カケルとカートは、戦闘を開始した。
カケル「ハアッ!ふっ!やぁ!」
カート「グッ!…………デヤァッ!」
カケルがパンチやキックを主体とした徒手空拳で、カートが変異したマルガム────マンティスマルガムに攻撃していく。
カートも負けじと両腕の鎌を振るってカケルに反撃していくが、所詮ただ闇雲に腕を振り回しているだけであり、力はあってもそれを生かす動きがまるで出来ていない。
そんな攻撃が幼少期の頃から剣聖の異名を持つミッシェルやそういった戦いの経験が豊富なヴァン達から戦闘技術を直々に鍛えられたカケルに通用するはずがなく、カケルはそれを難なく躱していきながら逆に攻撃を当てていく。
カート「コノォ………………ナメルナァ!」
カケル「わっ!とっと……………。」
今度は斬撃を飛ばしてきたが、カケルはこれも難なく躱していく。
シシリー「す、凄いです……………!」
ユリウス「まさかあの怪物となったカートをあそこまで追い込むとは!」
オーグ「なんなんだ、あれは………………。」
マリア「……………ねぇ、シン。カケルって何者なの?」
シン「…………………。」
周りがカケルを称賛する中、オーグは疑問を抱き、マリアはカケルの入学前からの友人であるシンにそう質問するが、シンは何も言わずにただカケルを見つめていた。
カート「ぐはっ!?」
カケル「ん?」
すると突然カートにどこからか放たれた砲撃が当たり、カートは吹っ飛ぶ。
シン「おい、あれ!」
オーグ「なんだあれは……………!?」
シシリー「魔物……………?」
マリア「でも、カートの方を攻撃したわよ?」
カケル達は、砲撃が来た方向を向くと、そこにいたのは上半身が赤紫色の鎧に覆われ、下半身には汚れた白色の作業着のようなスーツ、そして顔の右側がモンキーレンチをほぼそのまま模したような姿の戦士。
そんな正体不明な存在を見て、シン達は戸惑う中、ただ一人、カケルだけはその姿を見て驚いていた。
カケル「あれはあの時の!?でも前のとは色が違う……………いやこっちがあってるのか?」
そう。
そこに居たのは、ヴァルバラド。
それもカケルがよく知っているカラーリングのものだった。
???「………………ケミーを、回収する。」
カケル「っ!あいつもか!」
ヴァルバラドがそう言うと、カートが変異したマンティスマルガムの方へと向かっていき、その手に持つスパナの形をした大剣で攻撃していく。 それに対してカケルも、負けじとカートが変異したマルガムに攻撃していく。
カケル「はっ!ほっ!」
???「ふん!はっ!」
カート「グゥ…………クソッ!」
カケルは、徒手空拳で攻撃していき、ヴァルバラドはスパナの形をした大剣……………ヴァルバラッシャーで、カートに攻撃していき、カートは二人の猛攻によってますます劣勢になっていく。
カート「オノレ……………!ナメルナァァァ!!」
カケル「おっと!」
???「ふっ!」
二人への怒りで声を荒げながらカートはまた斬撃波を放つ。
ヴァルバラドは斬撃波を横側にステップして躱す中、カケルはその場でガッチャードライバーを操作する。
『ガッチャンコ!』
すると、カケルはスチームホッパー・ワイルドの姿になり、その跳躍力を活かして、カートの放った斬撃波を躱す。
シン「えっ!?」
トール「カケル殿が……………バッタになりましたよ!?」
オーグ「いったいどうなっているんだ……………!?」
シシリー「えぇぇぇ……………!?」
マリア「待って待って待って!?どういう事なの!?」
突如、姿が変わった事に、シン達は驚き、そして、カケルはそのまま必殺技の体勢に入る。
カケル「このまま止めだ!」
カケルは、ガッチャードライバーを操作する。
『スチームホッパー!フィーバー!』
カケル「ハァァァァ……………!ハァァァァァ!!」
???「何?」
カケルは、スチームホッパー・ワイルドのままで、カートに急接近して、スチームホッパーに戻る。
そして、低空のライダーキックを、カートに向かって放つ。
カート「ぬわぁぁぁぁぁ!!」
カートを貫いたカケルは、反対側に着地し、カートが変異したマンティスマルガムは、爆発した。
カマンティス「カマ〜!」
カケル「おっと!」
すると、爆炎から、カマンティスが現れ、そのままカケルの方に向かい、カケルはブランクのライドケミーカードをカマンティスに向ける。
すると、カマンティスはカードに吸い込まれて、封印される。
