そんな中、自主退職に追い込まれたからといって更新をストップ
していては咲ファンとしていかがなものか?
と自問自答した結果、頻度は落ちますがそれでも更新を続けていこうと
奮起した次第でございます。
誤字脱字あったらすいません、見つけ次第直しておきます。
「・・・ふはは、やはり咲は笑わんな。」
そう言いながら空笑いするのは、大画面のTVの真正面に陣取り咲の勝利を見守る天江。そして今の台詞・・・何も知らない人間から見れば意味の分からない言葉だろうが、咲を深く知る者なら誰もが納得するであろうその台詞は、この場においてある程度の共感を得た。
「そうっすね・・・つまらないっすよね、結果の分かり切った勝負なんて。」
「だろうな。というより、宮永がわざわざ手を抜いてまで待ってやったというのにこの体たらくでは・・・これはつまらないを通り越して無関心の域にまで行ってるんじゃないか?」
加治木と桃子、二人は口を揃えて咲が退屈さを感じていると語った。それに触発されてか、今までただ黙って咲の闘牌を見ていた面々も、次第に口を開いて各々の意見を述べていく。
「・・・ああっ、咲ちゃん。私に自由を教えてくれた咲ちゃん。なんて神々しい闘牌・・・まるで自分こそが神の代わりに人を戒める存在だとでも言わんばかりのよう。ああ・・美しい///」
「おやおやー・・どうやら姫様、あの人の荒々しい戦い方にすっかりお熱のようですねー。どう思います?霞ちゃん。」
「うふふふふ・・・何でそこで私に振るのかしら初美ちゃん?意地が悪い子は後でお仕置きよ?」
「あ、あははははーーー・・・お仕置きは勘弁して欲しい・・です。」
「・・・まぁでも、やっぱり羨ましいわよね、あの力。私もあれくらいの力があれば・・小蒔ちゃんの一番に成れたかしら(小声)」
狂信する小蒔、試合より恋路が気になる初美、そして嫉妬の炎を燃やす霞。余談だが、霞が恐ろしいものをある程度操れるのは、彼女自身の在り方が恐ろしいものと似通っている面もあるからである。その事を2回戦前まで内心否定していた霞だったが、今はもう認めていた。自分の心が黒に染まり易い事を受け入れて・・・その事実を乗り越えようとちょっとずつ変化していっているのである。
「んふふふふーーー!やっぱり二十面子さんは凄い!流石私達の師匠!そして・・・母上を打ち破ったお人。嗚呼・・・欲しいなぁ。」
「豊音ー、ちょっと目がヤバい事になってるよー。そんなに心配しなくても、後でいくらでも会えるんだから落ち着いて!ね?」
「サエノイウトオリ!トヨネ、チョットオチツイテ!」
「んもぉ・・だるいなぁ・・・そういうの、二十面子さん鬱陶しがるんじゃない?もう少し自重した方が絶対良いと思うよ?」
「そうそう皆の言う通り!だからほら!もうちょっとリラックスする!でないとまた暴走しちゃうかもよ?」
「んえっ!?・・・ああ、ごめん。ごめんなさい。反省しますぅぅ。(しょんぼり)」
無意識に本能に従って欲した豊音。それを戒めるチームメイト四人。自身のルーツが神だと知った彼女は、今まで必死になって抑えてきた本性を少しずつ解放するようになっていた。無論未だ暴走の危険性はあるが、それでも周りに仲間がいる間だけは、素直な自分でいてもいいんだと・・・だから、いざとなればちゃんと制御できる。そう、思えるようになったのだ。
「でもあれっすね、ネリーさんがあんなミスをするなんて、らしくないとは思うっすけどね。」
「・・私は何となく分かるよ、新しい力を手に入れて子供のようにはしゃいでしまう気持ちが。そしてそれが落ち度になる事も・・・」
「・・・・何すか先輩、いつの間にネリーさんと仲良くなったんすか。」
「?・・・っ!?・・っ!!・・・ふふふ、なんだ嫉妬してるのか?大丈夫だよ、私の事を一番理解してるのは桃子だよ。だから機嫌直して、ね?」
ネリーの理解者面をした事に腹を立てた桃子が露骨に不機嫌になる。そんな桃子も可愛いなどと惚気ながら、後ろからふわりと抱きしめて甘く囁く加治木。それをチラッと見て呆れ果てる衣。
(はぁあああぁぁ・・またか、また惚気ているのか。衣だって咲に甘えたいのに、それを知ってか知らずかは分からんが衣の前で堂々とイチャつくとは。)
それなりに深い付き合いのはずだが、衣にそういった配慮をしない辺り、この二人もたいがいであると言わざるを得ない。
(・・・まぁしかし、一見何も違えていない様に見えるフェイタライザーに目を付けたのは、やはり二人も実力者か。そう・・桃子の言う通り、フェイタライザーはらしくないミスを犯した。それを本人は気づいていないところを見るに・・・恋は盲目、と言ったところか。)
素直にネリーに同情する衣。衣にも覚えがあるのだ、咲に初めて矯正されてからの1ヵ月・・・咲の為にと思って行動し大きく空回った数々の失敗談が。
(しかし、そろそろ咲自ら分かり易く教えてくれる頃合いだな。そして残りの試合、おそらくあの白糸台の大星が3本場で役満に振り込んで飛び終了・・・か?)
