遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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第117話 絶滅体

侑斗と翔太のデュエルが終わり、侑斗とヒイロの案内で翔太達は船内のヒイロの部屋に入れられる。

パソコンと机、そしてベッドのみの殺風景な部屋の中、ヒイロがパソコンを動かす。

「お前たちとのデュエルで、現状での実力とお前たちに真実を見る覚悟があるかは見させてもらった。そのうえで、ここからの話は覚悟をしたという認識の上で話させてもらうぞ」

鋭い目つきで2人を見た後で、ヒイロが最初に開いたファイル。

それには遊矢によく似た銀髪の青年の姿、そして彼が操る4体のドラゴンの姿が映った画像が乗っていた。

「このドラゴン…」

「《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》…《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》」

「確か、あの紫のドラゴンは…」

柚子の脳裏に、舞網チャンピオンシップでユーリと戦っていたときの記憶がよみがえる。

彼が召喚したあのドラゴン、体のいたるところに紫か薄いオレンジの球体がついていて、刃物のような鋭さのある細長い尻尾を持つ紫のドラゴン。

ユーリのエースモンスターであり、遊矢たちの持つドラゴンと関係があるとみて間違いないだろう。

「《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》…ユーリのエースモンスター、そして…」

「《オッドアイズ・ドラゴン》…。そして、この銀髪の男は…」

「奴がドクターNが言っていたズァーク、世界の破壊者だ。そして、世界が4つに砕かれた日、《覇王龍ズァーク》が倒された日…ズァークとレイも、世界に道連れにされるかのように4つに分かれてしまった…。それが、榊遊矢、柊柚子…お前たちのこと、そして…お前たちがその中核だ」

「俺と…柚子が…??」

「そうだ、そして遊矢…特にお前は今、一つに戻って、ズァークへと戻ってしまう可能性が高い。実際、お前はユートと融合してしまったからな」

「嘘…遊矢がズァークに…そんなこと、ありえない!!だって、遊矢は…」

柚子は必死に否定しようとするが、当の遊矢本人は反論せず、黙って聞いているだけだった。

ユートと一つになり、その中で覚醒した《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》と《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》。

それら2体を召喚したときは意識が何者かに乗っ取られていたような感覚がして、何もかもを破壊しつくしたいという衝動に襲われていた。

きっと、それはズァークの持つ破壊衝動と同じものではないかと、今冷静に考えると思えてしまう。

(そうだ、遊矢…。俺たちはズァークの『欠片』。俺たち1人1人がズァークから確かに受け継いでいるものがある。俺が受け継いだのは…『悲しみ』。ユーゴが受け継いだのは『短慮』。そして、遊矢…お前が受け継いだのは、『憎しみ』だ)

「『憎しみ』…」

エンターテイナーに最も似つかわしくないもの。

だが、オベリスクフォースが無抵抗な人間たちをカードに変えていった時、そしてシンクロ次元で人々を蹴落としていくのを当たり前に考える人々を、遊矢は確かに憎んだ。

「だが、それをレイという女は黙ってみているはずもない。運命がそうさせたのか…レイの『欠片』となった少女たちもまた、ズァークの『欠片』のそばにいた。ズァークを復活させないために、ズァークが一つになろうとした場合に遠くへ離すために」

「じゃあ、あたしのブレスレットが光って、ユーゴ達が消えたのって…」

「そうだ。おそらくはその作用だろう」

「じゃあ、待てよ。このままだったら俺、またどっかへ飛ばされるんじゃあ…」

「安心しろ。『欠片』の力を使って、その力を阻害させている。お前はもうワープすることはないだろうから安心しろ」

「ホッ…」

どういう理屈かはわからないが、飛ばされないのならばいい。

次元の狭間に取り残されたり、別次元へ飛ばされて迷子になるよりも何百倍もマシだ。

「榊遊矢、仮にお前がズァークになった場合、お前が守りたかったものをすべて、お前自身の手で壊してしまう可能性がある。だから…」

ヒイロは懐からリボルバーを出し、その中にある弾倉を見せる。

中には1発だけ銃弾が入っていた。

「酷なことを言うことになるが…もしお前がズァークになることが抑えられなくなったら…その時は、これで自殺してでも復活を止めろ。この話はお前の親父にも通している。彼も、納得している」

「そんな…ヒイロさん、ひどいです!!自殺なんて…」

「あくまでも、ズァークになってしまった場合の保険だ。そうならないように、俺たちも可能な限り努力はするが、一番の問題なのはお前自身だからな」

弾倉を戻したリボルバーを何も言わずに受け取った遊矢の前に、ヒイロは右手を銃を握ったような形にし、それを右のこめかみへもっていく。

そして、人差し指を動かし、自殺のシミュレーションをしてみせた。

「狙うなら、ここだ。心臓を撃つというやり方もあるが、失敗した例もあるから、推奨はしない。自分の頭を撃つようなことにならないように、覚悟をしておくんだな」

銃を手に取る今の遊矢にはヒイロの言葉は聞こえない。

生まれて初めて持つ銃。

ヒイロにとっては既にて慣れているものかもしれないが、平和な世界にいた人間にとって、その銃は確かな重みと冷たさが感じられる。

だが、この銃の意味は相手を殺すのではなく、自分を殺すためのもの。

「遊矢…」

「ヒイロさん、あなたも銃を持っているんでしょう。なら…俺がもし、どうにもならなくなった時は、その時は…お願いします」

「お前…死ぬつもりかよ?」

永瀬博士の言葉が正しければ、遊矢が死ぬとズァークも復活できなくなる。

本当なら遊矢達を生かしつつ、ズァークを止めるという方法を考えるべきだろうが、アカデミアとの決戦もあることを考えると、どこまでそれに労力を避けるかは分からない。

おまけに、質の悪いことにこのズァークのことは遊矢が生きている限り、永遠に続く問題になる。

「ズァークを永遠に復活させないようにするためには…俺が死ぬしかない、か…」

「ああ…お前が生きている間、寿命で死ぬまでそれに耐えることができるかは、分からないがな…」

人生百年と言われている昨今で考えると、遊矢は仮に生きてズァークを復活させない道を進むとなれば、そのズァークとあと80年近く戦い続けることになる。

その気の遠くなる時間を考えると、自殺もまた一つの手段かもしれない。

ズァーク諸共抹殺することで、世界はズァークという驚異から永遠に救われる。

遊矢は銃を机に置き、首に下げているペンデュラムを取る。

遊勝が遊矢に渡した『欠片』であり、散らばった英知のカード。

「ズァークが壊して、バラバラにした4つの世界がこれからどうなっていくのかはわからない。失ったものを取り戻すことを考えたら、もしかしたらプロフェッサーの言葉が正しいかもしれない。でも、俺たちは確かにこの世界で生きてる。生きてさえいれば、未来を自分たちの手で作ることができる。ほんのわずかな時間だったとしても」

4つの次元を旅して、敵味方問わず多くのデュエリストと出会った。

誰もが自分の願いを叶えようと、未来を創ろうと戦っていた。

きっと、デュエル戦士達も純粋にそう思って戦っていたのかもしれない。

たとえそれが誰かの未来を踏みにじることになったとしても。

「今の4つの次元は次元戦争でボロボロになってる。でも、それを直して、今度こそ…今度は4つの次元がどうにか共存して、今度こそ壊れないように努力することだってできる…。ペンデュラム召喚を手に入れるまでの俺は、正直に言うと何もかもがどうでもよかった。ただ、自分のことしか見ていなかった」