カケル「おお〜!ガッチャ!無事でよかったよ、カマンティス!」
カマンティス「カマ〜。」
カケルは、カマンティスにそう話しかけていると、それを黙って見ていたヴァルバラドは、顔は見えないものの少しイラついているような感じで口を開く。
???「………………チッ、トドメを奪われたか。」
ヴァルバラドはそう言って、その場から立ち去ろうとするが、それに気付いたカケルが待ったをかけた。
カケル「おい!なんであの時俺たちのことを狙った!?」
???「狙った?…………いったい何のことだ?」
カケル「とぼけるな!あの時戦った相手はお前とそっくりだったぞ!」
???「何を言ってるのか分からないが…………そうか、そう言うことか。」
カケルがそう叫ぶと、ヴァルバラドは覚えがないのか首を傾げる。
だがカケルの話を聞いた途端に勝手に納得し、どこかへ去ろうとする。
カケル「お、おい!どこに…………!?」
???「次こそは俺が手に入れる。アレはお前如きが持っていい物じゃない。」
カケル「物って……………ケミーを物扱いするな!そもそもお前はいったいなんだ!何が目的なんだ!」
???「もうお前と話すことはない。これ以上は時間の無駄だ。」
カケル「なんなんだ、あいつ……………。」
カケルがそう言う中、ヴァルバラドはそう言う。
カケルは、ヴァルバラドにそう聞くが、ヴァルバラドは一蹴して、そのまま去っていく。
カケルは、変身解除した。
カケルのもとに、シン達が駆け寄る。
シン「カケル!」
シシリー「大丈夫ですか!?」
カケル「あぁ、大丈夫だよ。そっちは大丈夫だったか?」
ユリウス「こちらは大丈夫でござる!」
マリア「……………………。」
オーグ「……………………。」
集まってきたシン達がカケルを囲んで話しかける。
だが、どういうわけかマリアは俯いた状態のまま何を言わずに黙っていて、オーグは渋い顔でカケルを見つめていた。
カケル「ま、マリア?オーグ?」
シシリー「大丈夫ですか?」
マリア「カケル…………あんた、本当に何者なのよ!?突然カートが魔物になっただけでも頭がパニックなのに、突然魔道具を取り出したと思ったら変な姿になって!と思ったら変な魔物みたいなのが乱入してきて!それでまた気付いたら今度はバッタみたいになって!もうわけ分かんないわよ!」
カケル「ちょ、ちょっとマリア落ち着いて…………………。」
オーグ「同感だな。一仕事終えたところで悪いが、お前には聞きたい事が山ほどできた。とりあえずさきほどの約束を果たしてもらおうか。」
カケル「あ、アハハ…………」
マリアとオーグがカケルに対してそう問い詰めようとし、カケルは二人の、特にマリアの剣幕に押されており、タジタジになっている。
そんな状況の中、今まで地面に転がっていたカートがマルガムになる前と同じような表情で呻き声を出しながら起き上がろうとしていた。
カート「ぐっ……………!このままで済むと……………………!」
オーグ「リッツバーグ。」
カート「あ、アウグスト殿下……………。これは………その…………。」
オーグ「お前の行いには、目に余る物がある。父上を通して、財務局長に伝えておこう。」
カート「そ、そんな……………!?」
オーグ「もう行け。」
カート「ぐっ……………!わ、分かりました……………。」
オーグがそう言うと、カートは立ち上がり、シンとカケルを睨みながら去っていく。
カートが去っていくのを見送ったオーグは、カケルの方による。
オーグ「では、教えてもらおうか。あのカートがなったマルガムという存在や、そのカマキリのことをな。」
カケル「え、ええ。その前に……………爺ちゃん、どう?」
マリア「えっ!?」
ヴァン「うむ。他の皆のケミーやマルガムに関する記憶は避難誘導のついでに消しておいたぞい。」
オーグがカケルにそう聞くと、カケルはそう言っていつのまにか彼らの背後にいたヴァンに声をかける。
シン以外は驚きのあまり思わずヴァンのいる方へと勢いよく振り向いた。
シシリー「もしかして………………ヴァン様ですか?」
ヴァン「おう!わしがヴァンじゃ!」
マリア「会えちゃった……………!」
シン「まあ、カケルについては、ここで話すのもなんだし、家に来る?多分、カートのあの様子じゃあ、諦めてなさそうだし、ちょっと思いついた事もあるし。」
シシリー(シン君の家って言ったら…………!)
