深層の手応えがないと。今後はハル様を見習い、500階層クラスへソロで潜りませんと……」
振り下ろされた細長い剣とともにふわりと地面に降りる、ブーツ。
すらりと長い脚の上には白と青の、アイドルなるるさんとは路線が違って正統派の騎士さん――それを女性らしい魅力で演出する鎧、上半身を包む黒いタイツ。
さらさらとブレスの余波で吹いてくる風になびく銀色の髪は、前は腰までだったのに、今はもうふとももまでを覆っている。
くるりと振り返るその頭には――――――そうだ。
この子は、王女様なんだ。
だから、王冠――ティアラを。
「別れてから育って大きくなった姿」では、最初から頭に着けていたんだ。
――たぶん、僕に気づいてほしくって。
でも僕は、それを知るよしもなくって。
「……ハル様。幼い私を助けてくださり……こうして再びに相見えることができましたこと。……心の底から、嬉しく思います」
銀色の髪のあいだから覗く紅い瞳は――小さなリリさんから大きくなっても、全然変わっていなかった。
「んなっ!? ち……朕の炎が、小娘に……嘘、嘘じゃあ……あんなちんけで粗雑な魔法で、朕の……朕の自慢のぉ……ぐす……ぐしゅ……」
「……そう言われると傷つくのですが……位階の異なる存在からすれば、この剣技と魔法もまだまだ、ですか」
ちらりと見ると、なんだかものすごくショックを受けてるっぽい魔王さん。
……え、泣いてる?
あれだけのことで?
【かわいい】
【かわいい】
【ガチ凹みしてて草】
【ほっぺ膨らませて泣きじゃくってて草】
【かわいい】
「こんな体になったせいじゃ……ぶしっ。ぜったい、そうに決まっとるのじゃあ……ちんは世界の王ぞ……おうしゃまぞ……」
「あれ、謝った方がよろしいのでしょうか……?」
「うーん……かわいそうだけど、ちゃんとメッして戦い終わってからじゃないと、ダメかなぁ……」
かっこよく登場したリリさん。
……そのせいでぐしゅぐしゅ泣いてるおじゃるさんのせいで、ちょっと複雑そうな顔をしてた。
かっこよかったのにね。