「はあ、はあ…」
倒れたレナードを見たユートは疲れ果て、その場に座り込む。
カイトとレナード、2人の強敵とデュエルをすることになり、勝利しなければならないプレッシャーにほぼ休みなしでさらされ、実体化したダメージでユートは想像以上に疲労していた。
「ユート…」
権現坂の手を借りた黒咲がユートの元に近づいていく。
カイトを惑わせたうえに彼を倒したレナードを仕留めてくれたこと、ユートと再会できたことを嬉しいと思うはずだが、今の黒咲はとても喜ばしいとは思えなかった。
実際、数多くのクローバー校のレジスタンスを含めたエクシーズ次元の人々がカード化され、レナードに利用されたからだ。
もっと早く行動すれば、もしかしたらもっと犠牲を減らすことができたのではないかという思いが強くなる。
仮定の話をしても仕方ないことは分かっているが、感情はそれに納得していない。
「はあ、はあ…すまない、黒咲…」
「ユート…」
「俺は…結局、カイトを失ってしまった。助けることが…できなかった…」
ファントムライトが消え、フラリと前のめりに倒れる。
倒れるとともに、うなされる声が聞こえ、その声はユートではなく遊矢のものに変化していた。
黒咲の視線が遊矢から倒れるレナードに目を向ける。
「貴様…!よくも俺たちの仲間を!!」
黒咲は傷を押してステージを上り、レナードの胸ぐらをつかみ、彼のニヤケ面に右ストレートをさく裂させる。
頬が赤く腫れ、口の中を切って血を流しているが、レナードの笑みに変化はない。
「ふふふ…レジスタンスどもを共倒れにしてやろうと思ったが…。まさか、貴様らに邪魔されるとはな…」
「貴様…うおおおお!!!」
黒咲は拳に力を籠め、レナードに向けて振るう。
しかし、拳はレナードのそばの床に当たり、拳からは血がにじんでいた。
「ふ…デニス・マックフィールドをカード化しなかったようだな」
「それがどうした!?貴様は殺さない…連行して、情報を吐かせる!!」
「ふっ…誰がそのようなことをするか。だが、安心しろ。お前たちもすぐに知ることになる。理想郷を…プロフェッサーごときでは成しえない、本当も優しい世界を…」
「優しい世界だと!?いったいどの口が言って…??」
レナードの眼が一瞬大きく見開いたかと思ったら、急にグラリと力なく首を傾ける。
まさかと思った黒咲はレナードの閉じた瞼を無理やり開く。
彼の眼の瞳孔は完全に開いており、体は徐々に冷たくなっていく。
「奴め…奥歯に毒を仕込んでいたか」
任務に失敗した以上は生きて帰らない。
オベリスク・フォースとは違う、ジェルマンの恐ろしい任務への意思が感じられた。
だが、できるのであれば自分の手でカイトの仇であるレナードを裁きたかった黒咲は怒りと共にレナードの体を床にたたきつける。
彼のデュエルディスクを調べるが、既にデータが抹消されているうえに使っていたデッキも白紙のカードに変わっていた。
「黒咲…」
「大丈夫だ。これで、クローバー校の暴走も止まる。少なくとも、すべてをアカデミアに向けることができるはずだ…」
レナードの手にあるデュエリスト達だったカードを手にするが、どれも白紙と化していた。
デュエル中にレナードが見せたはずのカイトのカードもそれに含まれていた。
「まずは…今ここにいる生き残りを起こして、怒ったことを説明しなければならない…手伝ってもらうぞ」
「おい、もっと増援を送れ!レジスタンスどもの攻撃が激しくなっているぞ!」
「分かっている!D班、D班!!応答しろ!!」
「E班は既にB班の救援に回っている。到着までの3分、持ちこたえろ!!」
デュエル戦士たちがあわただしく牢獄付近の廊下を駆け抜ける。
兵士の声が閉じ込められている伊織の耳にも届いていた。
「もしかして、翔太君たちが戦っているの?」
きっと、それは自分を助けるため以上にエクシーズ次元を解放するためという意味合いが強いのだろう。
だが、それでも自分を助けに来てくれていると思い込んだ方が自分にとってはよかった。
