また回線がいつ悪くなるのか分からないので急いで書きました。
なので正直言うと話をかなり切り詰めました。
今後時間が取れる事があれば、
白水編をもうちょっとだけ付け足すかもしれません。
「部長!?大丈夫と!?」
「ぃ・・・ぃ・・ひめ・・こ・・?」
白水と咲の二人が繋がった精神世界、そこへ突如として現れた、白水のパートナーこと鶴田姫子!
「落ち着いてくんさい!今うちんオーラば少し分けちゃいます!」
博多弁と標準語が混じった言葉使いでそう言うと、彼女は白水の右手に自身の両手を重ねた。それからじっと目を閉じて意識を手の平に集中する・・すると彼女の両手がオーロラで包まれ、それが少しずつ白水の体内へと溶けていき・・・ゆっくりとだが、白水の身体は濃さを取り戻していった。自身の身体が回復に向かっている事を感覚で理解した白水は、姫子の顔を見て安心したのも合わさって意識を手放してしまった。
一方で、白水の変化を黙ってじっと見ていた咲だったが、流石に退屈だったため姫子に話しかける事にした。
「鶴田さん・・・お久しぶりです。そしてすいませんでした。パートナーである貴女に無断で白水さんを痛めつけて・・でも、こちらも今日しか時間が取れなかったもので・・・」
「気にせんでよかよ、咲ちゃん。咲ちゃんがさっき言いよった通り、部長の価値観は人のそれば大きゅう逸脱しとーと。やけん一回、誰かにガツンとがらるー(叱られる)必要があった・・・それを咲ちゃんがわざわざ時間割いてやってくれた、感謝しとーばい。」
「あら?さっきというのは・・」
「二人がオーラ使うて戦い始めた時ばい。そっからずっと見とったよ。」
「あれま、それはそれは・・改めて本当に申し訳ありませんでした。私の今の力では、あのような拙い方法のような解決法しか思いつかず・・・」
「よかってよかって・・・そもそも、本来やったら部長んパートナーであるうちが、部長ん性格ばちょっとずつ治していくはずやったんやし・・こちらこそ、咲ちゃんに損な役回りを押し付けてしもうて、ほんなこつごめんね。」
「いえいえこちらこそ・・そういえば、先程の・・・」
こうしてしばらくの間、お互い悪いところを謝る反省タイムが始まった。咲の方は、主に自分が能力を使って相手をボコボコにするやり方を選んだ事について。姫子の方は、主に自分が白水の性格を矯正させる事が出来なかった、自身の不甲斐なさについて。そうしてひとしきり謝り倒したところで・・・
「いやもう本当に・・このような手段しか取れずに本当・・・プフッ!」
「そんなん本当に気にせんで・・・ウフフッ!」
「ン・・フフフフフッ!」
「ウフッ!・・ウフフフフッ!」
お互い、問題児に対しての気苦労が絶えない事に気づく。そんな2人は、経ったこれだけの会話でお互いの深いところを理解し合い、相手が案外自分と似ているのだと分かり合い・・笑った。
「「フフフフフフッ!」」
互いに満面の笑みを浮かべながら見つめ合う。まだまだ話足りないと思った咲は、浮いている本達をオーラに戻して回収した後、姫子の背中にしっとりと覆いかぶさって・・・
「私も手伝いますよ。その代わり・・と言ってはなんですが、貴女の白水さんへの想いを・・じっくりと教えて下さい。」
後ろから抱き着く形で、姫子の両手に自身の両手を重ねた。重ねられた姫子は・・
「もちろんばい。うちも・・咲ちゃんの光ちゃんに対する想い・・沢山聞かせてね。」
ゆっくりと首を右に曲げて答えた。・・・互いに視線が交差する。二人の周りには、まるで大雨が続く梅雨の日のようなしっとりとした空気が重く圧し掛かっていた。
それから約1時間後・・・
「やけんね!部長ってばほんなこつ考え方が子どもなんばいね!」
「うふふ・・やっぱりそうなんですね。」
「そうばい!それで周りからはクールや知的だってヨイショされて、それば真に受けて更に天狗になるし・・ほんなこつ!部長ってば子供ばい!」
姫子の愚痴が炸裂していた。いったい何故こんな事になったのか?
