【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「……私も、それには同感だよ魔王……あと、普通にごめん……立てる? 手、貸そっか? 私も流石にこんなので決着着けるとか、ちょっと恥だし……こんなので君を倒しちゃったら、死ぬまで永遠に誇れないし……ね?」
「ぐしっ……うん……」
それにおずおずと近寄った姉さんが――上に伸ばされた手を取って、よっこいしょと引っ張りあげる。
身長差的に、ぼろぼろになって寝転がってたのを座らせる程度にしかできてないけども……それでも、ああいうのはたぶん救われることなんだ。
「ハンカチいる? あ、服、ちょっと不味い感じに着崩れてるから直すよ? 触るけど良いよね? 攻撃はしないからさ」
「うん……ぐす……くしゅんっ」
「短いとはいえ人の姿になったら服はちゃんと着てあげようね。人間はドラゴンみたいに立派な鱗で体を覆われてないから、ごく一部の人とか地域の風習以外では肌はそれなりに隠さないとかっこ悪いからね」
「うん……」
「あ、鼻のかみ方かぁ。はい、息を吸ってー。止めて? んで口は閉じたまま、私の持ってるハンカチへ息をぶつける感じで」
「ちーん!」
「うんうん、そう。上手上手。人間はそうやらないと呼吸できなくなるからね」
【かわいい】
【かわいい】
【ロリが美女を介抱している】
【ふつくしい】
【この光景……うちの子を世話してる妻の姿だ……】
【この光景……保育園や幼稚園でよく見るやつだ……】
【どっちが?】
【どっちも】
【世話する方もされる方も見た目の年齢が逆転してはいるけど、完全に母娘のそれだ……】
【ごく自然におじゃるのお世話をアルちゃん】
【これは完全に赤子の世話をしている母親のごとくに……】
【ままぁ……】
【これはママの風格】
【外の世界で信仰されてる神様のトップだぞ 全人類の母なのがアルちゃん……いや、アル様だ】
「戦場にいる以上には当然、不意打ちとかはするけどさ。戦い自体は万全の状態で決着つけないとだもんね。そうじゃないと君も納得できないでしょ?」
「うん……」
「戦うのは泣きやんだ後ね。魔族のみんなも見てるんでしょ? この配信」
「みてる……」
「かっこいいとこ、見せなきゃだもんね」
「みせる……」
「泣いちゃってるけど、そろそろ我慢して泣きやもうね」
「がんばる……」
「今の君はノームたちによって弱められてるからね。うん、泣いちゃってもしょうがないんだ。特に今のは酷かったから。……魔族のみんなもそう思うよね? だから泣いてるのはしょうがないことだからね。私だって今みたいなことになったら泣いちゃうから、だから恥でもないよ」
「うん……」
ぐしぐし、なでなで。
えみさんとリリさんっていう蠢く何かを覗けば、優しい世界だ。
【魔族へすら気配りのできるアルちゃん】
【これは女神】
【これは主神】
【主神はお父さん……いや、もうアルちゃんでいいや……】
【見た目は子供の女の子なのに、この包容力よ】
【伊達にとんでもない年月をかけて魔王への反攻作戦を指揮してたわけじゃない あの包容力よ】
【創世神話的にはアルちゃん自身が産んだわけじゃなくても女神は全人類のママだもん そら母性もあふれてるよな】
「私たちの決戦は、私たちが出せる全力で戦って決めるんだもんね。魔王、君が角と羽と尻尾をもがれようとも、ドラゴンとして誇り高く君たちの基本的な攻撃手段で攻撃して戦って、私は拳で戦って、ノームたちはこの『ダンジョン』で君を弱め続けて。そういう、お互いに出せる全部を出して戦わないとね」
「うん……」
なでなで、なでなで。
背の低い姉さんが、服を直されたあとで座り込んだ背の高いおじゃるさんを撫でながらあやしている。
あやされてるおじゃるさんも、目を細めてもっと撫でられようと姉さんの方へ体を押し付けている。
なるほど……アル姉さんはやっぱりお姉さんなんだ。
きっとノームさんにもノーネームさんにも、ああやってあげてるんだろう。
僕?
僕は成人男性だし……いや、何千歳の姉さんに比べたら赤ん坊も同然だけど、いい歳した大人の男が見た目だけでも子供にあやされるのは……プライドの問題があるから。
【かわいい】
【やさしい】
【これが天と魔の和解……】
【感動した】
【いやまあ戦う気マンマンっぽいけどな】
【長年の宿敵同士すら一時停戦させるえみちゃんとかいう人間よ】
【あの魔王を泣かせて一瞬でも戦意喪失させるとかやべー人間なえみちゃん】
【あれ、本当に人間か……? 人間か……】
【同じ種族として認定したくはないが……性癖以外は極めて普通の美少女だからな……】
【草】