【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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773話 戦闘再開

「魔王。――――ようやく、『私たち以外』を見たね」

 

「………………………………」

 

ばしんっ。

 

2人の拳が、火花を散らせる。

 

「対話はね、お互いが同じリングに乗ってから拳で殴り合いながらするものなんだよ。お互いの力をお互いの体で受け止めて、それで相互理解をするんだ。多少でも知性があっておなかが空いていなければ、相手と認めさえすれば適切な距離が取れるもの。実際、魔族と人間がそこそこに上手くやってる世界もそれなりにあるし。だからね、魔王」

 

「……ああ」

 

きっと、同じくらいに入れているだろう拳同士。

同じくらいだからこそ均衡して、静かになって。

 

「とりあえずみんな、同じくらいに力を制限してリングに放り込んで殴り合いさせて疲れ切ったなら、だいたいみんな仲直りできる」

 

「………………………………」

「………………………………」

 

そして2人は、しばらく見つめ合って。

 

「……いや、最後のはやはり違うと思うが」

 

「そうかな?」

 

やっぱり意見は割れた。

 

【違うと思います……】

【まぁ合ってはいる気はするな】

【納得できそうで納得できない気がする】

 

【言いたいことはすごくよく分かります……けど……】

【でもそれ完全に脳筋の発想です、アル様……】

【草】

 

【真面目に賛否両論で草】

【ま、まあ、間違ってはいないから……】

【論理は間違っていないんだよな  方法がこの上なく肉体言語なだけで】

【草】

 

【これは魔王ちゃんにも1票】

【でもアルちゃんの言うことももっとも】

【つまり?】

 

【どっちも正しい  少なくともお互いの立場からは――な】

 

「……じゃが、朕らはもう、お前たちの大半を滅ぼしてしまった。今さら、止められはしない」

 

「それなりの数はノームたちがないないしてるし、他の子も――まぁ死んじゃっても輪廻システムでとっくに別の生命としてどっかでやってるだろうけど、今生きてる子たちはすぐには納得できないかもしれない。でも、大丈夫」

 

姉さんが、元気な声で言う。

 

「しがらみは残るし、恨みも残ると思う。けど、戦いが終わって何年もすれば心の整理はついていくよ。人間たちはみんなしょっちゅう死んで生まれ変わるから、魂的には死ぬのには結構慣れてるし」

 

……元気な声で言うことじゃないような内容を。

 

「……神族。貴様、人間から『人間の心が分からぬ』と言われるじゃろう……」

 

「? 全然?」

 

それ、意見できる人が居なかっただけじゃ……?

あるいはあの父さんや母さんですらそういう思考回路だったとか?

 

【草】

【いい雰囲気だったのに……】

【アルちゃん……】

【せめてハルちゃんかるるちゃん、くしまさぁんあたりが補助に回らないと……】

 

【えみちゃんは?】

 

【ステイ】

【おじゃるに近づくとロリコンに変貌するからね】

【ガチでびびらせて、包帯がなくなってる今度こそ丸焦げにされるかもだし】

【近づきすぎてなりふり構わない戦い方されるとやばそう】

【あー】

【ギャグも1回までだからな!】

 

【リリちゃんは?】

 

【ハルちゃんがね……】

【使えないって言ってたからね……】

【草】

【で、でも、ハルちゃんに近づきさえしなければ、この通りにお役立ちだから……】

【よし! えみちゃんとおじゃる、リリちゃんとハルちゃんは隔離だな!】

【かよわいシリアスさんのために、ご協力ください】

【草】

 

「……決着を、着けましょう」

 

ぽつり。

 

たいして大きい声を出しているわけでもない。

みんなみたいに身体能力が高いわけでもない。

 

「話し合いで決まらないなら、最後まで戦い合いましょう」

 

けども――僕たちのそばで発した九島さんの声が、2人へと届く。

 

「人間の子……」

 

「チホ……」

 

【くしまさぁんの声が透き通る】

【しゅてき】

 

【でも……】

 

【あの……アル様……】

 

【傍若無人なはずの魔王が個人名を覚えているくらいですので……】

 

【そろそろみんなの名前、「人間の子」とか種族でひとくくりにするのは……】

 

【草】

【そういやそうだったわ草】

【意外とアルちゃんも魔王同様、上位存在的な目線よね】

【「ちょっと」……?】

 

「ちゃんと納得がいくまで。アルさん――アル様のおっしゃる通り、ここで存分に戦って。……ちゃんとお互い、どちらかが潔く負けを認めたら、そこで終了――それならきっと、ね? その後のことは、その後に考えましょう?」

 

【くしまさぁん】

【is】

【goddess】

 

【これは女神】

【アルちゃんとおじゃるが無意識にでもうなずくレベルの女神】

【くしまさぁん……】

 

「はいっ。戦闘再開!」

 

ぱんっ。

 

なんだか湿っぽくって、だから僕も撃つのを控えてた空気を、両手を叩いただけで吹っ飛ばした彼女が、僕を見る。

 

「悔いのない戦いを、です」

 

「……はい」

 

ぎゅっ。

 

僕は、残弾が3発の銃を握りしめ――

 

「わかったよ、ちほちゃん! じゃあ――――」

 

遠くで、るるさんが鎌を振りかぶる声を聞いて、

 

「――――――えいっ!」

 

【ふぁっ!?】

【草】

【るるちゃんが鎌をぶん投げた!?】

【えぇ……】

 

【もしかして:勢い余ってすっぽ抜けた】

 

【あー】

【あー】

【草】

【そうだよ、不幸時代のるるちゃんは良くやってたよ、こういうの……】

 

【久しぶりの親の顔より見たるるちゃんのドジっ子】

【もっと親のドジっ子を見ろ】

【え……いや、キツいんだけど……?】

【草】

 

【大丈夫大丈夫  ボケてきたら親はドジっ子になるから】

【ぶわっ】

【みんなも親御さんを大切にしようね  るるちゃんのドジっ子を笑ってる場合じゃないぞ】

【るるちゃんファンの私、大歓喜】

【るるちゃん……どうして……】

 

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