【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

833 / 833
832話 「僕」と、出会った

「ざひょう?」

 

「おけ」

 

こくこくこくこく。

 

合流した女神たちは、うなずき合う。

 

「――みんなを」

「まもるため」

 

ぎゅっ。

 

烏よりも深い黒のドレスを着た少女たちは、空を見上げる。

 

『――――――ふはははは! 元・魔王様よ――この御方こそ、新たなる我らの真祖の血を引く魔王様ぞ!』

 

「お主ら……そのような童を、どこから引っ張ってきた……!」

「あー。傍系とか妾の子とか、神族でも昔はあったらしいし」

 

【あー】

【あー】

【そら神族を劣化コピー?して生み出されたのが人間だもん、そのコピー元がやらかしてることはだいたい想像つくわなぁ】

【草】

 

【王様なはずのおじゃるが、別の王族を旗印に排除……あの……これ、戦い、収まらないんじゃ……】

 

【血統での正統性で国家分裂、大戦……泥沼……南北朝分裂……うっ頭が】

【※世界史上、普通によくあることです】

【本当によくあることなんだよなぁ……】

【真偽はともかく「そういうこと」になれば、血統なんて……ねぇ……?】

【遺伝子検査がない時代なんか、もう言ったもん勝ちよ】

 

【逆に祖先を有名どころに合流させる荒技とかしょっちゅうだしな】

【それを国の起源ごととかも、ね】

【余り深く追求するんじゃない  この配信は全世界から”観測”されているぞ】

【ひぇっ……】

【草】

 

「だれも?」

「きづいてない」

 

「「なら」」

 

魔王と女神が新たな魔王と退治する光景を眺めながら、黒髪紅目の女神は……揃って唱える。

 

「はる、は」

「もうすぐ」

 

「「――――『しげん』に、たどりつく」」

 

 

◇

 

 

「ノーネームさん」

 

「ん」

 

【What?】

【何?】

【Was?】

【Quoi?】

【Quid?】

【Ti?】

 

「あ、違います。ノーネームさんだけです。おっきいノーネームさん」

 

声をかけた瞬間に、何十ものぴこぴこ。

 

……そうだね、みんなノーネームさんではあるもんね。

 

【小?】

【貧 is not justice?】

【sad】

【アアアアアアアア】

【↑哀……】

 

【本体特権】

【下克上?】

【不可】

【ショボン】

 

しばらくぴこぴこがすごかったけども、じきに静かになる。

 

「むふん……」

 

「?」

 

なぜか嬉しそうなノーネームさん。

そんな彼女の長い髪の毛と裾は、静かに地面へ下ろされる。

 

「僕たち……どこへ向かっているんです?」

「もくてきち」

 

――すっ。

 

そういえばだけど袖もやたらに長くって、なんなら腕を真横にしても袖が地面についている彼女は、僕のつま先が向かっている方向を、指し示す。

 

「すぐ、そこ」

「そうなんですか」

 

たぶん、ノーネームさんは――説明するのが、とてつもなくめんどくさい。

そう、感じてる。

 

なら、今詳しく聞こうとしたって、どうせ答えてはくれない。

 

「じゃ、このまま行きましょうか」

「ん」

 

 

【招集】

【マタァ?】

【御前席、無】

【ソンナー】

 

 

ぱたぱたぱたぱた、わらわらわらわら。

 

ふたたびにノーネームさんの周りが真っ黒になって、またまたノーネームさんの広げているのが持ち上げられる。

 

「けど、どこに行くのかとか教えてくれません? や、なんにも知らないと心の準備とかできないので」

 

とか言いつつも、僕は半分以上……ほとんどは諦めてる。

 

ノーネームさんって――実は、人をびっくりさせるのが好きなんじゃないかなって。

 

「ん」

 

だけれども。

 

彼女は、その深紅の瞳を広げて――僕の脳みそを直接見ているような視線を送ってきて、

 

「――――ざひょう」

 

「?」

 

またよく分からない言葉を発した彼女の後ろを――――何歩か歩いたのまでは覚えていて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん」

 

僕は、意識を取り戻したらしい。

 

この体になってから、そしてるるさんたちと1度はお別れしてから何度となく経験した、この、世界が途切れ途切れになる感覚。

僕は割と順応しているから、そんなに嫌な感じじゃない。

 

むしろ、妙に懐かしくって――――

 

「おはよう」

 

「え?」

 

誰かの声が、降ってくる。

 

「嫌な感じ、しない?」

「え、あ、はい。しないですね」

 

「そう。じゃあ」

 

――その声には、心当たりがある。

 

いや。

 

あり、過ぎる。

 

「僕同士だから、普通にしてくれる? や……自分に距離取られるのって、なんか変な感じになるからさ」

 

「あー」

 

「わかるでしょ?」

「けっこうわかる」

 

「だよね」

「うん」

 

その、顔は。

 

幼い女の子になっている、「僕」――――だった。

 

 

◇

 

 

【速報】

 

【”座”】

 

【邂逅】

 

