【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「………………………………」
青白い光が瞬く、夜空。
宇宙。
この体――「女神」になって、真空のせいで息もできなくって音も聞こえないはずなのにへっちゃらで、物質のない空間だから「真空」なはずなのに、薄いながらも魔力が漂ってるおかげで……むしろ地球上よりも体が軽い空間。
というか、宇宙空間って普通にエネルギーに満ちてるよね。
地球で言えば――――――そう。
上下左右、遮るもののない快適な空間。
ダンジョンに――すごく良く、似ている空間。
そうだ。
「ダンジョン」。
宇宙空間――全部じゃないけども、そこには肉体がなくたって平気な環境が整っているんだ。
だから、魔力を吸収できる機構を持つ生物なら……まるで海中や地上に居るように、暮らせるんだ。
僕たち地球人類がまだ発見できてない――観測する術もないだけで、世界は昔からずっと、魔力って呼ばれてる力に満ちていたんだ。
そんな快適な場所では、無数の星がまたたいている。
大気に遮られることがないからまたたくことはないはずなんだけども――あ。
……いや、違うんだ。
目だ。
星じゃなくって、目。
一対の、目。
紅い、瞳。
暗い中でそれが、お互いに光り合っている。
「「………………………………」」
しびびびびびび。
一定間隔じゃなく、むしろ音楽を奏でるように。
あるいは言葉を交わすように、不規則に。
光っている目じゃなくって、僕の目を凝らしてみる。
すると――――――
【進捗】
【報告】
【明日】
【ダメ】
【sad】
【なでなで】
【やさしい】
………………………………。
思ったよりも平和な会話が、ぽつぽつと。
断片的に、交わされていた。
かつて見慣れた、配信画面でのコメント欄。
そこで流れていた……過疎配信でのコメントのように。
【:】
その、中心。
太陽系で言えば、太陽。
それが、返事をする。
サイズは、他の何十倍。
――――――人間。
人の、サイズ。
いや。
ノーネームさん。
人間としては「幼女」――齢数歳の、幼い女の子の姿と体積を持つ有機生物。
そんな彼女が――お人形さんなノーネームさん「たち」へ、返事を送る。
「……なに」
ぽつり。
言葉が、発せられる。
光ではなく、音波が。
【original projeKt?】
【:】
【87%】
【copy体】
【仮器】
【比翼】
【最推】
「ん」
ちかちかちかちか。
一対のまたたきが終わり、それを受けていた誰かが――聞き慣れた声を漏らす。
ノーネームさんの、声。
ぴこぴこぴこぴこ。
それに対して、無数の光。
【問】
【可動可能時間】
【残?】
それを待っていたらしいいくつものまたたきと同時に、すごい速さで浮かぶ文字列――その中で、拾えたもの。
【:】
【”「’『<&・【ハル】・&>』’」”】
?
一瞬、僕の名前が出てきたのかと思った。
けども、たぶん違う。
記号の中に、たまたま僕の名前を表す記号が出ただけだ。
僕は、そう思った。
【H-aru】
【24:01.24.68.48.44】
【:】
【24:00】
「んぅ……」
?
24時間?
何の時間だろう。
【問】
【copy-copy】
【(g)nom(e)】
【――――――偽】
【<NO NAME>】
【時間?】
【残?】
――――――ぴこん。
【22:57.44.33】
さっきよりも、少しだけ短い時間。
……これは、誰のもの?
【「始原」】
【座標到達】
【間近】
【誤差修正】
【DATA転送】
「ん」
よく見ると、ノーネームさんは透明な地面に座り込んでいる。
すっかり見慣れた真っ黒な布を巻きつけた服装で、ぺたんと座り込んでいる。
ただただ、おしりとふとももで体重を受け止めて体を起こし、両手もだらんとふともものあいだに下ろして首だけ斜め上を見上げている、とっても楽で居心地の良さそうな姿勢のノーネームさんだ。
【「始原の『女』神」・ハル】
【@「次代ニ託されシ箱舟」】
【snapshot*100000000】
【:】
【「有得可次元乃姿」と邂逅】
【余剰次元を解放】
【管理systemと同期・・・例外処置clear】
【モーマンタイ】
「ん」
ぴこぴこぴこぴこ。
ちかちかちかちか。
情報の応酬は、とても速いらしい。
まるでインターネット上のSNS、動画サイトのように、ひとつの情報が無数に……衝突したり墜落したり上昇したりして、拡散していく。
僕は、それを見ているだけで満足した。
【想定目標】
【98%完了?】
【完了】
【finished】
【finito】
【τελειωμένη】
「……意外とおしゃべりだったんですね、ノーネームさんって」
ぽつり。
普段みたいに頭の中でひとりごとをつぶやいた。
「!?」
【【【【【【【【【!?】】】】】】】】】
【 】
【ピィィィィィィ】
【ミ゙ゃぁぁぁぁぁぁぁぁ】
【恥ずか死】
【我生涯一片悔無】
【脳……蒸発……】
――――――けども、肌がぞわっとする。
だって……うん。
僕が頭の中で言ったつもりの言葉がノーネームさん「たち」に伝わっちゃって……それで、彼女たちが一斉に僕を見てきたから。
【!?】
【!?!?】
【緊急】
【ぼっ……】
【オロロロロロロ】
【ニ"ャアアアアアア】
【 】
【恥ずか死】
【↑生きて】
【無理】
【ワカル】
【Aieeeee!? ハル!? ハルナンデ!?】
【モウダメダ……】
【weed】
【↑w】
【藁?】
【審議中】
【却下】
【ワーン】
【ahhhh! Cho-cho cho-cho cho-cho!】
【↑お可愛事……】
【miss 誤用】
【エーン】
【ういかんいきんうきこはう】
【発狂禁止】
ぴこぴこぴこぴこぴこぴこぴこぴこぴこぴこぴこぴこ。
僕を見て、僕に群がってきた小さいノーネームさんたちが、口々にぴこぴこしている。
………………………………。
……さっき、ちょっと怖いって思ったけども……これを見たら怖くなくなったかも。
「……はる?」
座り込んで、見上げてきているノーネームさんが――僕を見て、言う。
「ここ」
「かんりしつ」
「にんげんの、たましい」
「じょうはつ」
「だいじょ、ぶ?」