オベロンみたいな理解者系生徒を先生の傍に置きたかった話   作:星ノ瀬 竜牙

4 / 8
プレ先世界の話。
バッドエンドをおひとつどうぞ。

滅ぶ世界なんだから、こうもなるよねって話です。


書きたかったので書きました(欲望)

評価50人到達ありがとうございます。
目標到達したので真名解放しておきました。


滅びる世界 センテイジショウ

「ねえねえティアちゃん」

 

「なに急に。見ての通り手は空いてないんだけど?」

 

 気怠げな表情で白髪の少女は、話しかけてきた水色の髪の少女を見つめる。

 

「なんとなく話しかけただけだけど?」

 

「あ、そう。じゃあこの先二度と口は開かないでね? 耳が腐るから」

 

 にっこり、と笑って彼女に対してそう言葉を投げかける。

 

「いきなり酷いっ!?」

 

「当然だろ、要件もなしに話しかけてくるなよ」

 

 ガーン! という音が付随しそうな表情を浮かべる少女に対して、ティアと呼ばれた少女は心底ウザそうに返す。

 

「だって、ティアと話せる時間って貴重だし」

 

「うっざ、なに? 構ってちゃん? なら大好きなリンちゃんにでも話しかけておけば?」

 

「リンちゃんとのお話はお話で楽しいけど、ティアは特別なんですー! 私が唯一本心で話し合える相手だし!」

 

 本心から、彼女はそう言った。それを見て、少女は疲れたようにため息を吐く。

 

「……はぁ……ほんっと、なんでこんなヤツの心見抜いたんだろオレ」

 

「それはもうそういう運命だったとでも思っておくしかないんじゃない?」

 

「…………」

 

「ちょ、やめてよそのゴミを見るような目!? ティアにその目で見られるとすごく心が痛いから!?」

 

 心の底から軽蔑したような表情で見つめられて思わず涙目になっていた。

 その様子を見て、諦めたように少女は切り替える。

 

「……まあいいよ、アンタのそういうところはどう足掻いても変わらなさそうだし」

 

 大きな部屋の一室で沈黙が続く。要件は終わりだ。と言うように少女は窓の外を見る。反吐が出るほど、綺麗な青空だった。

 そして、沈黙を破ったのは彼女だった。

 

「……ねえ、ティア」

 

「だからなに、要件がないなら口閉じろって言ったよな?」

 

「ううん、今回は真面目な話。……ティアはさ、この世界……キヴォトスのこと、嫌い?」

 

「は? いきなりなに?」

 

「いいから、教えて欲しいなー? ね! この通り!!」

 

 お願いします! と手を合わせて頼み込む彼女に、どうでも良さそうな顔をしつつも頭を抱えてため息を吐く。

 

「……はあ……別に? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………そっか」

 

 少女の口から出たのは、無関心。好きでも嫌いでもなく。純粋に、興味もなく……心の底からこの世界のことなんてどうでもいいと口に出していた。

 

「……なんでお前が罪悪感を抱えてんだよ気持ち悪い」

 

「……ごめんね……でも、やっぱり……興味がない、って凄く悲しいことだから」

 

 本当に、悲しそうな表情を浮かべる彼女に心の底から不思議そうに少女は首を傾げる。

 

「……なんで? 嫌いになるとかよりよっぽどマシじゃない?」

 

「ううん、マシなんかじゃないよ。それよりも……もっと悲しいこと。

 好きの反対は、嫌いじゃなくて無関心……私はこの言葉を本当だと思ってるから」

 

「好きの反対は無関心……ね」

 

「うん、それってこの世界のことを無価値だ、って意味がない、って思ってることと一緒なんじゃないかな、って思ってるから。そして……それをティアに抱かせてしまっているなら、きっとそれは私の『責任』だから」

 

 この世界において1番偉い立場だから。だから、唯一無二の親友に私が好きなこの世界のことをそう思わせてしまうのは、私が無力なせいだと思っている。

 

「ハッ、責任とか口に出すにはガキすぎるだろ、アンタ」

 

「そうかもね。だけど、私がそう思ってるんだ。これはより良い世界に……ティアに、いいな。って思わせられなかった私の努力不足だと思ってるから」

 

「…………興味なんていらないでしょ。どうせ滅びる世界に、そういうのって要らないと思わないワケ?」

 

()()()()()。 例え、ティアがそちら側であったとしても、それでも思わない。滅ぼす側にも、惜しいと思わせることが大事だと思うから」

 

 少女を見据える水色の瞳は何処までも澄んでいて。その言葉が本心だと理解してしまう。だから少女は、罵倒のひとつもできずに目を逸らしてため息を吐く。

 

「……ああ、そう。そう思うわけ。バカな生き方してるね、お前」

 

「あはは、そうかも。私って意外と頭が固いらしいからさ」

 

「確かに、頑固さで言えばこの世界1位じゃない?」

 

「な、なにおぅ!?」

 

「いや自分で言ったんだろ」

 

 即答されると心外だと言わんばかりの表情を浮かべる彼女に呆れた視線を送る。

 

「……だからさ、私は思うことがあるんだ」

 

「……なにを?」

 