南1局 3本場
清澄高校 242900 東
阿知賀女子 54900 南
白糸台高校 34800 西
臨海女子 67400 北
それから少しの時が経ち、南1局2本場が終了した頃。試合会場の空気は凍り付いていた。
(何故だっ!?何故こうも躱されるっ!?まるでこっちの手の内が全部分かっているかのような・・・)
3本場が始まるまでの少しの時間、ネリー達三人は再びオーラを使って意思疎通を図る。最初に噛みついていった穏乃は半身とも言える神達を戦闘不能にされてダウン。続くネリーのフェイタルカムイも大して役に立たず劣勢。二人に続こうにもここまでの戦いでもう気力が無い淡はそもそも出来る事が無い・・・そんな状況をどうにか打開しようと三人は策を練る為再び繋がる。
(うう、ぐうぅぅ・・すいません二人とも。私が不甲斐ないばかりに・・・)
(気にしないでシズノ、私なんかガス欠で見ているだけだったんだし。それよりアンタ大丈夫なの?随分痛そうだけど・・)
(大丈夫です。ただちょっと・・私ももうガス欠気味でして、これ以上の気力の・・・それでネリーさんの方は?)
(・・・ごめん、全然勝負にならなかった。ネリーのフェイタルカムイと3面待ちに二人の聴牌まであったのに・・・全部、躱された。)
珍しく素直に謝るネリー、それを特に責める様子も無くただただ静かに同情の視線を送る二人。しかしそれも当然の事、相手が規格外過ぎるのだ。
(一体アレは何なんだろう?もしや咲にはこちらの手が全て見えている?いや、いくら咲がオーラに精通しているとは言っても、そんな風にオーラを使えばこっちだって気付く。それにもし出来たとしても、あんな風に槓材にして待ちを封殺するなんて事が出来る訳がない。あの時のネリー達三人はネリーの幸運の能力で普段よりも運に愛されていた。そんな状態の中で三槓子を達成するだなんて、一体咲はどんな能力を・・・)
(・・・・・最後だから教えてあげましょうか?)
ネリーの分析を静かに聞きながら次の作戦を立てようとしていたところ、突然の四人目の声にびっくりして顔を上げる三人。当然三人の視線は自然と咲に集まる。
(最後・・・・って・・)
(分かるでしょう穏乃ちゃん?穏乃ちゃんと大星さんはもう気力切れ、唯一残っているネリーちゃんはまるで歯が立たない。それも二人から一方的に気力と運を奪っておいてね。)
その発言でネリーに二人の視線が刺さる。当の本人であるネリーは表情こそ変えないが、僅かに目を下方向へとずらした。
(はぁっ!?何アンタッ!?私達の味方の振りしてコソコソそんな事やってたの!?)
