【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「……! そ、空が……」
「……怖い、です……」
急に空間が開く感覚と同時に、九島さんに……ビビさんの声。
それに顔を上げると――――――
「「………………………………」」
……僕たちは、びっくりすると考えることすら止まるらしい。
だから――姉さんが口を開けるまで、誰も考えていなかったんだ。
「人間たちと協力して、魔王軍本拠地については調べていた。知ってもいた。けど……このサイズは」
星。
惑星。
そう表現するには、あんまりにも禍々しい見た目。
ちょっと前に見た、おじゃるさんの本体――そんなもんじゃない。
もっと近い表現には――そう。
単純な圧倒感のある、木星。
大きなおめめがぎょろりとしていて吸い込まれそうな、本能的な恐怖をかき立てる……そんな、星。
そういう、見てるだけでぞくぞくっとするような星が――僕たちの真上から僕たちを見下ろしている。
何十もの「衛星」ひとつひとつが、たぶん、地球よりも大きい。
母星も衛星も、場所によってすさまじい雷や台風、火山の噴火に満ちあふれている。
通常の生物が活動できない世界。
「魔界」。
その――――最高峰の、最も濃い場所。
感じる。
濃密な魔力を。
お腹の底が、きゅってなるくらいの存在感を。
「……ハルが分かるように言うと」
少しだけかすれている姉さんの、声。
「太陽系の木星――ぎりぎり恒星にならなくて、けども安定していて。その構成する要素に大量の魔力が中心部から吹き出していて――私たちの知る宇宙でも数えるだけの、まさに強大な魔族が発生可能な、惑星。本来ならとっくに恒星になるはずの重量が、多すぎる魔力で支えられて……これ、ひとつが銀河そのもの。それが、おじゃるの母なる星なんだ。高重力、高魔力で……だから、魔族を統べる種族が産み出されるのに適した、星」
【 】
【ヒュッ……】
【なんかもう、スケールが】
【当たり前だろ? 宇宙の覇者の母星だぞ】
【神様たちまで――ほとんど滅ぼしたほどの勢力、その本拠地だもんなぁ】
「……敵に回ると、そうか。……朕の居する星は……怖い、な」
ぶるり。
おじゃるさんのまとう炎が、揺れる。
「――の、10万倍くらいかな。魔力が濃すぎて、あれでも相当に安定している。たぶん、この宇宙の最後まで……この星だけは残るだろうね。あれに生息可能な魔族は産まれながらに巨大で強力……魔の覇者、ドラゴンの母星としては理想的すぎる世界。逆に、おじゃる。君たち以外は、住めない」
「……うむ。この星で生まれた者は、他の、どの星出身の者よりも……強い。その認識が、当たり前じゃった」
「だからこそ、君が魔の王としての資格があった。そういうことだろうね」
【まじかぁ】
【スケールよ】
【生まれながらの王様か……】
「……私の故郷は、これと比べてしまいますと……」
「生まれは、関係ない。朕は、そう思いたい……が」
九島さんの声にも揺れる、おじゃるさん。
聞く感じ、くっころさんの産まれたところはここまでおっきいところじゃないらしい。
呆然と――そう、僕たちと同じように、怯えを含んだ目で、ただただ見上げている。
【救護班より 絶望するのは……まだ、早いです 私たちの「最推し」の「ハルちゃん」が諦めるまで、リストバンドを起動させないよう――心を、強く】
【そうだな】
【ああ】
【ハルちゃんが絶望するまでは、諦めちゃダメなんだ】
【ハルちゃん、目を輝かせて見上げてるんだぞ】
【ハルちゃん、こういうのも好きそうだもんね】
【なら……お、リストバンドの警告が消えた】
【おお】
【この星が、最終的には地球も滅ぼそうとしていた けれど――その主であるおじゃるが、今はもう味方なんだぞ】
【ハルちゃんの、おともだちなんだぞ】
【ぶわっ】
【そうだな】
【友達の、家なんだ ただ、悪いやつらに奪われてるだけの】
【そう、思えば……きっと】
【見る限り、くっころの母星はここまでじゃないか】
【むしろ安心したわ】
【くっころはドラゴン形態でも認識可能な範囲のサイズだったもんね】
【宇宙に数えるほどのサイズって言ってたし……おじゃるはマジで理想的な環境で生まれた種族の王様なんだな】
【そんな王様も、ハルちゃんと触れて仲間になったんだ だから絶対、大丈夫】
【そうだよね】
【うん】
【話ができる相手なんだ】
【信じてる】
【ハルちゃんで無理なら、どうあがいても無理なんだ この戦いは、熱心に流れを追う「一視聴者」として楽しむ それしか、ないだろ?】