遊勝の失踪と共に、臆病者の息子と糾弾される日々。

尊敬する父親を否定され、卑屈になって、道化のように笑ってごまかすことで生きてきた。

権現坂や柚子のように、自分を信じてくれる大切な人もいたが、彼らのやさしさにすら目を背けていた。

「ずっと、自分は孤独だと思い込んで、過去にしがみついて自分をごまかしてきた…馬鹿なピエロだった。でも、そんな俺でも、確かに何かができた。ほんのささやかなことでも…」

ほんのわずかな時間だけでも、純粋にデュエルを楽しんで死んだエド。

命令ではなく、心に従って味方になってくれた素良。

色あせてしまった心に灯をともしたジャック。

自分のデュエルで確かに笑顔にできた人がいる。

きっと、自分が見えていないだけで、そんな遊矢のデュエルで笑顔を取り戻した人もいるかもしれない。

「俺は…俺を信じてくれる人のいる世界を…未来を、壊したくない」

そのためにも、アカデミアを止めて次元戦争を終わらせる。

そして、ズァーク復活も阻止する。

「どうして…遊矢?どうしてそこまで戦おうとするの?」

「柚子…?」

「自分がズァークになってしまうのが怖くないの!?しかも…せっかく頑張って戦っているのに、もしズァークになるようだったら死んでくれって…そんなの、そんなの勝手すぎる…」

遊矢に何の罪があって、ここまで苦しまなければならないのか。

どうして遊矢ばっかり辛い役割を背負わなければならないのか。

それでも、戦おうとする遊矢が悲しく感じられ、柚子は涙を流す。

そして、そんなことになっているにもかかわらず、涙を流さない遊矢が腹立たしい。

こんなに苦しいなら、八つ当たりだろうがなんだろうがしてほしかった。

それでこそ、普通の人間だ。

「次元戦争のことも、他の戦える人に任せればいいのに…」

「柚子、これは…俺がやらなきゃいけないこと。俺自身が…決着をつけなきゃいけないことなんだよ」

自分がズァークの一部であるなら、世界が分かれてしまったこと、そして零王が暴走して次元戦争を起こした原因は自分自身。

自分がこの世界や、多くの人の未来を狂わせてしまった。

本当なら、レイとして父親である零王と共に過ごすはずだった柚子たちの未来さえも。

「俺たちが…世界を壊して、狂わせてしまった…。だから、俺にはそれを止める義務があるんだ」

遊矢は今、ズァークが犯した罪すらも自分の罪として背負おうとしている。

ズァークが始めたこと、そしてそれによって生まれてしまった負の遺産。

それが次元戦争という最悪な形となり、それがまだ未来に災いをもたらす。

そのようなものをこれからの未来に背負わせるわけにはいかない。

4つに分かれた次元はどうしようもないとしても、それ以外のズァーク、そしてアークエリアプロジェクトとそれをプロフェッサーの名を借りて継承した無機質な代理人は存在させるわけにはいかない。

「遊矢…」

今の遊矢を止めることはもうできない。

ずっと幼馴染として遊矢と共にいるからわかる。

そして、今の言葉はとてもいつもの遊矢の者とは思えない。

確かに今、遊矢は目の前にいる。

しかし、今そばにいる遊矢がなぜか遠くにいるように感じられた。

それを否定するかのように、遊矢の袖をぎゅっとつかんだ。

(榊遊矢…お前はこの次元を壊す絶滅体になるか、それとも救世主になるか…もはや、ピエロじゃなくて、トリックスターだな…お前は)

「で、俺はどうなんだ?俺にもその銃を渡すのか?」

遊矢達の話を聞いた翔太はヘッと口角を上げる。

ベクターに完全に支配されてしまうというなら、ヒイロの理論から言わせるとその前に自殺しろということになる。

翔太も、ベクターに支配される気はさらさらない。

だが、残り3枚のカードがアカデミアにあるかは定かではない。

遊矢と比較すると危険要素が一番強いのは、一度乗っ取られてしまった翔太自身だと自分で考えている。

「そうだな…。その方が楽なのは確かだが、お前の場合は特殊だ。たとえお前が死んだとしても、それでベクターも死ぬかどうかは分からない」

「どういうことだ?」

「今の君の体は…君の証言が正しければ、石倉純次の体にドン・サウザンドのスペアの体とベクターの魂が欠片の力で融合してしまった存在なんだ。そして、体は元々はベクターのものではないし、ベクターは魂だけの存在。肉体がたとえ滅びたとして、それに連動して彼が死ぬかと言えば、分からないんだ」

ベクターの肉体はバリアンとの戦いで凌牙に敗れたとき、ドン・サウザンドによって侑斗たちの目の前で粉々に砕け散った。

「乗っ取られて、それを食い止めるために仮に自殺したとしても、おそらくは問題の解決にはならないと思った方がいい」

「ちっ…難儀なんだな、俺は」

 

「いよいよ、明日…か」

自室でノートパソコンがいじる零児がぽつりとつぶやく。

航海士からの報告では、明日にもアカデミアに船は到着する。

明日からがアカデミアとの、零王との戦いの決着となる。

思えば、零王が失踪してからずっと、零児にとってはこのことだけが生きがいとなっていた。

零王が残したレオコーポレーションを発展させ、更には業界最大手のデュエルスクールを作ったのも、すべてはこのため。

これまでの努力が報われるときがくる。

「兄様…」

「零羅、どうした…?」

いつもなら一人で過ごすことの多い自室で、今は夜で見張り以外は寝静まっている状態。

そして、その時間には眠っているはずの零羅は何かを感じたのか、今は零児の部屋にいる。

自室へ戻ろうとせず、ここで寝たいと言ってきて、零児も受け入れている。

「兄様は、この戦いが終わったら、何かしたいことがあるの?」

「したいこと…?変わらないさ。またレオコーポレーションの社長として…」

「変わるよ、だって…これまでのようにはならないでしょ…?」

零羅の言葉に零児の手が止まる。

この戦いで、おそらくはアカデミアのリーダーである零王は死ぬか、生きているとしても表舞台からは完全に消すことになる。

そして、アカデミアに対抗するという意味ではLDSは存在意義を失うことになるだろう。

また、零児もアカデミアと戦うという現段階の人生最大の目的を失うことになる。

そんな彼がこれまで通りレオコーポレーション社長として、一人のプロデュエリストとして生きていけるとは思えない。

「僕は…ちゃんと学校へ行きたいって思ってるんだ。普通に友達を作って、みんなと一緒に勉強したいんだ」

「零羅…」

零羅は一応、学校には通っているものの、病気を理由にほとんど行けていない状態だ。

その間は家で最低限の勉強をしつつ、アカデミアとの戦争のために訓練を続けていた。

せっかく紛争地域から平和な日本へ来ることができたというのに、その普通の生活をすることがまるでできていない。

血のつながった兄ではないが、零児もだんだんと成長していく零羅には幸せになってもらいたいと願っている。

「そうだな…お前には幸せになる資格が、いや…義務がある。全部終わったら、そうしよう」

「兄様…」

「私は何がしたいかはわからない…。だが、きっとそれはこの決戦が教えてくれるはずだ、きっと…うん?」

デュエルディスクから通話機能を受信したことを伝えるバイブが発生し、零児は電話に出る。

「榊遊矢…。珍しいな、君から電話をするとは」

「零児、零児はもう聞いているんだよな?プロフェッサーのこと、世界のこと…ズァークとリンのことを」

「…ああ。剣崎とリオニスさんからその話は聞いている。君のことも…」

「そうか、だったら話は早い。零児、明日必ずアカデミアを止めよう。そして、零児のお父さんの暴走の責任がズァークに…俺にあるのだとしたら、すべての裁きは、俺が背負うべきだ」