それに、牢獄を監視している戦士もいなくなっており、脱獄するなら今がチャンスだ。
「うーん、ここってどうやったら開くのかな?」
ここに入れられるまで、目隠しさせられていた伊織はここは普通の鍵なのかカードキーなのか分からない。
普通の鍵なら、何らかの手段でこじ開けることができるかもしれないが、カードキーであればどうにもならない。
カードキーを持っているデュエル戦士がここを通るのを待ち、不意打ちで奪うしかない。
「伊織さん、伊織さん!」
「クリクリー!」
「その声…!」
だが、伊織にはデッキの中にも仲間が存在する。
彼女の目の前にセラフィムとクリボーマンが姿を現した。
精霊である2人なら、すり抜けて様子を見ることができる。
「キュイー!」
更に、なぜか天井近くの高さの壁の通気口が開き、その中からビャッコが飛び降りてくる。
どうやってそこに入ったのかはわからないが、体がこすれで若干毛が黒くなっている。
しかし、ブルブルと体を振るわせるだけで、簡単に元の毛並みに戻った。
「ビャッコも…!もしかしたら、いけるかも…!」
「キュイ!」
自分が来たからにはもう安心と言わんばかりに、2本の尻尾で立ち、腕を組んで見せる。
そして、クリボーマンは柵をすり抜けて扉の鍵を調べた。
「クリボーマンさん、鍵は…」
「クリクリクリー!」
「カードキー、ですね。だとしたら、後は…」
「キュキュー!」
ビャッコは柵の隙間から外へ飛び出す。
彼がカードキーを探しに行ってくれるようだ。
「私がビャッコさんのサポートをします。クリボーマンさんは伊織さんのこと、お願いします」
カードの精霊がどこまでカードから距離を離すことができるのかはわからない。
だが、見つかるわけにはいかない以上は誰かがビャッコのサポートをした方が成功率が上がる。
「じゃあ、頑張って。セラフィム、ビャッコ」
「キュキュ!」
「はい、お任せください。伊織さん!」
ビャッコがわずかに開いているドアから牢獄を飛び出していき、セラフィムも扉をすり抜けて後に続いた。
「キュキュー!」
廊下の柱の陰に隠れるなどして走っているデュエル戦士たちの視界から逃れつつ、ビャッコはセラフィムと共に最上階の司令室へ走る。
牢獄のカードキーを持つ戦士がどこにいるのかわからず、その牢屋番が待機している場所も分からない。
牢獄の一番近くにある部屋はただの仮眠室だった。
今は仮眠室で眠っているデュエル戦士の姿がなく、部屋の中を探したが特に良いものは見つからなかった。
「…!ビャッコさん、デュエル戦士が近づいてきます!」
「キュキュ!?」
もうすでに数人のデュエル戦士の走って近づいてくる音が聞こえて来て、ビャッコは周囲を見渡す。
影となりうる柱も、通気口もない。
縮こまって悩むビャッコだが、何かを思いついたのか、頭の上に葉を乗せる。
「もしかして、変身ですか!?」
シンクロ次元では猫に、TDCでは車に変身したビャッコ。
今度は赤服のデュエル戦士に変身した。
頭に赤いキャップ帽をかぶり、ゴーグルをつけたどこのコナミ君だというべき姿だった。
変身したことにびっくりしたセラフィムだが、どこか大丈夫かなと不安を覚える。
そうしている間に、デュエル戦士3人がこちらに近づいてくる。
「おい、何しているんだ!?さっさとお前も持ち場に就け!奴らが動いてるぞ!!」
「…!!」
返事をしようと口を開くビャッコだが、なぜか言葉をしゃべることができない。
猫の時は猫の鳴き声になったため、人間に変身できた以上はその言葉を離せるだろうと思っていたセラフィムはああ、と頭を抱える。
「お、おい、どうしたんだ?返事をしろ!!」
「放っておけ!ってちょっと待て、デュエルディスクをつけてないじゃないか!?」
「…!!」
ビャッコはデュエル戦士に変身することばかり考えるあまり、うっかりデュエルディスクをつけることを忘れていた。
ごまかそうにもしゃべれないビャッコにはどうしようもない。
「ったく、デュエル戦士がデュエルディスクを忘れるってどういうことだ!?3階の倉庫から取って来い!!」