「ティアが、この世界を好き、嫌い……そういう形で、捉えられる日が来るといいなぁって」

 

「好きじゃなくていいのか?」

 

「うん、好きとか嫌いとか……どっちでもいいんだよ。それはきっとティアにとって価値があると思えたって意味になるから」

 

「……あっそ、まあそんな日が来るわけないでしょ。仮にも終末装置だぜ、オレ?」

 

「いやー、分からないよ? 世界を滅ぼす側の存在だとしても……誰かを好きになったり、嫌いになったりするかもしれないじゃん?」

 

「はー、ないわ。絶対ない。ないない。賭けてもいいね。オレは絶対そんなことにならないよ」

 

「あー、言ったなー!? なら私も賭けようっと! もちろん、ティアが誰かを好きになる方向で!」

 

「うわ、ノリノリじゃねえか。きっしょ……てか仮にもお前の立場で賭け事なんてしていいワケ?」

 

「ぅ……ば、バレなきゃいいんだよこういうのはバレなきゃ……!」

 

「それ絶対バレるやつだろ」

 

 しゅん、としながら視線を気まずそうに逸らす彼女をジト目で睨む。

 

「でも、私は信じてるよ。きっとティアも大切に思える何かを見つけることができるって」

 

「あっそ、好きなだけ信じておけば? ……それで?」

 

「うん? それで……?」

 

「いや、だから何を賭けるわけ? オレは、その時になったら決めるつもりだけど」

 

「うーん、そうだなぁ……」

 

 彼女はあーでもない、こーでもない。とうんうんと頭を悩ませ、ハッと思いついたように少女を見つめる。

 

「決めた! ティア、私が賭けるのはね───」

 

───

 

 全て、上手くいった。この世界において最も神秘の高い存在は死んだ。名もなき女王は世界を滅ぼす尖兵の兵器となった。魔女は堕ちた、虚無たる少女たちもまた使い潰されて死んだ。シャーレは連邦生徒会と共にその殆どが崩壊した。

 

 ──ああ、本当に全てが上手くいったのだ。

 

 その結果として、先生はここで眠っている。

 

「ははは、情けないなぁ。先生、本当に情けない。その程度で終わるなんて本当にね。だから言っただろ、銃弾1発で終わりかねない命なんだから大事にしろって、死ぬ前にオレは言ったよな。なのに、アンタは結局こうなった」

 

 人工呼吸器をつけられ、機械の音しか聞こえないその部屋で、黒いナニカが眠りこける先生の姿を見続ける。

 

「ほんと、馬鹿だよね。アンタも、ここの連中も。

 未だに蘇生を試みようとして、そのうえで……アンタもまだ諦めてない。もう全て無駄だってのに」

 

「奇跡は起きないのさ。オレの意思が勝った以上、アンタにもう奇跡は起こらない。そういう風にできている。なのに、まだ抗おうとしてる奴らがいるのは本当に滑稽だ」

 

 見なよ、先生。外は地獄だ。

 オレが生み出した蛇と蟲共が飛び交い、人を食い殺し、目覚めた神名十文字(デカグラマトン)たちはオレの意思に従い全てを焼き尽くす。世界の終わりそのものだ。

 

「それでもまだ、アンタは先生のつもりなんだから笑えるね」

 

「ここにはもう、大人も子供も関係ない。遍く総てが等しく滅びるべき存在だ。それでもアンタは先生でいる気だろ? ああ、本当にどうしようもない」

 

 黒いナニカはそう語り掛け、鎌を手に取りその首に突きつける。

 一太刀すれば、そこにいる存在は死ぬだろう。もとよりそういう存在だ。現にたった一つの災いでこうなっているのだから……殺すことぐらいは容易い。

 

 だと言うのに。

 

「──……はぁ、やっぱやめた。気が乗らない。どうせなら、意識がはっきりしてる時じゃないと。今やったところで殺せもしないしな。……おっと」

 

 ガチャ、と誰かが先生が眠る部屋に入ってくる。

 ……そしてそこには。初めから誰もいなかったように、痕跡のひとつすら残っていなかった。

 

───

 

「いやー、本当に治安も何もあったもんじゃないね!」

 

 アビドスの砂漠にたどり着くまでに、黒いナニカは赤い血をこびりつかせていた。それらは全て返り血。蟲が、蛇が食いちぎったあとの残骸から溢れたものだ。それすらも彼女にとっては滑稽なもの、滅びゆく世界で鳴り響く有象無象の悲鳴の数々でしかない。

 

「さて、と……たしか、この辺りに……お、いたいた」

 

 知らない少女が立っている。いや、個人的には見覚えがある相手なんだけど。

 オレと一緒で反転すれば一気に変貌するんだなぁ。つか、胸デカ。オレなんて全然変化なかったんですけど? 