マリア(シンの家って言ったら…………!)
シン「もし用事があるなら……………。」
シシリー・マリア「行く!!すぐ行く!!絶対行く!!」
シシリー達が、ヴァンと会えた事に驚く中、シンはそう提案する。
すると、シシリーとマリアはそう叫ぶ。
シン(……………よっぽど爺ちゃん達に会いたいんだな……………。)
オーグ「では私も行くか。どうせ父上もシンとカケルの家へ行くだろうしな。」
シンがそう思い、オーグがそう言うと、トールが口を開く。
トール「ならば、自分たちもご一緒します。」
カケル「確か、トールとユリウスだよな?」
オーグ「ああ。2人とも、私の護衛だ。」
トール「殿下の身に何かあれば大事ですから。」
ユリウス「その通り!拙者も伺うで御座る!!」
シン(何この人!?武士!?御座る!?)
カケル(武士の用語がこの異世界にも!?)
マリア「兎に角私達、両親に報告だけして来る!」
シン「ああ。騒ぎにならない様に爺ちゃん達来賓室に居るみたいだから、そこで待ってるよ。」
トールとユリウスがそう言うと、ユリウスの口調に、シンとカケルは驚く。
その後、マリアとシシリーが、両親の許可を貰い、来賓室に向かう。
来賓館に行くと、マーリンとメリダとディセウムが待っていた。
マーリン「遅かったのう。何かあったかと心配しとったぞ。ヴァンが動いたという事は、何かあったのじゃな。」
ディセウム「全くだ。私は君がまた何かヤラかしたかと……………。」
カケル「悪い悪い。」
シン「ゴメン爺ちゃん、ディスおじさん、それヒドい。あ、紹介しておくよ。クラスメートのシシリーとマリア。」
カケル「そして、トールとユリウスだ。」
シン「ちょっとシシリー達も家へ連れて行きたくて。」
マーリンとディセウムがそう言うと、カケルとシンはそう言う。
2人がそう言うと、シシリー達は固まる。
そして、慌てて自己紹介をする。
マリア「っ!?ははは初めまして!!シン君と同じクラスのマママリア=フォン=メッシーナです!!」
シシリー「あのその……………は、初めまして!!シシリー=フォン=クロードです!!」
トール「トールです!」
ユリウス「ユリウスで御座る!」
4人はそんな風に自己紹介をする。
すると、ディセウムが口を開く。
ディセウム「フム……………さてはその青い髪の子がシン君が捜していたと言う…………。」
カケル(鋭いな。)
メリダ「ほう、アンタがそうかい。」
シシリー「??!?」
ディセウムがそう言うと、カケルはそう思う。
そんな中、メリダは緊張するシシリーをじっと見る。
シン「だ〜〜〜もういいから!!早く家行こう!早く!!」
ディセウムとメリダの2人が、シシリーを見る中、シンはそう叫ぶ。
そして、屋敷へと戻り、事情を説明する。
メリダ「成る程、式の後にそんな事があったのかい。」
マーリン「ディセウム。この国の貴族には、まだそんなのが居るのか?」
ディセウム「一部選民意思の強い者がまだ居りますが、我が国の貴族の意識改革は順調に進んでいるはずです。それに、財務局のリッツバーグ事務次官と言えば公明正大で有名…………。その息子がそんな事になっているとは信じられません……………。」
カケル「だとすると、カート自身に何かあったのかもしれないな。」
ディセウム「うむ。それしかあるまい。」
シン(そんな立派な父親が息子の勝手な都合を聞き入れるはずないのに…………何でカート君はあんな事言ったんだ?)
