地震が来て、次にいつ書けるか分からない状況になった為、慌てて仕上げました。
誤字脱字や、話の矛盾点があったらすいません。
東1局 四本場
清澄高校 211200 東
阿知賀女子 50000 南
白糸台高校 67100 西
臨海女子 71700 北
「ふーー・・まぁ、こんなとこですかね。」
大将戦後半が始まって早々、咲は嶺上開花の能力とホヤウカムイの翼を使って大きく点差を広げた。いや、広げたと言うにはその差はあまりに大きく・・もはや突き放したと言った方が正しく思える程の快進撃であった。試合が始まった当初はほとんど差がついていなかった4校の点棒だったが、今やその差は歴然。最下位の阿知賀と16万点以上の差をつけていた。
そして咲の本当に恐ろしいところは・・・これでまだ東1局目、つまりまだまだ相手を嬲るチャンスが残っているという事である。
「あ、あはは・・すごい・・ね、咲ちゃん。」
「ええまぁ・・これでも世間では雀荘荒らしカンドラの名で呼ばれているものですから・・下手な打ち方はしませんよ。」
「・・・それにしては随分と手を抜いた打ち方をするじゃないサキ。アンタなら今のこの状況を試合開始直後につくり出す事だって出来たはず・・そうでしょうが。」
「ふふ、そうですね。でも良かったじゃないですか・・・そうならなくて。だってそのおかげで前半戦は希望を持って戦えたでしょ?このまま頑張れば1位になる事も夢じゃないって・・幸せな夢を、他でもないインターハイ団体戦の決勝戦という晴れ舞台の中で見れたんですよ?まぁ・・だからこそ今の状況に、より絶望する事になる訳ですが・・・くくく。」
何処か遠い目をしながら1人笑う咲。そんな咲にふと疑問に思ったネリーが尋ねる。
「・・・ねぇ咲、咲はこうやって雀荘を荒らしていったの?」
「ええまぁ・・というよりこの方法が一番手っ取り早いんですよ。皆さん数日前の小鍛冶プロの会見を見たと思いますが、私は違法な雀荘を摘発する為に協会から直々に許可を得て荒らし行為を行っていたんです。皆さんが将来雀荘を訪れる時に嫌な思いをしないよう、一度日本を大掃除する必要がありました。じゃあ誰が掃除をするのか・・・それがたまたま私で、やり方も私に一任されていた為、このような相手の心を折る戦法を多用する事が多かったのです。」
その説明にへーと頷く何も知らない穏乃。少し事情を知っているネリーは若干可哀そうな者を見るような目をしていた。そして淡は咲に負けたくない性分が影響したのか、どうでもいい事にまで噛みついた。
「何それ・・・じゃあ何?アンタは今インターハイに参加する1人の選手としてじゃなく、悪を断罪する正義のヒーロー気分で卓を囲っているって訳?」
「いや別に?どっちかって言うと、お客さんが退屈しないように展開を盛り上げているつもりでしたが・・・淡さんは自分が悪人だという、ある種のコンプレックスを抱えておいでで?」
「違うわよ!ついでに今の受け答えでアンタがどういう人間かはよーーく分かったわ!だから教えてあげる!いい!今アンタが相手にしているのは、今年のインターハイ団体戦の決勝まで勝ち残った選りすぐりの強者達が集った3校の大将達!みんなから信頼されて大将の座を任された・・エリート中のエリートなんだからね!!あんま舐めた態度とってると後で痛い目見るわよ!」
全員が使った牌を全自動卓に押し込み、中で牌がかき回っている僅かな時間、その合間を使って大将達が問答を繰り広げていた。中でも淡は特に猛っており、彼女の熱い言葉を聞いたネリーと穏乃は、僅かにだが戦おうという気概を取り戻しつつあった。しかし咲はそんな淡の雄たけびを鼻で笑った。
「・・・はっ、じゃあさっさと掛かってくればいいじゃないですか?それとも何か?私と一騎打ちになるのが怖いんですか?」
「んなっ!(図星)ば、馬鹿にしてぇ!!!」
「はぁ(溜息)・・・ホント、何処にでもいますよねー、貴女みたいに口だけが達者で肝心の実力が備わっていない自称強者は。」
「(ブチッ!)・・言うじゃない、じゃあ何?アンタは私みたいな奴を雀荘荒らしの中で何度も葬って来たって言いたい訳?」
「ええ、ついでに言うなら貴女よりも確実に強いであろう雀士達全員を、皆一様に葬って来ました。それは今回も同じこと・・貴女は私に勝てない、絶対に。」