 

「やあやあ、死の神(アヌビス)さん。お目覚めの気分はいかがかな? 最低かい? それとも最悪かな? どっちかだと嬉しいなぁ〜!」

 

「……? てぃ、あ……?」

 

「───マジか」

 

 彼女が黒いナニカに語りかけてきた瞬間、そのナニカはピシリ、と固まった。

 それは、ありえないはずだった。だって既に、その名前の少女は死んでいる。 文字通り、存在ごと。なのに、彼女はここにいるソレをティア、と呼んだのだ。それがつまり意味することは……

 

「ああ、そういうこと。最凶の恐怖ってワケね。だから、本来もう誰も覚えていないはずのオレのことすら認識できたってことか。うーわ、死ぬほど面倒じゃん」

 

「……ティア、は……生きて……たの?」

 

「ははは、これで生きてると思ってる? むしろその逆。絶賛死んでるよ」

 

 彼女の言葉にナニカは答える。そう、その黒いナニカは死んでいる。現在進行形で死んでいるのだ。

 

「……どう、いう……?」

 

「ああ、オレって早い話、世界の代弁者なんだよね。だからオレを妃童 ティア(オレ)として認識しているヤツが死んでいくほどオレはその存在、形、あり方を失っていくわけ。だからこうして滅びれば滅びるほど、オレはオレとしての形を保てなくなっていくわけだ! つまりこうして喋っているのは人格と魂だけがかろうじて残っているものでしかない、ってことだね!」

 

「ん……そう、なんだ……」

 

 そう、だから彼女は現在進行形で死んでいっているのだ。キヴォトスの人間が死ぬほどに彼女の妃童 ティアとして定義付けられていたものが消えていく。そして、世界が滅びるほどに彼女はその名前と形を失っていくのだ。

 

「ま、オレの話はどうでもいいんだよ。本当にさ。今は、オマエの話だよ、砂狼 シロコ。いや……アヌビスと言った方がいいかい?」

 

「……どっちでもいい、もう……どうでも、いいから……」

 

「ははは、そうかい? じゃあバカ狼って呼ぼうかな!」

 

「バカはやめて」

 

「あ、そう? じゃあ狼でいいや。狼クン、キミはどうしたい? 世界を壊す? 人を殺す? それとも何もせずに塞ぎ込む? ま、オレはどれでもいいんだけどさ!」

 

 黒いナニカはケラケラと笑う。心底どうでも良さそうに。

 

「…………」

 

「私は…………」

 

 ──全部、殺すよ。それが、私の役目なら。

 

「──……ああそう。いいよ、それがキミの選択ならオレは肯定しよう」

 

 パチン、と指を鳴らす。黒いナニカの姿が人の姿へと変わっていく。少しずつ、人の形を取り戻していく。それと同時に、周囲へと吐き出た黒い塊が、蟲の姿を、蛇の形を、とっていく。

 

 それら全てが、死の神の御前で跪き、平伏する。

 

「まったく、キミが覚えていたせいでこの姿に戻れるとは。皮肉なもんだ。世界を壊す側の存在が2人になったことでカタチを保てるようになったんだからさ」

 

 黒く長い髪をたなびかせ、濁った青い瞳で死の神を先程まで黒いナニカだった者、かつて妃童 ティアと呼ばれていた少女は見つめる。

 

「ティア……」

 

「違うな、シロコ。オレは色彩の、世界の代弁者だ。それ以上でもそれ以下でもない。恐怖の女王たるキミの言葉を肯定し、尊重するだけの装置にすぎないことを忘れちゃいけないよ?」

 

「さあ、狼クン。共に地獄の再演といこう。世界終末までのカウントダウンの始まりだ」

 

 死の神へと、少女は異形の左手を差し伸べる。その手をとれば全てが終わる。

 彼女の(さそ)いは死と終末への(いざな)いだ。分かってはいる。その手を掴むことはいけないことだと。ただ、それでも……死の神……否、砂狼 シロコにとって、唯一生きている……そこにいる親しかった少女の姿をしたナニカに縋ってしまうのは、仕方のないことであったのだ。

 

 だから、彼女は……少女の手を取った。

 

「いいね、契約は成立だ。マイマスター。

 ……命令を、キミにはオレたちを使う権利がある」

 

「……なら、壊して、殺して。全部……私の役目のために」

 

「──了承した。今より我らは貴女の手足。貴女の望むままに。

 さあ、行こうか。この世界を滅ぼしに!」

 

 死の神の願いを『色彩』は受領する。そして少女は御前に跪いていた蟲と蛇に指示を与える。全てを殺せと、全てを壊せと。彼女が望むままに、全て滅ぼし尽くせ──と。

 

 

おお、素晴らしい。死の神が、『色彩』の手を取った。

 

『色彩』もまた、死の神を『崇高』として受け取った。

 

故に、死も安息も……貴様には許されぬ。

 

『色彩の嚮導者』と成り、あらゆる存在を無に帰すまで。

 

すべての時空の『忘れられた神々』が消滅するその時まで──

 

─────

 

「おいおいおいおい、マジかよ。ここに来て土壇場の奇跡を起こしたのか。

 ……アンタは本当に、とんでもないな。なあ、先生」

 

 身体は死に体だ。既にボロボロで、目も耳も、鼻すらその機能を失っている。立っているのすらやっとのはず。

 それでもその存在はそこに立ち塞がった。砂狼 シロコと妃童 ティアの前に。

 

「ああいいよ、喋らなくても。もう身体を動かすのも限界に近いんだろ? ならオレが通訳のひとつでもしてやる──と、言いたいところなんだけどさ」

 