(お、落ち着いて下さい淡さん!まだ咲ちゃんがそう言っているだけで・・)
(・・・ありがとう穏乃、アンタいいヤツだね。)
咄嗟にネリーを庇った穏乃。そんな彼女に目を合わせて感謝を伝えるネリー。しかしその顔は酷く疲れ切っていた。
(2回目にネリーが貴女に泥をくっ付けて気力と運を吸収しようとした時、貴女はその泥を逆に吸収して無力化した。あの時はヤバいと思ったけど、その後の咲の連荘四槓子で状況は一変。ネリー達は協力して咲の対処に当たらなきゃいけなくなった。そして貴女は打倒咲の為にネリー達に協力してくれた。でも、きっと内心ではネリーに怒ってるんだって、ネリーは貴女に嫌われているんだって思ってたけど・・・)
(いえいえそんな!?えっと・・ホラ!あの時はまだみんな余裕がありましたから!!だから能力を使って相手を出し抜こうとするのも全然OKな空気って言うかーえっとーー・・そう!まだ全員点棒に余裕があったと言うかなんというか・・・)
(・・はは、ありがとう穏乃、ちょっと気が楽になったよ。貴女も中々の人たらしだね。)
(ふええぇぇ!?いやそんな、ナンパ目的で言った訳では・・・)
(・・・それで?アンタが勝手に奪った気力や運はまだまだ沢山あるんでしょ?運の方は詳しく知らないけど、自分の気力量が普通の奴より多いっていうのは知ってる。テルがそう教えてくれたし。)
(へー、あの人相手の気力量が分かるまでに成長出来たんですか?素直に驚きましたよ、あの何にも言わないでジェスチャーだけでコミュニケーションを済まそうとしていた姉が・・・いやぁ人って成長するものなんですね。)
唐突な咲の過去のチャンピオン談に思わず吹き出しそうになる淡。彼女には心当たりがあったのだ、チャンピオン照が何でもかんでもジェスチャーだけで済ましていたであろう名残のようなものに。
(むふっ・・・そうだよ、スミレと会ったばかりのテルはそんな感じだったらしいけどね。でもテルは変わったよ、私が白糸台に入学する前にいた良い先輩達に合って、自分から話すようになったんだよ。・・それでもたまにジェスチャーが出る事もあるけどね。)
(そうですか、それはそれは・・・まぁ、この続きは試合が終わった後にゆっくりと語り合うとしましょうか。)
そう言うと咲は指パッチンを一つ・・鳴らした。
パチンッ!
「・・・ホヤウカムイ。」
そして現れるホヤウの翼。再び場の支配を無に還すのかと三人は身構えたが・・・
(ネリーちゃん、気づいてる?その・・フェイタルカムイだっけか?その巨人さんの弱点に。)
(・・・弱点?)
ネリーに話を振る咲、他の二人は何故このタイミングでその話を?といった疑問を抱いた。
(その前に確認だけど、その巨人さんが出せるようになったのはつい最近の事だよね?)
(・・・そうだよ。準決勝があったあの日の夜に急いで形にしたものだけど。)
(準決勝、ああーなる程。だからフェイタルカムイですか・・・良いですね。勝手に神の名前を語るのは中々根性が座ってて好感が持てます。)
(ふっ・・神様から直々に権能を授かった咲に言われてもね。)
(いえいえ、本気ですごいと思ってるんですよ。ええ本当に・・・ですが練度はまだまだですね。)
そこまで伝えると、咲はホヤウの翼をはためかせて風を送る。送り先はもちろん雀卓全体・・・ではなくその傍、ネリーの後ろにいる巨人に向けて送られた。1回使うだけで2局の間オーラや能力を封じる事が出来る強力な神風、それをネリー一人に向けて送り続けるのだ。負けじとネリーも咄嗟に防御しようと自身をオーラの膜で包むが簡単に破られてしまう。いくらネリーと言えどもこればっかりはどうしようも出来ない・・そう判断し甘んじて風を浴びる決断をする。その途端、全身から気力が抜けていくのを感じ、巨人の形を保てなくなりそうになる。
当然その華奢な身体は姿勢を維持できずにぐだっと椅子にもたれ掛かる。顔も下を向いて俯き、腕はだらんとだらしなく垂れさがった。巨人も同様に立膝を突き、身体を構成する泥たちがボタボタと音を立てて崩壊していく。中継を見ていた観客も何事かと騒ぎ出していた。
(なっ!?一体何をする気なんですか!?)
