俺の脳内選択肢が学園ラブコメ(男だけ)を全力で助けてくれる。 作:藤原久四郎
そして交互に投稿と言ったな、あれは嘘だ。
すみません!本編(?)を楽しみにしている方!(居ないだろうが)
なんでもするんで許してください!
前回までのホモライブ!
矢澤は……存在したッ!!
「矢澤にこさん……?」
その人は俺の見ていたラブライブというアニメで出てきた登場人物であってホモライブとかいう得体のしれない謎のコンテンツには存在しないはずだ。というかホモライブってラブライブのパロディの様な物なのだろうか。
「ちょ、ちょっとアンタ。周りの人がこっち見ているから……」
「はっ……」
目の前の矢澤にこさんに言われてから気が付いたが、周りを見ると通行人の視線が痛いほどに突き刺さっている。それは俺や矢澤さんが騒いでいたせいなのか、それとも傍目から見たら、幼い子を思い切り引き留めているようにしか見えない俺のせいなのか。
皆目見当つかないものの、このままではいけない事を俺の危機感センサーがビンビンに告げている。いや、そんなものないけどさ。
「とりあえず移動しましょ。そこで少しなら話聞いてあげるから」
矢澤さんがこちらに耳打ちしてきた提案に俺は首を縦に振る。そして逃げるように二人で走り出し、駅を後にした。
場所を移した俺と矢澤さんは、駅からそう遠くない位置にあった、誰でも知っていそうな某珈琲ショップに来ていた。
「で、アンタは私になんのようなの?」
コーヒー、ではなく新メニューらしいストロベリーシェイクカプチーノ、という長い名前の身体に悪そうな色の飲み物を啜りながら、若干不機嫌そうに矢澤さんは口を開く。
「なんかすみません、でも少しでいいので話を聞かせてもらっていいですか?」
「内容にもよるけどね。ラブライブの事なんかや私たちの事は言うつもりないわよ?」
聞こうと思っていた事を先に釘を打たれてしまった。だが逆に言えばこの世界ではラブライブがあった、つまりラブライブの世界である可能性が高くなったという事だ。
しかしそうすると、あの穂乃道というラブライブのキャラクターである穂乃果に類似した彼は一体何者だったのだろう。正直、選択肢の事だから予想してもその予想の遥か斜め上を全速力で飛ばしてくるからな……。
「で、何も用がないならこの後待ち合わせあるから帰っていいかしら?」
「じゃ、じゃあ一つ聞いていいですか?」
「わかったから早くしてくれない?」
「え、えーと……矢澤さんって今何歳ですか?」
「は……?」
俺の質問、それは年相応の淑女に言おうものなら地雷。そして、世間では女性に言うのは体重の話などと共にタブーとされる話題。
即ち、年齢。Age、Years。
「アンタ……私ってそんなに幼く見えるのかしら?」
擬音で言えばゴゴゴといった文字が見える。ジョジョ風に言うならドドドッ!
そんなことはどうでもよくて、目の前の矢澤さんはどう考えても不機嫌そのものだ。聞き方が直球過ぎたとは言え、これがある意味一番自然かつ、怪しまれずに一つの結論を得る手段だったのだ。
「えっと、その……別に馬鹿にしているとかそういう訳ではなく……」
「じゃあ? どういう? 意味なの?」
あ、ヤバい。これはふらの(元の世界のクラスメイト。俺に対して厳しい)を怒らせた時と同じ雰囲気だ。
選べって――。
① 「にこちゃーん! 可愛い可愛い!」と言って高い高いする。
② 「ねぇ……俺、自分より背の低い子に興奮するんだ」と、にじり寄りながら言う。
困った時でも役に立たないどころか、余計頭痛のするような選択肢を投げ捨ててくるあたり脳内選択肢は流石と言える。しかも一つは犯罪、犯罪なんだ。
俺は黙って座っていた椅子から立ち上がり、向かいに座っている矢澤さんの下へ歩み寄る。
「な、何よ?」
一度深呼吸。慣れた相手でも絶対にやりたくない、やれない事を初対面の矢澤さんにしないといけないこの現実。選択肢特有の頭痛が徐々にレベルを増していく。やりたくなくてもやる。不可能が可能になる。選択肢は――クソだ。
「にこちゃーん! 可愛い可愛い!」
半泣きになりながらも選択肢に提示された通り、あの舐め腐った台詞を嫌々吐きながら矢澤さんを抱きかかえる。そして子供をあやす時の様に高い高いを、頭に鳴り響く頭痛が収まるまで、つまり選択肢が満足するまで続行する。
その間矢澤さんは呆気にとられた表情のまま固まり、俺の高い高いを成すがままに受け入れている様だ。そして客席にいる他のお客様は俺の声に振り向くも、俺の行動を見た途端に目を逸らしていたので、精神衛生は多少よろしかった。
そしてある程度高い高いを継続した所で頭痛が収まる。そして同時に視界に広がっていた忌まわしき選択肢も消えていった。
そして、選択肢から解放された俺のするべき事は一つだ。
「本当に申し訳ございませんでした」
抱きかかえていた矢澤さんを素早く地面におろし、俺はその地面に額を貼り付ける。しかし矢澤さんは俺の言葉が耳に届いていないのか、未だに呆けたまま固まっている。
するとそんな静寂を見かねたのか、矢澤さんの方から携帯の着信らしき電子音が店内に響き渡った。その音に引き戻されるように、矢澤さんはポケットから携帯を取り出し着信を受ける。