遊矢のその言葉に零児はフゥとため息をつくとともに目を閉じる。

できれば、そのような言葉を口に出してほしくなかった。

彼にはエンターテイナーでいてほしかった。

だが、たとえ自分がそれを許したとしても、遊矢はきっと戦いから身を引くことはできないだろう。

ズァークのことを、過去に始めてしまったことを知ってしまったのだから。

「それだけ、言いたかったのはそれだけだ。じゃあ…」

「待て、榊遊矢。この裁き…罰を受けるのは私と君の2人で十分だ」

「零児…」

「私の父が始めたこと、それを止められなかった責任が私にある。だから、君独りだけにはさせない」

「ああ…そう、だな」

「まったく、お互いにひどい父親を持ったものだな。自分のやりたいことのために、家族を含めたすべてを犠牲にする。性質が悪い」

「災難、だな…」

「ああ、まったくだ。それを埋め合わせなければならないのだからな…」

 

「お疲れ様です、どうぞ」

「ああ…助かる」

船の甲板で見回りをする黒咲は同じく見張りをしているクルーから差し出された缶コーヒーを受け取り、礼を言った後でその中の暖かなそれでのどを潤す。

ファウスト島から離れたことで、南極のような寒さからは解放されたものの、まだまだ寒いことには変わりない。

缶コーヒーそのものは次元戦争が始まってから飲んだことがなく、スタンダード次元に来てからも同じだ。

「ふうん、そんなのを飲むんだ、君は」

「紫雲院素良…」

背後から聞こえる声に、振り返ることなくその声の主の名を呼ぶ。

若干棘のある声と他人行儀な呼び方に素良は肩をすくめる。

「ひどいなぁ、仲間だろう?だったら、素良って呼んでよ」

「俺は貴様を仲間と認めたわけではない」

「そ…まぁ、仕方ないよね。アカデミアがエクシーズ次元や君にしたことを考えると…」

そんな加害者である自分が被害者である黒咲と今さら仲よくしようなどと虫が良すぎる。

キャンディーを舐める素良は黒咲に背中を向け、空を見上げる。

(ま…今さら仲間になった、仲良くなったところで、君を悲しませるだけだけど…)

そう考えると、今の関係の方が心地いい。

心残りを一つ減らすことができる。

(そういえば、デニス、だっけ。あいつもアカデミアにいるのかな…?)

シンクロ次元で消息を絶ち、エクシーズ次元でも姿を見せていないデニス。

そうなると、彼はおそらくアカデミアにいる。

そこで彼と戦うことになるだろう。

気になるのは彼にBAT-DIEが注射されているかどうかだ。

(もし、そうだとしたら…あいつ、死ぬのかな?)

遊矢が看取ったというエドと同じように。

だが、BAT-DIEで死ぬことができるのはまだいいのかもしれない。

少なくとも看取ってくれる人がいて、遺体も残るのだから。

「あ…そうだ、黒咲」

「何だ…?」

「今から僕とデュエルしない?部屋で、明日のデッキの最終調整をしたんだ。本当にこれでいいのかどうか、確かめたい」

「…俺は見張りの任務中だ。それが終わるまでは無理だ」

「意外だね、断るかと思ったのに…」

「勘違いするな、貴様を今の俺のデッキの実験台にするだけだ」

相変わらず棘はあるが、それでも少なくとも敵とみなしているわけではない。

それなら、これからの決戦で足を引っ張りあうようなことはないだろう。

素良は黒咲とは反対方向に回り、そこで見張りを続ける。

念のために確認したローテーション表では、黒咲が交代するまではあと1時間くらいある。

その一時間後のデュエルを、素良は空を見上げながら待ち続けた。

 

交代の時間になり、交代のクルーが甲板に上がる。

それから2人は船内のデュエルリングへ向かう。

その間の2人の間には会話らしきものは1つもない。

誰もいないデュエルリングに上がり、そこでお互いにデッキを置く。

(黒咲…きっと、君とのデュエルはこれが最後になる。だから…見せてくれ。リンを助けて、アカデミアを止めるだけの力を君が持っているのかを…)

「「デュエル!!」」

 

素良

手札5

ライフ4000

 

黒咲

手札5

ライフ4000

 

「僕の先攻。僕は手札から魔法カード《聖天使の施し》を発動。僕のフィールドにカードがない時、デッキからカードを2枚ドローし、手札1枚を墓地へ捨てる」

 

手札から墓地へ送られたカード

・ファーニマル・マジシャン

 

「そして、僕は手札から魔法カード《おろかな埋葬》を発動。デッキから《ゾンビキャリア》を墓地へ送る。そして、墓地の《ゾンビキャリア》は手札1枚をデッキの一番上に置くことで、墓地から特殊召喚できる」

 

ゾンビキャリア レベル2 守備200(チューナー)

 

(チューナーモンスター…。シンクロ召喚の要素を加えた、というよりも…)

重要なのはおそらく、デッキの一番上を操作すること。

それが必要なカードはもちろん、素良のデッキに入っている。

「そして、僕は手札から永続魔法《トイボット》を発動。1ターンに1度、手札1枚を墓地へ送ることで、デッキからカードを1枚ドローする。そのカードがファーニマルの場合、手札からモンスター1体を特殊召喚し、それ以外なら墓地へ捨てる。僕がドローしたのは当然、ファーニマルの《ファーニマル・ドッグ》。よって、このカードを特殊召喚」

 

ファーニマル・ドッグ レベル4 攻撃1700

 

「《ファーニマル・ドッグ》の効果発動。このカードを手札から召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキから《エッジインプ・シザー》かファーニマル1体を手札に加える。僕が手札に加えるのは《エッジインプ・シザー》。更に、僕は手札から《ファーニマル・オウル》を召喚」

 

ファーニマル・オウル レベル2 攻撃1000

 

「《ファーニマル・オウル》の効果発動。このカードを手札から召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキから《融合》を1枚手札に加える。そして、僕はレベル2の《ファーニマル・オウル》とレベル4の《ファーニマル・ドッグ》にレベル2の《ゾンビキャリア》をチューニング。蠅の王の名を持つ禁忌の龍よ、魔王の名と共にその姿を現せ!シンクロ召喚!現れろ、レベル8!《魔王龍ベエルゼ》!」

黒髪の女性の頭から腹部までの体を起点として2つに分かれた首と頭を持つ蛇龍が素良の前に現れる。

蠅の王の名前を持ちながらもその姿はとても蠅とは思えず、むしろ蛇に近いと言える。

 

魔王龍ベエルゼ レベル8 攻撃3000

 

「《魔王龍ベエルゼ》…。デストーイの融合モンスターを使わないのか…?」

「今の状況なら、このカードの方がいいって思っただけさ。自分の効果で蘇生した《ゾンビキャリア》はフィールドから離れたとき、除外される。僕はカードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

素良

手札5→1(《融合》)

ライフ4000

場 魔王龍ベエルゼ レベル8 攻撃3000

  トイボット(永続魔法)

  伏せカード1

 

黒咲

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「俺の…ターン!!」

 

黒咲

手札5→6

 

「俺は手札から《RR-バニシング・レイニアス》を召喚」

 

RR-バニシング・レイニアス レベル4 攻撃1300

 

「このカードの召喚・特殊召喚に成功したターンに1度だけ、手札からレベル4以下のRR1体を特殊召喚できる。俺は手札から《RR-トリビュート・レイニアス》を特殊召喚」

 

RR-トリビュート・レイニアス レベル4 攻撃1800

 

