【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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6章 500Fダンジョン攻略RTA
82話 『500階層RTA配信:低層』1


「くぁぁ……」

 

眠い……あくびが止まらないなぁ……。

 

【いきなりのハルちゃん】

【あくび助かる】

【涙ぺろぺろ】

【加工ありだとしてもこの涙は本物】

【いい……】

 

【お前らもうちょっとは緊張しろよ】

【いや無理だろ、初手あくびだぞ】

【この緊張感のなさ……さすがはハルちゃんだ……!】

 

たくさんの人たちがいる中、僕たちはちょっとだけ離されて白いシートで覆われた医療班さんたちのとこで安らいでる。

 

「ハルちゃん、さすがに寝ちゃダメだよ……?」

 

「なんか今日ってあったかいじゃないですかぁ」

「昨日、ちゃんと寝てたよね……?」

 

「はい、気持ちよく……ふぁぁ」

 

「……結局、昨日も10時間以上……小さいからかなぁ……?」

 

周りが適度にうるさいと眠くなるよね。

学校はお昼寝に最適な場所だったんだ。

 

【すげぇ……ハルちゃんたち、天幕の中にいる……!】

 

【いや、救護班の臨時テントだからな?】

【それでもVIP待遇とかそういうレベルじゃないハルちゃん】

【その中で堂々とあくびしてるハルちゃん】

 

【この幼女、肝が据わりすぎている】

【多分なんにも考えてないだけだと思うよ】

【そうかも……】

【草】

 

「ハルさん。ダンジョン攻略まで、あと10分です」

「分かりましたぁ、くしまさぁん……」

 

「……ハルさん……」

 

「良いんじゃない? ハルちゃんだもん」

「……そうですね。そもそも中盤までは出番もありませんし」

 

【かわいい】

【るるちゃんからも「ハルちゃんだもん」って】

【さりげなく「どうしようもないから」って言ってない?】

【言ってるね】

【草】

【よ、幼女だから……】

【ああうん、るるちゃんでもそう思うのね……】

 

【けど、くしまさぁん is 誰】

 

【ほら、配信にちょこちょこ映ってた、ハルちゃん専属の救護班の子じゃね】

【ああ、あのポニテの】

【あ、カメラにポニテの子映った!】

【えみちゃんもきた】

 

るるさんがしつこいから無理矢理に体を起こす。

ああ……ベッドがあったかかったのに。

 

「しかしどうしたんですか? この3日ほどは出歩かずに休養を摂りましたよね?」

 

「えみさぁん、そのはずなんですけどぉ今日はやけに眠くってぇ……んー、ねみゅい……」

 

「ぐっ……!!」

 

「えみちゃん、がんばらないと……!」

「えみさん、抑えてください」

 

【えみちゃんが母性を刺激されてうずくまってる】

【気持ちは分かる】

【いや、あの表情は……気のせいだろう】

【思わせぶりなの止めてくれない?】

 

なーんか眠気が取れないんだよねー。

なんでだろ。

 

あ、きっとあれだ、ダンジョンに合計で2週間も潜ってないから体がなまってるんだ。

 

しかも今日から何日か、僕は歩くだけにして魔力と体力を温存するらしいし。

正直僕ひとりの方が楽だし早いんだけども……さすがに……ねぇ?

 

ダンジョン協会の会長なおじいちゃんからガチ泣きされたらね……「もしもハルちゃんに何かあったら暴動が起きるのじゃ」とか言ってたし。

 

「何かありそうになったらそのへんのくぼみでバカンスしてる」って言っても信じてくれないし。

 

いいじゃん、石とかキノコとか取り放題だよ?

1ヶ月くらいなら平気で引きこもれるよ?

 

【配信画面、ハルちゃんのだけじゃないんだな】

【ああ、この攻略に参加する奴のは自動的に配信されてる】

【ノーネームちゃん準備が良いね】

【普通ならダンジョン攻略時の配信は義務だから普通じゃない?】

 

【補助要員の人とか護衛の軍人さんとか救護班さんとかまでなんだよ】

【えっ】

【救護班とか一般人に近い人のも勝手にアカウント作られて配信されてるのが大問題なんだよなぁ……こわい】

 

【ノーネームちゃん、怖っ……】

【い、一応みんな、個人情報はオンオフできるみたいだから……】

【オフにした人の顔とか装備とか持ってる物とか、ぼかされたり別人になってるもんな……】

 