怪しいものの、今は持ち場に行かなければならない以上は彼にかかわっている場合ではないと考えたデュエル戦士はそう言い残すと、そのまま仲間の2人と一緒に立ち去ってしまう。
「うーん、ちょっと変ですが…情報が手に入ってよかったですね。じゃあ、3階へ行きましょう」
「…!」
しゃべれないビャッコは再び走り出し、エレベーターを見つける。
翔太と伊織がどうやって操作をしていたかを思い出しながら、ビャッコは3階のボタンを押し、扉を閉めた。
「ちっ…数だけは揃えやがって…!」
倒しても倒しても、次々やってくるデュエル戦士たちに翔太は息を切らせ、不快感を口にする。
4時間以上経過しているように体感する中で、もうすでに20人以上とデュエルをし、倒している。
20人数えた時点でもう面倒くさくなって数えることすらやめているため、それが正確な数字である保証はない。
「くそ…あの男、どれだけタフなんだ!」
「ひるむな!数は此方が圧倒的に有利!そして…奴を倒せば、特別報酬が待っているぞ」
デュエル戦士たちは今回の戦闘前に送られた通達を思い出す。
ランサーズの一員である秋山翔太を倒し、カード化したデュエリストには特別に一生遊んで暮らせるだけの大金が支給されるうえに出世が約束される。
どういう原理かは分からないものの、翔太にはカード化してしまった人々を元に戻す能力があり、それがアークエリアプロジェクトにとって大きな障害となるらしい。
彼らは人々をカードに変えはするものの、その後でそのカードはすべて回収されるため、それがこの後どうなるかは管轄外だ。
この通達が来たことで、カード化そのものに計画と大きな関係があることが分かったが、今はそれだけで十分だ。
下手な疑問を抱くよりも、悩まずにカード化していった方が彼らにとって有益なのだから。
「やれやれ…有名人は辛いな…。俺はスケール2の《魔装槍士タダカツ》とスケール9の《魔装剣士ムネシゲ》でペンデュラムスケールをセッティング!」
「キュキュー!」
通気口を使い、倉庫に侵入することに成功したビャッコは少し疲れたのか、その場で座り込みながらみたらし団子を食べ始める。
「ビャッコさん…!そんなところでみたらし団子を食べないでください!」
「キュー…」
「そんなウルウルした眼で見られても…!」
大好きな食べ物を食べたいという気持ちは分かるが、時と場合による。
こんなところでみたらし団子を食べ、タレがこぼれたらそれでばれてしまう可能性が高い。
セラフィムをハラハラさせながら食べ終えたビャッコは変身し、倉庫の中にあるデュエルディスクの1つを手にする。
装着した瞬間、今度はデュエルディスクにパスワード入力画面が表示された。
「パ、パスワード!?そんなの…分からないですよ!」
「…!!」
当然、ビャッコもパスワードが分からない。
あてずっぽうに入力するという手もあるが、こういうものの場合は何回か入力に失敗するとロックがかかる。
他のデュエル戦士に聞くこともできるわけがない。
「私、盗み見してきます!」
セラフィムは倉庫から出て、出撃しようとしているデュエル戦士を探し始める。
3階よりも上にデュエル戦士たちの宿舎があり、そこにならもしかしたらまだ出撃していないデュエル戦士がいるかもしれない。
予想通り、4階の宿舎にはまだ出撃していないデュエル戦士がいて、デュエルディスクを装着したばかりだった。
「あのランサーズって奴らのせいでエクシーズ次元の奴ら、戦意が上がってるぞ」
「プロフェッサーの気高い理想が理解できない奴らめ…!」
自分たちの行いを正義と疑わないデュエル戦士たちは悪の権化ともいえるランサーズとそのリーダーである零児への怒りを漏らしながら自分たちのデュエルディスクを装着する。
彼らは自分の制服と同じ色のIDカードを手にしていて、そのカードにある4ケタの番号をデュエルディスクに入力していた。
(IDカードを盗むか、新しいカードを作れば、ビャッコさんがあのデュエルディスクを使える…!)
