【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「本当、困るよね」
「わかる」
僕たちはしばらく、主に母さんに対するいろんな想いを共有した。
話が盛り上がって、もっと話していたいって思ったところで「そういやここで、用意されてたでっかい狙撃銃を撃ってほしいから連れてこられたんだろう」ってことを思い出した。
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そういや。
目の前に居る、僕と話が実に良く会う、僕。
この僕は、どこから連れてこられたんだろうね?
まぁノーネームさんやアル姉さんやノームさんみたいな神族も、おじゃるさんやくっころさんみたいな魔族も、わりと気軽に世界を渡り歩いてるみたいだし……広い宇宙を探せば、僕みたいなどこにでも居る系統の男は無限に探せるんだろう。
地球ですら、そっくりさんは3人居るって話だし。
……魂的なものはともかく、この体は?
ノーネームさんなら、アル姉さんをコピーしたりできるんじゃない?
ほら、おじゃるさんもくっころさんも、ドラゴンの体ならいくつもストックがあるって言ってたし。
予備の体ってのを用意しておくのが常識なら、それをちょっとだけ拝借して適当な僕を押し込めていても不思議じゃないもん。
ほら、外の世界は地球よりもはるかに進んでるみたいだし?
だって地球なんて、せいぜいがダンジョンでレベル上がった魔法職の人がそこそこ強い魔法ぶっ放す程度な低度な魔法文明力?なのに、魔法だろう力で宇宙戦艦とかをわんさかと作る種族も居るわ、そもそも技術なんて必要なくって単純なレベルとか種族の力を使って自分の体で宇宙へ飛び出す魔族とかモンスターですら居るんだもんね。
だからきっと、外のすごい世界なら体をコピーするなんてのは当たり前。
神族ってのじゃなくたって、きっと体は無限に増殖できるんだ。
もちろん神族なノーネームさんなら、人肌が恋しいからアル姉さんをコピーして……なんとなくで僕みたいな無害そうな男の魂を詰め込むのくらい、当たり前なんだ。
「話、いい?」
「あ、ごめん」
「いいよ。僕みたいなのは、会話の途中でもいろいろと思いついたことがあると考え込んじゃうから」
「そうだね」
そういやそうだった。
やっぱりこういうところは僕そのものだね。
なんなら、目の前の僕自体が「僕そのもののコピー」だったり――――――いやいや、ないない。
いや、でもありえる?
あの寂しがり屋なノーネームさんなら、やりかねない。
……あとで問い詰めよう。
ノーネームさんは都合が悪いとだんまりだから……抱きしめたげたり一緒にお風呂に入ったりしたげたら吐いてくれるかな。
「それで……今、近いでしょ? 感覚。『男だったとき』に」
「あー」
にぎにぎ。
うん、確かにそうだ。
さっきまで僕たち、この拡大コピーされたマイウェポンのパチものみたいな感覚について話してたんだ。
「ちなみにそれ、本物だよ」
「そうなの?」
でも、それにしては妙だ。
「本物の遠距離武器を手にしたのに……なんていうか、こう。普通なのに?」
「うん、普通だね」
そうなんだよね。
九島さんたちが押しかけてきて病院に連れて行かれたあのときよりも、1年も前のとき。
男のときの僕も――1度幼女になって弱くなった感覚はあったけども、それでも弱い幼女の体でなんとか狩りをして生計を立てられる程度には、狙撃スキルと隠ぺいスキルで食べていけていたんだ。
だからこそ、1年程度はへっちゃらで過ごせていた。
男のときには――副業で会社帰りにダンジョンに住み着いていたときにはすでに、遠距離武器を手にすると「遠距離スキル」が吸い付くような感覚で、銃を構えたら「そこそこは当たる」って実感がある程度にはなっていたから。
でも、今は。
「『あの程度』だよね」
「うん。普通しかない」
だよね。
まるで、ちょっと前に戻ったみたいな感覚なんだ。
「『くっころさんに追われて1回意識を失って――羽が生えた状態で目を覚ましてから』の、ちょっとすごい感じのあれが、ないんだよね」
「あー」
的確に言われて、僕は納得する。
そういやそうだったんだ。
僕、『ここまでじゃない』んだった。
「体が小さくなったから落とし穴でショートカットも楽になったけど、あの楽々な攻略だって、男のときでもできはしたし」
「索敵スキルで罠もだいたいクリアできて、隠蔽スキルでヤな敵はスルーできたし」
「でも、その程度」
ダンジョンの中で、下の階層の――それも複数の敵へ曲射とか、もっとすごいこととか。
あんなことは、とてもできっこなかったんだ。
「うん。配信では……たぶん配信文化とかですごいすごいって言われてたけど、たぶんみんなもできることなんだよね」
「ああいうのはエンタメだからね」
「ネット上での言い回しとか騙されたふりとかみたいなやつなんだろうね」
「キャバクラとかホストな感じとかかもね」
「あー」
なんで配信してる僕たちの方がもてなされてるかは分からないけども。
「ほら。今の僕たち、中身はともかく見た目は幼女だし」
「あー」
「女の子って、女の子ってだけでちやほやされるじゃん?」
「男はとにかくばかだからね」
「うん、知ってる」
こくこくこく。
僕たちは、男という生物の性別の性についてを熟知しているんだ。
だって、僕たちこそが男だもん。
……こういうの、るるさんとかは敏感に嗅ぎつけて見てくるから隠さないとなんだけどね。
るるさんの独占欲は、怖いから。
早く、独り立ちしてほしいよね。
「やだ」
「んぅ」