いや、最初こそ咲と白水が互いに互いのパートナーの良い所について語っていたのだが、咲が光のちょっとおっちょこちょいなエピソードを投下した事で姫子の何かが決壊した。
いままで誰にも話せなかったであろう愚痴をこれでもかと物凄い早口で言いまくり始め、咲がただ頷くだけで手一杯な状況まで追い込んだのだ。しかしこれはしょうが無い事。そもそも白水が好き勝手な性格なのは全て能力の所為であるため、姫子が白水の愚痴を話すには相手が能力者である事が最低条件なのだ。故に愚痴を聞けるのは同じ麻雀部の中でも能力の使える者に限られるのだが・・新道寺には能力者らしい能力者がほぼいないのである。
一応、新道寺麻雀部を受け持っている比与森監督は白水の事について詳しく話せる中なのだが、生憎愚痴を言える程仲は良くないのである。故に、姫子にとって唯一白水の愚痴を言える相手というのは咲を置いて他にいないのである。だからこそ、姫子は白水が寝ている今がチャンスだとばかりに、自身が抱えている全てのモヤモヤを吐き出そうとしているのだ!
そして当然、そんな姫子の苦悩を察した咲がとる行動は1つ・・・黙って聞き役に徹する事である。
「う、うーん・・・姫子・・何処?」
「あ、白水さんが目覚めましたよ。」
「おお本当や。いやぁ、もうほんなこつ・・ありがとうね咲ちゃん。後で連絡先交換してもっとお喋りしようばい!」
「え、ええ・・」
若干引き気味だが了承する咲。そしてそのまま視線を白水に落とす・・意識は覚醒しているようだが、四肢に力が入っていない。それに指先がまだ透明なままだ。・・どうやら白水は、まだ四肢をゆっくりとしか動かせないらしい。いや、動けるのに動かす気にならないのか?彼女の姫子に向ける甘ったるい視線から無気力さを感じ取った咲は、取り合えず彼女に声を掛けてみた。
「あーえっと・・起きましたか白水さん?」
「ん、んーーー?・・・!?・・・さ、咲・・。ま、まさかあんた、姫子までうちから奪う気なんか!?」
言うが早いかガバッと起き上がろうとした白水は、まだ四肢が完全に治っていない為に再び背を大地に激突させてしまった。
「ぐへっ!?ぐ、うう・・・はっ!?た、頼む!後生や!姫子だけは持って行かんでくれ!姫子まで失うてしもうたら・・うちゃもう生きていけん・・。」
激突して早々、痛がる前に必死に咲に希う(こいねがう)白水。そんな彼女を見て咲は・・
「ほほぉ!聴きましたか姫子さん!姫子さんを失ったら生きていけないですって!物凄く愛されてますねぇ!」
何故かテンションが振り切れた。というのも、咲はこういう、愛する人の為に何でもする、という展開が大好きなのである。
「やだもう咲ちゃんってばー!・・うふふへへへ。」
姫子も姫子で気持ちの悪い笑みを浮かべながら舞い上がっていた。そんな二人を見た白水は・・
「う・・うう、姫子が・・姫子が寝取られてしもうたああぁぁぁぁぁ・・・ううううう・・ぐすっ・・ズビー・・」
見っともなく鼻水を垂らしながら勝手に脳を破壊してしまっていた。しかしそう思うのも無理はない。二人の体勢は先程咲が後ろから組み付いたままの・・いわゆる恋人ハグな状態なのである。そんなハグを続けながら白水に仲睦まじい姿を見せつければどうなるか・・少なくとも傍から見れば白水は、2つ下の後輩に彼女を寝取られた敗北者だと思われてしまうだろう。
部屋内がなかなかカオスな事になってきているが、白水にどうしても聞いておかなければならない事があった、と思い出した咲が彼女に尋ねる。
「それで白水さん。何故姫子さんを捨てたんですか?」
「ん?ウチを捨てたって?」
「ああその・・実は私、この人がリザベージョンを解除して姫子さんを解放してしまった理由をどうしても知りたかったんです。」
「・・それは、協会の指示ばい?」
「いえ、協会はまだ本格的に動いていませんが、いずれは議題に上がって何らかの処分が下されるでしょう。でも、そうなる前に私がこの件を何らかの形で収めてしまえば減刑もあり得るかなって思って・・」
「それでわざわざここまで・・・本当にありがとうね、この甘ったれん為にここまで苦労ばかけて・・でもね、真実は案外あっさりしたもんやったりするっちゃん・・咲ちゃん。」