【それに、常時はムリだけど一時的に配信そのものをミュートできるのは普通の配信と同じらしい】

 

【じゃないといろいろ困るもんな】

【すげぇ技術力】

 

【俺はむしろミュートできない方が嬉しかったけどな、だってあの子とかあの子とかかわいいし、その子たちのトイレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレ】

 

【だからノーネームちゃんいるときにそういうのやめーや】

 

【なんでそんなことできるのに、ハルちゃんをダンジョンに放り込んで観察するくらいしかしないんだ……?】

【それはしょうがない、ノーネームちゃんだもん】

【それもそうだな】

 

 

【肯定】

 

 

【草】

【ノーネームちゃん! ノーネームちゃんじゃないか!】

【今日もノーネームちゃんが元気そうでなにより】

 

【ご機嫌なら変なとこにはならない……信じるよ? ノーネームちゃん……】

 

今日からの僕の服装は、最近の――るるさんとかえみさんに着せられてた女の子女の子しいなふりふりじゃなくって、その前から着てたやつ。

 

靴は静音性と瞬発力に歩き続けても疲労が蓄積しない「アサシンシューズ65」、すねから膝まではうっかり転んでもすねを打って悶絶したりしないし、いざとなったらスライディングしてもすりむかない「チーターのすね当て32」。

 

ふとももにはもしものときのためのいろんなアイテムをくくりつけるための「ガンマンホルスター45」に腰には同じシリーズのベルト、それにくくりつけたきちゃない袋。

 

スカートなのがちょっともやっとするけども、手に入れた中で最高ランクなワンピース的な「天使の羽衣78」に不思議な力で何かにぶつかっても痛くならない外套――マントな「始祖の羽衣91」。

 

腕も、ライフルとか弓を持つ手のひらとかスリングショット固定する腕のとことかが、1日中乱射し続けても痛くならない「狩人の籠手65」、あと頭の上をふわふわ浮かぶように改造してもらった「王女の瞳38」……配信用機材のやつ。

 

ダンジョンでドロップしたいい感じのを適当に装備してたんだけど、この前会長さんのとこで鑑定してもらったらそういう名前だったらしい。

 

なんかいいよね、装備に特殊な名前ついてるのって。

 

「ハルちゃん、初めて会ったときみたいな格好だねぇ……あ、あのときは頭の上のだけちょっと違った?」

 

「あ、はい。前のだと頭が重かったので」

 

【るるちゃんがのぞき込んできてる!!】

【これがガチ恋距離か……】

 

【ハルちゃんのは?】

【諦めろ、ハルちゃんの髪の毛に固定されているんだ】

【金髪に……ひらめいた】

【お前はそれでどうしようっていうんだ……?】

 

カメラが埋め込まれてる、菱形のパーツがいくつか円形にくっついてる配信用機材。

 

中のカメラとかは全部最新のやつと入れ替えてもらってるけども……確かにこれ、王冠に見えなくもないかも……金ぴかだし。

 

まぁ今の僕の髪の毛とおんなじ色だから気になんないけどね。

 

「ハルさん」

 

「えみさん」

 

「その……大丈夫、でしょうか」

「はい。眠いだけです。子供なので」

 

きりっとして装備に身を包んでるえみさんは、いつものヘンタイさんじゃなくてまじめなお姉さん的な感じ。

 

なんでこんな子が、幼女にだけはああなるんだろうね。

あとこの子がきりっとして話してるの、やっぱ違和感すごいね。

 

「人員は揃っています。あとはハルさんさえ問題ないなら」

「大丈夫です九島さん。よいしょっと」

 

九島さん。

 

いつもまじめさんな彼女は、今日は特にまじめ。

こういう子がいると団体行動は楽だよねぇ……。

 

「ハルちゃん」

「はい」

 

そして、るるさん。

いつもの元気さは静まっちゃって真剣な顔。

 

……その顔を、帰るときには嬉しそうなのにしてあげるからね。

 

「――ハル様!」

「リリさん」

 

テントから出た僕たちの前にはリリさん……と、彼女にくっついて回ってる黒服さんたち、もとい外国ダンジョン産の装備でがっちがちの人たち。

 

筋肉もりもりさんたちだけども意外と背は高くもなくって、でもやっぱりどこか異国って感じのその人たちは、リリさんにさりげなくいろいろ渡したりしてる。

 

あと、はっきり分かる形で敬意を――頭をぺこぺこしたりしている。

リリさん……やっぱり良いとこのお嬢様なんだね。

 