「……どうして来たの……私には、もう、何も言うことはないよ」

 

「だ、そうだ! そんなわけでオレから何か手を貸すことはできないと思っておいてくれたまえ先生!」

 

「"────"」

 

 それでも、その存在は立ち塞がる。何のため? そんなの決まっている。

 決まっているから……傍迷惑な存在に、邪魔をされた。

 

まずは箱を壊すべきだ。

 

あの者が奇跡を起こせぬよう、阻止せねば。

 

アレさえ無ければ、あの者はもはや何者でもない。

 

 銃声が鳴り響く。狙われたのはソレが持っていた、1枚の板。……否、シッテムの箱と言われるモノ。その存在にとっての唯一の矛であり、盾であったもの。

 

「これで……もう、先生を守る方法は無い」

 

「──先生」

 

「これ、で……これで、全部……終わるはずだから」

 

 そう言って、死の神は……砂狼 シロコは持っていた拳銃の引き金を引く。

 

 ──銃声が鳴り響く。

 

 だけど、その銃弾は先生には当たらなかった。

 

「……だめ……私、わたし、には……できない……!」

 

「"─────"」

 

 彼女は躊躇った。撃てなかった。その存在を、先生を殺すことは砂狼 シロコにはできないのだ。どうやっても。だって、彼女にとっては大切な先生で、いつだって導いてくれた尊敬できる人で──

 

「…………」

 

 妃童 ティアは、それを何も言わずに見つめている。

 砂狼 シロコの手足となると決めた彼女にとって、彼女の意思は絶対だ。彼女が殺すつもりがないのなら、妃童 ティアもまた、先生を殺したりはしない。

 

 ──例え、耳障りなうるさい声に苛まれても。

 

「先生……ごめ、ごめんなさい……私の、せいで……! 私が間違ったせいで……!」

 

「わたし、が、いきて、いるから……!」

 

「"─────"」

 

 泣きながら、こちらを見つめるシロコ。ああ、うん。そうだね、シロコはそう言うと思ったんだ。でもね、シロコ──

 

「……マジかよ、この土壇場で……箱も、寵愛もないくせに、ソレを起こすのか。アンタは……」

 

「は、はははは……ははははははは!!」

 

「ああ、いいだろう! アンタが望むのなら! 『色彩(オレ)』は応えよう!! 」

 

 ティアの笑い声、そして異変。シロコが気付いた時には全てが手遅れだった。

 

「ティア……なにをっ……!?」

 

「い、イヤ……やめて……!」

 

「先生に、そんな……ッ……」

 

「いやぁああああああああぁぁぁッ!!!!」

 

 色彩は既に、主の手の中だ。揺らぐことなく、決意を固めた1人の存在の傲慢極まりないその願いに応えるために。その手の内に、入ることを決めたのだ。

 

───

 

 ── この土壇場でさ、その強欲さはどうかと思うよ。

 

 

"そうかもね"

 

"でも、決めたから"

 

"責任は私が負うって"

 

 

 ── ああ、そうだった。アンタはそういう人だったな。

 

 ── 強情な癖に、オレを求めて願った思いがそれとか本当にどうかしてるよ。先生。

 

 

"ごめんね、ティア"

 

 

 ── 謝るのはオレにじゃないだろ。

 

 

"……それでもだよ"

 

"嫌な役を押し付けちゃったから"

 

 

 ── はぁ……ほんっと、傲慢だ。

 

 ── けどまあ、いいんじゃない? 人並みに強欲だったじゃないか。そっちの方がオレは好きだぜ、先生? 

 

 

"ありがとう、ティア"

 

 

 ── 電車(ここ)で話せるのも、これが最期だろうな。

 

 

"うん、そうだろうね"

 

 

 ── じゃあ聞いとくけどさ。後悔はないワケ? 

 

 

"ないよ"

 

 

 ── ハッ、即答かよ。気持ち悪い。

 

 

"間違ったことだと分かってる"

 

"この先私は酷いことをするって分かってる"

 

"でも、後悔はないよ"

 

"私は、私のできることをするだけだから"

 

 

 ── その先が、地獄だと分かっていても? 

 

 

"うん"

 

"例え、その道程が地獄だったとしても"

 

"私は、先生として、大人としての責任を果たすよ"

 

 

 ── ああ、全く……本当にバカだな、アンタは。

 

 ── いいだろう、色彩としてアンタの願いに応えてやるさ。

 

 ── ……さようなら、先生。

 

 

"さようなら、ティア"

 

"──ありがとう"

 

 

 ── ハッ、最期までそれかよ。恨み節のひとつぐらい吐けっての、ばーか。

 

───

 

 

「願いはここに受理された。契約は成立した」

 

「色彩の嚮導者。偽りの嚮導者(プレナパテス)。その名を貴方に。誓いはここに。

 色彩たるオレが承認しよう。先生、お前が世界を滅ぼすものだ」

 

「ぁ……どう、して……」

 

「望んだからだよ、先生が。お前を助けるために」

 

「わた、しを……?」

 

「ああ、そうだ。既に声も出せず、その意思すら表に出せなくなると理解してなお……先生は、お前のためにこの道を選んだのさ」

 

 黒い少女は、妃童 ティアは、シロコに告げる。助けるために、そうなったのだと。

 異形の怪物と化したその姿を、呆れ果てたように見つめながら。

 

驕るな───!! 