問題はそのカードを発行する機能がこの施設にあるかどうかだ。
万が一そのカードを紛失したときのために、バックアップのカードを作る場所くらいはあるはずだ。
その場所を探そうと一度部屋を出ると、セラフィムは牢屋番をしていたデュエル戦士を見つける。
「くそ…次の奴が行ってしまったんじゃあ、俺がやるしかないってのか…。くそっ、あの愚連隊が!」
交代の時間で、ようやく部屋でゆっくりできると思ったのに次に牢屋番をやるはずのデュエル戦士が出撃したまま帰ってこない。
交代要員を出す余裕がないことから、引き続き牢屋番をするように命令された彼はこの原因を作ったエクシーズ次元とランサーズ、ヴァプラ隊に悪態をつく。
統一されたデッキを使わず、制服も着ていない、おまけにプロフェッサーのような理想のない彼らにどうして自分たちがここまでてこずらなければならないのか。
そのうさを牢獄の囚人をいじめて晴らそうかと考えながら、エレベーターへ走っていく。
その姿を見たセラフィムは何かを思いつき、急いで倉庫へ戻っていった。
「じゃんけんぽん!あっちむいて、ホイ!」
「クリクリ!!」
待っている伊織はあまりの退屈さをどうにかしようと、クリボーマンとあっち向いてホイをして楽しんでいた。
牢屋番がいない以上、どんなに騒いでも誰にも叱られるはずもなく、気兼ねなく精霊と遊ぶことができる。
クリボーマンは最初、どうやって遊べばいいのかわからなかったものの、伊織にやり方を教えてもらい、何度もやる中で楽しくなってきたようだ。
「これで10VS8!さあ、ドンドンやろー!」
「クリー!」
「伊織さん、クリボーマンさん!お待たせしましたー!」
扉が開き、牢獄にセラフィムと赤服のデュエル戦士が入ってくる。
なぜデュエル戦士と一緒にいるのかわからず、1人と1匹は身構える。
「大丈夫です。この人、ビャッコさんです!」
「…!」
「あ、ビャッコちゃん。なーんだ、良かったぁ」
しゃべれないデュエル戦士が持ち出したみたらし団子で、彼がビャッコだということが分かった伊織は緊張が切れてその場に座り込む。
「ああ、それに尻尾もあるよねー」
「!?」
ハッとしたビャッコは自分のお尻のあたりに手を置くと、そこには真っ白な2本の尻尾があった。
猫に変身していたときはともかく、車の変身したときも尻尾は残っていた。
だが、初めてデュエル戦士、というよりも人間に変身したため、尻尾のことをすっかり忘れていた。
尻尾を誰かに見られなかったか心配になるが、今はそれよりも重要なことがある。
ビャッコは手に入れたカードキーを使い、伊織を牢屋から出す。
「はああ…助かったぁ」
「伊織さん、あなたの荷物を取り返しましょう!」
「きっと、この中にあるよね。私のデッキとデュエルディスクも!」
ビャッコからすでにロックが解除されたデュエルディスクを受け取り、その中にあるカードを確認する。
どうやらどちらもデュエル戦士の物を奪ったもので、内容はやはり古代の機械デッキ。
いつも使っているE・HEROデッキではないが、ないよりはましだ。
「おい、何を勝手に牢屋から出ている!?」
牢屋番が入ってくると同時に叫び出し、自分のベルトについているデッキケースを手にしようとする。
だが、なぜかいつもならある位置にデッキケースの感触がない。
すぐに彼は伊織が奪ったデュエルディスクの中に自分のデッキがあることに気付く。
「ええっと…ごめんね?」
「な、な…!?」
伊織はデュエルディスクに内蔵されているリアルソリッドビジョンを展開し、《古代の機械猟犬》を召喚する。
召喚した人物であれば、たとえアカデミアの人間でなくても従うようで、その猟犬はためらいなく牢屋番を襲った。
「あ、あ、ああーーーーー!!」
「ワンちゃん、ワンちゃん!気絶にとどめてね!!」
伊織の命令通り、牢屋番を気絶させた後で《古代の機械猟犬》は姿を消す。
しかし、大声を出させてしまったことで気づかれてしまった可能性が高い。
現に、オベリスク・フォースの1人が牢獄に入ってきた。
「何!?貴様、どうやって脱走した!?」
「教えないもん!!」
2人はデュエルディスクを展開する。
伊織はジェルマンと彼らで自分への扱いに違いがあるように感じられた。
彼にとっては伊織がただの囚人でしかないようで、既に自分をカードにする気で満々だ。
だが、伊織にはカードになる理由はない。
自分の荷物を取り戻し、翔太と合流し、自分の生まれの真実をつかむまでは負けられない。
「「デュエル!!」」
オベリスク・フォース
手札5
ライフ4000
伊織
手札5
ライフ4000