メリダがそう言うと、マーリンはディセウムにそう聞く。
ディセウムがそう答えると、カケルがそう言って、ディセウムも同意する。
シンがそう考える中、オーグがシンに話しかける。
オーグ「……………まあそれはそれとしてシン、思い付いた事とは何だ?」
シン「あ、そうそう。婆ちゃん、俺、この間制服の付与書き換えたじゃない?同じものをシシリーの制服にも付与してあげたいんだけど…………良いかな?カート君の件でまだ不安があるし、彼女の守りを固めておきたいんだ。」
シシリー「え?」
マリア「付与を!?」
オーグ「どう言う事だ!?」
シン「凄いよこの記事。20文字も付与出来たし。」
カケル「へぇ。」
オーグがそう聞くと、シンはそう言って、周囲の人たちは驚く。
トールとユリウスも首を傾げる中、メリダはシシリーをチラリと見て、口を開く。
メリダ「そうさねぇ……………。シシリーと言ったね?」
シシリー「は、はい!」
メリダ「シンの言ってる付与魔法とは、とんでもない代物だ。それにお前さんの制服にも付与しようとしている。この子は本気でアンタを守ろうとしてるって事さ。アンタはその守護を受け取る”資格”があると思うかい?」
シシリー「資格……………ですか?」
メリダはそう言うと、シシリーはそんな風に反応する。
それを見たシンが口を開く。
シン「大袈裟だよ婆ちゃん。俺がやりたいだけなんだから……………。」
メリダ「お黙り。アンタの制服、今どんな状態か分かっているのかい?」
シン「どんな状態って…………?」
メリダ「それは既に国宝級の防具だよ。」
全員「国宝級!?」
シンがそう言う中、メリダは食い気味にシンの言葉を遮り、そう言う。
それを聞いた一同は、驚く。
カケル「国宝級って……………。」
メリダ「この子がまたハッチャけてとんでもない効果を付与しちまったのさ。価値にしたら、一体幾らの値が付くか分からない。そんな処理をこの子はアンタの制服に施そうとしてる。それを受け入れる資格は……………覚悟はあるのかい?」
シシリー「………………。」
またやらかしたシンに対して、カケルが呆れと驚愕の表情を浮かべる中、メリダはシシリーを見ながら、そう言う。
シシリーは、それを見て葛藤するが、すぐに答える。
シシリー「私………には………その資格は………ありません。」
メリダ「ん?どう言う事だい?」
シシリーはそう言いながら、目には涙を浮かべていた。
それを見て、シンは驚く。
シン「シシリー!?」
カケル「………………。」
シシリー「私は…………シン君の優しさに付け込みました…………。シン君に私の事情を話せば…………私に同情してくれる…………助けてくれる…………そう期待して、私の事情を話しました……………。」
マリア「違うの!!これは元々私が…………!!」
シシリー「マリアは悪くない!聞いて貰うと決めたのは私だから……………!!」
それを見たシンが驚き、カケルがシシリーを見る中、シシリーはそう独白する。
マリアがフォローしようとするが、シシリーはそう叫ぶ。
それを聞いたメリダは口を開く。
メリダ「まあ、この子は強いからね。頼りになるのも分からんでもないさね。」
シシリー「でも…………!!でも…………シン君には関係ないのに…………やっぱり助けてくれて…………守ってやるって言ってくれた事が嬉しくて…………期待して…………全部自分の勝手な都合なのに…………!!」
シン(あの時の言葉は…………そう言う事か……………。)
カケル(あのごめんなさいは、そういう意味だったのか。)
メリダがそう言う中、シシリーの独白は続いた。
それを聞いて、シンとカケルは、あの時の言葉の意味を察した。
すると、シシリーは立ち上がり、メリダに頭を下げる。
シシリー「メリダ様!!お孫さんを利用しよとして申し訳ございませんでした!!この後の事は自分で何とかします!!」
シン「シシ…………!」
シシリーはそう謝罪して、そのまま立ち去ろうとする。
それを見て、シンはそう叫ぼうとすると、メリダが大きく叫ぶ。
メリダ「お待ち!!」
メリダはそう叫んで、シシリーを呼び止める。
メリダ「シシリー、よく正直に話したね。シンを利用しようとしてるのはすぐに分かったよ。もしそのままシンの付与魔法を受けようとしたなら、叩き出してる所さね。」
シシリー「…………うう…………ひっ…………うぐっ……………!」
