【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
【悲報・リリちゃん、魔王のブレスを回避したのに起き上がれない】
【リリちゃん……】
【リリちゃんよりくノ一姉弟のほうがやばそう】
【草】
【言い方ぁ!】
【弟君の方が……その……ふふ……えっちな悲鳴を上げていましたのでね……】
【これは……ショタ……? それとも……?】
【草】
【草】
【どうやらショタコン判定的には女の子成分が多いそうだ】
【なるほど】
【心が女の子なら女の子になる 分かってるじゃないか姉御】
【言ってる場合?】
【だって、私たちには見てることしかできないもん】
【あっ】
【?】
【どうした】
【アルちゃんと魔王の殴り合いから離れたところ くしまさぁんが3人へ駆け寄ってる右側!】
【え?】
【あ、ちょ】
【るるちゃんが動いちゃってる】
【るるちゃんステイ】
【けど、なんで魔王に近づくわけでもなく、真横に?】
【まるで何かを待つために移動してるような】
【え、待って メインカメラ……ハルちゃんのカメラが】
ぎりぎりぎりぎりっ――――――
「はっ」
ひゅんっ。
「――――――なっ!? ハ、ハル!?」
「ふん。大砲や銃ならまだしも、弓矢などはたいした脅威では――――――なんじゃ!?」
結構を無理をしたけども――1度に10本つがえた矢。
それらが、「姉さんとおじゃるさんの居る場所」へと――「まっすぐに」地面を駆ける。
1本だけ見当違いの明後日へ飛んでいくけども、残りは全部地面と水平に。
結構な無茶をしたから、なけなしの……ちょっとばかり回復しただけの魔力も、注ぎ込んで。
だから――――僕を役立たずだと思い込んでいる魔王さんには、充分に届く。
「お、お前!? 自らの姉まで巻き込む――ぬぐっ!?」
おじゃるさんが、僕のことを戦力外とみなした。
だからこその、1度限りの奇襲。
だからこそ――射撃スキルだけを使った、限界の本数と威力。
束ねられたそれらは――思ったとおりに回避した姉さんをかすめ、おじゃるさんへ到達。
あわてて腕で払うも、うちの4本がおじゃるさんの前腕を貫通。
「もうコアがない場所だけど」
よろめくおじゃるさん。
少なくとも、ダメージは与えられたはずだ。
同時に――――――「僕の反対側から駆けている女の子」のことなんて、意識に昇らない程度には注意を引けている。
「……はは、いいよいいよハル! 魔王を倒すためなら私を屍にしてでも好きにやるんだ! さぁ! 私ごと魔王を貫くんだ!」
「や、そんなことしませんけど……」
着地した姉さんが、振り返って喜々とした顔で……目を輝かせてくるのに、僕はちょっと引いた。
必要でも、味方ごと撃ち抜く度胸は……よっぽどの場面じゃないと、発想もしないよ姉さん……。
【草】
【草】
【ハルちゃんがドン引きしてる】
【そらそうよ……】
【ウォーモンガーはアルちゃん様だったか】
【ハルちゃんは必要だから戦うタイプ、アルちゃん様は戦いたいから戦うタイプだからね】
【なるほど】
【あー】
【この戦いで1番喜んでるの、アルちゃん様だろうしなぁ】
【だけど一瞬すぎて意識が追いつかなかったわ】
【それな】
【いきなり立ち上がったかと思ったら……何本だ?の矢をぶっ放したんだもんなぁ】
【さすハル】
【これはさすハルだわ】
【射撃の女神 やっぱ普通に弓矢でもつええわ】
【まぁ盛大にすっ飛んでった矢もあったけど、そこは愛嬌ってことで】
【こういうとこでかわいいアピしてくるハルちゃん】
【さすがは魔王すら堕とす悪女】
【魔力はないはずだからこそ静かにしてたわけだし これ、マジで射撃スキルとか……どのくらいなんだろうねぇ……】
【カンストしてそう】
【まぁ女神様だし】
【なんなら人間より上限とか高そうだし】
【「羽が生えてない人間モード」でも、スキルだけは神の領域……か】
「……おじゃるさん」
「何か」
1本だけ刺さったままだった矢じりを引っこ抜いたおじゃるさんが――やっぱり高いレベルだしドラゴンさんだ、抜いたそばから傷が塞がっていく。
そんな彼女へ傷をつけた、僕。
今の彼女の警戒は――完全に、僕へ移っている。
だから。
「僕、10本をまとめて撃ったんです」
「それが、何か」
短い返答。
「僕が何かを仕掛けてくる」――そう思っているために、腰を落として。
「僕と、僕の隣に移動してきた姉さん」の「両方」「だけ」を、見ている。
「だけど、おじゃるさんに直接飛んでったのは……9本なんです」
「……それは、何――――――」
僕は、おじゃるさんに焦点を合わせたままで視界の隅っこ、もっと遠くを見る。
そこを駆けてきた、女の子。
るるさん。
僕と別れてるあいだ、えみさんたちに無理を言ってダンジョンに潜って――すごく強くなっていた子。
えみさんと同じく、クセのない剣を扱う前衛職。
えみさんいわく、どんな場面でも対応できるからの選択。
それでいて、女性はその傾向が多いらしい――身軽な軽装備にして回避を優先する戦闘スタイル。
その動き方は、やろうと思えばアリスアレク姉弟みたいにすばやくしなやかに。
まるで猫のように忍び寄ることができて。
そんな彼女が、限界まで近づいてから――