【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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795話 苦労が多いらしいビビさん

「――年齢が低い。女である。これらは、それだけで大多数から低く見られるデバフ。ええ、私は良く良く覚えています……新たな地の人々から女王として認めようと、その他の地を治める――しかも前からの、正当な国家の政府からの扱いは『偶然に少しばかり活躍したために祭りあげられた小娘』。本当、ごく一部を除けば『女王』以前に、交渉の対等な相手として認められるまでにどれほど苦労したか」

 

「ふっ……弱き者ほど良く吠え――」

 

「………………………………」

「………………………………」

 

「……ちっ」

 

――ざっ。

 

ビビさんがしゃべっていたところへおじゃるさんが踏み込もうとすると、他のみんなが一斉に反応する。

 

アリスアレク姉弟が――構えた4本の刃で、おじゃるさんを押しとどめた。

 

「この地へ来たときよりダンジョンへ潜っていたせいで、情勢が安定した時点で私は成人扱い。おかげで他国からの婚姻の申し込みは――それはもう。なにしろ私は女王……私の元へ来れば一国の王に、私を落として嫁へ行かせたなら、相手は国ごとを手に入れられる。ええ……女であること、容姿に優れていることは、こと独立した小さな国の運営にとってはマイナスでしかありませんでした。滞在先の寝所へ殿方が来るたびに叩き出す気苦労……分かりますか?」

 

「さっさとどこぞの雄と番となり、子でも産んでいれば――」

 

「………………………………」

 

「……邪魔じゃの」

 

しゃべりながらビビさんの周囲に貯まっていく、水魔法の気配。

 

それを警戒するも、腕を上げようとした瞬間にリリさんとえみさんが動こうとして、またも踏みとどまるおじゃるさん。

 

「はぁ……リリは妹だからと、毎日気兼ねなくダンジョンを攻略して楽しそうでしたのに、私と来たら1年中ずっと城の中か訪問先という公の場。姉とは、かくも辛いものです」

 

「……お姉様? 私、一応お姉様の指示で他国のダンジョンを攻略したりもしていましたが?」

 

「私はその何倍もの時間を退屈な会議や意味のない接待や外交パフォーマンスへと赴きましたが?」

 

「ごめんなさい」

「許しませんが、許します」

 

なんだか微妙な姉妹事情。

 

聞いてるだけでビビさんの苦労がしのばれる。

あとで九島さんに愚痴、聞いてもらったら?

 

「――――――今ならばっ」

 

「………………………………」

『オォォォォ……!』

 

「……それ、投げるなよ? 次に投げたなら朕は貴様を本気で襲うからな?」

 

ビビさんが目を逸らした一瞬で1歩を踏み出すも、るるさんが鎌さんを構えたのを見て慌てて退がる。

 

「……じゃが、良いのか? そのような戯れ言ばかりしおって。時間は朕の味方だぞ?」

 

「ええ、存じております」

 

ビビさんが、にこりと。

 

たぶん外交とかでいつもやってるんだろう、リリさんとそっくりなお顔で、けれどもリリさんとは違う大人の雰囲気を醸し出す笑顔を傾ける。

 

「何を企んでおる」

「戦いの場で、敵へ言うとでも?」

 

「小癪な――――」

 

ちゃきんっ。

 

「……ちっ」

 

僕がわざと音を立てると、ちらりと僕を見て曲げた腕をこちらへ盾のように突き出す彼女。

ついでにばさりと、左右から黒い羽もちらりと威嚇している。

 

――たぶん、おじゃるさんがあれだけ警戒する程度には戦力は拮抗している。

 

いや、していなくても、

 

「やはり、私たち全員が必死で――命と引き換えに、一斉に襲撃することへの警戒はされていますよね? でなければ、私の言葉などに構う必要もありませんもの。ええ……この状態でも、双方の戦闘力を見れば魔王……貴女の方が、上。けれども、後のない貴女を倒せる可能性は――貴女自身が自覚しているのでしょう? 数は、力。それは世界征服のために無数の魔王軍を指揮する貴女だからこそ分かるのでしょう?」

 

「魔王」

 

しゅっしゅっ。

 

「面倒な……」

 

姉さんがファイティングポーズから拳をじゃぶじゃぶしている。

 

【草】

【アルちゃん様ステイ】

【なんでもかんでも様付けすればOKと思うなよ?】

【アルちゃん様、好戦的すぎるんだもん……】

【それはそれ】

 

【けど、「引き換」え……】

 

【そこまでの覚悟――だよな】

【ああ……】

【この戦い次第で、世界の運命が決まるんだもんな】

 

【それにしても、ブチ切れ芸女王様……普通にしゃべれたんだ……】

 

【あと、相当ストレスがお溜まりのご様子で……】

【普通に聞いててつらくなってきたわ】

【分かる】

 

【これ、私のことだ……(管理職女性】

【これ、俺のことだ……(部署で最年長になっただけの平社員】

【これ、私のことだ……(個人事業主ってだけで下に見られる】

【これ、我が国のことだ……(某小国外交担当】

 

【草】

【草】

【かわいそうに……】

【ビビちゃんへの好感度が急上昇中】

【相対的にリリちゃんは暴落を続けています】

【草】

【相対的にえみちゃん枠へ迫っていくリリちゃんの明日や、いかに】

 

【かよわいシリアスさんへ優しさを与えてください】

【まぁ俺たちの知ってるビビちゃんは、会議の場で小国を纏め上げて合衆国を糾弾する子だし……】

【ビビちゃん様は国家元首なので適切なコメントをお願いします】

【それが適切なのか……?】

【様付けは無敵なんだぞ!】

 

【そもそも女王様、支持のためにミンスタとかミックトックで普通にコントとかしてるから、コメント欄ではかなりフランクなやりとりとかしてるし】

 

【草】

【若いってすげぇよな】

【今どきの女王は自分からそういうのやるのか……】

【全部計算ずくでやってるとしてもかわいければ許しちゃう】

【それな】

 

【この場面だって、対抗するための何かを仕掛けてる  そう見えるからこそ、魔王も動けないんだもんな】

【やはり精神攻撃は基本】

【数で囲むのも基本だな】

【こういう、破裂する寸前の空気……嫌いじゃないよ】

 

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