次第に日が昇り、光が海と島にそびえる建造物を照らす。
中世の城塞と言える、観光客を呼び込みそうな建物で、港にはいくつもの船が浮かび、赤やオレンジの制服を着たデュエル戦士達が見回る。
「なあ、いつまで俺たち、こんなことをしてたらいいんだ?」
「アークエリアプロジェクトが完了するまで、だろうな。ったく、暇すぎるぜ…。これでも、イエローじゃあ中々の成績を出したのになぁ」
おしゃべりしあうレッドとイエローはいずれもアカデミアに入って日が浅い。
かつての素良のように、孤児であったところをアカデミアのスカウトに引き取られ、デュエル戦士として鍛えられた。
彼らの場合は入って2年くらいで、厳しい訓練を受けたものの、アカミデアの教育が行き届いているわけではない。
その傾向はブルー、イエロー、レッドの順番に強まり、中には思想教育よりもデュエルや軍人としての教育を受けたというデュエル戦士もいるほどだ。
エクシーズ次元を侵略してから、アカデミアが直面したのはデュエル戦士不足で、本来はオベリスクフォースのみで侵略を行い、イエローとレッドはアカデミア防衛をしながら経験を積ませていき、昇格試験にクリアした戦士からブルーに昇格させ、オベリスクフォースに加えるという計画も、占領後の残党狩りや拠点防衛に回す形に変更された。
先ほどイエローのデュエル戦士は中々の成績を出したと言っていたが、その言葉通り成績は中の上といえるものだ。
本当に優秀な戦士は既にエクシーズ次元に送られていて、彼らは知らないが既にレジスタンスと現地に駐屯しているヴァプラ隊によって捕縛され、現地で尋問を受けるかスタンダード次元に連行されている。
オベリスクフォースもスタンダード次元やシンクロ次元への侵攻の失敗で多くが倒されるか捕縛されている。
ここに残っているのは実力者もいるものの、多くが侵攻軍に選抜されなかった戦士ばかりだ。
「エクシーズ次元へ行ったあいつ…元気にしてっかなぁ。連絡ないのは分かり切っているけどな」
「忙しいんだろ。まだエクシーズ次元には抵抗しているレジスタンスもいるみたいだからな。ま、いずれ帰ってきて、自慢げにカードを見せるだろうな」
そして、その成果と一緒に見せるのがオベリスクフォースの仮面と制服だろう。
もう少ししゃべりたいところだったが、隊長になっている年長のイエローがやってきて、気配に気づいた2人は慌てて元の位置に戻る。
たとえ警備したとしても、侵入者が来るはずがないのに。
ランサーズが結成されたという話もあるが、それがどんなものかなんてわからず、彼らのデュエル戦士や物量なんてたかが知れている。
そんな彼らが突入できるはずがない。
夜明けとともに、ようやく宿舎に戻って朝ごはんを食べて、寝ることができる。
あと少しポケーッとしていればいい。
そう思っていたが、水平線に動いているものが見えた。
「クジラかぁ…?近づいてる?」
もしクジラなら、捕まえてその肉を唐揚げか混ぜご飯に入れて作ってほしいと思ってしまう。
最近は落ち着いてきたが、エクシーズ次元の侵攻を終えてから配給される食糧が減っていた。
腹を空かせて訓練する戦士もいて、中にはそれで倒れてしまう戦士もいたほどだ。
だが、最初はクジラかと思っていた彼だが、近づいてくるにつれてシルエットがだんだんと見えてくる。
よく見ると建物のように見えて、少なくともそれはクジラではない。
「まさか…これは、戦艦?アカデミアにはないぞ!ということは…」
あのランサーズがここまで来たのか?