「《トリニュート・レイニアス》の効果。このカードの召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズ時、デッキからRR1体を墓地へ送ることができる。俺は《ミミクリー・レイニアス》を墓地へ送る。そして、《ミミクリー・レイニアス》は墓地へ送られたターンの自分メインフェイズ時に除外することで、デッキから新たなRRを手札に加えることができる。俺はデッキから《ファジー・レイニアス》を手札に加える。更に俺は手札から永続魔法《RR-ネスト》を発動。俺のフィールドにRRが2体以上存在する場合、デッキから新たなRRを手札に加えることができる。俺はデッキから《レイダーズ・ウィング》を手札に加える。このカードはルール上、RRカードおよび幻影騎士団カードとしても扱う」

「RRであり、幻影騎士団か…。ちょっと珍しいカードだね、それ」

「ああ、そうだ。友が託してくれたカードだ」

ファウスト島から離れ、船旅を続けている間に遊矢の体を借りたユートが急に黒咲の部屋に来て。何も言わずに何枚かのカードを渡した。

そのうちの1枚がこのカードで、これ以外にもRRであり、幻影騎士団でもあるカードが入っている。

そんなカードを渡した意味はまだ分からないが、それでもユートがまだ生きていることが分かっただけでもまだいい。

生きてさえいれば、死ぬ以上にできることがあるのだから。

「そして、《ファジー・レイニアス》は自分フィールドにRRが存在する場合、手札から特殊召喚できる」

 

RR-ファジー・レイニアス レベル4 攻撃500

 

「更に俺は手札からフィールド魔法《レイダーズ・フォレスト》を発動」

発動と同時にフィールドが夜の森へと変貌を遂げていき、木々のせいで見晴らしは良くない環境で、それらの大半は枯れ木となっていた。

「俺はレベル4の《ファジー・レイニアス》と《バニシング・レイニアス》でオーバーレイ!冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実をあばき、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!エクシーズ召喚!飛来せよ!ランク4!《RR-フォース・ストリクス》!」

 

RR-フォース・ストリクス ランク4 守備2000

 

「そして、フィールド魔法《レイダーズ・フォレスト》の効果。俺がRUM以外の方法でRRのエクシーズ召喚に成功したとき、デッキからRRペンデュラムモンスター1体を手札に加えることができる。俺はデッキから《RR-ライトニング・イーグル》を手札に加える。そして、この効果は同じランクのモンスターをエクシーズ召喚した場合は発動できず、《レイダーズ・フォレスト》発動中、俺はエクシーズ召喚、ペンデュラム召喚、そしてRR以外の効果によってエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。そして、《フォース・ストリクス》の効果発動。1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、デッキからレベル4、闇属性・鳥獣族モンスター1体を手札に加える。俺は《シンキング・レイニアス》を手札に加える」

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・RR-ファジー・レイニアス

 

「そして、墓地へ送られた《ファジー・レイニアス》の効果発動。デッキからもう1体の《ファジー・レイニアス》を手札に加える。更に、《レイダーズ・ウィング》は自分フィールドの闇属性エクシーズモンスター1体のオーバーレイユニットを1つ取り除くことで手札・墓地から特殊召喚できる」

体の各部についているプロペラントタンクから青い炎を放出させている猛禽類のモンスターが《RR-フォース・ストリクス》のオーバーレイユニットを吸収し、上空へ飛翔する。

 

レイダーズ・ウィング レベル4 攻撃0

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・RR-バニシング・レイニアス

 

「そして、自分フィールドにエクシーズモンスターが存在する場合、《シンキング・レイニアス》は特殊召喚できる」

 

RR-シンキング・レイニアス レベル4 攻撃100

 

「そして、俺はレベル4の《レイダーズ・ウィング》と《シンキング・レイニアス》でオーバーレイ!反逆の騎士よ、砕かれし翼を鎧と変え、漆黒の帳より現れろ!エクシーズ召喚!現れろ、ランク4!《レイダーズ・ナイト》!」

両肩と馬の首筋にから炎を噴出させているタンクが装備されている漆黒の騎士が左手に投槍を装備した状態で真っ暗な闇の中から歩いてくる。

 

レイダーズ・ナイト ランク4 攻撃2000

 

「《レイダーズ・ナイト》の効果。オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、このカードよりもランクが1つ差のあるRR、幻影騎士団、エクシーズ・ドラゴン1体にエクシーズチェンジできる!俺は《レイダーズ・ナイト》でオーバーレイ!」

黒咲のエクストラデッキから、遊矢を介してユートから託されたエースカードを手にする。

これらのカードはこれまでのユートの手持ちにはなかったもの。

そんなカードがなぜ遊矢が持っているのかはわからないが、それでもユートの想いが詰まっていることには変わりない。

「光と闇を繋ぐ架け橋の竜よ、絆を奪う力を俺に貸せ!!ランクアップエクシーズチェンジ!現れろ、ランク5!《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!!」

上空のオーバーレイネットワークの中で、《RR-ライズ・ファルコン》と《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》のシルエットが出現し、それらが1つに交わっていく。

そして、その姿を背中の部分が《RR-ライズ・ファルコン》と同じものとなった《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》というべき姿のドラゴンが姿を現した。

 

アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク5 攻撃3000

 

「《アーク・リベリオン》…。ランク5で攻撃力3000のドラゴン族。これが黒咲の新たなエースモンスター…」

「違う、間違っているぞ。これは俺とユートのエースだ!《アーク・リベリオン》の効果発動。オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、このカードの攻撃力にフィールド上のほかのすべてのモンスターの元々の攻撃力を加える!ブレイブソウル・ハウリング!!」

オーバーレイユニットを宿した《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》のタンクから火を噴くと同時に、青い炎を模したオーラが全身を包んでいく。

 

アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク5 攻撃3000→3100→6100

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・レイダーズ・ウィング

 

「攻撃力6100!?けど、《ベエルゼ》は戦闘でも効果でも破壊されない。そして、《ベエルゼ》の戦闘かカード効果で僕がダメージを受けたとき、受けたダメージ分、《ベエルゼ》の攻撃力がアップする!」

たとえ《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の攻撃力アップ効果が永続的なものであったとしても、《魔王龍ベエルゼ》は自分が受けるダメージと引き換えにどんどん攻撃力を高めることができる。

だが、黒咲はそのことも織り込み済みだ。

「《アーク・リベリオン》が闇属性エクシーズモンスターをオーバーレイユニットとした状態でこの効果を発動したとき、このカード以外のすべての表側表示のモンスターの効果は無効化される」

「何!?」

「まだ終わりではない!更に俺はスケール1の《RR-ライトニング・イーグル》をセッティング!そして、ペンデュラム効果を発動。俺がRRをエクシーズ召喚に成功したターン、1度だけデッキからRUMを1枚手札に加えることができる。俺は《RUM-レイド・フォース》を手札に加え、発動!俺のフィールドのエクシーズモンスター1体を素材に、ランクが1つ高いRRにランクアップさせる!俺はランク4の《フォース・ストリクス》でオーバーレイ!まだ見ぬ勇猛なハヤブサよ。猛き翼に秘めし未知なる力、今ここに知らしめよ!エクシーズ召喚!現れろランク5、《RR-エトランゼ・ファルコン》!」

黄色と紫をベースとした配色をしている、鎌か三日月を彷彿とさせる翼をもつハヤブサがオーバーレイネットワークから飛び立つ。

 

RR-エトランゼ・ファルコン ランク5 攻撃2000

 

