【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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811話 くっころさんが動かなくなった

「……助かった。朕は……少し、弱くなってしまったようだ」

 

ぽつり。

 

静かな声。

 

「以前なら、不利な地へ赴くことになろうとも……本体でなかったのもあるが、こんなに情けなくなることなど、なかったのにな」

「ぷは。……違いますよ」

 

しばらくおじゃるさんを抱きしめていた僕は――体格的にはどう見てもどう感じても僕が抱きしめられていたんだけども――そろそろ息がまずくなってきたタイミングで降ってきた声を、離れながら否定する。

 

「守るものができたから……優しくなったから、そうなったんです。僕も――」

 

おじゃるさんから離れて、ぐるりと見渡す。

 

「……僕1人じゃなくなってから、負けて失うのが……怖くなりましたから。それでたぶん、1人だったときよりきっと、がんばれた。強くなった。だから……おんなじなんです。おじゃるさんも、僕も」

 

るるさん。

えみさん。

九島さん。

 

――小さなリリさん、ビビさん、アリスさん、アレクくんにキャシーさん。

 

みんなが、居たから。

 

だから僕は、たったひとりぼっちで好き勝手してたときよりも……いや。

 

きっと、その前から。

ダンジョンに潜ってるとき、救助要請を知って……急いで駆けつけた、あの生活も……きっと、僕を強くしてくれていたんだ。

 

だから僕は、かつての守るものなんてない本の虫だった「中学生の時」から――――――

 

「………………………………」

 

「僕としての最期」に守れた、小さなるるさんのときから……きっと。

 

【ぶわっ】

【ハルちゃん……】

【ハルちゃん、最初っからるるちゃんのために身を挺したりしてたけど……】

【普段はそう見せなくても、実は少しずつ……】

【ああ……】

 

【子供の成長は……早いな】

 

【そうだな】

【ちょっと目を離すと、すぐに大きくなっちゃうんだよ】

【それが嬉しくて、寂しくて】

【でも】

【それが……いいんだ】

 

「……そうか。ハルと朕が、同じ……か」

「はい」

 

「ハルも、この気持ちになるのか。神族ですら」

「はい」

 

すっきりした顔になった魔王さんが、すっと離れていく。

 

「――ならば、戻って来よう。負けようとも、必ず」

「はい」

 

――――――ばさっ。

 

背中の羽で力強く飛んだ彼女は、どんどんと遠ざかっていき。

 

『――――――UOOOOOOOO!』

 

ぴかっと光って――前に見たような、大きな大きなドラゴンさんに戻った。

 

……大きすぎて、しばらく経ってから長い尻尾しか見えていなかったって気づくほどのサイズ感。

さすがは魔王さんだね。

 

【おお……】

【美しい……】

【かっこいい】

【さすがに全回復ではないものの、さすがのサイズ感】

【これは魔王】

【優しい魔王様だよ】

 

「……では、姫。私も行って参ります」

 

おじゃるさんと比べるとずいぶんと小さい――けれども、僕の前に立ってお胸をぷるんとさせている、くっころさん。

 

「はい。じゃあ――」

 

「ええ、覇王には届かずとも私の戦い――――――にゃあっ!?」

 

ぎゅうっ。

 

今度は背丈の差が少ない分、ふたつの膨らみを僕自身の肩や胸で受け止めながら――くっころさんを、抱きしめる。

 

「!?!?!?!? うしゅぴぃ!?」

 

【あっ】

【草】

【待て、見たことない反応だぞ】

【G、どうした? ゴミでも食ったか?】

【腹の中からお前から聞こえちゃいけないかわいい鳴き声がしたぞ】

【草】

【ひでぇ】

 

「あみ゜ゃあぁ!? ひりゃみぃぃ!?」

 

【草】

【草】

【なんだその声】

【なんだその発音】

【草】

 

【かわいくて草】

【これはかわいい】

【なぁにこれぇ……】

【急にどうした、G】

 

【変なものでも……床に落ちてたハルちゃんの髪の毛や皮脂でも食べてたか?】

 

【うわっ……】

【うわぁ……】

 

【え?】

 

【すぐにそんな発想ができるとか……】

【えんがちょ】

【しっしっ】

【草】

【あいかわらずやべーやつがポップする配信だな】

【だって数が数だし】

【同接何十億なら1人くらいG並みのやつも居るよな】

 

【てかマジでくっころが壊れてるんだが】

 

【かわいいけどどうしたんだろう】

【無害ではありそうだが……】

【シリアスちゃん「このままで居てください」】

【草】

【シリアスちゃんのためになるなら、まぁ……?】

 

【もしかして:ただ「行ってきます」って言おうとしただけ】

 

【あー】

【あー】

 

【でもハルちゃんは「おじゃると同じように、ぎゅっとしてもらいたいんだ」って思ったと  おじゃるのすぐ後に来ておんなじ動きしてたから】

 

【あー】

【なるほど】

 

【で、普段はハルちゃんに叩きのめされてるからこんなこと想像もしてなかったくっころの脳みそが沸騰してると】

 

【今までは接触する前にビンタだったからな】

【まともに受け入れられたことが……緊急時以外はなかったもんなぁ】

【なるほど】

 

【そうか……変態には純情が特効薬だったか】

【お口ぱくぱくしてるし、手が空中を乱舞してるし】

【ハルちゃんのピュアさにやられたか】

【ことごとくに拒否られてた相手から唐突にハグされたらなぁ】

 

【求めていたときには敵わなかった、ハルちゃんの抱擁  それが、求めなくなったとたんに来たんだもんな】

【正直この光景は美しいと思います】

【それな】

 

「……ふぅ。これくらいで――」

 

「きゅう」

「え?」

 

抱きしめてたらスライムみたいに広がった彼女のお胸に口元まで覆われてた僕は、少し顔を離してみた。

 

……けども、くっころさんは――るるさんやえみさんやリリさんがよくなってるみたいに、くたりと脱力して真っ赤な顔をしている。

 

「?」

 

なんだかすごく重いけど……どうしたんだろ?

 

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