【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「で」
目の前には、僕そっくりな女の子だけが居る空間。
そこで……今日何度目かに目を覚ました僕は、尋ねる。
「ここ、どこで――どこ? や、良く似たところにはつい最近……やっぱりノーネームさんの企みで連れてこられたけども」
ちょっと前、僕はノーネームさんの企みによって大きな船に転移させられて、おじゃるさんをひっぱたくお仕事をさせられた。
あれは、企みだ。
たとえアル姉さんとの共謀だったとしても、たとえ必要だったとしても。
……だってあのときも今回も、ノーネームさん、嬉しそうだったもん。
ノーネームさん、顔には一切なんにも出ないけど……びっくりさせるの、好きだもんね。
「?」
ふと振り返るも、そこにはさっきまで居たはずのノーネームさんは存在しない。
……あ、そういやここに連れてこられたときにも居なくなってたっけ。
あの子は気分屋な神出鬼没さんな猫だもんね。
「うん。このときの……じゃなくって、『この前』のと同じだね」
「やっぱり? そうだよね」
僕の声に応えるのは、僕にそっくりな女の子。
――僕とそっくりの、ふわふわとした金髪を腰まで無造作に流していて、僕とそっくりの、眠そうな碧い瞳を浮かべていて。
頭の上の輪っかも、背中の白い羽も、おんなじで。
左右から腕を通して体の前で浴衣みたいに緩く重ねたところへ、金の腰飾りで巻きつける、白い服装。
アル姉さんともそっくり……っていうか見た目はまったくおんなじなんだけども、姉さんは見ていればいろんな癖があるし、あと好戦的だし。
でも、目の前のこの子は違う。
いや、「この子」じゃない。
見れば、分かる。
この子は――――――「僕そのもの」なんだ。
例えるなら、完全なコピー。
しゃべり方も目線も、なにもかもが鏡で僕を見ているようなんだ。
そんな、僕とそっくりな僕が居る、その後ろには。
「……狙撃銃」
「うん」
なんとなく、察してはいたんだ。
こういう大きな船に連れてこられたときには、すでに。
けども。
その狙撃銃には――――――すごく、見覚えがありすぎる。
「……それ、僕たちの?」
「うん。あれをコピーしておっきくして」
部屋の中心に据えつけてある――一見すると浮いているように見える、長さが10メートルはあるんじゃないかって感じる、色も形も僕のそれとおんなじ銃。
「……ふむ」
「おんなじでしょ?」
きちゃない袋さんからにゅるりろんっと取り出したのは、残弾が空っぽで役立たずだからしまい込んでいた、僕のメイン武器な狙撃銃。
手元と向こうを比べる。
やっぱりおんなじだ。
「傷ひとつないのとサイズ以外は完全におんなじだね」
「うん。僕のをモデルに作ったから」
「へー」
見ると、手元の僕の狙撃銃とおんなじで――妙に年季の入っている感じのする、けども形状は完全におんなじ狙撃銃が、もうひとりの僕の手元にある。
なるほど。
これをコピーしたんなら、そりゃあおんなじだよね。
「ほー」
さらに、その先。
円形の室内は、実は足下まで含めて全面がガラス張り。
だから――周囲が、はっきりと見える。
……ちょっと規模が大きすぎて距離感が分かりにくいけども、僕たちの周りは。
「……宇宙船?」
「100隻以上の、らしいね」
「この前みたいな?」
あのときは、おじゃるさんをひっぱたくために1発撃った時点ですごい数の船がぼろぼろと崩れていっていたけども。
「『この前』よりはずっと数は少ないらしい。けど、質で揃えたらしい。そう自慢された」
「へー」
自慢?
誰にだろう……まぁいいや。
「………………………………」
ふと、上を見上げる。
全面ガラス張りの向こうを。
――まるで、僕たちは巨大な砲台の中心部分……それも、弾が発射されるような、底に居る。
たぶん、そうなんだろう。
「SF作品の、こういうのって良いよね」
「え? あ、うん」
唐突に、僕は僕に話しかけられる。
自分に話しかけられた経験がある人って、そんなに多くない気がする。
「宇宙だと円筒型の巨大コロニーとか……ロマン、あるよね」
「あるよね」
「古い作品の方が……こう、規模が大きくってかっこいいよね」
「かっこいいね」
「新しいのは映像技術と真面目な検証のせいで……ね」
「うん」
「それはそれでいいんだけど、それとは別に……ね」
「うんうん」
こくこく。
僕たちは、うなずき合う。
「そもそも巨大構造物って、かっこいいよね」
「わかる」
「昔、旅行先で見たりした古代神殿。その壁とか柱とか……たぶんここに来るときに見た船の接続部分とか」
「たまらないよね」
「ぐっとくるよね」
「こういうのを言うと、るるさんたちには理解されないんだよね」
「そうなんだよね」
「分かる人も居るんだけど少ないよね」
「そうそう」
「SFそのものがマイナージャンルだもんね」
「悲しいよね」
こくこくこくこく。
僕たちは、通じ合う。
……そういう話をしていると、分かってきた。
「目の前の僕は、本当に僕そのものなんだ」って。
まるでいつものように、頭の中でぼんやり考えてるのと似てるなって。