メリダ「でもアンタは正直に話した。付与された防具の価値を知った後に…………だ。それを手にするチャンスを自分で放棄する事は、誰にも出来る事じゃない。」
シシリー「でも…………でも…………わた…………私…………シン君…………騙して…………。」
メリダはそう言うと、シシリーの方に歩み寄る。
シシリーが泣く中、シシリーが落とした帽子を拾い上げ、シシリーの頭に戻しながら、メリダは口を開く。
メリダ「女が男を騙して何が悪いんさね。アンタのした事なんざ可愛いもんさ。シンを見てごらん?気付いてもいないよ。寧ろ可愛い女の子に頼られたもんだから張り切ってる位じゃないかい。」
シン「悪かったな!」
カケル「フッ。」
シン「シシリー、俺は騙されたなんて思ってないよ。シシリーを助けようと思ったのは俺の意思だよ。だからさ、俺の意思を否定すんなよ。利用してくれて大いに結構だよ!寧ろ事情を聞かされないでシシリーに何かあった方が後悔するわ!」
シシリー「シ…………シン…………君…………!」
メリダは、シシリーにそう言いながら、シンを見る。
シンは、照れくさそうにそう言い、カケルは笑う。
シンはそう言うと、シシリーは涙目でシンを見る。
そして、メリダは謝罪と共に、シシリーを抱擁する。
メリダ「試す様な事をして悪かったねぇ。シンが付与する防具を渡すには、どうしても確認しなきゃいけなかったから、悪かったね。」
シシリー「う…………うぅ…………うわああああん!!!」
メリダがそう言うと、シシリーは大きく泣いた。
シシリーが落ち着いた後、メリダがシシリーに言う。
メリダ「付与については、一切他言無用だからね。」
シシリー「は……………はい!」
シン「じゃあ早速付与しようか。シシリー、服とスカートを…………。」
シシリー「こ、ここで……………?」
シン「はっ!」
カケル「馬鹿野郎。」
メリダがシシリーにそう言う中、シンはそう言う。
失言だった為に、カケルにハリセンでぶっ叩かれる。
それを見ていたメリダは、口を開く。
メリダ「おいでシシリー。私の服を貸してあげる。」
メリダはそう言うと、シシリーを別室へ連れて行く。
それを見ていたマーリンとヴァンが口を開く。
マーリン「のうシン。」
シン「何?爺ちゃん。」
マーリン「ワシ、あの子がシンを利用しとるなんて全く気付かなんだわい…………。」
ヴァン「ワシは、薄々気づいてはいたがな。」
シン「何だよ爺ちゃん…………俺もだよ…………。」
マーリン「メリダの奴、よく気が付いたのう…………。」
シン「女としての年季なんじゃない?」
マーリンとヴァンがそう言うと、シンはそう言う。
ヴァンは、ある事を言う。
ヴァン「もし、事実を打ち明けずに効果を付与しておったら、罪悪感であの子の心は押し潰されていたかもしれんの。」
シン「だからさ、そんな大事なの?俺の付与。」
カケル「気づいてないのか……………。」
マーリン「それより……………あの婆さん、ここの権限握っとらんか?ワシ、さっき完全に空気じゃった……………。」
シン「頑張れ!爺ちゃん!」
ヴァンがそう言うと、シンはそう言って、カケルは呆れる。
マーリンがそう言うと、シンはそう言う。
オーグ達も、空気と化していた。
一方、別室では。
メリダ「それにしても、よく正直に言ったもんだね。だって国宝級だよ?私の若い頃なら絶対黙ってたね。」
シシリー「私じゃどうしようもない状況なのは、確かなんですけど…………。それでも黙ってるのは…………やっぱり苦しくて…………。」
メリダ(成る程ねえ、良い娘じゃないか。)
メリダはそう言うと、シシリーはそう答える。
それを聞いたメリダは、感心しながら、シシリーに聞く。
メリダ「ところでシシリー。」
シシリー「何でしょうか?」
メリダ「アンタ、シンの事はどう思ってる?」
シシリー「え…………ええ!?」
メリダ「アンタみたいな良い娘に、シンの事を頼みたいんだけどねえ。」
シシリー「たたた頼むって!?」
メリダ「その様子じゃ、満更でもないんだろ?」
メリダはそう言うと、シシリーは慌てる。
メリダがシシリーにそう聞くと、シシリーは口を開く。
シシリー「そ…………それは…………その…………嫌いではないです…………絶対…………。でも、す…………好きかって言われると…………シン君の事は…………優しいとか…………なのに…………強いとか…………か…………格好良いとか知りませんし…………良く分かりません…………。」
