【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「貴様らは全力。貴様らに弱体化されようとも、この中で最も強き朕もまた全力を出そう」
「うん。私たちの方が弱い分、数で戦わせてもらう」
姉さんが腰を少し落として、構える。
輪っかもなければ羽もなくギリシア風の白い布な服を着ている、ただの人間の女の子みたいな姉さんは、けれども少なくとも僕よりはずっと素早く走って強い力を叩き込める。
肉体の造形はほとんど変わらないのに、ノーネームさんたちや僕よりもずっと凜々しく感じる顔つきで、おじゃるさんを見据えている。
「……で、私たちがおじゃるちゃんを、それまでにごめんなさいさせたら」
「ええ。私たちの――人類の、神族の勝利ね」
しゅらんっ。
その後ろに立つ、るるさんが武器を――
「……なんです? それ」
「鎌だよ。ダンジョンのドロップでね。なんかしっくりくるんだ」
「そうですか」
ひゅんひゅんっ。
――るるさんの背の高さを超える柄の長さの禍々しい鎌。
それが、彼女の新しい武器らしい。
「普段は剣を使ってましたけど、使えるんです?」
「うん。不思議とね、手に入れた最初から剣以上に扱えるんだ」
「へー」
ひゅんひゅんっ。
命を刈り取る形をした鎌が、るるさんの両手の中でくるくると弧を描く。
どう見てもバランス悪そうなのに、すっぽ抜けたり落っことしたりする気配もないんだね。
【ひぇっ】
【じょばばばば】
【なぜかな、鎌を持ってるだけでおめめもお声も普段通りなのに……怖いんだ】
【分かる】
【俺が興奮してるからこれはヤン成分入ってるよ】
【草】
【お前!!】
【るるちゃんはヤンと闇を克服し、新たな段階へと至ったのだ……】
「るる。鎌の扱いには気をつけて」
「うん、分かってる。えみちゃんたちとした連携の練習通りにやるよ」
「……けれど、あいかわらずに……その。禍々しい見た目ね」
「? かわいいよ?」
るるさんが首をかしげながら、その背丈を超える長さの柄を持った鎌を見上げる。
……あれがかわいい?
………………………………。
……やっぱり女の子の感性は分からない。
ああいや、るるさんへ話しかけたえみさんも引いてるから、あれはるるさん専用の感性なんだろう。
【かわ……?】
【いい……?】
【かわいいか? かわいいか……】
【るるちゃんファンの私は何があろうとるるちゃんを全肯定しなきゃいけないの……】
【草】
【ファンならアイドルが間違ったことしてたら指摘したげて??】
【ヤンが入った状態のるるちゃんに?】
【ごめんなさい】
【草】
【あの……その鎌、変なオーラ出してるんだけど……】
【なんか効果音でヴォンヴォンってドップラー効果が】
【こわいよー】
【ま、まあ、るるちゃんは使いこなせてるから……】
【ハルちゃんを追い求めてダンジョン深層に潜ってたとき、ハルちゃんの代わりに話しかけてたお友達だから……】
【ハルちゃんの代役として肌身離さずだったから……】
【ひぇっ】
【どう見ても瘴気っぽいものを纏っているんだけど……】
【こ、これまでは平気だったから……】
【呪いの武器って使い手との相性次第ではって言うよね】
【仲間】
【ふぁっ!?】
【ひぇっ】
【ノーネームちゃん!?】
【ナチュラルに会話に混じってくるじゃん、ノーネームちゃん……】
【えっ……じゃああのカマって本当に呪いの類いの……】
【じょばばば】
【る、るるちゃんへ危害を加えるものならノーネームちゃんが排除してるはずだし……】
【あー】
【なら安心か】
【※るるちゃん「へ」危害を加えるもの限定かも】
【おろろろろろろ】
【るるちゃんファンなら大丈夫だな! よし!】
【ただちょっとるるちゃん自身が禍々しい存在になるだけで特に問題はないんだな! よし!】
「この前に合わせたフォーメーションを取って、つかず離れず……回避優先よ。レベルで言ったら私たちはこの中でも低いから、1秒でも長く魔王の邪魔をしましょう」
「うん、分かってる。がんばろうね、えみちゃん」
るるさんの隣には、王道の剣――かっこいい、癖のないタイプの長い剣、その中でも持ち主の戦い方に合う少しだけ細いそれを構えている、えみさん。
【えみちゃんがかっこいい】
【これはパーティーリーダーのえみちゃん】
【これは期待のアイドル配信者をまとめるお姉さん】
【これは気配りのできるママ】
【軽中装備のオーソドックスな前衛として無難だけどそれゆえに人気な剣を構えてるかっこいいえみちゃん】
【それな】
【このわがままボディのくせして動きはるるちゃんよりも俊敏なんだよな】
【おかげで戦闘中はぶるんぶるんして……ふぅ……】
【わかる】
【うむ】
【然り】
【※えみちゃん】
【草】
【草】
【力が抜けるだろ!! やめろ!!】
【だって……】
【うん えみちゃんはね、幼女に関わらなければ素敵な……お姉さんだったからね……】
【ぶわっ】