「あ、何アンタか……今どこだって? 喫茶店の……あーわかったわ」
話は一分とかからず終わったようで、矢澤さんは携帯を再びポケットにしまっていた。その間俺はずっと地面とお友達のままである。
「あー……なんか、ごめんね? あと私は20越えてるとだけ……じゃあ!」
矢澤さんは言葉を紡ぐ間も素早い動きで荷物を纏めており、そして自分の支払い分と思わしきお金を机に置いた後、目にも留まらぬ速さで出ていってしまった。
そして、一人取り残された俺は未だに額が地面に熱烈なキスをかました状態のままだ。このままでは流石に店側にも迷惑をかけるだろうと思い、立ち上がった俺は素早く会計を済ませる。お客さんは皆一様に目を逸らしており、やはり選択肢ってクソだと改めて思いながら店を後にする。
店を出るまではどうにも視線を感じながら形容しがたい居心地の悪さが全身を支配していたのだが、それ以上にの矢澤さんの先程の最後の一言が頭の中で引っかかっていた。
あの時確かに20は越えている、と言っていた。つまり、少なくとも大学生、下手をすれば社会人の可能性すらある。そして20という数字。
もし、この世界がラブライブの世界なら……
「三年後の世界なのか……?」
選択肢の事だから十分にあり得るのだが、穂乃道という人物が示すのはラブライブの世界とは少し違うという事だ。いくらなんでもそっくりすぎる。このままだとμ´sのメンバー全員の似たような男キャラが出てくるんじゃ……。
「……あぁ」
わかったぞ、だから
「ホモライブ……か」
ラブライブの世界だけど、主人公たちは男の子だよ!しかもラブライブのキャラそっくり!(でもラブライブのキャラもいるよ!)
結局はこういう事なのだろう。ならば俺が選んだラブライブの世界に行く。という選択肢もあながち間違ってはいない。それにしても意地汚いというレベルを遥かに超えている。
色々と真実がわかったとは言っても、結局俺がどうすればいいかなんて皆目見当つかない。そんな俺の不安を読み取ったかの様に再び脳の中に声が響いた。
選ぶんだよ、あくしろよ――
① 明日から、学園!(一年で終わるかも
② 明日から社会人!(終わるかも
③ 明日は良い日になる!(曖昧
あのさぁ……
やる気はあるんでしょうか……。
結局は、選択肢に引っ掻き回されるだけだ。だがやるしかないんだ――。
「おーい、矢澤先輩―」
本来待ち合わせ場所である場所には、最近では毎日の様に見ている顔がいた。それは当たり前と言えば当たり前なのだが。
「あぁごめんなさい。ちょっと色々あって」
さっきまでの事はどうにも説明しづらいような事の連続であったので、あえて言葉を濁しながら返事を返す。
「色々? 何かあったんですか」
まぁ勿論突っ込まれるだろうとは思ってはいたものの、やはりなんとも言いづらい。
「えーと、アンタに似た人に、アンタに似た事をされたとでも言っておくわ……」
そう、間違ってはいない。今の見た目に似た人に、昔と被ることをされたのだ。……うん、間違ってない。
「うーん、まぁよくわからないですけどまぁいいです」
「なんか申し訳ないわね。でもこれ以上いい説明ができないから」
「とりあえず話はまた今度暇なときにでも。今はとにかく行きましょうよ」
そう言って彼は片手をこちらに差し出してくる。もうすっかり慣れた物だ。以前は二秒で恥ずかしくて拒否したこともあったのだが。
「って言うか、いい加減先輩って言うのやめない? そういう関係でもないんだから」
かれこれ三年近い関係だが、この先輩という癖は何度か注意したのにも関わらず直らないのだ。まぁ私も満更ではないのだが、こう雰囲気とか。
「えぇ……でも先輩は先輩ですし……」
「でも、じゃないわよ。いい加減、ね?」
「……わかりましたよ。矢澤さん」
「なんか他人行儀ね」
「……にこさん」
久しぶりに彼の口から聞いた私の下の名前。何度も言っては貰えないので、この一言だけで十分幸せでもある。我ながらチョロいものだとは思うが。
「うん。じゃあ行きましょ?」
私は差し出されていた手を握り返しながら、移動の催促をする。少しごつごつした男らしい手。私の小さい手はすっぽりと彼の手の中に納まる。
「あーなら俺の名前も呼んでくれてもよくないですか? 結局アンタとかしか言われてない気がするんですよ」
実は、私は自分の名前は呼ばせるが、彼の名前は滅多に呼ばない。ただ恥ずかしいから言っていないだけなのだが、何故か昔からの癖でアンタと言ってしまう。これでは人の事を言えたものではないのだが、そこは複雑な乙女心という事で誤魔化してきた。
「いいじゃないの。別に――なんだから」
「なんか腑に落ちねぇ……まぁいいや。それより早く行きましょ?」
「うん!」
ごめんね?今は呼ばないけど……キチンと名前を呼ぶ時もあるよね――?
それは勿論――ナイショです♪
人と人とがせわしなく行きかう駅の近くでは、あっという間に彼と彼女の影はその人ごみの中に溶け込んでいってしまった。
こう、ね? 楽しんで書いているんですね。
矢澤が20を越えているという事は合法ですね……相手は誰なんでしょう(曖昧
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