メリダ「…………それで十分な気もするけどねえ……………。」
シシリー「え?」
メリダ「いや、何でもないよ。(この娘は何とか確保したいねえ。)」
シシリーがそう言うと、メリダはそう呟く。
シシリーが首を傾げる中、メリダはそう考えていた。
その後、メリダとシシリーも戻ってきて、制服に付与を始める。
メリダ「自分の常識外れを知る良い機会だ。シン、皆の前で付与しな。」
シン「はいはい。」
メリダがそう言う中、シンは、魔法文字を浮かび上がらせる。
ディセウム「な…………何だこれは!?文字が浮かび上がって…………魔法防御…………衝撃緩和…………まさか…………制服に付与された文字…………!?」
ユリウス「この様な光景を初めて見るで御座るな…………。」
それを見たディセウムとユリウスは、そう言う。
そして、シンはペン型の魔導具の消しゴム部分を用いて、付与魔法を消していく。
シシリー「文字が…………消えていく…………!」
マリア「まさか…………付与魔法を削除してんの!?」
メリダ「はぁ……………何回見ても非常識な光景さね……………。」
マーリン「ほっほっ。誰も考え付かん事を平気でやりよる。成長したのう。」
メリダ「アンタがそんなんだからシンはぁ!!」
カケル「落ち着いて下さい、メリダ様!」
ヴァン「気持ちは分かるが、一旦落ち着くんじゃ!!」
シシリーとマリアが驚く中、メリダは呆れて、マーリンは笑う。
それを聞いたメリダが、マーリンの首を絞める中、カケルとヴァンが落ち着かせようとしていた。
シン「……………じゃあ、新しい魔法を付与していくよ。」
シンはそう言うと、自分の制服に付与した物を付与していく。
ユリウス「同じ付与を…………続けて3つ別々の物に…………!?」
トール「普通は1つでも大変なのに…………。」
ディセウム「見慣れん字だが……………どんな効果を付与してるんだい?」
シン「絶対魔法防御、物理衝撃完全吸収、自動治癒、防汚……………の4つ。」
オーグ「何やら不穏な単語が聞こえたな。」
ユリウスとトールが驚く中、ディセウムはそう聞く。
シンがそう答えると、オーグはそう呟く。
すると、ディセウムが驚く。
ディセウム「絶対…………魔法防御…………!?そんな事が可能なのか…………!?」
シン「俺も相当苦労したよ。そのイメージを作り上げるのにね。全ての魔法を防ぐ為に『堅い壁』をイメージしてたんだけど…………上手くいかなかったんだ。火は防げても、電撃が防げなかったり。…………で、発想を転換してみた。服を包むように魔力の障壁を展開させて…………発動した魔法が、その障壁に触れると魔力が霧散するイメージを付与してみたんだ。」
マリア「魔力の霧散…………!?魔法使いの存在意義に関わる付与ね…………。」
シン「衝撃吸収の方は、服に向かって働いている運動エネルギーを消失させるイメージだよ。」
ユリウス「ぶ…………物理攻撃も効かないで御座るか…………!!」
ディセウムがそう言うと、シンは付与をしながら、そう解説する。
それを聞いたマリアとユリウスは、驚いた。
しばらくすると、付与を終える。
シン「よし!出来た!!」
シンはそう叫ぶ。
それを見ていたオーグたちは。
オーグ「もう何でもありだな…………。」
ユリウス「そもそも付与の書き換えって…………。」
マリア「本当、常識を疑うわ…………。」
シン「あれ?」
カケル(そうなるのも、無理ないよな。)
オーグ達がそう話してるのを見て、シンは首を傾げ、カケルは同情する。
シンは口を開く。
シン「でも、あくまでこれ魔法道具だから、魔力を通さないと発動しないでしょ?だから不意打ちとか防げないんだよね。それに制服以外の所はカバーされないから、手足と頭は無防備なんだよ。」
ディセウム「しかし…………それを補って余りある魔法効果…………メリダ師の仰った事がよく分かった。」
オーグ「しかし父上、これは…………。」
ディセウム「分かっている。」
シンがそう言う中、ディセウムとオーグはそう話すと、ディセウムはシンに話しかける。
ディセウム「シン君、その付与は素晴らしい物……………いや素晴らし過ぎる。これが世に出回ったら大変な事になる。絶対に他言していけないよ。」
シン「分かってるけど、そこまで念を押す様な事?」