「ほほう・・あっさりですか。では聞かせて下さい、この人が貴女を縛りから解き放った理由を・・ね。」
後ろから抱き着きながら妖艶な声で囁く咲。その声に僅かに頬を赤らめながら姫子は答えた。
「・・・依存ばい。」
「・・はい?依存?」
「部長はうちに深う依存しとった・・それが裏目に出た。それだけばい。」
流石にそれだけでは理解できなかった咲は、詳しく知ろうと姫子に迫る。
「・・・すいません、もうちょっと詳しく。」
「部長が高校1年生になった頃、うちゃ相変わらず部長の信者の1人やった。カッコよか部長、クールな部長・・そげん表面上の部長ん事しか見えとらんかった。」
「姫子さん・・・」
「うちらが変わったのはそれから2か月後、部長が麻雀部に正式に入部して・・割とすぐん頃やったかな?唐突にうちに会いたかってメールば入れてきたと。」
「メール、ですか?」
「何やろうて思うて放課後に部長ん家に寄ったら、玄関開けた途端に物凄か勢いで引っ張られて、あっちゅう間に部長ん部屋に引き込まれてな。どげんしたんって聞いたら・・・もううちには姫子しかおらん!って泣き出してな。」
「ほう・・まるで今の白水さんそのものですね。」
「そう!あん頃から丸っきり成長しとらんとよ、こん人!」
その発言が、姫子の成長していないという発言が一際大きく木霊した!木霊は部屋の壁を使ってさらに反射し、最終的に白水に全てぶつかってしまった。
「ぶわああああああああああんんんん!!!捨てないでええええぇぇぇぇ!!!」
「(うるさ・・)えっと・・何故そんな事に?」
「どげんもこげんも・・部長が、うちはリザベージョンの能力を使えるー!って触れ回ってな・・それが気味が悪かって怖がられてな。尊敬よりも畏怖ば集めてしもうたみたいて・・元々の自信家の性格も相まって、クラスから除け者にされるーごとなってしもうたんや。」
「ああ、そういう・・確かに高校生になるとそういう事をおおっぴらに公言する人の事は、すごい人というよりもヤバい人って考える年頃ですしね。それにリザベージョンの能力って、姫子さん以外に使ってはいけないって取り決めだったんでしょう?なのに能力を持っているって公言しまくったって事は・・・周りから頭のおかしい人扱いされたんですね。」
「一応麻雀部ではそれなりの活躍はしとったっぽいんだけど、やっぱりリザベージョンば使えんのがキツかったってごたってね。オーラだけじゃトップん座に君臨する事が出来んやったよう!とウチに泣きついてきたんね。」
「それはまぁ・・じゃあそれを期に姫子さんに依存するように・・というより主従が逆転したと?」
「そうやね、依存いうよりも主従逆転言う方が正しいかな。」
ほほう、と頷く。と、ここまでの話を聞いた咲は一つ疑問に思った事があったのでそれを口にした。
「あれ?じゃあ何で白水さんがパニックになっているのを見て、分からない、なんて思ったんですか?」
「ん?それはいつの話ばい?」
「え、いや・・実は先程、この部屋の人形達から、白水さんのこれまでの歴史のようなものがガーッと流れ込んで来まして。その中に、私がTVで活躍しているのを見てパニックになってしまった白水さんの様子があって・・」
「ああ、それなら数日前の事やね。」
「あの時に、姫子さんは白水さんに声を掛けられずにいた・・はず・・なのですが。」
ここまではにこやかに笑いながら話していた咲であったが、突如として言葉が詰まりかけてしまいそうになる。何故なら、自分の目の前の女性が凄い勢いで怒りの表情を形作っていったからである。
「ふーん・・部長、随分と都合ん良か解釈ばしたもんやなあ。」
湧き上がるプレッシャー!目の前の女性からそのパートナーに発せられるプレッシャーに、流石の咲も身震いした!パートナーの方は過呼吸にでもなったのかと思う程、口から空気を出し入れしていた。
「えっと・・姫子さん?」
「咲ちゃん・・こん甘ったれがこん部屋に頻繁に来とった事は知っとー?」
「は、はい!何でも自分探しが主な目的だとか・・」
「またそれっぽか理由で誤魔化して・・違うよ咲ちゃん!部長がこん部屋に入り浸っとったんは、もっと違う理由がある!」
「な、なんですって!?」
驚愕で目をカッと開く咲!それにつられて目をカッと開いて露骨に焦り始める白水!