軽い電子音とともに、存在する全ての人々の前に表示された、簡潔すぎる情報。

 

「女神よりの通知を確認しました」

「予定の3%ほど早い到達のようです」

 

「「命令を」」

 

「――――――うん。主砲、発射準備。我々は、当作戦の最終フェーズへ移行する」

 

その空間の中心に立つ銀髪の少女が、帽子をかぶりながら宣言した。

 

決して大きな声ではない。

だが――人々は、それを待っていた。

 

「……主砲発射準備シークエンスを開始します」

「機関へのエネルギー伝達、スタート」

「各連結部分のモニタリングを厳にしてください」

 

「各艦の動力炉、セーフティーを解除してください」

「『目的地』の座標、間もなく定まる見込みです」

 

重低音が、その空間を包む。

 

「『砲塔』を構成する全艦、異常は確認されていません」

 

「次発装填装置、問題ありません」

「予備ユニット、通電開始します」

「……座標、定まりつつあります。舵の操作を……」

 

その空間――先ほどハルが存在した場所は無数の半透明な画面に埋め尽くされ、何重もの人々が「定められた手順」を進めていく。

 

「……ようやく、なんだね」

「もう少し、です。もうすぐ――」

 

「――――――ハルちゃんの、ところに」

「――――――ハル様と、再びに」

 

空間を満たすエネルギーが上昇していく、中。

 

壁際へ立ち尽くしている、白装束の姿の中から――ぽつりと、声が響いていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。(作者:あずももも)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

【護られる系柚希姫なユズちゃん】【姫が男? 寝ぼけてんの?】【あの可愛さで声と話し方は中性的なのが、ぐっとくるよな】【天然でちょうちょすぎる】【ちょうちょ(物理】(視聴者の声より)▼◆病気な母のために高校を休学し、バイトを掛け持ちする生活の星野柚希。髪が伸び切るほど忙しいある日、モンスターに襲われている小さな何かを助ける。懐かれたため飼うことにしたが、彼は知…


総合評価:3089/評価:7.72/連載:681話/更新日時:2026年10月21日(水) 21:19 小説情報

産廃スキル『性転換』で魔法少女になったら戻れなくなった(作者:ぷに凝)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

 スキルが一人につき一つしかない世界で、小林大翔が引き当てたのは『性転換』。▼ 性別を変えるだけの戦闘向きではない産廃スキル――のはずだった。▼ だが、女性専用装備『魔法少女のドレス』との組み合わせにより、その常識は覆る。▼ ドレスの力で圧倒的な戦闘能力を手に入れた大翔は、正体を隠したまま謎の魔法少女『プリムノヴァ』として活動を開始。▼ 少女の体と魔法少女の…


総合評価:995/評価:6.86/連載:71話/更新日時:2026年08月11日(火) 18:49 小説情報

デメリット有りの能力で、可愛い子達を曇らせたいぞ!(作者:片桐きな粉)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

「契約のエリュジーン」▼深夜帯の大人気アニメ。少年少女その他が契約モンスターと悪を倒していく...王道のファンタジー。▼そんな世界に転生してしまった。女の子として。▼見渡そうとしても動けないし、死ぬ直前だったけど、契約をすることによって免れました。自らデメリットを背負って。▼全ては可愛い子が可愛い子に愛されたいという欲望のために▼尚、契約モンスターからは『も…


総合評価:7020/評価:8.4/連載:44話/更新日時:2026年08月23日(日) 21:33 小説情報

転生したら異世界の宇宙最強の龍でした!〜0から星と生命を作り出して一大文明の支配者になったので現代日本へ帰還します。自分は日本が一番暮らしやすい。〜(作者:電動ガン)(オリジナル:現代/コメディ)

目覚めたら無だった。何も無い。宇宙さえも。自分の身体を見る。銀色の甲殻、長い尻尾これモンスターだ!?よく見ると俺の他にも二頭のモンスターが。ドラゴンだこれ!!▼俺たち三頭の女神龍は宇宙創成の前の世界にいる。俺たちを生み出した主神の指示で世界を作り生命を繁栄させることとなったけど・・・・・・それ何年掛かるの?▼何億年も掛けて生命が宿れる星を何個も作り、失敗し、…


総合評価:2932/評価:7.66/連載:147話/更新日時:2026年10月22日(木) 10:01 小説情報

SF世界にTS転生した俺は治安維持部隊を全力で社畜する!(作者:宇宙のモナカ)(オリジナル:SF/冒険・バトル)

時は2155年。▼ブラック企業の治安維持部隊にTS転生した俺は、一介の労働者として今度こそ前向きに生きると決めた。▼与えられた任務をこなし、生き残るために体をサイボーグ化して効率を極める。▼ただそれだけなのに――▼冷徹に敵を蹂躙する姿から、敵対組織には「白い死神」と恐れられ、▼部下たちからは「過酷な運命を背負い、企業に酷使される悲劇の英雄」として崇拝されてし…


総合評価:8110/評価:8.48/連載:111話/更新日時:2026年10月22日(木) 07:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>