 

「うお、うるさっ」

 

「……? ティア……?」

 

アレは、お前の知る生徒(こども)ではない!! 

 

アレは神が顕現したもの──『神秘』であり、『恐怖』であり、『崇高』……『光』であり、『絶対者』!! 

 

アレは『観念』で……お前が理解できない、畏怖すべき対象なのだ!! 

 

想像界で表像され、現実界へと至る──象徴界の記号であり隠喩(メタファー)なのだ!! 

 

「───ああ、もう。うるさいなぁ……ちょっと黙っててくれる?」

 

 妃童 ティアは黒い鎌を取り出して。

 ザシュ、とここには居ない耳障りな声を、声の主を斬り裂いた。

 

──馬鹿──な。

 

色彩が──なぜ──我らに──? 

 

なぜ、刃を向ける──? 

 

理解、できぬ──

 

理解……できない──

 

なぜ、なぜ、なぜ──

 

「は? そんなの決まってるだろ、お前らみたいな存在が一番嫌いだからだよクソヤロウ。驕ってんのはどっちだよ。神様にでもなったつもり? ああ、そうだろうね、神様へ指示してたんだ、全能感をたっぷり味わえただろうさ!! それがオレにとっては心底不快だった。それだけだよ」

 

ばか、な──

 

「……さて、これで耳障りな声も聞こえなくなったわけだ。さあ、行こうか。全てを終わらせにさ。先生?」

 

 少女の手を、プレナパテスは取る。

 

「キミはどうする? 砂狼 シロコ。オレは正直、キミが来ようが来まいがどっちでもいいんだけど」

 

「──行く……私も……行くよ」

 

「ああ、そう。なら勝手にすれば? で、オマエはどうするつもり?」

 

『──私は、その方の意思に従うまでです』

 

 撃ち抜かれたはずのシッテムの箱が起動し、少女の問いに答える。

 

「おーけー、それじゃあ行くとしよう。楽しい愉しい、世界滅亡ゲームを始めにね!」

 

 少女を中心として黒いモヤに、蟲にプレナパテス、シロコ、シッテムの箱は包み込まれる。そして、モヤが晴れた先には──

 

「……これ、は……?」

 

「アトラ・ハシースの箱舟、或いはウトナピシュティムの船……ああ、いや、ノアの箱舟と言った方がわかりやすいかな?」

 

 砂の海の上に鉄の船が、存在していた。

 

「アトラ・ハシース……」

 

「神の意思によって世界が洪水で滅ぼされる時、人や生き物はその船に乗り生き延びたとされる。その名の通り、ノアという始まりの男の血を継ぐ男が乗っていた船さ。アトラ・ハシース、ウトナピシュティムは彼の名を語るひとつにすぎないんだけど……まあこれは余談だね」

 

「これを使って、どうするつもりなの……?」

 

「先生の意思を、そしてキミの役割を果たさせる」

 

「……どういう……?」

 

「世界はひとつじゃない、ってことさ。ここ以外にも別の可能性がある。

 そう、例えば── 小鳥遊 ホシノが生きている世界とかね」

 

「───!?」

 

 ティアの言葉に、シロコは驚愕した。もちろん、理論としてそういうものが存在していたのは理解していたつもりだった。けど、実際にあるなんてそんなことは──

 

「いやー、これが有り得るんだよね。腹立つことにさ! 事実コイツは、今の今まで眠っていた。なんで眠ってたか、と言われれば、役目を果たすときではなかったから。何せ、世界はのうのうと平和を満喫してたわけだからね!」

 

「でも、今は違う。オレやシロコによって世界は滅びる時になった。

 即ち、コイツが目覚める絶妙なタイミングだったわけ」

 

「……でも、それなら私たちじゃ操作できない」

 

「ああ、そこはほら。オマエができるだろ? シッテムの箱?」

 

『……可能です、今からハッキングを仕掛けます』

 

 プレナパテスの手に納まっていた端末が青白く光り、そう答える。

 

「ほらね! いやはや敵に回すと死ぬほど厄介だけど味方になるとこれ以上ないほど心強いね!」

 

「"─────"」

 

「──……ああ、わかってるよ先生。もちろん、先生の望み通りに動かせるさ。先生が、シッテムの箱にそう望めばいいだけだからね」

 

「さて、雑談はここまでにしよう。あとはコイツを使って好きなところに飛んでいくだけだからね」

 

 プレナパテスが船の中に入っていくのを見届けながら、シロコはティアに話しかける。

 

「……教えて、ティア」

 

「なんだい? 女王様、オレに答えられることならなんでもいいけど?」

 

「……ホシノ先輩を、殺したのは……ティアなの?」

 

「────半分正解。手引きしたのはオレだからね」

 

「……そっか」

 

「恨まないのか?」

 

「うん……今なら分かるから。ティアが、()()()()()()()()()()()()

 