「くっ…!《アーク・リベリオン》の効果発動後にエクシーズ召喚されたから、効果は生きているね…?」

「ああ、そうだ!!《エトランゼ・ファルコン》の効果発動!エクシーズモンスターをオーバーレイユニットとしている場合、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、相手フィールドのモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」

オーバーレイユニットとなった《RR-フォース・ストリクス》がその姿を《RR-エトランゼ・ファルコン》に似た紫の幻影へと変え、《魔王龍ベエルゼ》に向けて突撃する。

幻影の突撃を受けた蠅のドラゴンが爆発とともに消滅し、その余波が素良を襲う。

「くうう…容赦ないね、黒咲…!!」

 

素良

ライフ4000→1000

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・RR-フォース・ストリクス

 

「とんだ肩透かしだ…。だが、とどめは刺す!《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》でダイレクトアタック!!ライトニング・レヴォリューション!!」

オーラを纏ったままの《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》が上空を旋回し、その後で素良に向けて突撃する。

「僕は罠カード《ドレインシールド》を発動!!相手モンスターの攻撃を無効にして、その攻撃力分ライフを回復する!」

「ちっ…しのいだか」

だが、たとえ今回凌ぐことができて、ライフが回復したとしても、あと1ターン生き延びられるかどうかの状態だ。

おまけに手札で残っているのは《融合》1枚のみ。

フィールドには《トイボット》が1枚。

このままの状態では素良の敗北は明白だ。

 

素良

ライフ1000→7100

 

「俺はこれで、ターンエンドだ」

 

素良

手札1(《融合》)

ライフ7100

場 トイボット(永続魔法)

 

黒咲

手札6→3(うち1枚《RR-ファジー・レイニアス》)

ライフ4000

場 RR-エトランゼ・ファルコン ランク5 攻撃2000

  アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン(オーバーレイユニット1) ランク5 攻撃6100

  RR-ネスト(永続魔法)

  レイダーズ・フォレスト(フィールド魔法)

  RR-ライトニング・イーグル(青) ペンデュラムスケール1

 

「僕のターン、ドロー!!」

 

素良

手札1→2

 

「黒咲…君のデュエルやこれまでの戦いで分かったよ。エクシーズ召喚のすごさを。だから…使わせてもらうよ、このカードを!!」

「何!?これは…」

「僕がドローしたカードは《RUM-七皇の剣》!!」

そのカードは凌牙がよく使っているカードで、RUMの特訓を兼ねた訓練の際にも、よくこのカードに辛酸をなめつくした。

そんなカードがあろうことか素良の手にある。

「ちょうどデッキトップを操作できるカードもあるから入れてみたけど、運が良かったよ。このカードの効果は分かっているよね!?ドローフェイズ時にドローしたこのカードを公開し続けることで、メインフェイズ開始時に発動できる!エクストラデッキ・墓地からオーバーハンドレッドナンバーズ1体を特殊召喚する。僕が特殊召喚するのは《No.101S・H・Ark Knight》!」

 

No.101S・H・Ark Knight ランク4 攻撃2100

 

「そして、《Ark Knight》でオーバーレイネットワークを再構築!カオスエクシーズチェンジ!!現れろ、ランク5!《CNo.101S・H・Dark Knight》!!」

 

CNo.101S・H・Dark Knight ランク5 攻撃2800

 

「くっ…凌牙さんのエースモンスターをまさか、貴様が使うとはな」

確かに素良のデッキと《RUM-七皇の剣》は相性がいい。

エクストラデッキのひっ迫にさえ目をつむれば、使うことができるカードだ。

そして、ここから何が始まるかも嫌というほどわかっている。

「《Dark Knight》の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体をこのカードのカオスオーバーレイユニットにする!ダーク・ソウル・ローバー!!」

黒いエネルギーを宿した槍から発射されたビームを受けた《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》がカオスオーバーレイユニットへと変換されて、素良のフィールドへ向かう。

「常に最悪な事態を想定して動いてきた君でも、カオスオーバーレイユニットにされるのは想定外じゃなかったかい?」

「ちぃ…」

《CNo.101S・H・Dark Knight》と《ドレインシールド》。

いずれも《RUM-レヴォリューション・フォース》と《RR-ライズ・ファルコン》へのカウンターともなりえるカードで、黒咲とのデュエルでの敗北の経験が素良の中にこびりついているようだ。

「バトルだ!《Dark Knight》で《エトランゼ・ファルコン》を攻撃!」

続けて、槍を構えた《CNo.101S・H・Dark Knight》が槍を投擲し、それに貫かれた《RR-エトランゼ・ファルコン》が爆散する。

「ぐおおおお!!だが、《エトランゼ・ファルコン》は相手によって破壊されたときに発動できる効果がある!」

 

黒咲

ライフ4000→3200

 

「俺の墓地に存在するRRエクシーズモンスター1体を特殊召喚し、このカードをオーバーレイユニットにする!俺は《レイダーズ・ナイト》を特殊召喚!」

 

レイダーズ・ナイト ランク4 攻撃2000

 

「更に、《レイダーズ・フォレスト》の効果。デッキから《ランチャー・ストリクス》を手札に加える」

「僕はこれで、ターンエンド」

 

素良

手札1(《融合》)

ライフ7100

場 CNo.101S・H・Dark Knight(オーバーレイユニット2) ランク5 攻撃2800

  トイボット(永続魔法)

 

黒咲

手札3→4(うち2枚《RR-ファジー・レイニアス》《RR-ランチャー・ストリクス》)

ライフ3200

場 レイダーズ・ナイト(オーバーレイユニット1) ランク4 攻撃2000

  RR-ネスト(永続魔法)

  レイダーズ・フォレスト(フィールド魔法)

  RR-ライトニング・イーグル(青) ペンデュラムスケール1

 

せっかくの《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》をつぶされ、モンスターも全滅した。

だが、他のエクシーズモンスターに変わることのできる《レイダーズ・ナイト》だけは残っている。

「俺の…ターン!!」

 

黒咲

手札4→5

 

「《レイダーズ・ナイト》の効果発動!オーバーレイユニットを1つ取り除き、ランクが1つ異なる幻影騎士団、RR、エクシーズ・ドラゴンへエクシーズチェンジさせる!《レイダーズ・ナイト》でオーバーレイ!!獰猛なるハヤブサよ。激戦を切り抜けしその翼翻し 寄せ来る敵を打ち破れ!エクシーズ・チェンジ!現れろ!ランク5!《RR-ブレイズ・ファルコン》!」

 

RR-ブレイズ・ファルコン ランク5 攻撃1000

 

「そして、《レイダーズ・フォレスト》の効果。俺はデッキから《フラッシュ・ヴァルチャー》を手札に加える。そして、俺は手札からスケール8の《ランチャー・ストリクス》をセッティング!更に、《RR-ネスト》の効果。デッキから《リフレクティング・イーグル》を手札に加える。そして、俺はレベル2から7までのモンスターを同時に召喚可能。戦場を舞い、戦火に身を焦がす鳥たちよ、揺れ動く戦況を空より見極めよ。ペンデュラム召喚!!現れろ、俺のモンスター!!《RR-ファジー・レイニアス》、《RR-フラッシュ・ヴァルチャー》、《RR-インペイル・レイニアス》、《RR-リフレクティング・イーグル》!」

2つの光の柱の中心に青い渦が現れ、その中から一気に4体のRRが飛び出してくる。

その中には両翼と胸部、額に鏡のように透き通った銀色のプロテクターを装着したタカがいた。

 

 

RR-ファジー・レイニアス レベル4 攻撃500

RR-フラッシュ・ヴァルチャー レベル4 攻撃1500

RR-インペイル・レイニアス レベル4 攻撃1700

RR-リフレクティング・イーグル レベル5 攻撃2000

 

