【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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766話 九島さんは強くて優しい

「……貴様! そこの! さっきのをやったら、おみゃあだけは殺すからな! 朕の命を引き換えにしても八つ裂きにしてやるからな!」

 

ふしゃーっ。

 

るるさんの鎌から視線を移したおじゃるさんが、えみさんを見て吠える。

 

うん、えみさん相手だもんね。

だからこそ言っとかないとね。

 

「えみさん、ヘンタイさんは封印ですよ。いいですね」

 

じゃないと、また姉さんの不意打ちストレートが決まっちゃって後味の悪い結末になるかもだし。

 

「えみちゃん、ダメだからね。こんな場面であんなことしたら、さすがに私も怒るからね」

「三日月さん――えみさん。ここでやらかしたら、本当に見捨てますからね。更生を期待する気持ちを、捨てますからね」

 

お、るるさんと九島さんが追撃。

 

「そこの人間の女の子。ちゃんとした戦いをしなきゃだから、魔王を怯えさせたりしてぽでね。さっきの私みたいなフルスイングとか、やった方が申し訳ないんだからね。逆に私が気を取られてストレート負けもあり得るからね? 本当に気をつけてね?」

 

「ろりこん」

「ふういん」

 

あ、姉さんとノームさんとノーネームさんまでが言ってる。

 

……えみさんはこんなだけど、それでもお昼寝とかしてる僕へ手を出してきたことはないから大丈夫なのになぁ。

 

「みんな、少しは信用して!?」

 

最初は僕の声にびっくりして、ついででみんなに言われて顔を真っ赤にしているえみさん。

 

僕はそこそこに信用してるけども……残念ながら僕以外の全員の視線はひややかだ。

なんなら黒髪の2人は微妙に距離を取ってるし、おじゃるさんもじりりと1歩後退している。

 

……連携、できるのかな。

 

【草】

【信用……?】

【????】

【え? なんだって?】

【初手で興奮して魔王をビビらせてかわいそうな目に遭わせたロリコンがなんだって?】

 

【ぼっこぼこで草】

【無口っ子からすら言われてて草】

【シリアスにしたいのにギャグ持ってこられたら困るもんな!】

【えみちゃんへの信用が暴落している】

【紙切れどころか借金になってるよ?】

【えみちゃん……どうして……】

 

「こほん。戦闘形式はボス戦――1対多数で、いいんですね? 魔王」

 

前に出ているるるさんにえみさん、その1歩後ろで護身用の――とはいっても自身もかなり戦えるらしいけども――短剣を抜いている九島さん。

 

「朕を誰だと思うておる。魔王じゃ、チホ。彼我の種族、格の違い――これでも朕へは圧倒的有利。全力で掛かって来るのじゃ。むしろ圧勝してしまったら……ハルとチホには謝罪せねばならないほど。気負うことなく戦い、治癒をせよ」

 

「……では。もし私たちが負けても……少しでもその気持ちがあるなら、私たち全ての存在へ、気まぐれの範囲でもいいので温情をお願いします、魔王」

「チホの言うことじゃ、考えよう」

 

彼女が頭を下げると、魔王さんも深くうなずいている。

 

……九島さんって、すごい。

 

あのおじゃるさんが、見下してる人間のはずの九島さんへだけはちゃんと目を見てうなずいている。

るるさんへはときどき、えみさんへは警戒の目を向け続けているおじゃるさんが、九島さんへだけは真っ正面から見ているんだ。

 

「誇り高き魔族は、こと決戦の場で戦えぬ者を甚振る趣味はない。チホ、貴様が傷つき倒れ戦えなくなったならば武器を捨てよ。他の者もそうせよ。さすれば朕は誇りある魔の王として、戦闘中もその後も、人間だとしても誇りある存在として丁重に扱ってやろうぞ」

 

開くまで、自分が勝つ前提で話を進めるおじゃるさん。

 

……けど、あのおじゃるさんがここまで言うだなんて。

ついさっきまでは虫けら扱いしてた人間、その九島さんへ。

 

「ありがとうございます……ですが、勝敗が決するまではお構いなく。私も、るるさん……この人たちと一緒に、ダンジョンでモンスターを倒してきました。手加減せずに全力で戦うからこそ、互いの陣営が納得できる結末が訪れる。そうでしょう? 魔王」

 

「……朕の誇りに賭けて誓おうぞ」

 

凜とした佇まい。

 

それは、強さやレベルじゃない何かから発せられているんだ。

 

【goddess……】

 

【おお……】

【なんと……】

【勇ましくもお優しい……】

【すごく強いわけでもないし、なんならこの中で1番「普通の人間」のはずのくしまさぁんが、魔王から対等の存在として認知されている……】

 

【ノーネームちゃんとノームちゃんですら名前呼びされないのに、くしまさぁんだけは違うからな】

 

【あ、そういやそうだわ】

【ハルちゃん&アルちゃんだけだったよな、これまで】

【だな】

【すげぇよくしまさぁん……包容力と母性だけで……】

 

【素晴らしい……】

【素敵】

【さすくし】

【だからそれやっぱ言いにくくない?】

【草】

 

【くしまさぁん、とうとうハルちゃんの次に気に入られてるな】

【純粋な人類では1番に気に入られてるよな】

 

【まぁあんだけ母性発揮したらね】

【バブみを感じたらね】

【弱ってるところへなでなでよしよしされたらね】

【どんな存在でも、母親には敵わないからね】

【なんてことだ、くしまさぁんは魔王の母にもなってしまうのか】

 

 

 

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