「私の先攻、私は手札から《古代の機械猟犬》を召喚」
古代の機械猟犬 レベル3 攻撃1000
「このカードの召喚に成功したとき、相手に600ダメージを与える!」
《古代の機械猟犬》の口から発射されるエネルギー弾が伊織を襲う。
正面から受ける伊織だが、彼女の目の前に青い光の障壁が展開される。
「セラフィム!?」
「カードが伊織さんの元にないとしても、これくらいならできます!」
伊織
ライフ4000→3400
「セラフィム…?何をわけのわからないことを…!私は手札から魔法カード《二重召喚》を発動。その効果により、更に手札から《古代の機械飛竜》を召喚」
蛇のような細長い体つきをした錆びた鉛色の飛竜の機械が現れる。
古代の機械飛竜 レベル4 攻撃1700
「このカードの召喚・特殊召喚に成功したとき、《古代の機械飛竜》以外のアンティーク・ギアカードを手札に加える。私は《古代の機械箱》を手札に加える。更に、《古代の機械箱》の効果。ドロー以外の方法でこのカードをデッキ・墓地から手札に加えたとき、デッキから《古代の機械箱》以外の攻撃力または守備力500の機械族・地属性モンスター1体を手札に加えることができる。私は《古代の機械素体》を手札に加える。そして、《古代の機械猟犬》の効果発動!1ターンに1度、私の手札・フィールドのモンスターを素材にアンティーク・ギア融合モンスターを融合召喚できる」
《古代の機械猟犬》が天井に向けて咆哮すると、上空に《融合》の渦が生まれ、その中に《古代の機械飛竜》と手札に加わった2体を含めた4体のアンティーク・ギアモンスターが飛び込んでいく。
「融合召喚!現れろ、《古代の機械混沌巨人》!」
「そのカードって…!」
シンクロ次元のテレビで見た、デニスの真の切り札を伊織は思い出す。
さすがに地下で召喚するためか、大きさは調整されているが、それでも自分よりも大きいそのモンスターに伊織は驚いていた。
古代の機械混沌巨人 レベル10 攻撃4500
「《古代の機械飛竜》の効果を発動したターン、私はカードをセットできない。これでターンエンドだ」
オベリスク・フォース
手札5→2
ライフ4000
場 古代の機械混沌巨人 レベル10 攻撃4500
伊織
手札5
ライフ4000
場 なし
「私のターン、ドロー!」
伊織
手札5→6
伊織はドローしたカードを含めた手札をすべて確認する。
「私は手札からフィールド魔法《歯車街》を発動!更に手札から魔法カード《古代の機械射出機》を発動!私のフィールドにモンスターが存在しないとき、私のフィールドに表側表示で存在するカード1枚を破壊することで、デッキからアンティーク・ギアモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚できる。私は《古代の機械飛竜》を特殊召喚!」
古代の機械飛竜 レベル4 攻撃1700
「《古代の機械飛竜》の効果!デッキから《古代の機械箱》を手札に加える!更に《古代の機械箱》の効果で、デッキから更に《古代の機械素体》を手札に加える!そして、《歯車街》の効果発動!このカードが破壊され墓地へ送られたとき、手札・デッキ・墓地からアンティーク・ギアモンスター1体を特殊召喚できる。《古代の機械巨竜》を特殊召喚!」
古代の機械巨竜 レベル8 攻撃3000
「ふん!《歯車街》の効果を即座に理解して使ったのはさすがだが、攻撃力4500の《古代の旗艦混沌巨人》は倒せないぞ!!」
「そして、私は手札から《古代の機械素体》を召喚!」
《古代の機械戦士》の装甲がすべて取り除かれ、フレームだけになったようなモンスターが現れる。
古代の機械素体 レベル4 攻撃1600
「更に手札から速攻魔法《リミッター解除》を発動!これで、攻撃力倍!」
古代の機械飛竜 レベル4 攻撃1700→3400
古代の機械巨竜 レベル8 攻撃3000→6000
古代の機械素体 レベル4 攻撃1600→3200
「な、リ、《リミッター解除》だと!?」
「これで…終わり!!」
3体のアンティーク・ギアモンスターが《古代の機械混沌巨人》に向けて2体はブレスを、1体はフレームむき出しのままのパンチを放つ。
ブレスで溶解した装甲に拳が叩き込まれ、《古代の機械混沌巨人》がバラバラになって崩れ落ちる。
「う、うわああああ!!!」
オベリスク・フォースは崩壊する切り札の下敷きになった。
オベリスク・フォース
ライフ4000→2500→0
「よし、行こう!」
気絶したオベリスク・フォースからデッキを奪い、伊織はビャッコを肩の上にのせて走り出した。