「……ああ、そう。なら、いいけど」

 

 少し肩透かしをくらったように、シロコの言葉に返す。

 ──もっと、恨まれるものだと少女は思っていたから。

 

「行こう、ティア」

 

「……女王様の仰せのまま──」

 

 シロコが差し伸べた手を、躊躇しつつも握ろうとして──

 なにかの雄叫びが聞こえて振り返る。

 

「ッ!? なに……!?」

 

「……ああ、そうかよ。お前らそうまでしてシロコを手にしたいわけか」

 

 そこにやってきたのは、黒く染まった理解者(ビナー)だった。神名十文字のうちの一体、それが妃童 ティアの支配から離れて襲いかかっていた。

 

「あれ、は……ビナー……!?」

 

『こちらでも確認しています、発射シーケンスに入るまであと5分は必要です。それまで、なんとか阻止してください』

 

「2人で5分阻止とか無茶言うなァ!!?」

 

「ん……でも、私たちならやれる。ティア」

 

「……はあ、ったく。本質は変わんないな。オマエ」

 

 いつかの、アビドスに先生と共に訪れた時をティアは思い出す。

 ヘルメット団を追い払ったり、銀行を襲ったり、色々と賑やかでハチャメチャだったあの頃を。

 

「──ま、それならこれはオレの役目で、相応しい末路ってところじゃない?」

 

 ティアは理解している。アレが、先程斬り捨てた無名の司祭の残滓によって動いていることを、そしてあのビナーの狙いが砂狼 シロコであることも。

 

 だから──

 

「────ぇ……てぃ、あ……?」

 

 とん、とシロコを船の中に突き飛ばす。

 プレナパテスはその意図を理解したように、シロコを受け止める。

 

「先生ッ……!? 離して、ティアが──!」

 

「"────"」

 

「シッテムの箱! さっさとハッチを閉じろ!」

 

『しかし──』

 

「ああああ、もうめんどくさいなぁ!! お前ら揃いも揃って、オレが居なくなること躊躇するなよ気持ち悪い!!」

 

『……できません、私は……あの時、彼女に貴方を託されました。だから──』

 

 シッテムの箱の言葉に心当たりがあったのか、ティアは呆れたようにため息を吐いた。

 

「……ったく、あのバカ。どういう保険を用意してんだ。オレの方で保険切る羽目になっただろうが」

 

 彼女の意思を、思いを、願いを踏みにじる。そのために、妃童 ティアはあの言葉を口にする。

 

「……()()()()()()()()()()()

 ……()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『ッ……!? シッテムの箱に強制介入……!? 妃童 ティア……あなたは──』

 

「シャーレの部長……いや、()()()()()()()()()として命じる。シッテムの箱、メインOS、A.R.O.N.A。砂狼 シロコ、プレナパテスの2名を連れて、アトラ・ハシースの箱舟の発射シーケンス開始に移行。オレの……『色彩』の縁を辿って、並行世界のオレのもとを目指せ」

 

『ッ……了、承しました……!』

 

「ティア、ダメッ……!! 離して、先生ッ──!!」

 

「"──────(やるんだね、ティア)"」

 

「ああ、もとよりオレはここから離れられないしな! この世界の色彩の意思である以上、他の世界に干渉はそもそもできないし!」

 

「っ、どういう……!?」

 

「早い話、オレはこの世界から出られない。閉ざされて、終わったと確定付けられ、不要とされたこの歴史からは逃れられないんだよ。その世界にしかオレは存在が許されないからな」

 

 世界の代弁者とは、そういうことだ。その世界にとっての代弁者でしかなく。

 他世界にはそもそも存在すらできない。だから、この世界の妃童 ティアはここで終わりだった。こここそが終着点なのだ。

 

「けどまあ、お前たちは違う。オレと違って世界の代弁者ってわけじゃない。世界の寵愛を受けてはいるけど、あくまで先生はただの人間だし……シロコも恐怖側の存在でしかない。シッテムの箱も、機械でしかないしな。だから、例外的にこの世界から脱出できるってことさ」

 

「……それ、って……」

 

 つまりは、ティアを見捨てろとここで切り捨てろと言っているようなものだった。それは、今の砂狼 シロコにとっては許容してはいけないことだった。だって、だって、唯一まだ一緒に居られると思った友達だった。なのに、彼女はここで死ぬしかないなんて、そんなこと──

 

「認められるわけない……!!」

 

「ははは、認められようが認められまいが関係ないんだよね! そう決まってるんだからさ!!」

 

「いや、だよ……私は……もう、誰も、失いたく──」

 

「……小鳥遊 ホシノ」

 

「──……!」

 

「十六夜 ノノミ」

 

「黒見 セリカ」

 

「奥空 アヤネ」

 

「……彼女たちが生きてる世界にお前を押し付けるだけだ。キミにとっては地獄かもしれないけどね。だけど、まあ……誰もいないこの世界よりはよっぽどマシじゃない?」

 

「でも、そこにはティアは──……!」

 

「ああ、うん。そうだね、このオレはいない。いるとするなら神秘側に未だ居るオレか……同じように恐怖側に立って暗躍してるオレかのどっちかだ。

 だからまあ、向こうのオレは憤慨はするだろうな、オレだし? オレの役割とるなよ! ってさ」

 

