健気系ヒロインのシノンに愛情たっぷりに心配されるの凄い良くない?   作:わっしょい丸

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チョロいから初投稿です。

マジで後半が書きたかっただけ。


















帰りを待ってる未亡人感シノン凄い良くない?

「しっかし、もうちょっと内装いじったらどうだ?これじゃあ折角の品が泣いてるぞ」

「これでいいんだよ、派手な感じは趣味じゃない」

 

無論、そんなことは考えていない。

この店主とはこんな軽口を交わせる気の置けない仲なのだ。

 

 

第50層アルゲード。

今もっとも栄えている町といっても過言ではないエリアの一角。

 

そんな最高立地で商人をしているのがこの男、エギル。

ゲーム開始間もない頃からの旧知の仲だ。

 

180cm前後の高い身長、筋肉も凄いのに声も良い、日本語ペラペラアメリカ人。

神は人を見捨てたもうた。

 

エギルに髪はないけれど。

 

 

 

 

「にしてもお前、また素材溜め込んで来たな。こんなの二束三文にしかならないぞ」

 

昨日の狩りの戦利品、蜥蜴剣士リザードマンロードと骸骨剣士デモニッシュサーバントのドロップ品を売却しに来たのである。

 

その総数100余り。

最前線の迷宮モンスターの素材なんて、山ほど市場に転がっている事だし、どうせ買い叩かれるのがオチだ。

中層のレアモンスターのドロップ品を狙う方が金策としてはまだ合理的である。

 

 

「別にいくらだろうが文句はつけねえよ。

金には困ってないし、訓練してたら時間が飛んでたってだけ」

 

「なら一つ当たり10コルでいいか?」

 

「すまん、せめて相場の底値を提案してくれ。刀を抜きそうになった」

 

「OK、毎度ありがとうございます」

 

 

商売人としての常識がないのか、この男。

悪徳商人エギル、ここに現る。

 

売り言葉に買い言葉。

やたらと発音の良い了承の言葉と共に、俺の丸一日の収益は二束三文以下で決定した。

 

 

 

 

「でも訓練ったってお前の戦闘用スキルはほぼ全てマスターだろ?

今更何のスキルを上げてるんだ?」

 

エギルの疑問はご尤も。

カタナ、投剣、疾走、武器防御に戦闘時回復。

索敵、隠蔽、エトセトラエトセトラ。

 

エギルも含めた数人のみに伝えてあるスキルも、1000になってからそれなりの時間が経過している。

 

滅多に使わない700ちょっとの体術を除いて、俺の戦闘用スキルは熟練度カンストなのは事実だ。

 

 

 

「スキルだけが全てじゃないって事よ。数値じゃなくて個人的に納得行かねえなぁっていうぐらい」

 

「ほう、まあ頑張ってくれよ。抜刀斎様」

 

「うげ、その呼び方は勘弁してくれ…」

 

「はっはっはっ!」

 

バシバシと肩を叩き、豪快に笑う大男。

 

別に特別なスキルを披露した訳でもないのに、居合から走った刀でソードスキルを多用していたら付いた2つ名。

 

 

こんなの現実でじいちゃんに聞かれたら笑い者だ。

あの筋肉爺と最後に打ち合ってからもう2年以上。

 

齢70オーバーの老人とは思えない程に元気で、病気とは程遠い御仁。

現役で師範をしていたくらいだから天寿を全うなんてことは有り得ないが。

 

 

そんなハイパーお爺ちゃんの祖父には未だ剣で勝った試しはない。

ここで研鑽した技術で目にモノ見せたいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

からんからん。

来訪者を知らせる鈴の音。

 

 

「おっす、エギル。それにトウシンも」

 

店主と俺を呼ぶ少年。

エギルの店を訪ねてきたのは見知った黒尽くめの剣士。

かの有名なソロプレイヤー、黒の剣士キリトであった。

 

 

 

「おすおす、まだ生きてたか黒の剣士」

 

「お前こそ。とっくに中層に引き篭もったかと思ってたぜ抜刀斎」

 

拳を合わせる。

このやり取りは今に始まった事ではない。

 

第一層から面識のある事もそうだが、剣士としてどちらが強いのか、随分前にデュエルをしてからこんな感じなのだ。

その戦績、48勝49敗。負け越している。

この雪辱はあと2連勝することで格付け終了と共に晴らすとしよう。

 

 

しかし、お互い最前線を生きるソロの身。

フレンド欄でその安否は確認出来るが、やはり姿を見ると安心するものだ。

 

 

 

 

 

「それでキリト、今日はどうした」

 

「それがな…見て驚け!」

 

エギルの言葉に、アイテム欄からトレード画面を開くキリト。

用もないのに、この溜まり場に足を運ぶ事が多い俺たちが態々そんな勿体ぶる事なんて…

 

 

 

「「こ、これは…!」」

 

キリトの画面を横から覗き見。

 

そこに表示されたアイテム欄には、ラグーラビットの肉。

 

 

 

「S級のレアアイテムじゃねえか!」

 

「これ…実在したんだな…」

 

「今朝たまたま狩ってな」

 

「買うのは俺としては大変嬉しいが…

キリト、自分で食べようとは思わんのか?」

 

「たしかに、こんなの2度とないチャンスじゃないか?」

 

遭遇率激低。

宝くじに当選するレベルだと巷で噂されるレアモンスター、ラグーラビットのドロップ品。

足も速いと聞くし、見つけたとしても警戒心の高さ故にすぐ逃げられてしまう。

 

運良く手に入れたプレイヤー曰く、天にも昇る味。

現実でもこんなのは食べた事がない。

そう評されているほどの食材だ。

 