「そして、俺はレベル4の《ファジー・レイニアス》と《フラッシュ・ヴァルチャー》でオーバーレイ!「紅蓮に燃えさかるハヤブサよ!渇望の翼を燃やし我が魂を照らせ!!エクシーズ召喚!!《RR-ブレード・バーナー・ファルコン》!!!」

 

RR-ブレード・バーナー・ファルコン ランク4 攻撃1000

 

「《ブレード・バーナー・ファルコン》の効果!俺のライフが相手よりも3000以上下回っている状態でエクシーズ召喚に成功したとき、その攻撃力を3000アップさせる!」

 

RR-ブレード・バーナー・ファルコン ランク4 攻撃1000→4000

 

「更に、《レイダーズ・フォレスト》の効果。デッキから《ボミング・レイニアス》を手札に加える。そして、手札から《ボミング・レイニアス》を通常召喚」

 

RR-ボミング・レイニアス レベル4 攻撃1700

 

「1ターンでエクシーズモンスター2体を含めて5体のモンスター…おまけに、攻撃力4000の《ブレード・バーナー・ファルコン》…さすがだね、黒咲」

「バトル!《ブレイズ・ファルコン》はオーバーレイユニットを持っている場合、相手プレイヤーに直接攻撃できる。行け、ダイレクトアタックだ!!」

《RR-ブレイズ・ファルコン》が《C.No.101S・H・Dark Knight》をすり抜け、炎を纏った状態で素良に突撃する。

「ぐうう…!」

 

素良

ライフ7100→6100

 

「《ブレイズ・ファルコン》の効果。このカードが相手に戦闘ダメージを与えたとき、相手フィールドのモンスター1体を破壊する。俺は《Dark Knight》を破壊する」

《RR-ブレイズ・ファルコン》が急上昇し、真下にいる《CNo.101S・H・Dark Knight》に瞳を輝かせる。

同時に、そのモンスターの肉体が真っ二つに切り裂かれ、爆発とともに消滅した。

「くううう…けど、《Dark Knight》の効果発動!オーバーレイユニットを持っているこのカードが破壊され墓地へ送られた時、墓地に《Ark KNight》が存在する場合、このカードは墓地から特殊召喚できる!」

爆発とともに消滅したはずの槍士が地面に出現した魔法陣の中から舞い戻る。

 

CNo.101S・H・Dark Knight ランク5 攻撃2800

 

「そして、このカードの攻撃力分、僕のライフを回復する」

 

素良

ライフ6100→8900

 

「だが、オーバーレイユニットがない今なら問題などない!《ブレイズ・バーナー・ファルコン》で《Dark Knight》を攻撃!!火炎弾!!」

《RR-ブレイズ・バーナー・ファルコン》の口から炎の弾丸が発射され、撃ち抜かれて胸部に大穴を開けた《CNo.101S・H・Dark Knight》が消滅する。

 

素良

ライフ8900→7700

 

「そして、俺は《ランチャー・ストリクス》のペンデュラム効果を発動!このカードがペンデュラムゾーンに表側表示で存在し、俺のフィールドにエクシーズ召喚されたRRが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、そのモンスターは続けてもう1度だけ攻撃できる。火炎二連弾!!」

再び炎をためた《RR-ブレイズ・バーナー・ファルコン》がそれを弾丸に変えて発射し、それを正面から受けた素良が大きく吹き飛ばされる。

「うわああああ!!」

 

素良

ライフ7700→3700

 

「まだだ!!《インペイル・レイニアス》でダイレクトアタック!」

フィールドががら空きになった素良に今度は《RR-インペイル・レイニアス》の鉤爪が襲い掛かり、それを腕を盾にしてしのぐ。

 

素良

ライフ3700→2000

 

「これで終わりだ!!《リフレクティング・イーグル》でダイレクトアタック!」

最後に残った《RR-リフレクティング・イーグル》が額の鏡からレーザーを素良に向けて発射する。

この攻撃が通れば、素良のライフはちょうど0になる。

だが、黒咲はこれでデュエルが終わるとは到底思えなかった。

「まだ出し惜しみするつもりか!?貴様の本気を見せろ、紫雲院素良!!」

「ああ…当然だよ!!僕は墓地の《ファーニマル・マジシャン》の効果発動!僕のライフの数値以上の攻撃力を持つ相手モンスターのダイレクトアタック宣言時に発動できて、その攻撃を無効にする!!」

素良のフィールドに真っ黒で黄土色の2つ目部分だけが光り、ブカブカな三角帽子と天使の羽根がついた緑色の法衣姿の魔法使いというべきモンスターが飛び出し、右手に持っている杖から白いバリアを展開し、レーザーから素良を守る。

「そして、墓地に存在するこのカードを含めた融合素材モンスターを除外して、デストーイ融合モンスター1体を融合召喚する!!僕が融合素材とするのは《ファーニマル・マジシャン》、《ファーニマル・ドッグ》、《ファーニマル・オウル》、《エッジインプ・シザー》!魔界の魔術師よ、地獄の番犬よ、煉獄の眼よ、悪魔の爪よ、今一つとなりて新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れ出ちゃえ、すべてを引き裂く密林の魔獣!《デストーイ・シザー・タイガー》!」

 

デストーイ・シザー・タイガー レベル6 攻撃1900

 

「《デストーイ・シザー・タイガー》の効果!このカードの融合召喚に成功したとき、融合素材となったモンスターの数だけ、フィールド上のカードを破壊できる!僕は《RR-ネスト》と2枚のペンデュラムカード、そして《レイダーズ・フォレスト》を破壊する!!」

腹部に突き刺さっている巨大な鋏を広げた《デストーイ・シザー・タイガー》は4枚のカードのソリッドビジョンをいっぺんに両断した。

「くっ…《レイダーズ・フォレスト》がフィールドを離れるとき、俺のフィールドのモンスターはすべて破壊される。だが、《リフレクティング・イーグル》の効果!俺のフィールドのRRエクシーズモンスター1体をこのターン、戦闘及びカード効果による破壊から守る!《ブレイズ・バーナー・ファルコン》を守れ!!」

《RR-ブレイズ・バーナー・ファルコン》の周囲を《RR-リフレクティング・イーグル》から離れた装甲達が展開する。

そして、黒咲のフィールドに落雷が発生し、装甲に守られたモンスター以外の黒咲のモンスターをすべて消滅させた。

「攻撃力4000の《ブレイズ・バーナー・ファルコン》だけは残っちゃったか…。《シザー・タイガー》は僕のフィールドのデストーイモンスターの攻撃力を僕のフィールドのファーニマル、デストーイモンスターの数×300アップさせる」

 

デストーイ・シザー・タイガー レベル6 攻撃1900→2200

 

「俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

素良

手札1(《融合》)

ライフ2000

場 デストーイ・シザー・タイガー レベル6 攻撃2200

  トイボット(永続魔法)

 

黒咲

手札5→0

ライフ3200

場 RR-ブレイズ・バーナー・ファルコン ランク4 攻撃4000

  伏せカード2

 

ペンデュラムカードとサーチカードを一気に失ったのは痛いが、それでも黒咲のフィールドには攻撃力4000のエクシーズモンスターだけは残すことができた。

そして、素良の墓地には融合素材となるモンスターはもうない。

残り1枚の手札が何かは分かっている。

「僕のターン、ドロー!!」

 

素良

手札1→2

 

「僕はカードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

素良

手札2→1(《融合》)