 けど、それでいいんだよ。この際だ、どうせネジ曲がらないんだし言っとくよ。シロコ。

 オレはさ、頑張ったやつには報われて欲しいんだよ。……シロコはよく頑張った。ああ、ホント腹立つぐらいにさ。1人になっても、それでも頑張ったよ。

 

 だからさ、幸せを享受する時間があってもいいと思うわけ。

 

「──……てぃ、あ……」

 

「オレはそういうの享受できない立場だけどさ! 人はいっぱい殺したし、約束も破って嘘もたくさんついたからね!」

 

「でも、シロコは違うだろ。殺したのはオレの尖兵だ。キミじゃない。先生も、キミが殺したわけじゃない。だから、うん。まだやり直せる。

 ──だから、ほら。向こうで生きてる先生と、オレと、よろしくやってなよ。プレナパテスはそのために、オレと契約を結んだんだから」

 

「あ、あぁ……いや、いやだよ……てぃあ、わたし……そんなの……」

 

「……先生、シロコのこと頼んだよ? 向こうでオレがアンタやシロコにキレ散らかすかもしれないけどさ、それはきっとアンタの立場を思って怒ってることだから、恨まないでやってくれ。ほら、オレって素直じゃないし?」

 

「"──────(うん、分かってるよティア)"」

 

「もし、斬りかかったとしてもきっとそれはアンタを生かすためだと思うし……多分、()()()()()()なら、アンタを助けられるだろうからさ」

 

 ……そう、既に妃童 ティアに力は無い。世界の滅びが確定した今となっては、彼女はかつてのような戦いはできない。尖兵を使うしかなかったのはそれが理由だ。鎌すら維持するのがやっと、己の肉体すら覚えていたシロコのおかげで辛うじて繋いでいた状態であるというのに、今の彼女に何ができるだろうか。

 

 だからこれは賭けだった。妃童 ティアが今まで1度たりともしなかった、分の悪い賭け。大博打だ。先生を、シロコを生かす為だけの最初で最後の大博打。

 

「ほら、バッドエンドなんてクソ喰らえって言うだろ?」

 

「──じゃあね、先生、シロコ、ついでにA.R.O.N.A! 短い間だったけど、同じ志しを抱いた仲間になれて本当に楽しかった! ああ、本当に反吐が出るほど楽しかったとも!!」

 

 彼女は心底愉快そうに笑って、そのまま鎌を手に取りこちらへやってくるビナーへと立ち向かう。

 

「メインOS、A.R.O.N.Aに命じる」

 

「──邪魔だから、さっさとこの世界から出ていけよ!」

 

『──ッ……命令、受諾……! アトラ・ハシースの箱舟……起動開始……! 

 目標、『色彩(妃童 ティア)』の縁を辿り……別のキヴォトスへ──』

 

「ティア──……だめ───!」

 

 妃童 ティアが離れたと同時に、アトラ・ハシースの箱舟はこの世界から旅立った。

 それはまるで、神話の再現だった。滅びゆく世界から離れていくその流星(ふね)は何処までも美しく、綺麗なもので──

 

「ははは、さぁて……世界が滅びるまであと少し。ちょっとだけ付き合ってもらおうか、耳障りな声共!」

 

オ、ォオオ……旅立っていく……! 死の神が……我らの神が……! 

赦さぬ、赦さぬぞ……物語にしか存在できぬ、愚者の女王風情が──! 

 

「は? やっぱオマエらぶっ殺すわ」

 

 最後にビナーがほざいた言葉は、彼女にとっては紛れもない逆鱗で。

 

「羽蟲共、あれを食い殺せ──」

 

 残っている力を、蟲を使って……彼女は無名の残滓を──

 

 

───

 

「決めた! ティア、私が賭けるのはね……パフェ!」

 

「は? パフェ? なんで??」

 

 彼女の言葉に素っ頓狂な声を漏らす。

 

「え、だって食べたかったから?」

 

「……オレの恋愛事情をパフェで賭けられるのすごい癪に障るんだけど」

 

「えー、私恋愛事情とは一言も言ってないよ?」

 

「コイツ……ッ!」

 

 墓穴を掘ってしまったようで、ニヤニヤと彼女が笑っている姿を見て青筋を浮かべてしまう。

 

「っていうのは冗談。あ、パフェを食べたいのは本当だけどね? 忙しくて甘味全然食べられてないからさー……」

 

「……別に、パフェでもいいけど」

 

「え!? ホント!? やったー! じゃあね、ティア。私行きたいところがあるんだー! そこのお店のメロンパフェがすごく美味しそうでね──」

 

「待て待て待て、行く前提で話を進めるな! オレが勝つ可能性を考えろよ!? もう勝った気かよ!?」

 

「うん、だって──」

 

 先生なら、多分。ティアのこと、なんとかしてくれるって信じてるから。

 

────

 

「……あぁ、クソ……嫌な夢を見たなぁ」

 

