【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
【速報・くしまさぁん(ちほちゃん)、全世界の真ん前で女神様と同列に名前を呼ばれる】
【ここにくしまさぁんが正式に人類の代表者に】
【すげぇ……】
【さすくし】
【だからそれ、すっごく言いにくくない……?】
【草】
【実質的に女神様扱いで草】
【やはりgoddessだったか……】
【始原もそう思います】
【草】
【草】
【お前らはそれで良いのかよ草】
【だって始原に入れたら実質的に始原が認められたことになるし】
【名簿にはもう入ってるから実質的に始原ってことで】
【OK】
【まぁ何回か会議に呼んでるし、既成事実もね?】
【は?】
【????】
【なに言ってるんだこいつら】
【さぁ?】
【草】
【こんなところで自我を出してくるとか草】
ゆっくりと近づいてきた魔王さん――――――おじゃるさんが、僕たちの前で止まる。
「お前たちの軍勢と」
――――――すっ。
おじゃるさんの手が……差し出される。
「同盟を、望む。対等な同盟を。――解消されることのない、同盟を」
【同盟……】
【ああ……】
【とうとうに、ここまで】
【本当に、本当に少し前まではこっちを見下して滅ぼそうとしてきた相手が】
【真っ正面から……か】
【前が見えない】
【奇遇だな……俺もだ】
【おじゃる……綺麗だ】
【滅ぼそうとしてきたはずの敵が、その王様が……自分から……】
【「解消されることのない同盟」……ってことは】
【本当に止めるんだな 侵略を】
【世界中が見ているこの場で言ったんだ 本気で言ってるんだよ】
【ああ……】
【少なくともおじゃる配下のモンスターたちは……これからは味方か】
【味方だし、友達だよ いろいろ思うところはあっても】
【数千年の戦争が……少数派同士でも終結するのか……】
「……お前たちの上の世代を滅ぼし、お前たちを隠れさせ続け――人間たちを滅ぼそうとしてきた朕が、今さらとも――――――」
「思わないよ」「思いません」
「「…………………………」」
ぴたり。
姉さんと僕の声が、寸分もずれずに重なる。
思わずで顔を見合わせる僕たち。
姉さんも――たぶん僕も、ちょっとだけ口元が上がっている。
顔を戻すと、びっくりして見開かれている、おじゃるさんの瞳が僕たちを見つける。
「君は、反省した。私は、受け入れた」
「おじゃるさんは、立ち止まったんです」
「ないない」
「そこそこ」
「……全員じゃないですけど、ノーネームさんたちが……救出してくれています。お家とか故郷とかを無くした人も大勢居ます。でも」
「禍根もあるし、君たちを心底憎んでいる人たちも居る。命尽きるまで忘れられない人たちもたくさん居るだろう。でもね」
姉さんが、僕と交互に――僕たちの言いたいことを繋ぐ。
「……話をしたい。そう、言ってくる相手を無下にするなんてことはしない」
「やり直せないことも多いけど、やり直せることもありますよ」
「まずは、話し合おう」
「僕たちも、協力します」
「千年単位で戦い続けたんだ」
「なら、ひとまず百年単位で話し合いましょう」
【ハルちゃん……】
【アルちゃん……】
【一貫して「許し」を与えるハルちゃん】
【拳を使っても使わなくても対話を大切にするアルちゃん】
【それに やっぱり姉妹なんだなって】
【顔も声もおんなじ】
【性格も戦闘スタイルも、ちょっとだけ違うけど】
【でも】
【考え方は、まるで同一人物みたいに同じなんだね】
【やっぱり女神様なんだな……ハルちゃん】
【時間スケールも……そう思うと、ちょっと寂しいけど】
【そんなハルちゃんたちが、こう言ってるんだ】
【きっと、みんなもいつかは分かってくれるよ】
【今は無理でも、いつかは】
【人類も有史以前から戦争し続けてきた それでも……まぁ、なんとなくはやってるよ】
【忘れられたり忘れられなかったり、許したり許さなかったりしても】
【心情的には抱えるものがたくさんあっても】
【「今」の利害だけでも 手は、取り合えるんだ】
【そうだよな】
【「今」……それに、「これから」は】
【時間が解決してくれる きっと、そのはず】
【なぁに、宇宙は千年単位の時間感覚らしいんだ 気長に話し合えばいい】
【だから】
たぶん、僕へ差し出されているだろう、おじゃるさんの袖から覗いている――おじゃるさんの大人なおてて。
僕は――――――それを、取って。
「うん」
その反対側から、アル姉さんの手が重ねられる。
「ん」
「ん」
そっと。
左右から、僕と同じ小さな手が重ねられる。
4人分の、握手。
それは、とってもあったかくって。
「……そうか。……そう、か……」
手のひら越しの、優しい抱擁。
僕たちは、初めて握手をしたんだ。
【ぶわっ】
【なかないで】
【おじゃるが】
【通り雨でも来てるんじゃないか?】
【そうだな きっと、そうだ】
「神族・人類――私たちの勢力は、今から魔王軍――その正当な指揮権を有すると認める、魔王おじゃるの仲間と……同盟関係に入る。これは、私の独断での決定だ」
姉さんが、カメラさんに語りかける。
「……異論がある人の方が多数派だとは思う。だけど――――――」
――――――ぴこん。
【配信アンケート】
【賛成 or 反対】
【選択してください】
「……ノーム」
「じっそう」
「ふんす」
「こんなことも」
「あろうかと」
【ノームちゃん……】
【ノーネームちゃん、粋なことするじゃないか】
【「こんなこともあろうかと」――なんてかっこいいんだ】
【かっこかわいい】
【でも、これでみんなが反対なら……】
【みんな、押すんだ】
【自分の意思を】
【「配信アンケート」で、伝えるんだ】
【だってここは「ダンジョン攻略配信」――その最中なんだから】
【「視聴者の反応」こそ、醍醐味だろ?】