「本日から帰還まで――私たちの先祖の誇りにかけて、ハル様をお守り致します」

「ありがとうございます」

 

自動通訳のせいで、僕のお仕事はなくなってる。

だからかなり自然な感じで話してるリリさん。

 

……僕の家に入り浸って、1日中るるさんとおしゃべりしてるほどに仲が良い子。

 

なんかいつもこしょこしょ2人で話してたんだよね……まぁ会ったばっかりのときみたいに険悪よりかは良いけどさ。

 

【リリちゃん、銀髪綺麗よね】

【るるちゃんたちだって綺麗だろ】

 

【リリちゃんは銀髪のままでハルちゃんも金髪のまま……たぶん……で、るるちゃんは桜色にえみちゃんが深い緑。魔力で余計に輝いてて綺麗……あの医療班の子は黒のままっぽいけど、黒は黒で綺麗だな】

 

【見事に属性ばらけててバランス良いよな】

【それはどっちの意味で?】

【もちろん攻略的な意味と女の子の髪の毛を愛でる意味で】

 

【通報】

 

【開示?】

 

【ごめんなさい】

【ゆるして】

【草】

 

「――みなさん、ご注目をお願いします」

 

スピーカーから響いてきた、えみさんの声。

見てみると、みんなの前に立ってる彼女がいる。

 

「本日は私たちのハルのため、ご参加くださりありがとうございます。強制とはいえ、攻略をお手伝いいただけること、改めての感謝を」

 

【えみちゃんまじめさん】

【強制(倍率50倍】

【強制とは……】

【ここにいるの、ほとんど上位層でしょ? なら参加したいでしょ】

 

【そりゃそうだ……だってこの同接数だもんな】

【上位層、かつカメラOKってなるとそもそもの登録者数とか人気とかはすごいけど……】

【こんな大イベントには勝てないよな】

 

【それ以前に腕の見せどころだしな】

【ああ、国内初の500階層攻略、それも協会の全面バックアップでな】

 

【しかもハルちゃん、助けられるんだぞ?】

【ほんとぉ? ハルちゃん、必要なの?】

 

【必要に決まって……るんじゃないかな……】

 

【ほ、ほら、体力は幼女だって言ってたし……】

 

【そ、そう、おねむになっちゃったら困るし……】

 

【もうだめだ……】

 

【急に勢いなくなってて草】

【だってハルちゃんだよ?】

【だってハルちゃんだもん】

 

あー、楽ー。

 

やっぱ全部人任せって良いよね。

 

ほら、こうやって立ってるのもるるさんとリリさんに寄りかかって体重預けてるしー。

 

「くぁ……」

 

【ハルちゃんほんとにおねむで草】

【ダメでしょハルちゃん! 始業式とかで寝ちゃ!】

【気持ちは分かる】

【わかりみ】

 

【えみちゃんとか協会の人の話、ハルちゃん以外の人への連絡事項とかだもんね……】

 

「ほ、ほらっ、ハルちゃん……」

 

「りゅりゅさん……」

「はうっ!?」

 

【●REC】

【るるちゃんに直撃してて草】

【るるちゃん真っ赤】

【かわいい】

 

【ハルちゃんの声もかわいい】

【もしかして:やっぱりガチ幼女】

【今さらだな!】

 

「……ハ、ハル様……」

 

「りりぃさぁん……?」

「尊っ!!!」

 

【草】

【え、今「尊い」って叫びかけた?】

【リリちゃん、意外とサブカルにずぶずぶよね】

【ま、まぁ、お付きがいるとはいえ1人で外国に来るくらいだし……】

【ああ、攻略前だってのに緊張感が……】

 

【ハルちゃんだぞ? そんなものはない】

 

【そうだそうだ】

 

【始原もそう思います】

 

【私もそう思う】

 

 

【agree!!!!】

 

 

【ノーネームちゃん落ち着いて?】

【ほら、言語設定ハルちゃんと同じにしよ?】

 

 

【感謝】

 

 

【草】

【まーた始原と姉御とノーネームちゃんだよ】

 

【あの、せっかく気合入った感じだったのに始原たちのコメントであちこちで笑い声が出て来ちゃってるんですけど……】

 

【まあ、そうなるな】

【ハルちゃんの配信だからね】

【前人未到の500階層RTAでさえ気楽に……それがハルちゃんか……】

 

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