「部長がこん部屋に通っとった理由・・それは自分の中の本当ん記録ば改ざんする事で、真実ば闇に葬ろうとしよった事やったんや!」
「は、はいいぃぃ!?」
言っている意味が分からない咲、終わったと絶望する白水。
「さっきも言うた通り、部長は高校では以前と比べて、そこまでみんなからチヤホヤされるー事は無うなった。そしてそん分ストレスば溜めるごとなった。そんストレスば解消する方法として、うちに甘えたり(意味深)、麻雀で弱小部員ばコテンパンにして満足したりしとった。」
(うーーわ、やってる事が完全に推理小説とかに出て来る屑男の典型じゃないですか。)
白水の学校生活にドン引きする咲。改めて自分のやらかしをパートナーから説明されて結構なショックを受けた白水。再び涙を流す。
「ばってん、それが2年に上がった事で状況が変わったんや。麻雀部も口うるさい3年生がおらんごつなって割かし自由になったし、同じ高校にうちが入学した事でリザベージョンも解禁されて全力が出せるようなったん。そん結果、部長はそん名の通りに2年になってすぐに来年の部長候補として一目置かれ出したばい。」
「おお・・・それはそれは、良かったですね。」
「そうね、ばってん本題はここから。今まで成功しかしてこんかった部長は、こん1年の失敗がどげんしてん許せんやった。ばってん起きてしもうた事は変えられん。それに咲ちゃんがカンドラとして活動し始めたんも大きかった。自分と違うて好き勝手やる事を協会から許されて、沢山の仲間ば作っとーと噂されとった咲ちゃんは・・同じ能力者である部長にとって許せんやったんや。」
そこは咲も知っていた。そのコンプレックスがこじれにこじれた結果、数日前に大爆発して色々と面倒な事になってしまったのだ。
「そげんある日、部長はこん部屋を自分の力で作り出せる事を発見した。そして本に自分の歴史が綴られとー事も発見した。それば知った部長は・・本を書き換えてしまえば、自分の記憶も書き換えられるのではないか・・と、思い至った!」
「んな!?」
そんな馬鹿な!?と目に見えて動揺する咲。
(そんな事をして何になるというの!?第一、それをやったところで現実は変わらない!ただ虚しいだけ・・)
「そん副産物が咲ちゃんの頭に流れてきた記憶の正体ばい。この試みの結果、本を改ざんする事は精神に浸食して他人の記憶ば読み取ってくる相手に対してのカウンターとしては割と有効・・ちゅう利点ば見つくる事が出来た。」
(おお、一応の成果は出たのですね。)
「ばってん肝心ん自分の記憶は変わらんやった。・・・それば理解した部長は、せめて他人に自分の恥ずかしか部分を知られないようにと、頻繁にこの部屋に入っては自分のカッコ悪か記憶を改ざんする事に精ば出すごとなった、ちゅう事が真相や!」
「な、なんと!・・・あれ?じゃあ何で白水さんは姫子さんを捨てたのですか?」
「ああ、そりゃこん甘ったれが必死に考えた苦肉ん策ばい。・・まず最初に、咲ちゃんの事で動揺した部長は、団体戦決勝に進出する事が出来んで敗北してしもうた。・・で、それがきっかけとなって、協会から今までの勤務態度とかも含めてお叱りば受けると悟った部長は、うちを解き放つ事で協会の目をそれ一本に絞る事でがらるー(叱られる)時間を少しでも減らそうとした・・・ちゅう訳ばい。」
「は、はぁぁぁぁ!?」
大声で呆れる咲。それも当然で白水のやった事は要するに、子供が花瓶を割った事であれこれ文句を言われるのが嫌だから、家の玄関扉を壊す事でもっとヤバい問題に話題を逸らさせる小学生と同じレベルなのである。無論この場合、白水は自分の力だけで玄関扉を直せる自信があったからやったのであるが。
「つまり・・お二人のリザベージョンが切れたのは・・偽装・・だったと?」
「そう、そして作戦は途中まで上手ういっとった。リザベージョンが切れたと確認したうちは、急いで協会に連絡した。内容も、部長が協会から過度のプレッシャーに晒された所為で準決勝ば勝ち抜けんかった。さらにリザベージョンまで解除されてしもうた。そげん程精神的に参ってしもうとる。こん責任ばどう取るつもりや!って感じで、協会に非がある感じでヒステリックに叫んでやった。」
「は、ははは・・姫子さん・・・貴女、大した役者ですね。こんな甘ったれたパートナーの為にそこまで演じますか?」