「・・マジで言うじゃない、なら見せてあげるよ・・私の本気を!」
淡が啖呵を切るのと同時に、全自動卓は攪拌を終えて山を築く。機械によって綺麗に並べられた山を見つめる4人・・・今までの言い争いが嘘のように、静かに牌を取って手牌を揃えていく。
しかしこの場の全員は既に臨戦態勢・・既に雀卓全域に3人のオーラが展開されつつあった。山の神様達と協力関係を築いた穏乃は雀卓から下の脚先にかけて・・・幸運を司る能力を持ったフェイタライザー・ネリーは雀卓周辺を・・・そして星々に愛された少女大星淡は会場の上部を・・・と言った具合で、それぞれが得意とする場所をオーラで陣取る事で、咲のこれ以上の空間侵略を防ごうという作戦である。
当然咲はこの事を周知しており、すぐさまホヤウカムイを使おうか迷ったが・・
(いや、ここはやめておこう。そうした方が多分お客さんも盛り上がるだろうし・・・私も3人の全力が見てみたいし。)
彼女達がここから怒涛の快進撃を見せる事での客受けを予想して、敢えてカムイを発動せずに温存する事にした。
そうして東1局四本場は始まったのである。
(・・で、どうする?このままだとネリー達は確実に負ける。全員の残りの点棒を見る限り、誰か一人でも咲に狙い撃ちされたらそれで終わり。特に阿知賀はヤバい・・もし彼女が咲の役満クラスなんかに振り込んだりしたら一気に点棒は2000まで減る!ついでに咲の点棒も25万まで届く・・・そうなったら逆転は絶望的、こっちの敗北は必至。・・・取り合えず、他2人とオーラを使って連携を取る方向で今はいこう。)
(ううーん、あれだけデカい口を叩いたんだから派手に一発かましたいところだけど・・・厳しいかなぁ。でもまだだよ!まだ私には、Wリーチと絶対安全圏の他に第3の必殺の能力がある!それにネリーだっている!他人に頼るのは私のプライド的にアレだけど、今はそんな事言っている場合じゃないから!サキに勝つ為には仕方ないから!サキを自力で倒すのは来年まで持ち越しにする!だから今はとにかくネリーと協力して、サキに血反吐を吐かせてやる!)
(・・・うん、やるしかないよね。ねぇ黒百合?)
(何だ?)
(えっとさ、さっき黒百合が言った事がよく分かったよ。確かに咲ちゃんは強い・・私達だけじゃ敵わないって言われるのも納得の強さだよ。)
(そうだな。)
(じゃあさ・・私達だけで駄目なら、私達と2人・・この組み合わせならどうかな?)
可能性はあるが上手くいくとは限らない不確実な作戦・・・不安が拭えない為、黒百合に後押しして欲しい穏乃であったが、黒百合の返答は意外なものだった。
(・・・・下らない。)
(えっ・・・?)
(どうせ我が何と言おうとやるのだろう?ならさっさとやって見せろ。我はお前がやりたいと思った事を応援するだけだ。)
(黒百合・・・うん、分かった!頑張るよ!)
(ああ、あの憎き小娘に一泡吹かせてやれ!)
3人が3人とも、互いに協力しようという気概に溢れる。それに伴って3人のオーラの境界も曖昧になり、お互いの思考も読みやすくなっていく。
それから4巡後、動いたのはネリーであった。
「・・・・・(コトッ)」
「っ!ポン!」
穏乃の手が速く、役も高い事を察知したネリーは自らの手を崩してこの局はサポートに回る。その意図を即座にオーラから察知した穏乃は、ネリーの捨て牌を鳴いて手を進める。こりにより穏乃の手はタンヤオ,トイトイ,三暗刻,ドラ3の倍満・・16000の四本場で17200の聴牌となった。
(ありがとうございます、ネリーさん。)
(この感じ・・阿知賀が聴牌したのね。出来ればそのままサキにぶち込んで欲しいところだけど・・・当然サキも気づいているはず・・・)
(ふーん・・3人が本格的に連携を取り始めましたか。・・・そして穏乃ちゃんが聴牌、役は倍満クラスですか。なら狙うは当然私に直撃させる事・・・)
3人のこの局の動向を察知した咲。しかし別にそれを邪魔しようとはサラサラ思っていない彼女は、取り合えず3人の急ごしらえのチームワークを見ようと手を抜く事にした。
(さて、3人の限界を測るとしますか。)
(・・・サキが動かない。倍満が怖くないって事?くっ、何処までも私達を馬鹿にして!)
