【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「――――――っ」
くしくし。
長い長い袖でお顔を隠して――けれども動きは隠せていないおじゃるさんが、少しだけ静かになる。
『魔王様』
僕たちの上で――おじゃるさんを悪用しようとしていた人たちを撃退した、傷だらけのドラゴンさんが、語る。
『我らはずっと、お待ち申し上げておりました』
『幼き魔王様が……いつしか御自らの翼で、飛び立つ日を』
『我らが王なら、いつしか必ずや目覚めると』
『それだけを――お伝えしたく』
『GA!』
『GA♪』
『未だ確固たる自我を持たぬ、この幼体の子らも……きっと』
【ぶわっ】
【ドラゴンたち……】
【城の中にも、待っていたドラゴンたちが】
【「待っていた『人』」だぞ】
【ハルちゃんなら、そう言うはずだ】
【そう、だな】
【対おじゃる&対くっころ戦のとき、宇宙空間でお酒を飲み交わして仲間になったあのドラゴンたち……子供だったのか……】
【子供であのサイズか】
【正直わからん】
【スケールが違うと誤差よね】
【そんな子供たちも、ハルちゃんに……そしておじゃるに付き従うんだね】
【だって、友達だもんな】
【ハルちゃんとも……おじゃるとも、な】
【くっころ】
【草】
【草】
【誰か早くGジェットで仕留めてくれ】
【まだ待つんだ……戦いが終わってからでいい……】
【ボロ雑巾になるまで使い古してから捨てるんだぞハルちゃん!】
【使い古してからスプレーだ!】
【ひでぇ】
【草】
【シリアスや絶望で泣くのは、もうさんざんやったんだ ここからはコミカルな展開にしないとな!】
「おじゃるさん」
ひと呼吸。
おじゃるさんの汗とかいろいろが収まってきたところで、僕は、彼女を見る。
「みんな、待ってますよ」
「――――――そうか。そう、だな」
目元の赤いおじゃるさんが、顔を上げる。
「良し」
その声は、これまで聞いた彼女の、どの声よりも力強い。
背中は、ちゃんと押してあげられたみたいだ。
「朕の意に逆らおうとする者共へ、告ぐ」
ぼわんとした声が、重なる。
「朕は、もはや違えぬ」
ばさり。
はだけた着物を纏ったぼんきゅっぼんなお姉さんにしか見えない彼女のはだけた背中、その肩甲骨から伸びた羽が――翼が、大きく伸びて。
「朕は、心を同じくする仲間――神族、魔族、そして人間と共に、新たな未来を求める。それに従わぬ者共は」
ぶわり。
熱いはずなのに熱くない、巨大な炎が上がる。
「粛清し、巣穴に叩き込む。覚悟は――――――良いであろうな?」
少し上がっている、おじゃるさんの口。
それは――威厳と自信のある、本物の女王様のものだった。
『GAA――――――!!』
『GA――――――!!』
宙を、ドラゴンさんの群れが飛んでいき――衝突する。
どぉんっ。
ブレスが、爆ぜる。
攻撃魔法が、飛び交う。
【数がやべぇ】
【これが本場の戦いか】
【現状、全世界で最も戦力が集まっている場所だからな……】
「――ハル」
視線を落とすと、真ん前に来ていたおじゃるさん。
「朕も、行って来よう」
「……はい」
「………………………………」
「?」
じーっ。
かなり上から見つめてくる彼女。
「……な、なぁ……ハル」
「はい?」
おじゃるさんは――炎の美人さんは、少しだけもじもじとして、
「……出立前に……抱きしめては、くれぬか。胸が……こそばゆくて敵わぬのじゃ。ここを、ぎゅっとしてもらえたなら……疼きが収まりそうな気がしてな」
顔を赤くして、目をちらりと合わせては、さっと逸らしている彼女。
【 】
【ぐはっ】
【これが……乙女力か】
【一気にヒロインを駆け上がっていく魔王】
【だって魔王だぞ? ポテンシャルも魔王級だ】
【そうかな……そうかも……】
「むっ……」
「すてい」
【草】
【ノームちゃんナイス】
【ノーネームちゃんがじたばたしている】
【かわいいいいいいいいいい】
【かわいいいいいいいいいいいいいいいい】
【こういうとこ見ると、やっぱ年齢的にはノームちゃん>>ノーネームちゃんなんだな 時間スケールはさっぱりだけど】
【あー】
【見た目はおんなじでも精神面の幼さがね】
【アルちゃん>>ハルちゃんなのも納得行くしな】
【じゃあやっぱりノーネームちゃんは本物の幼じょょょょょょょょょょ】
【ノーネームちゃん……】
【まぁ今のはしゃあない】
【元気でよろしい】
【草】
「んっ」
目を逸らし、顔を赤くして僕へ両腕を突き出す、おじゃるさん。
こんな姿は、どう見ても……るるさんと同じ、甘えんぼな女の子でしかない。
「……はい」
ぎゅっ。
燃えるようにあったかい彼女の体へ――身長差的に、つま先で立ったって、どうしたって彼女のばいんばいんなお胸に顔をうずめる形にはなるけども。
僕は、力の限りに彼女を抱きしめる。
ちょっとだけ震えていた――けども、抱きしめた瞬間にほどけた、柔らかい体を。
ここで戦ってから知った、彼女の匂いを……着物の布地の匂いごと、吸い込んだ。
ハルちゃんの小説、1巻と2巻が発売中……&3巻が予約開始です!
TS女神ハルちゃん、女装ユニコーンユズくん、女装令嬢ジュリオンくん、の3作品を同時投稿中です。
ついでにイラストや動画も週にいくつか上げています。
ぜひ見てください。