【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「――『始原』2柱、船との接続を確認」
【:】
【封印】
【ヨシ】
「『魔導コア』の封印……解除されました」
「……発射シークエンス、開始されました!」
船が、吠える。
ぐん、と速力を増した歪みで、船という船の至る箇所が悲鳴を上げる。
その船に乗る全ての人類が、その声と包み込んでくる神力に、震える。
「……これが……神々の魔力――神力……」
「この作戦のためだけの、とっておきの聖遺物を……」
「……僕たち人間には到底たどり着けない領域の力だけど……有り難く使わせてもらおう。メインエンジンの動力を完全に遮断、補助エンジンのみへ伝達」
船の指揮官は、動揺を示さずに所定の手順を指示。
決して張っていないその声に――人々は、何百という練習に従う。
「補助スラスター、融合炉と接続します」
「艦内電源、予備電力へ移行しました」
「艦内人員の全員、船外服の着用を確認――全隔壁、ロックします」
数百の「パーツ」――「船」を組み合わせた巨大な円筒形の構造物――長さ数百キロの砲塔が、臨戦態勢へ突入する。
「……! 光輪、本艦の操舵を掌握!」
「うん。予定よりも力強くて助かる――そのまま操艦を渡してくれ。こちらは補助に徹する」
円筒体を等間隔で囲む、その円筒よりも一回り巨大な円環。
それらの光量が増していき、薄闇に包まれていたトンネルが――朝日の昇る瞬間のように輝いていく。
「……推力、加速しています」
「神の、翼が……」
その合間の空間を埋めるように何千何万もの小さな羽が、はためく。
永い暗闇の先の、まばゆい金と白。
それに――人々は、しばし息を忘れる。
「……綺麗……」
「天界って……こういうところなのかな……」
【見惚】
【ダメ】
「……はっ!? ……ま、魔導コア、臨界に入りました!」
「いつの間に……」
「魔導力……メインエンジンへ注入開始します」
「機関室は完全リモートへ移行……総員、前方へ――」
◇
「?」
両手で銃を握っていた僕は、ふと足元からの光に気がつく。
蒼い、光。
それは――ちょうど、目線を動かした僕に気づいて見つめてきている、幼女になった僕の眠そうな目元の映す色とそっくりだ。
「僕たちの足元には――――――魔石がある」
「魔石?」
そう言われるときになる僕は、両手で狙いをつけつつ真下を見てみる。
「……おー」
僕の足元は、どうやら半透明の床だったらしい。
さっきまで暗かったから分からなかっただけで、上だけじゃなくって下もまた、スケールがでっかかったらしい。
そんな足元には――――空中に浮く金属の棒がぐるりと囲むようにしていて、その中心部にくるくると回っている、でっかいクリスタル的なもの。
しかもなぜか周りが明るくなって、色んな色の光が差し込んできている。
高速で回転しているから玉のように見えるそれは、まるで。
「ミラーボール?」
「あの時代、当時の父さんも母さんもまだぺーぺーだったから、ぜんぜん楽しくなかったらしいね」
「あ、そうなんだ」
七色を振りまいて回転している、綺麗な宝石。
サイズは……とにかく、でっかいって感じる。
「周りがバブリーに儲けてるのに、自分はひーひー言うのってつらいよね」
「わかる」
「僕たちも、ダンジョンバブル……相当乗り遅れた組だもんね」
「そういやそうだね」
「結果的にダンジョンが性に合ってたから挽回できたどころか個人事業主になってたけども、最初からやってたらなぁって思うよね」
「株とか新しい資産とか取引とかと同じだね」
「人生ってそんなもんだよね」
こくこくこくこく。
僕たちはひとしきり話し合って――銃口の先へ首を上げる。
「これ、どうやって狙うの?」
「狙撃スキルだけじゃ、無理だ」
「そうなんだ」
「でも」
――――ばさっ。
反対側で、羽を広げる音。
……ばさっ。
なんとなくで、僕も羽を広げる。
「『この体』で。ダンジョンの何層も下を光る弓矢で分裂してホーミングしたり、空から地上へ乱れ撃ちした、あのときのことを思い出して」
「あー」
僕は――――――目を、閉じた。
『………………………………――おじゃぁぁぁぁ!!!』
『………………………………ど根性――――――!!!』
……なぜかはわからないけども、たぶん今この瞬間にこうやって戦ってるんだろうなって感じる、おじゃるさんと姉さんの姿が浮かぶ。
『………………………………姫の、卵……駄目です、姫に認知していただくべく、今は股ぐらを締め上げて――――――』
――――――その先を見たくなかった僕は、目を開いた。
「ヘンタイさんって困るよね」
「すごく困る」
「そう思うとえみさんってすっごくマシだったよね」
「少なくとも興奮して勝手に卵産んだりしないからね」
「そんなえみさんも、やがては……」
「えっ」
「………………………………」
「………………………………」
「あ、ごめん、忘れて」
目の前の僕は――すっごくげんなりしていた。
………………………………。
え?
えみさん……ヘンタイさん過ぎて、人間止めちゃうの……?