【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「……えみちゃん」
「ええ……これは」
えみさんが、不思議そうな顔をして立ち上がる。
「……魔王……おじゃるさん。貴女は……」
九島さんが座ったまま、声を上げている。
「……まさか、魔王からの傷が魔王から癒やされるだなんてな」
「あたたかい……これが、あの人の気持ち……」
アリスさんとアレクくんが、手を取り合いながら立ち上がる。
「……リリ」
「ええ。私たち人間の魔力量程度……あっという間なのですね」
リリさんとビビさんの銀髪が、輝いている。
【えみちゃんの火傷もリリちゃんのケガも、姉弟のそれも……】
【不思議な顔と笑顔が、戦場だった場所に】
【魔力って、あげられるんだな】
【それに、だ 気持ちが伝わるらしいぞ】
【おじゃる……】
【あ、くしまさぁんが】
【なかないで】
【いいだろ、こういうときくらい】
『……オォォォォ……!』
「――――――っ! 生きて、たんだ……生きて、た……!」
『オォォォォ……♥』
るるさんが――胸元に抱えた鎌さんへ、頬ずりをしている。
ぶるぶると震えている鎌さんも、嬉しそうな声を上げている。
【ぶわっ】
【るるちゃん……】
【生きてたか!】
【よかった】
【るるちゃんとがんばってた……ただの怖い武器だったはずの、呪いの鎌の復活で泣くだなんて】
【良いじゃないか ハルちゃんの配信じゃ無機物へ愛着を湧くのなんて、いつものことだろう?】
「――――――んぅっ」
ぼふっ。
僕の中で眠っていた、たくさんの存在があふれ出る感覚。
それに思わずで声が漏れる。
この体は……幼い女の子の体は、感覚に敏感で声が出やすいんだ。
「えっち」
「えっち」
「「ふぅ……」」
「?」
僕の両隣で2人が何かをつぶやいていたけども、表現できない解放感に包まれていた僕は聞き取れなかった。
【草】
【草】
【ノーネームちゃん……お前……】
【悲報・ノームちゃんもネットに毒されてる】
【今さらでは?】
【誰だ! ピュアなロリっ子へ悪いこと教えたの! 俺たちか! そうだったな!!】
【草】
【それはそう】
【あの子たち、書き込みを監視して適切なないないしてきたからね……】
【適切……?】
【全部のコメントを見てきたんだ、そりゃあ侵食されるよなぁ】
【ハルちゃんに対する反応はわりと最初かららららららららら】
【えっ】
【ノーネームちゃん!!! ノームちゃん!!!】
【草】
【まともな指摘までないないするのはやめようね……?】
【けど……】
【うん……】
【目の錯覚であってほしかったけど、どうやら違うようだな……】
【みたいねぇ……】
「?」
なんだか僕の背中が騒がしい。
僕は体を捻って、羽を前に突き出す。
「………………………………」
わさわさわさわさ。
千本より多い羽の1枚1枚が、僕に見られて喜んでいる。
……なんだか僕の頭の上が騒がしい。
僕は腕を上げて、むんずとひんやりした輪っかを掴む。
「………………………………」
きゅるきゅるきゅるきゅる。
輪っかは――こっちもやっぱり千以上の数の、小さな回転する輪で構成されている。
そしてやっぱり、1つ1つが喜んでいる。
「お母さん、ただいま」って。
「………………………………」
……嬉しいけど、なんか嫌。
見回すと姉さんのでもこうはなっていないし……落ち着いてから聞いてみよっと。
もしかしたら、ほら。
一応僕の体って、今は女神様のだし。
……どこぞの神話みたいに、自分の体からぽろぽろと新しい命が生まれる生態なのかもしれないしさ。
【速報・ハルちゃんたち、魔王から魔力供給を受ける】
【朗報・ハルちゃんが元気】
【悲報・ハルちゃんの羽と輪っか、拡大してみるとろろろろろろろろ】
【草】
【集合体恐怖注意】
【もう遅いよぉ……(全身鳥肌&過呼吸でリストバンドから転移するか聞かれてる】
【草】
【草】
【かわいそう】
【拡大しなければ大丈夫だから……】
【羽がわっさわっさ動いてるのはまだしも、輪っかはねぇ……】
【あれ、一体何個の集合体ろろろろろろろろ】
【草】
「――――のう。時空魔法を得意とする女神たちよ……いや、違うか」
「なに」
「んぅ」
おじゃるさんが、僕の左右を順番に眺める。
「……貴様らの。いや……これも違う。……お前たち」
何度も困り困り、けれども言葉を探すおじゃるさん。
「……お前たちの、名前。朕は……知らぬままじゃ。知ろうと、せなんだのだ。今の、今まで」
ちらりとノーネームさんの顔を盗み見る。
「「………………………………」」
黒い前髪に隠れる紅い瞳が……大きく、見開かれている。
想像もしていなかった言葉に、2人がびっくりしていた。
【ぶわっ】
【魔王……】
【そうか 呼ばれてたの、ハルちゃんアルちゃんにくしまさぁんだけだったんだよな】
【女神たちに紛れて、しれっと呼ばれてるくしまさぁん】
【だって女神だもん】
【名誉女神、それとも現人女神】
【別にいいじゃないか 人間が神様になったって】
【うちの文化圏じゃ、とりあえずすごければ誰でも神様になれるんだぞ】
【だけど、それ以外のみんなは……】
【名前を、尋ねる……か】
【当たり前だろ だって、「友達」なんだから】