【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「――――――えいっ!」
ぎぃんっ。
リリさんのレイピアの先とおじゃるさんの腕が、高い金属音を奏でる。
「えみさんっ!」
「ええっ――――――はぁっ!」
その影からしゃがみながら飛び出したえみさんが振り上げた剣が――
ぎぃんっ。
今度は鈍い金属音。
「貴様のは聞かぬ」
「でも、リリのは効いている。そうね?」
「ええ。ですから、時間さえかければ――です」
「させるとでも?」
「――――させるよっ」
『オォォォォォ……!』
「っ!」
ぶんっ。
黒いもやが、おじゃるさんの首元をかすめる。
さらにその背後――リリさん、えみさん、そしてるるさんと縦に並んでの突撃は、最初よりは集中力も余裕もなくなってきたおじゃるさんにとって、全力で回避しなきゃいけないもの。
さっき刺さって少なくない傷を負わせられた攻撃とあって、おじゃるさんが姉さんの次に警戒している切り札。
【おしい】
【ナイス】
【連携が完璧になってきた】
【元からるるちゃんたちはできていたんだ ただ――敵が弱ってきたから、普段のボス戦に近い動きができるように……】
「しかしメデューサよ……何故に執拗に首を狙ってくる」
「だって、この子が狙いたいって……」
『オォォォォ……!』
「ひぃっ!?」
るるさんが鎌さんを掲げると、ずざざっと後ろへジャンプして逃げるおじゃるさん。
……かっこいいのにね。
【草】
【草】
【るるちゃんはともかくるるちゃんが使役する呪いの鎌は普通に攻撃通るからな】
【しかもなぜか毎回首すじを狙うっていう】
【そら……鎌だからな】
【ひぇっ】
【ハルちゃんとの連携攻撃でも首狙って避けたところが肩だったしなぁ】
【やっぱこえーわ、るるちゃん】
【そこがかわいいのに……わかっていない】
【他の異性が目に入ったとたんにおめめをドロドロさせてヤンヤンしてくる子のかわいさを理解しないとか……】
【包丁を持って馬乗りになってきてくれるのって生命の危機を覚えて興奮するよね】
【そのままなだめながらちょっと刺されたりしつつも仲直りするのが最高に捗るんだ】
【わかる】
【ひぇっ……】
【お願いだからヤンデレはきちんと管理してもらって……】
【え? てことはハルちゃんもこいつらと同じ素質を?】
【草】
【まぁ、そうなるな】
【この状態のるるちゃんを飼い慣らす(猫かわいがりされる)ハルちゃんよ】
【ハルちゃんの場合は興奮とかしないけど怖がりもしないでめんどくさそうな顔するだけだから奇跡的に噛み合っているんだな るるちゃんのヤンヤンがまったく通用しないから結果的に打ち消しあうとかいう奇跡が起きているんだ】
【あー】
【あー】
【やはり「2人はるるハル」か……】
【始原は深く同意します】
【草】
【爺大丈夫かよ草】
「――――しっ」
ひゅんっ。
「やはり私の攻撃は、そもそも当たりませんか」
「……チホ」
「私も、貴女の敵です」
おじゃるさんがるるさんに気を取られている――その真後ろから切りつける九島さんのポニテをまとめるリボンが、舞う。
「戦う以上、全力を出してください。……けど、るるさんも。できれば魔王さんも、一撃での致命傷は避けてくださいね」
「だって。できる?」
『オォォォォ……!』
「だめ。言うこと聞いて」
『オォォォォ……』
「うん、がんばるって」
「……死なせはせぬ。少なくとも、決着がつくまではな」
【goddess】
【goddess】
【るるちゃんの言うこと聞けてえらい】
【えらいか? えらいか……】
【草】
【普通に意思があって草】
【こわいよー】
「ならば――――ぬっ!?」
たぁんっ――――――ぶしゅっ。
九島さんに向き直って気が乗らないながらも体を傾けたおじゃるさんへ撃った弾が、彼女の拳を貫通する。
「もちろん、貴女の善意に甘えようとして前に出てきたわけではありません。ね、ハルさん」
救護班っていう後方支援ながら前に出ている九島さん。
なんとなく……こういう風に九島自身を囮にするんじゃないかって思って構えていたからか、狙いがいつになく研ぎ澄まされていて。
だから、
「……コア、1個撃破」
【おお】
【おおおおおお】
【そういやハルちゃんにはモンスターのコアってのが見えるんだった】
【そうだったわ】
【強いやつにはそのコアってのがいくつもあるらしいけど、それを減らしていけば良いんだよな】
【懐かしくて泣いた】
【泣くのは勝ってからだぞ】
かしゃんっ。
……残弾がなくなった銃を、おじゃるさんたちを眺めながらしまい――3発しか込められていない銃と入れ替える。
――――持って、10発。
それ以降は弓矢か、石ころ。
僕にはもう、それくらいしか手段がないんだ。
「その調子です、ハルさん」
「はい。九島さんが出てる限りはいくらでもです」
「ぬ……」
たぶんそれは、九島さんも気づいてる。
けども遠く離れたところに居る僕を警戒し続けなきゃいけない状態を作り出すことで、少しでもみんなの戦いを有利に。
………………………………あと、少し。
あと少し、手数さえあれば。
「すたんばい?」
「すたんばい」
「れでぃ?」
「れでぃ」
こくこくこく。
僕の真横で僕を挟み込んでいる2人が、何かをつぶやくのを聞きながら――パーティーの後衛担当として、僕はスコープをのぞき込んだ。
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