(何って穏乃ちゃん・・・このままホヤウの力でフェイタルカムイを分解するんだよ。)
伝え終わると同時にもう一度風を送る。これで2回目、計4局分の風を送った事になるが、それでもまだ巨人は形を残していた。ほとんどの泥が零れ落ち、すっかり瘦せてしまった病人のような悲しい姿を晒しつつも、それでもまだ立ち上がろうと踏ん張っていた。同時にネリーも必死になって前を向こうと、顔をゆっくりと上に向けた。
(ふーん、随分頑張るんですね。)
(はぁ、はぁ・・当たり前だよ咲。これぐらいのガッツは見せなきゃ、咲の相棒なんて夢のまた夢だよ。)
この場の全員に恥ずかしげもなく自身の目標を伝える。神風を受けて身体を震わせながら、それでも啖呵を切る姿に、淡も穏乃も素直に感動した。
(そうですね、そのガッツだけは私の相棒に相応しいと認めてあげますよ。じゃあ最後に・・・)
再び右手で指パッチンの構えをする咲。
(皆さんにネタ晴らしです。おっと、その前に・・・皆さんの戦略は素晴らしかったですよ。コンビネーションも抜群でした。とても今日初めて同卓したとは思えない程です。まるで何年も前からの付き合いのような連携でした。おそらく普通に戦っていれば私もギリギリの戦いを強いられていたでしょう・・・しかし、私に対しての警戒が甘かったと言わざるを得ません。特にネリーちゃん!)
パチンッ!
弾けた音が響く・・その瞬間!フェイタルカムイの身体が不自然に膨張を始めた!
何事かと驚く二人、しかしネリーだけは、なんとなく何が起きているのかを把握出来てしまった。
(くっ・・まさかとは思っていたけど・・・ここまでオーラを自在に扱えるなんて・・・)
(フェイタルカムイの弱点・・それは一日に奪える運と気力の量に限界がある事です!)
ハッとして咲を見つめるネリー、他二人も後学の為に静かに聞き入る。
(そもそもネリーちゃんの運命操作の能力だって、一日に操れる運にかなりの制限があるでしょう?そんな制限付きの能力とオーラを合体させたんだから、当然巨人さんにだって制限が付与されていた!なのにネリーちゃんは新しい力に舞い上がって検証を怠った!
いいですか皆さん!どんなに強そうな能力に見えてもそれには必ず弱点があります!その弱点を克服する為に能力者はみんな頑張るんです!私だってそうです、色々と危ない目にあったりキツイ修行を乗り越えたりする事でここまでやりたい放題出来るようになったんです!ネリーちゃんはそれを理解せずに片っ端から相手を選ばずに運を吸い取った!最初から私一本狙いでいけば良かったものを、安牌の二人から吸いまくるから・・・さっき私に泥がくっ付いた時にはもう満腹状態!巨人さんもお腹いっぱいで泥をくっ付けたはいいけど他に何も出来ないからお互い気まずい感じになってましたよ!)
そこまで早口で説明した咲だったが、そこで一つコホンッと咳をして、いつもの調子に戻って皆に伝えた。
(最後に・・ネリーちゃんは知っていると思うけれど、私の白のオーラには相手の警戒心を解く効果があります。皆さんはそのオーラを知らず知らずの内に吸収し、自身のオーラとして使用しました。その結果穏乃ちゃんに憑りつく神様達は、私の白のオーラが赤の炎に変わった事で勢いよく燃え上がり、ネリーちゃんのフェイタルカムイは内側から燃え盛りながら爆裂しそうになっているのです。)
その言葉に驚愕で目を見開く穏乃、まさか咲ちゃんがそこまでオーラを自在に扱えるなんて・・・といった驚愕の表情をしている。一方ネリーは自身の甘さを恥じていた。流石の咲も自身から切り離したオーラまで操れる訳がないと・・・そんな楽観的な思考に陥っていた自身を内心で叱責した。
(バカだった、オーラの基礎を何一つ学べていないネリーが、自分本位な予想を立てて結果足元を掬われた。ぐ、くそぉ・・これじゃぁ咲の隣に立つなんて・・・ううぅ・・)
ミシッ、ビシッ・・ボロボロボロ・・・・ボロ・・・・・・・ガラガラガラッ!!!
結局最後に自分にトドメを刺す事になったのは、他でもない自分自身の甘さが原因だった・・一度そう考えてしまったネリーは駄目だと分かっていても中々意識を切り替えられない。主人の諦念が伝播したその時を持って・・・フェイタルカムイも遂に音を立てながら粉々に砕け散ったのだった。その散りざまを見た咲は・・
(・・・大丈夫、君はもっと強くなれるから・・・だから、今はお休み。)
最後まで主人に忠を尽くした巨人に、安らかな眠りを祈るのだった。
つづく
決勝戦はどんな展開を望みますか?
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能力を使った麻雀対決をがっつり書いて
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麻雀対決はあっさりでいい
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麻雀はいいから能力で直接戦って欲しい
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麻雀シーン少な目、キャラ同士の会話多めで
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試合中の回想シーン中に会話を多めで
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特になし、作者のお好きにどうぞ