イライラが募っていた淡は、自身の支配する会場の上空からオーラで咲を狙撃する為に力を溜め始める。咲相手に効くとは本人も思ってないが、足止めくらいにはなると思っての判断であった。そして他二人もその淡の行動を察知していた。
(淡さん!?・・ありがとうございます。咲さんがよく使う、フィンガーショットという技を相殺するつもりなんですね。)
(へー、咲の指先砲弾やオーラ攻撃を相殺する気なんだ。気が利くじゃん、その調子で頼むね。)
それから3巡後、咲が穏乃のアガり牌である5筒を手に取ってしまう・・当然咲はそれが危険牌であると理解していた。普段なら手牌に加えて安牌を落とすところだったが、
(・・・まぁ、皆さんのやる気に免じて、ここはくれてやるとしましょうか。)
そのまま自摸切りする。当然穏乃は手牌を倒して宣言する。
「ロ、ロンッ!!」
大きな音を立てて倒れる穏乃の手牌、同時に上がった彼女のロン宣言に観客達は歓声を上げて沸き立っていた!全員大興奮である。当然実況の恒子アナもデカい声で叫んだ!
「おおっとおおおおお!!!ここでまさかまさかの穏乃選手!?あの雀荘荒らしカンドラに倍満をぶち当てたあああぁぁぁ!!??いやー、やりますね彼女!?」
「・・・そうですね、やりますね。」
「いや、ちょ・・すこやんさぁ、観客も盛り上がってるんだからさー、そこは空気を読んでさー。」
「・・・すいません、解説の仕事は選手全員を平等に扱い、試合の状況を皆さんに理解して頂くのが仕事ですので・・。」
「んもう、こんな時ばっかり真面目ぶっちゃってさー。」
(・・・やっぱり咲ちゃん退屈そうだなー。終わったら思いっきり構ってあげよう。)
その後、連携を取り始めた3人は互いに協力し合い、東2局にネリーが幸運とオーラを使って3倍満を咲に直撃させ、24000点をもぎ取る。しかし東3局、3人が互いの連携に希望を見出したところで、咲がトイトイ,三暗刻,嶺上開花,ドラ4の倍満を自模る事で親8000,子4000の16000点を稼いで再び差をつける。当然3人の心を絶望が覆うが、
「ふんっ!その程度で私が止まると思ったら大間違い!絶対にアンタを倒して、待っているみんなに優勝を届けてみせるんだから!!!」
という、淡のどこまでも真っすぐな心に、他2人の闘志も再び燃え上がる。それを見た咲は、
「そうですか、じゃあ頑張ってください。」
と、塩対応で済ましたが、その内心は・・
(ワーオッ・・・大星淡。この子はその名の通り、どれだけ絶望的な状況でも希望を失わないで突き進む、高いストレス耐性があるようですね。おまけに正義感や責任感まで兼ね備えているようで・・・そんな彼女に周りの人間は光を見出し、自然と彼女に味方する。まさに主人公のような人ですね、後で協会の人達から何かしらのお声が掛かる可能性が高いですが・・・まぁ、一応頑張れとだけ言っておきますよ。)
若干の同情を挟みつつも、おおむねその能力を賞賛していた。
そして東4局、この局は最初から咲がオーラを開放し、3人に向けてフィンガーショットや黒のオーラによる揺さぶりを掛けるが、
(そうはさせない!!)
会場の天井付近を支配していた淡がオーラを開放!咲が繰り出す大量の弾丸やオーラを全て空からの砲撃で撃ち落とす事に成功する。そして2人が打ち合っている間に穏乃が手を進め、咲に一気通貫,緑一色,倍満16000をぶち当てる事に成功した。自分との打ち合いに夢中になって、足元が疎かになっていた咲を見た淡は・・・
(へ、へへ・・ざ、ざまぁみなさい、サキ・・・アンタは判断を誤ったのよ・・・へぇ、へぇ・・)
これ見よがしに咲に向かって不敵な笑みを見せつけたが、人生で初めてのオーラを打ち合いを経験してガス欠気味になってしまっていた。元々普通の能力者に比べてかなり気力量の多い淡であったが、後半戦が始まった時点で既に大半の気力をネリーに持っていかれていた為、この時既に4分の1以下。そして東4局の慣れない打ち合いを経験して気力量は3%を切ってしまっていた。ハッキリ言って、淡はもう戦いについていけない状態であった。だが・・・
(まだ・・まだ戦える!あと4、5発は打つ事が出来る!それに私の支配を維持し続ければ、咲はこれ以上支配を広げる事は出来ない!既に会場は私達のオーラでパンパン、もうアイツが神様の力を使わない限り場所は空かないわよ。・・だから・・まだ・・・)
ボロボロになっても未だ闘志は尽きていなかった。そんな淡の心を読み取った2人は、オーラを通して淡に声を送る。
(・・・淡さん、お疲れ様です。)
(っ!?この声・・阿知賀の?)