 

このSAOでは美味い食事なんてそんなに有りつけないのだから、エギルの質問には俺も同意。

 

 

 

「勿論思ったさ。多分2度と手に入ることはないしな」

 

「だったら尚更…」

 

「俺たちが焼いたって焦がすだけだろ?」

 

「あー、言えてる。そんなに料理スキル上げてる物好きなんてなぁ」

 

「確かにこのレベルの食材となると、かなりの熟練度がいるな…」

 

悩む男3人。

なんと悲しい事か、この世界での料理にはスキル熟練度が必要なのだ。

扱う食材が高度あれば、それに比例して必要な熟練度は上昇していく。

 

 

当然俺を含めた野郎達では料理をする人間はいない。

 

 

 

 

 

「キリト君」

 

キリトが来てから閉じていなかった扉から入ったのだろう。

白を基調とした女騎士がキリトの肩を叩いた。

 

 

「「あ」」

 

閃光のアスナ。

最強と名高い血盟騎士団、通常KoBの副団長であり、かなりの実力者である。

最前線にいる美少女剣士としてアイドル人気もとんでもない事になってるらしい。

 

彼女は確か、料理スキルをかなりやり込んでいたと記憶している。

それを思い出してキリトと被ったのであろう。

 

 

 

「シェフ捕獲」

「?」

 

S級食材所持者は天啓を受けたかのように、アスナの手を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「てことで、取引は無しだ」

 

料理スキルをカンストしたというアスナに、交渉の末に調理後半分を差し出すと言うことで成立。

 

案の定、料理人を見つけたキリトはエギルの店に売るはずもなく。

 

 

 

「俺たちダチだよなキリト!一口くらい分けてくれても…」

 

「俺は金払うぞ!お願いします黒の剣士様キリト様!どうか一口…」

 

「ダメだ。これは俺がしっかり堪能して感想だけ送ってやるよ」

 

「そんな…」

 

「お慈悲をぉー!」

 

 

愚か者2人を一蹴。

そうして店を出て行くのであった。

 

 

 

「じゃあエギルさん、トウシンくん。また」

 

後を追って去って行くアスナ

閃光の様にラグーラビットを食べる権利を手に入れて、去って行く。

通り名は伊達じゃない。

 

そして会釈をしてアスナを追う名も知れない細身の付人KoB剣士。

めっちゃキリトを睨んでたけど、アスナのマネージャーだろうか。

 

 

 

「「はぁ…」」

 

よく分からんけど負けた気がする。

俺とエギルはそう感じずにはいられなかった。

 

 

そういえば誰かに料理作って貰ったの、いつだっけなぁ。

 

 

母さんのカレーとか、味噌汁とか、そのどれもが途轍もなく魅力的だが。

 

 

 

 

「2年も空いたし、何でも美味えんだろうけど…」

 

 

そのどれよりも、幼馴染が作ってくれた肉じゃがが、何故か無性に恋しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつもありがとうございます、おばさん」

 

彼の家族は、私にとても良くしてくれる。

こうして連絡も寄越してくれるし、あちらのお宅で食事を共にすることもあるくらいだ。

 

 

 

「はい、寒くなる季節なのでお爺さんにも気を付けてと。

はい、おやすみなさい」

 

頻繁に自宅に誘ってくれるが、そんなにあやかる訳にもいかない。

 

いつからか始まった習慣で、料理を教えてもらうという名目で有り難く通わせてもらっている。

 

 

おばさんは、私の作る料理の方があいつの好きな味付けねってよく言ってくれるけど、別にそんなつもりはない。

 

たまたまだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと濃いかも…」

 

今日の献立は、日持ちもする肉じゃが。

その味付けは、少しだけ濃かった。

 

 

 

 

元々薄味が好みなのに、全体的に少しだけ濃く作るようになってしまったのは、いつからだったかな。

 

 

 

 

ご飯を多めに炊くようになったのも。

 

個人の味の好みに寄せるようになったのも。

 

 

それが、習慣付いてしまってから離れない。

 

お米を3合も炊いてしまったから、また冷凍しないといけない。

肉じゃがも自分が好む味付けより、少しだけ濃くなってしまった。

 

 

 

 

全部、彼のせいだ。

 

あいつが、帰って来ないから。

 

 

 

 

「はぁ…」

 

1人で食事を摂るのが多くなってから、もうすぐ2年。

あいつが勝手に来るのが途絶えて、もうすぐ2年。

 

 

大きめのお茶碗も、私の好まない七味唐辛子も、テーブルに並べなくなって久しい。

 

 

 

 

 

 

私が2人分の料理を作っていた期間は、2年もないはずなのに。

 

 

何でこんなに、溜息ばっかりなんだろう。

前はこんなことなかったのに。

 

 

 

 

「このままだと、忘れちゃうわよ…」

 

あんたの好きな味付けも、顔も声も忘れてしまうかもしれない。

 

早く食べに来ないと、お茶碗も七味唐辛子も捨てちゃうんだから。

 

 

 

 

『やっぱ母さんのより詩乃の肉じゃがの方が美味えわ!』

 

「ばか」

 

忘れるには、まだ何年かはかかりそうだ。

 

 

 

 
















感想来てからすぐ書けたから自分のチョロさを実感しました。

シノンがいつから一人暮らししてるとか覚えてないけど、ここ書きたかっただけだからマジで許して。


最後の一節でパワプロ思い出して曇らせ考えたけど、俺が死ぬのでやめました。

感想で頑張れる子だからおなしゃす。
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