ディセウム「そこまでの事なんだよ。もしその付与の事が軍部に伝わったら…………周辺国に宣戦布告を望む声が上がる可能性が高い!」
シン「宣戦布告…………!?」
カケル「だろうな。」
ディセウムはそう言う中、シンは首を傾げる。
ディセウムのその次の言葉に、シンは驚き、カケルは納得する。
カケル「シン、考えてみろ。魔法も物理攻撃も効かず、怪我もすぐ治る。そんな防具を着た兵士が揃っていれば、他国の軍勢など圧倒出来るだろうな。」
ディセウム「カケル君の言う通りだ。人間は誘惑に弱い。他国より圧倒的に有利な状況で戦争を始められるとなれば、この誘惑に負けてしまう者は……………確実に出る。」
シンが驚く中、カケルとディセウムはそう言う。
それを聞いたシンはようやく、事態の重大性に気づく。
シン「そ…………そんな…………!(俺は………皆の身を守られたと思っただけなのに…………戦争の道具にされるとか考えもしなかった………。これも、この世界の現実なんだ…………。)ごめん、俺…………そんな事まで全然考えてなかったよ…………。」
メリダ「っ!!ああ…………シンが…………シンが初めて自分の非常識を反省してくれたよ!!」
マーリン「ほっほっ。」
ディセウム「分かってくれれば良いんだよ、シン君。」
シンはそう言うと、メリダは感動して、マーリンとディセウムはそう言う。
だが、ディセウムはシンの次の言葉に驚く。
シン「本当はオーグの制服にも付与しようと思ってたけど……………これ以上広まるのはマズイよね。」
ディセウム「え?シン君!?ちょっと待…………!」
シン「オーグごめんな。お前の制服には付与してやれないわ。」
ディセウム「ちょっと待とうかシン君!確かに口外はマズイが……………運用さえ間違えなければ良いと思わないかい!?」
シン「そりゃそうだけど……………。」
ディセウム「そうだろう!!身を守る手段としてこれ以上の物はない!!そしてやっぱり王族にはそれなりの守りは必要だと思うんだよ!!うん!!だから息子には…………はは…………ダメ?」
カケル「さっきまでのかっこいい姿はどこに行ったんですか……………。」
シンがそう言うと、ディセウムはそう叫ぶ。
先ほどとは打って変わった姿には、カケルも呆れていた。
結局、オーグ、トール、ユリウスの制服にも付与をする事に。
シンが制服に付与し終えた後、オーグは口を開く。
オーグ「さて、これで片付いたが……………カケル、聞かせてくれ。あのガッチャードというのはなんなんだ?」
カケル「えっ?ちょっと、爺ちゃん?」
オーグがそう言うと、カケルはヴァンの方に向かい、内緒話をする。
カケル「ちょっと、爺ちゃん!?どういう事!?ケミーに関する記憶は消したんじゃないの!?」
ヴァン「それじゃがな、Sクラスの面々には話しておくべきだと思うぞ。」
カケル「えっ?」
ヴァン「彼らなら、ケミーの存在を口外するとは思えん。」
カケル「ああ……………まあ、同じクラスだし、誤魔化しきれないか。」
カケルはヴァンに聞くと、ヴァンはそう答える。
カケルもそう思い、元の座席に戻る。
カケル「………………分かりました。ケミーにマルガム、そして、ガッチャードについてを。」
カケルはそう言って、ヴァンと共に、ケミー、マルガム、ガッチャードについてを説明する。
ケミーは、錬金術によって生まれた奇跡の生命体である事。
それが解き放たれ、人間の悪意と結びついてしまうと、マルガムという怪物になる事。
そして、そのケミーの力を借りて、ケミーを再封印するのが、ガッチャードであるという事を。
シシリー「そうなんですか……………。」
マリア「えっ!?錬金術って……………!」
トール「物語でしか見た事がないのですが…………。」
ユリウス「実在するとは……………。」
ヴァン「まあな。パラケルス家は、元々は料理人の家系だったが、錬金術が使えると分かったんじゃ。」
シン「じゃあ、あのもう片方もケミーを使ってるのか?」
カケル「ああ。戦ってる中、ちらっと見たけど、剣の中にケミーのカードが入ってた。」
シシリー達が驚く中、シンはカケルにそう聞いて、カケルはそう答える。
オーグは、カケルに聞く。
オーグ「カケル。一つ聞きたい。」
カケル「なんだ?」
オーグ「ケミーとやらは、人間に害する存在なのか?」
カケル「それは違います。ケミーは、純粋な存在なんです。マルガムになるのは、人間の悪意と結びついてしまったからです。ケミーに罪はありません。」