ライフ2000

場 デストーイ・シザー・タイガー レベル6 攻撃2200

  トイボット(永続魔法)

  伏せカード1

 

黒咲

手札0

ライフ3200

場 RR-ブレイズ・バーナー・ファルコン ランク4 攻撃4000

  伏せカード2

 

「俺の…ターン!!」

 

黒咲

手札0→1

 

「バトルだ。俺は…」

「バトルフェイズ開始時に、僕は罠カード《マジカルシルクハット》を発動!デッキから魔法・罠カードを2枚選んで…」

「させるか!カウンター罠《ラプターズ・ガスト》。俺のフィールドにRRカードが存在するとき、魔法・罠カードの発動を無効にし、破壊する」

「くっ…!」

せっかく発動した《マジカルシルクハット》が消滅し、丸裸となった《デストーイ・サーベル・タイガー》が残る。

「バトルだ!《ブレイズ・バーナー・ファルコン》で《デストーイ・シザー・タイガー》を攻撃!!火炎弾!」

《RR-ブレイズ・バーナー・ファルコン》が炎の弾丸を口から放ち、焼き尽くされる形で《デストーイ・シザー・タイガー》が破壊されてしまう。

「うわああああ!!」

 

素良

ライフ2000→200

 

「俺はこれで、ターンエンド」

 

素良

手札1(《融合》)

ライフ200

場 トイボット(永続魔法)

 

黒咲

手札1

ライフ3200

場 RR-ブレイズ・バーナー・ファルコン ランク4 攻撃4000

  伏せカード1

 

「まったく、やっぱりカウンター罠を伏せてる。おかげで、《マジカルシルクハット》からのコンボが狙えなかったよ…」

まだ素良のデッキの中には《トイボット》があり、《マジカルシルクハット》の効果によってモンスターとなったこのカードを破壊することで、ちょっとした仕掛けをしようと考えていたが、不発に終わってしまった。

まさに絶体絶命の状態だが、そのようなことは黒咲相手なら当然のことだ。

「僕のターン、ドロー!!」

 

素良

手札1→2

 

「僕は《トイボット》の効果を発動!手札1枚を墓地へ送り、デッキからカードを1枚ドローする!そして、ドローしたカードがファーニマルの場合、手札からそのまま特殊召喚できる。僕はドローしたカードは《ファーニマル・ドッグ》!!」

 

ファーニマル・ドッグ レベル4 攻撃1700

 

手札から墓地へ送られたカード

・ファーニマル・ウィング

 

「《ファーニマル・ドッグ》の効果発動。デッキから《パッチワーク・ファーニマル》を手札に加える。そして、僕は手札から魔法カード《融合》を発動!《ファーニマル・ドッグ》と《パッチワーク・ファーニマル》、そして《デストーイ・シザー・タイガー》を墓地へ送り、融合!地獄の番犬よ、2つの顔を持つ悪魔よ、殺戮の虎よ、今一つとなりて新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れ出ちゃえ、全てに牙むく魔境の猛獣、《デストーイ・サーベル・タイガー》!」

 

デストーイ・サーベル・タイガー レベル8 攻撃2400

 

「《サーベル・タイガー》の効果発動!このカードの融合召喚に成功したとき、墓地のデストーイモンスター1体を特殊召喚できる。僕は《シザー・タイガー》を特殊召喚!」

 

デストーイ・シザー・タイガー レベル6 攻撃1900

 

「そして、墓地の《ファーニマル・ウィング》の効果発動。僕のフィールドに《トイボット》が存在するとき、墓地のこのカードとファーニマルモンスター1体を除外することで、デッキからカードを1枚ドローする。僕は《パッチワーク・ファーニマル》を除外して、デッキからカードを1枚ドローする。そして、《ファーニマル・ウィング》のもう1つの効果。この効果を発動した後で、《トイボット》を墓地へ送ることで更にもう1枚ドローする。そして、《トイボット》が墓地へ送られた時、デッキから《エッジインプ・シザー》かファーニマルモンスター1体を手札に加える。僕は《ファーニマル・スネーク》を手札に加える」

「一気に3枚手札を補充したか…」

「そして、僕は手札から《ファーニマル・スネーク》を召喚」

天使の羽根がついた、デフォルメされた蛇のぬいぐるみというべき姿のモンスターが現れる。

 

ファーニマル・スネーク レベル1 攻撃400

 

「《ファーニマル・スネーク》の効果発動。このカードの召喚に成功したとき、ゲームから除外されているエッジインプモンスターとファーニマルモンスターを1体ずつ手札に加える。僕は除外している《ファーニマル・ウィング》と《エッジインプ・シザー》を手札に加える。更に僕は手札から魔法カード《融合》を発動!《エッジインプ・シザー》と《ファーニマル・ウィング》、そして《ファーニマル・スネーク》を融合!悪魔の爪よ、死神の羽根よ、毒を宿す蛇よ、今一つとなりて新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れ出ちゃえ、悪夢を呼ぶ戦慄の乙女、《デンジャラス・デストーイ・ナイトメアリー》!!」

素良の背後に巨大なカーテンが出現し、それが左右に開くとともに真っ白で巨大なワンピースが見えてくる。

カーテンが開き切ると、その中から出てきたのは金色の長い髪を下げた巨大な女性の人形で、その顔立ちは泣いている口裂け女というべきものと言える。

「このモンスター…今までのデュエルでは使ってこなかったカードか!?」

「そう、僕の新しいカードだ」

 

デンジャラス・デストーイ・ナイトメアリー レベル10 攻撃2000

 

「《ファーニマル・スネーク》の効果発動。このカードをデストーイ融合モンスターの融合素材として墓地へ送ったとき、墓地のエッジインプモンスター1体を手札に戻す。僕は《エッジインプ・シザー》を手札に戻す。そして、《ナイトメアリー》は自分のターンの間、その攻撃力を墓地の天使族・悪魔族モンスターの数×300アップする。そして、《デストーイ・サーベル・タイガー》は僕のフィールドのデストーイモンスターの攻撃力を400アップさせ、《シザー・タイガー》は僕のフィールドのファーニマルモンスター、デストーイモンスターの数×300、僕のフィールドのデストーイモンスターの攻撃力をアップさせる。墓地の天使族・悪魔族モンスターは3体。フィールド上にはデストーイモンスターが3体。」

 

デンジャラス・デストーイ・ナイトメアリー レベル10 攻撃2000→2900→3300→4200

デストーイ・サーベル・タイガー レベル8 攻撃2400→2800→3700

デストーイ・シザー・タイガー レベル6 攻撃1900→2300→3200

 

「くっ…本気を見せてきたが、紫雲院素良!!」

新たな融合モンスターを含めた3体もの大型モンスターに黒咲は戦慄する。

そのうちの1体は《RR-ブレイズ・バーナー・ファルコン》を上回り、これらのモンスターの一斉攻撃がこれから来る。

「バトルだ!!《デンジャラス・デストーイ・ナイトメアリー》で《ブレイズ・バーナー・ファルコン》を攻撃!!」

攻撃命令を受けた《デンジャラス・デストーイ・ナイトメアリー》の瞳が怪しく光るとともに、耳をつんざくような悲鳴を上げる。

悲鳴は衝撃波となって周囲を襲い、《RR-ブレイズ・バーナー・ファルコン》が粉々に粉砕される形で消滅した。

「ぐううううう!!!!」

 

黒咲

ライフ3200→3000

 

