【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「――これで、存在の確定しないこの空間から抜け出せる。ようやくに」
「はい、総司令官――いえ、提督」
「今回も、半分以上が賭けでしたが……ようやくに、ですね」
「……神々視点では『確定した過去』らしいけど、僕たち人間にとっては……何も見えずに賽を振るだけの、博打だね」
『展望デッキ』からの光景が、変貌していく。
月明かり以下の曖昧な光量しかない、無限に続いていく広大な穴。
雲でできた、管の中。
長い時間変わらない姿――それが少しずつ、だが急速に金色の光に包まれていく。
「――せ、船体全体を囲む光輪の出現を確認しました!」
「……船体全体へ、わずかですが特定の方向へ誘導する力。恐らくは、女神による誘導かと……」
「! これまで確認されていた、この空間以外の新しい回廊が……修正される進路上に出現!」
「……遠くからの音……これは……」
「船」――細長い集合体、それを輪切りにするかのように均等に並ぶ金色に光る輪が、その数を急速に増やしながら拡散していく。
「50」「100」「500」。
その数を読み上げる声を通り越す勢いで、膨れ上がっていく。
光に照らされた船体が放つ光が、まるで朝日の昇る瞬間の海面のような金色を放つ物体へと船を書き換えていく。
その中へ差し込むように、稀に赤に、青に、紫に光る輪。
虹色の輪が、金色の輪にはめ込まれていく。
そして――――――遙か遠くから、音が鳴り始める。
それは……まるで、教会の鐘のような音。
ただし、荘厳さとは様子が違う。
教会の群れの中に放り込まれたような――その鐘という鐘が一斉に鳴り出したような、錯覚。
船全体を鐘が囲んで揺さぶっている――そんな、錯覚。
「……最後まで神々におんぶ抱っこだけど、それを承知で。人間としてやれることを。総員、所定の配置で準備」
船内に響き渡る警告音。
――それも、次第に船の「外」から奏でられる音に埋もれていく。
「『始原の「女」神』、ハル」
船を指揮する少女が、つぶやく。
「……頼んだよ」
◇
「――――――どっせい!」
「朕の炎で燃え尽きるのじゃ!」
「騎士として! 姫の! 騎士としてぇぇぇぇ!! 認知してもらうために……者どもぉぉぉぉぉ!!」
【草】
【草】
【うるせぇ!!!!】
【特にGがうっせぇ!!! 台詞がいちいちなげぇ!!】
【耳が痛い】
【どうしてこうなった】
【完全にもう怪獣大戦争なんよ】
【だって肉体言語系女神様に世界征服目前だった魔王に……あんなのでも一応戦闘はまじですごいって分かったG魔王だもん】
【草】
【そうなんだよなぁ】
【イメージが悪いだけで普通に強いんだよなぁ……】
【おじゃるが弱体化してるし、アルちゃん様が派手なのもあるけどな】
【規模が違いすぎて戦闘力くそ雑魚ナメクジな俺たち人間からするともう分からんのよ……】
上下左右が無限に開け――宇宙規模では極めて至近に浮く、巨大な惑星。
その宙域では、ハルが消失して以降の激戦が繰り広げられている。
そこへ浮かぶ、四角い箱を守るように。
【おじゃるは普通にブレスをばかすか撃って】
【アルちゃん様はその合間合間になぜか飛び回って群れに殴りかかって】
【くっころは普通に部隊を指揮しつつもおじゃるに近い威力のブレスを……おじゃるとアルちゃん様の背後を守るように】
【………………………………】
【………………………………】
【この場限りでは「G」を「くっころ」と呼ぶ必要があるか……】
【永遠じゃないんだ、この身を引き裂くような痛みにも耐えろ】
【草】
【そこまでかよ草】
【トラウマが深いんだよなぁ】
巨大なドラゴン――龍が、2柱。
光り輝く人型の存在――女神。
彼女たちを取り巻く、無数のドラゴン。
――それらを囲むように秒置きに無限と転移してくる、魔王軍反乱軍。
「ここ、魔王の星がすぐそばだし魔力が濃いから、いくらでも戦えていいところだ――――――ねっ!」
『GAAAA――――――!?』
アルの、振り抜いた拳。
人間の「幼女」の域を出ない小柄な体からは、けれどもその直線上へ光の振動が拡散していく。
「その分、朕に楯突くあれらもまた全力を出せてしまうんじゃが――――――なっ!」
おじゃるの口から、直径が数十キロにも及ぶ炎の柱。
その射線上に存在したはずのドラゴンたちは――声を上げる隙も与えられず、その体ごと蒸発する。
「姫に認知していただき産んだ卵を姫との愛の結晶に……うっ、産まれる……!」
『『『GA……GAAA……!』』』
『……GAAAA――――――!?』
くっころの口からのブレスは――直径が10キロ程度と、おじゃるに比べると弱いもの。
けれども――彼女に付き従う数百からも、それより幾らか弱いだけのブレスが、あらゆる方向へと放たれる。
【あの……ドラゴン語はさっぱりなんだが……】
【ああ……】
【くっころの連れてきたドラゴンたち 絶対「う……産まれる……!」つってるよな?】
【草】
【もうだめだ……】
【なんでこいつら隙あらばハルちゃんの卵産みたがるんだ】
【さぁ……?】
【くっころたちはな、人間の変態文化に触れて歪んじゃったんだよ】
【ちょっとだけかわいそう】
【「ちょっと」……?】
【ならお前が認知するのか?】
【本当に申し訳ありません人類のどうしようもない叡智さが世界をこんなことにしてしまい遺憾に思います】
【草】
【草】
【ハルちゃんが戻ってきたときのため、こいつらをどうしてやればいいか考えとかないとな……】
【まぁハルちゃんが嫌がることに関してはアルちゃん様がなんとかするから……】
【「適当にしたら良いんじゃない?」】
【草】
【言いそうで草】
【あ……国連の議場に、もう何人目かずつの代役さんたちが いつもお疲れ様です……そしてどうか良い案を思いついてください……】