そう、姫子は白水という能力者に人生を狂わされた被害者として、協会からは認知されている。その立場を逆手にとって、愛する白水の為に協会を敵に回しかねない行動を取ったのだ。・・・彼女の愛は本物である。
「後は協会が部長にちょっと小言ば言う程度で済むはずやったんよ。協会がうちの言う事を完全に信じるなら、協会の目には部長は精神的に不安定になっとー能力者に映るはず。そげん部長にさらに追い打ちをかけて能力が暴走しようもんなら、それこそ協会側の過失になってしまうけんな。」
姫子の計画は完璧だった。実際、咲が現れなければ姫子の計画通りに現実は進んでいたはずだった。
「でもそうはならなかった。・・私が来てしまったから。」
「いや、咲ちゃんは悪うなかばい。咲ちゃんがここに来たんって、協会の誰かから様子ば見に行けって指示があったからやろ?」
「ええ、でも様子を見に行くだけだって指示で、深入りしたのは私が勝手に正義感を燃やしたからで・・」
「それも向こうは織り込み済みばい。咲ちゃんがこういった事に正義感ば燃やすのは向こうも把握済みや。やけん咲ちゃんば使うて事の真相ば突き止めようとした。失敗しても咲ちゃんなら部長を実力で倒せるって分かっとったやろうし。それに今日は5位決定戦の後や。部長も能力は使わんでもオーラは使うとーし、手負いの獣に負ける程弱うなかって判断やったんやろうな。・・・ま、向こうが一枚上手やったって事やろうな。」
そう言って、自身の敗北を語りながら何処か遠い目をして天井を見上げる彼女の顔は・・・何処か嬉しそうでもあった。
「すいません・・そうとは知らずに・・」
「いいっていいって、結局・・部長をここまで甘やかした私にも非があるし。・・でもなぁ、まさか咲ちゃんと自分を比較してあんなに取り乱すなんてなぁ・・なんでばい、部長?」
唐突に話を振られる白水。彼女はソッポを向きながら・・・言った。
「・・何度も言うたばい。羨ましかって。」
「・・部長、やっぱり・・うちを選んだ事を後悔して・・」
「「「違う!」」」
唐突に大声で叫んだ白水。叫びは部屋中に木霊して、最終的に姫子に全て集約される。
「正直・・今でも自分のなにが悪いのか、よう分からん。ばってん、姫子と咲ちゃんがそげんして楽しそうに話しとるのを見とったら・・なんとなく分かった気がするばい。自分に足らんもん。」
「・・・部長。」
呟いた姫子。しかしその顔は、今までの甘ったれを見る目ではなく、1人のパートナーを見守る愛しの目をしていた。
「ばってんな、これだけは言うとくばい。・・咲ちゃん、うちゃ今まで色んな人に囲まれて生きてきた。やけんこそ言えるばってん・・あん場におった全員、こん人と結婚したっちゃ良かって思える程、咲ちゃんに心酔しとーばい。」
「・・・・え?」
「うちが羨ましかとはそこばい。うちには姫子一人しかそん顔ばさせる事が叶わんやった。やけん・・つまり・・咲ちゃんはな・・うちにとってのライバルやったんや。さっきまで・・だから・・あんなにカッコつけとったんよ・・///」
衝撃のカミングアウト・・・少なくとも姫子にはそう感じた。だが咲は・・
「・・白水さん。私も同じですよ。私にとって貴女は、いや貴方達お二人は・・尊敬すべきカップルだと思っていますよ。今からね。」
こちらも衝撃のカミングアウト返し。返された白水は目をまん丸にして・・
「・・・・・ああ、そっか・・光ちゃん・・一筋やったね・・」
そう・・二人は互いに一人相撲をしていたのだ。咲は白水の事を相方をカッコよく引っ張って生きている尊敬すべき先輩として、白水は咲を自分が成れなかったあり得たかもしれない未来の可能性として・・二人とも、相手の側だけしか見ていなかったのだ。中身を見ていなかったのだ。そんな二人が今日、この場で互いの中身を知った。知った上で、咲は白水と姫子を、尊敬すべきカップルだと断言したのだ。それを理解した白水は・・・
「咲ちゃんは・・うちにとって・・最高に誇れる後輩ばい。だから・・うちも・・頑張らな・・な。」
「うん!一緒に頑張るんや!部長!」
そうして3人は互いの顔を見て笑い合った。そう・・そして、3人は今まで思っていた不満や愚痴やらの醜い感情やらを全部吐き出して喋り合った。会話の内容も当然酷いものになったが・・それでも、3人が互いを思い合って話している事だけは、とてもよく伝わってくるのであった。
つづく