「これで終わりだ!!《デストーイ・サーベル・タイガー》でダイレクトアタック!!」

続けて、《デストーイ・サーベル・タイガー》が咆哮した後で黒咲に向けてとびかかり、両手の爪で引き裂こうとする。

この一撃が決まれば、黒咲のライフは尽きる。

だが、その爪は黒咲に届かない。

「何…!?」

「俺は…速攻魔法《RUM-デス・ダブル・フォース》を発動した。このターン、戦闘で破壊されたRR1体を特殊召喚し、そのモンスターの倍のランクを持つRRにランクアップさせる…蘇り、勝利への道を作れ!!《ブレイズ・バーナー・ファルコン》!!」

黒咲をかばうように現れ、爪を受け止めた《RR-ブレイズ・バーナー・ファルコン》が上空のオーバーレイネットワークの中へと飛び込んでいく。

「勇猛果敢なるハヤブサよ。怒りの炎を巻き上げ、大地をも焼き尽くす閃光となれ!ランクアップ・エクシーズチェンジ!飛翔しろ!ランク8、《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》!」

 

RR-サテライト・キャノン・ファルコン ランク8 攻撃3000

 

「くうう…デニスを倒したエクシーズモンスター…」

そのモンスターの登場により、素良は手出しできなくなる。

あの効果は相手ターンでも発動でき、下手に攻撃したら返り討ちを食らうのは明白。

そして、最後に残ったカードではもはやここを切り抜けることはできない。

「…ターン、エンド…」

 

素良

手札2→1

ライフ200

場 デンジャラス・デストーイ・ナイトメアリー レベル10 攻撃4200

  デストーイ・サーベル・タイガー レベル8 攻撃3700

  デストーイ・シザー・タイガー レベル6 攻撃3200

 

黒咲

手札1

ライフ3000

場 RR-サテライト・キャノン・ファルコン(オーバーレイユニット1) ランク8 攻撃3000

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

黒咲

手札1→2

 

「《サテライト・キャノン・ファルコン》の効果!オーバーレイユニットを1つ取り除き、墓地のRRの数×800、相手モンスター1体の攻撃力をダウンさせる!俺の墓地に眠るRRは12体!よって、貴様の《デストーイ・シザー・タイガー》の攻撃力は9600ダウンさせる!!」

オーバーレイユニットを取り込んだ《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》が上空へとび、人工衛星から受信したビームからエネルギー供給を受ける。

そして、船上にいる《デストーイ・シザー・タイガー》に向けてビームを発射する。

「ぐああああ!!…はは、さすが、だよ…黒咲!!」

もうこの時点で素良の敗北は決まったようなもの。

だが、素良には悔いはなかった。

(これだけ暴れてくれるなら、きっと遊矢は大丈夫だ。たとえ、僕がいなくなったとしても…)

 

デストーイ・シザー・タイガー レベル6 攻撃3200→0

 

「バトルだ!!いけ、《サテライト・キャノン・ファルコン》!!《シザー・タイガー》を攻撃しろ!!エターナル・アベンジ!!」

余剰エネルギーで再びチャージ、及び砲身の強制冷却をした《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》の照準が黒焦げになった《デストーイ・シザー・タイガー》に向けられる。

既に身動きを取れず、守りを固めることもかなわない哀れなぬいぐるみを射程に収めるのは容易で、高濃度圧縮エネルギーでできたビームが発射される。

それに撃ち抜かれた《デストーイ・シザー・タイガー》が消滅するのを見た素良の脳裏に、舞網チャンピオンシップでの遊矢とのデュエルを思い出す。

遊矢の《MLX-オッドアイズ・月下・ドラゴン》の一撃で倒された時は本当に驚いてしまった。

(本当に…なんだろうな。遊矢に黒咲…柚子…みんなのせいで、未練ができすぎてるじゃないか…)

そのせいで、覚悟をもう決めているのに、もう時間がないことは分かっているのに、それでも生きたいと思ってしまう。

そんな自分が滑稽に思え、思わず口元が緩んでしまった。

 

素良

ライフ200→0

 

デュエルリングの席が下りる中、破れたにも関わらず心地よさを感じる自分がいるように素良には思えた。

ずっと長い間、アカデミアに入ってからずっと忘れていたもの。

それが分かっただけでも、思い出すことができただけでも、生き続けてよかったと思える。

「…いいデュエルだった」

歩いてきた黒咲が視線をそらしながら、つぶやくように素良に声をかける。

そのしぐさを見て、プッと笑いかけた素良が黒咲に袋に入った状態のキャンディーを投げ渡す。

「これで1勝2敗、次のデュエルでイーブンにしてみせるよ。覚悟しなよ?」

「…それだけの力を付けたらな」

キャンディーを受け取った黒咲は一足先にデュエルリングを後にする。

1人になったと同時に、急に胸を強く締め付けられる感覚に襲われた素良が脂汗をかきながらその場に倒れこむ。

どうにか懐から注射器を出し、首筋に中のナノマシンを打ちこむ。

胃液が口元から流れ出ていて、唾にはない独特の味を感じながら、倒れる素良はじっくりとそれが収まるのを待つ。

「もう少し…もう少しだけでいいんだ。もしかしたら、これが切り札になる…。持ちこたえてくれ…」

 

レイダーズ・フォレスト

フィールド魔法カード

(1):このカードが存在する限り、自分はX召喚、P召喚、「RR」カードの効果以外の方法でEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。この効果は無効化されない。

(2):自分フィールドに「RUM」以外の方法で「RR」Xモンスターの特殊召喚に成功したときに発動できる。デッキ・EXデッキから「RR」Pモンスター1体を手札に加える。このターン、同じランクの「RR」Xモンスターを特殊召喚に成功した場合、自分の「レイダーズ・フォレスト」の効果を発動できない。

(3):このカードがフィールドから離れたときに発動する。自分フィールドのモンスターをすべて破壊する。

 

RR-リフレクティング・イーグル

レベル5 攻撃2000 守備0 闇属性 鳥獣族

【Pスケール:青3/赤3】

(1):このカードがPゾーンに表側表示で存在する限り1度だけ、自分フィールドに存在する「RR」Xモンスター1体を対象に発動できる。ターン終了時までそのモンスターは戦闘・効果では破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。

【モンスター効果】

このカードの(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えない。

(1):相手フィールドにEXデッキから特殊召喚されたモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しないとき、このカードは手札から表側攻撃表示で特殊召喚できる。その時、このカードのレベルは4となり、攻撃力が半分になる。

(2):このカードがモンスターゾーンに表側表示で存在する限り1度だけ、自分フィールドに存在する「RR」Xモンスター1体を対象に発動できる。ターン終了時までそのモンスターは戦闘・効果では破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

ファーニマル・マジシャン

レベル6 攻撃2000 守備1200 効果 光属性 天使族

このカード名の(1)の効果はデュエル中1度だけ発動できる。

(1):自分LPの数値以上の攻撃力を持つ相手モンスターの直接攻撃宣言時、このカードが墓地に存在する場合に発動できる。その攻撃を無効にする。その後、EXデッキに存在する「デストーイ」融合モンスター1体の融合素材となる自分の墓地に存在するこのカードを含めたモンスターを除外し、その融合モンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

ファーニマル・スネーク

レベル1 攻撃400 守備400 効果 光属性 天使族

このカード名のカードの(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードの召喚に成功したとき、ゲームから除外されている「エッジインプ」モンスターと「ファーニマル」モンスターを1体ずつ対象として発動する。それらのモンスターを自分の手札に加える。この効果を発動したターン、自分は融合召喚以外の方法でEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。

(2):このカードが「デストーイ」融合モンスターの融合素材として墓地へ送られた時、自分の墓地に存在する「エッジインプ」モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを手札に加える。

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