(はい、高鴨穏乃です。淡さんの活躍、ちゃんと見ていましたよ。すごくカッコよかったです。)
(っ!!そう・・ありがと。アンタもさっきの倍満、中々良かったわよ。)
(っ!そうですか・・・えへへ・・・)
(・・・ちょっと、何ネリーを仲間外れにしてイチャついてんのよ。)
((うぉっ!?ネリー!?)さん!?)
(はぁ、全く・・もしかしてアンタ達、この程度の事すら今まで練習してこなかったの?呆れた・・そんなんでよくここまでたどり着けたものね?)
(あ、はい・・すみません。)
(別にいいけど・・・それより集中して、次は南1局、咲の親番よ。)
ネリーの指摘に身体を強張らせて咲の方を見る2人、ネリーは既に咲に意識を向けていた。3人とも、またあの連荘が決まってしまったら・・と、嫌な想像をしていた。すると・・
(・・えっと、みなさん。何で私を見つめるんですか?)
(んなっ!?サ、サキ!?な、何で・・?)
(何でって、私はこの道のプロですよ?こんなドアの開いたシェアハウスみたいな空間にお邪魔するくらい簡単ですけど。)
突然頭の中に話しかけてきた咲に困惑する淡と穏乃。ネリーはやっぱりか、といった表情を浮かべていた。
(ご安心を。私は皆さんの会話が漏れ聞こえないように極力努めるので、どうぞお好きに私を倒す算段を付けて下さい。)
(ブチッ!!!・・おやおや、流石は雀荘荒らしカンドラ様です事!相手がどんな手を使おうが関係なく、全てを踏みつぶすと言った事ですかねぇ!?)
(・・・・・・・・・)
咲に気を使われた事にキレた淡は、再びお嬢様口調で煽りに掛かる。しかし咲は意に介していない。なのでもっとキツイ煽りをしようと淡はヒートアップした。
(ああそうそう・・貴女、確か光とかいう子を好いておいででしたっけ?)
その途端!光という単語を淡が出したその瞬間!会場内の空気が雀卓を中心に一気に上昇した!!何が起きたのか分からずにフリーズする穏乃!顔を手で覆って、これから先に起こる悲劇を直視しないようにするネリー、そしてやっちまったと後悔する淡。
(・・・光ちゃんが、どうかしましたか?)
(っ!!??い、いえ・・ただ・・)
(ただ?)
まるで炎がすぐ横で逆巻いているような感覚がする3人、そんな命の危機を感じる中、淡は口の中の水分がすごい勢いで無くなっていくのを冷静に理解しながら・・絞り出すように言った。
(・・その・・その子とは、姉妹のように仲が良かったと・・聞いておりましたので・・・なら・・テルとも・・仲良くして欲しいなー・・・って。)
冷や汗をドバドバとかきながら、頭に浮かんだ単語をそのまま口にした淡。あまりの緊張にお嬢様口調も崩れてしまう。
それから数秒後、永遠にも感じられる沈黙が3人の間で広がる中、
ガシャンッ!
雀卓が山を築いて南1局開始の合図を出す。それと同時に気温は直ぐに低下していき、元のクーラーの効いた室温へと戻っていった。
(・・なら照さんにお伝え下さい。感情で話さずに理性で話す事を心がけるように・・話をするのはそれが出来るようになってから・・・と。)
(・・・・・えっ?あっ!うん、分かった・・伝える・・・)
(はい・・・じゃあ3人とも、呆けてないで気を張って!南1局が始まりますよ!)
咲の合図で我に返った3人は、慌てて手配を揃えていく・・・いよいよ後半戦も南入りだ。
つづく
決勝戦はどんな展開を望みますか?
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能力を使った麻雀対決をがっつり書いて
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麻雀対決はあっさりでいい
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麻雀はいいから能力で直接戦って欲しい
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麻雀シーン少な目、キャラ同士の会話多めで
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試合中の回想シーン中に会話を多めで
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特になし、作者のお好きにどうぞ