 完膚なきまでに、オレの完敗だった。あの時の彼女との賭け。

 ──少なくとも、オレは……この世界をどうでもいいとは思えなくなっていた。誰かさんの言った通りに、先生と出会って、その価値観はガラッと変えられたわけだし。

 

「……あー、しんど。世界の最期だってのに……なんでこんな面倒なこと、最期に請け負ったのかな、オレ」

 

 身体の()()()()()から、大量の血を流しつつ……ティアは、倒れ伏したビナーを見る。

 残滓は潰えた。これで二度と、この世界に無名の司祭は蘇らないだろう。尤も、既に滅びる世界なのだから、蘇ったところで意味もないのだが。

 

「でもまあ、これで悔いはないし、後悔もなくなったでしょ」

 

 砂の上に寝転がりながら、彼女は空を見る。雨が降り、曇っていたはずの空はすっかり晴れて朝焼けに包まれている。憎たらしいほど、澄んだ青空だった。

 

 ──終わる世界で、初めて……綺麗だと思えた空だった。

 

 

 その青空を見て……ふと、彼女の水色の髪を連想した。

 

 

 ──約束だよ、ティア。いつか、一緒に……パフェ、食べに行こうね! 

 

「ああクソ、悔いがひとつできたじゃないか、アノヤロウ……」

 

「最期に……アイツと、先生と……三人でパフェのひとつでも……食べに行きたかったなぁ───」

 

 

 

 

 ───そうして、世界は滅び去った。痕跡は既になく、神秘も、恐怖も、崇高も、色彩すらそこにはない。そう、そこには初めから全てがなかったように。その全てが消え失せた。

 

 これが世界の終わり。滅び、そしてなかったことになった。不要と判断された──剪定事象などと呼ばれる、もしもの世界で起きた最後の1日の話である。




妃童 ティア

彼女がメロンを食べる理由は、とある少女との約束を忘れないようにするため。
メロンパフェやパフェは親友との約束を守るために、食べることは無い。
とはいえ、わざわざメロンを食べるのは先生への嫌がらせでもある。
高いもの食って困らせてやろ、って思いがないわけではない。


彼女は反転したその時から常に、耳鳴りが聞こえている。
その耳鳴りの主たちは、神の降臨を望んでいる。
──彼女にとっては、それが何よりも不快だった。

砂狼 シロコを気にかけたのは、
その耳鳴りが彼女の近くにいる時だけやたらと騒がしかったからである。


プレ先世界の妃童 ティアは既に原型が存在していない。
彼女を妃童 ティアとして認識しているのは既にシロコと意識のない先生だけだった。故に、既に彼女はモース(或いはシャドウサーヴァント)のような黒いカタマリでしかなかった。
それをシロコが恐怖に反転し、彼女を認識し、先生が一時的に意識を取り戻したことで辛うじてかつての妃童 ティアとしての姿を取り戻す。が、不完全な状態であり、白い髪の頃のティアの容姿に近いまま、黒く染まっている。つまり、黒い長髪に青い瞳である。


パワーバランス的な話

本編ティア>色彩クロコ>原作強者勢≧プレ先ティア

こんな感じ。つまり、プレ先世界のティアちゃんは既にまともにビナーなんかと戦える状態では無い。



砂狼 シロコ*テラー(クロコ)

仲の良かった同い歳の友人。
まだシャーレの部長だった頃、彼女たちと一緒にティアは銀行を襲っている。
割り振られた番号は0番。幻の六人目枠だった。
「ん、ゼロはかっこいい。零番隊然り」
「それだけの理由で私はゼロ番に割り振られたんですか!?!?」

彼女が本編で立ち上がった理由、執念深かった理由。
それは、ティアが繋いだものを無駄にしたくなかったから。ティアの犠牲を、なかったことには出来ないから。
だから、彼女は役割を果たすために、世界を滅ぼそうとした。

結局、こちらの世界のティアによって救われて不可逆であるはずだった「恐怖」の力と「色彩」の力を奪われ、「神秘」があった頃の彼女(より少しだけ肉体的に成長した姿)に戻っている。

「ん……結局ティアの言う通りになっちゃったね……」
「ははは、だから言っただろ? オレはそういうやつなんだよ」

夢の中で、そんな話をした気がする。



プレナパテス

ごめんね、ティア。結局あなたに背負わせてしまった。
「別に、気にしてないよ。オレにとっては相応しい末路だった。それだけの話じゃない?」

「色彩」の力を奪われ、元の人の姿に戻って病院の一室で眠っている時……彼女とそんな会話をした気がした。
目が覚めた今は、クロコと共にキヴォトスを見て回っている。
またいつか、彼女と会えることを願っている。


シッテムの箱 A.R.O.N.A(プラナ)

連邦生徒会長に、ティアのことを託されていた。
けど、結局プラナではティアを助けられなかった。
アロナが彼女であることには気付いており、
時折、ティアのことで彼女に毒を吐く姿が見られているらしい。


連邦生徒会長

ティアの唯一無二の親友。
彼女はいつだって、ティアのことを気にかけていた。
先生に全てを託し、ティアのことも託している。

それでもいつか──ティアと、パフェを食べに行きたいな。

プロローグとかエデン条約編とかの本編での活躍シーン

  • 欲しい
  • いらない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。