オーグ「………………そうか。」
オーグはそう聞くと、カケルはそう答える。
その答えに、オーグは納得した。
その後、屋敷の外に出る。
シン「結局追加で付与したのはオーグとトールとユリウスの3人分か。」
トール「僕らは護衛ですから必須です。」
ユリウス「辱いで御座る。」
カケル「マリアは、良いのか?」
マリア「いい。そんな国家機密の塊みたいなの着たくない。」
そう。
マリアはそんな理由で拒否したのだ。
それを見て、カケルは苦笑していた。
シン「じゃあシシリー、明日から俺とカケルがまず家に迎えに行くからマリアと待ってて。それで登下校中の心配はないよね?」
シシリー「シン君…………ありがとう。まだちょっと怖い…………でも、シン君が本気で守ってくれてるのが分かります。凄く嬉しいです!」
シン「………………。」
シンがそう言うと、シシリーはそう言う。
それを見ていたシンが見惚れると、口を開く。
シン「あ、後2日目からはゲートの魔法での移動になるからね。俺が1回行った場所にしか移動出来なくてさ。」
マリア「ん?ゲートって何?」
シン「こーいう魔法。」
マリア「っ!?」
シン「中入ってみて。」
シンがそう言うと、マリアは首を傾げるが、シンはゲートの魔法を発動する。
それを見て、マリア達が驚く中、皆は中に入る。
すると、以前、シン達が住んでいた家が見える。
カケル「ここか。」
マリア「えーと…………ここ…………何処?」
シン「俺と爺ちゃんが前に住んでた家。」
オーグ「ちょっと待て!お前は森の奥に住んでたって言ってたな!?」
シン「ここがそうだよ。」
マリア「まさか転移魔法!?」
シン「転移とはちょっと違うんだけどね。場所と場所を繋げると言うか。」
マリア「いや、ちょっと意味分かんない……………。」
カケルがそう言う中、マリアが首を傾げ、シンとそう言う。
それを聞いて、オーグやマリアが驚く中、シンはそう言って、マリアは頭を抱える。
その後、戻って来た。
シン「ゲートは1度行った場所にしか作れないから、家まで馬車で送って開通させるよ。」
シシリー「は、はい……………。」
シンがそう言うと、シシリーは呆然としながら言う。
マリアは、頭を抱えながら言う。
マリア「色々驚き過ぎて頭痛くなってきた……………。」
トール「皆が言う程の常識知らずではないと思ってましたけど……………。」
ユリウス「魔法の常識知らず…………。」
オーグ「主席殿も一般常識は落第だな…………。」
シン「そんなに非道くはないだろ?」
全員「え…………?」
シン「え?エヘヘ…………あれぇ?」
マリアが頭を抱える中、トール、ユリウス、オーグの3人は、呆れた声を出す。
シンがそう言うと、全員驚いた声を出す。
そして、オーグは呆れ気味に言う。
オーグ「シン…………お前、常識を学ぶ前に、自分の行動見直した方が良いと思うぞ。」
シン「…………な…………何だよ皆して…………。」
カケル「本当だよ。」
シン「カケルまで……………。」
オーグが呆れ気味に言うのをシンが呆気に取られる中、カケルも呆れ気味にそう言う。
こうして、波乱の1日は幕を閉じた。
今回はここまでです。
カマンティスを再封印して、ヴァルバラドも登場しました。
オーグの、ケミーに関する認識は、純粋ではあるが、場合によっては、人間に危害を加える可能性がある存在という感じです。
シシリー、マリア、オーグ、トール、ユリウスの面子は、ケミーやガッチャードの存在を知りました。
次回は、話を進めていきます。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
オリキャラは、何人か登場します。
ちなみに、カケルのヒロインは、前回の話で名前だけ登場した、エレナ=フォン=クラークというキャラクターです。
オリキャラは何人かは、カートが魔人化した際に登場させます。
仮面ライダーレジェンドの変身者は、誰にするか。
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オリキャラ
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オーグ
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その他