そんな予感が頭をよぎった。
「見えてきた…ようやくか…」
飛行用シルエットであるイーグルが取り付けられたマシンブルーファルコンに乗り、甲板からアカデミアを見る黒咲は右拳を左掌にぶつける。
瑠璃がさらわれ、彼女のいるアカデミアへ来るまでにどれほどの時を耐え抜いてきたか。
だが、もうすぐそれも報われる。
次元戦争を終わらせることができる。
「黒咲、俺たちは…」
隣で、同じく飛行用シルエットのドラゴンフライを装備したマシンレッドクラウンに乗る遊矢の問いかけに、黒咲は視線を向けず、ただ一言だけ返す。
「俺たちのやるべきことは分かっている」
その言葉に、遊矢は少しだけ安心した。
そして、首にぶら下げているペンデュラムを握る。
柚子と遊勝は船内に待機し、デュエルディスクでいつでも通信できる状態になっている。
船内でも、船が港に突入してから動き出す部隊が準備をしており、その先頭に立つのは翔太だった。
「ちっ…俺のバイクはシルエットを付けれるほどの余裕はないってのかよ」
作戦としては、飛行できる2人が先発して港を攪乱する。
そして、船は巨大な次元間のGPSとして機能しており、そこからスタンダード次元などで待機している部隊を転移させ、突入させていく。
目標はプロフェッサーへの一点突破と瑠璃とリン、そしてセレナの救出。
この一戦を次元戦争における最後の戦いにする。
全員が決意を固める中で、零児からの通信が船内に響く。
「諸君、我々ランサーズの戦いはついに最終局面に到達した。少なくない犠牲の果てに、我々は敵の本拠地にこれから足を踏み入れる。我々はシンクロ次元でアカデミアを撃退し、そしてエクシーズ次元を解放した。追い詰められている以上、奴らはあらゆる手段をもって我々を妨害するだろう。そして、戦いの中で犠牲者も出るだろう。君自身が、君と共に戦う誰かが。だが、この勝利をもって、この愚かしい戦争に終止符を打つことができる。だが…その勝利の条件に君たちの死は含まれない。故に、勝利し、生きて必ず故郷へ戻るぞ。以上だ、諸君らの健闘を祈る」
通信が終わり、作戦開始のタイマーが全員のデュエルディスクで起動する。
同時に、先発の遊矢と黒咲が飛び立ち、2台のDホイールが宙を舞う。
「空を飛ぶバイクが来ている!?」
「う、撃ち落とせぇ!!」
警備しているデュエル戦士達がデュエルディスクを展開し、それぞれが《古代の機械兵士》を召喚し、遊矢と黒咲に向けて発砲する。
「うわああああ!!」
「奴らは俺がやる!」
銃弾をかわす黒咲がスピードを上げ、港へ到達するとともにイーグルを強制排除する。
シルエットには機密保持のための自爆機能がついていて、それが《古代の機械兵士》の一体に接触すると同時に爆発する。
「貴様ぁ!!」
「ふん…貴様らなど、相手は俺一人で十分だ」
地上へ降りたマシンブルーファルコンから降り、黒咲はデュエルディスクを構え、3人に襲い掛かった。
爆煙で視界から隠れ、先へと進む遊矢は港の出口にある巨大な門の前に降り立つ。
空から確認し、マシンレッドクラウンのレーダーでもチェックしたが、ここ以外に港から侵入するルートはない。
「これを開けるとしたら…」
近くに門をコントロールできる機械があるはず。
近くを探そうと走り出そうとする遊矢だが、急にヒュウウンと何かが飛ぶ音が聞こえた。
ドンと上空から爆発音が聞こえ、思わず上を向くと、上空にはなぜか花火があがっていた。
しかもそれは複数で、とてもアカデミアがやるものとは思えない。
「WELCOME、ようこそアカデミアへ、遊矢!!」
声が聞こえた方向は門の上で、それに気づいて見上げた遊矢の目の前までデニスは飛び降りる。
気さくな笑みを見せるデニスだが、その服装はアカデミアのブルーの制服で、青いデュエルディスクを装着していた。
「デニス…」
「見えていたよ、君たちがこれから来るということは。そろそろクライマックスということか…」
「俺とデュエルをするのか…?」
「Oh!!それもいいけれど、僕はもっと戦いたい相手がいるからね。君と戦いたいって相手に譲るさ。そろそろ、来ることだね…」
「そろそろ…!!」
(小僧、構えろ。嫌な気配だ…)
急に針で全身が差されるようなプレッシャーを感じ、遊矢は振り返る。
そこにいるのは筋肉質な体を赤い武闘着で覆い、紫の長い髪と鋭い瞳の少年がにらむように遊矢を見ながら歩いてくる。
「お前は…勝鬨勇雄!?」
遊矢の脳裏に舞網チャンピオンシップでの彼とのデュエルが浮かぶ。
勝つためには手段を択ばず、そしてプロデュエリストになるまでは大会以外で外に出ることすら許されない全寮制の梁山泊塾の生徒である彼は1年前の舞網チャンピオンシップジュニアユースで準優勝を勝ち取った。
彼の、というよりは彼の塾でのデュエルは手段を択ばないという言葉通り、反則スレスレの暴力を用いてアクションカードを手にするもの。
しかも、反則にならない加減についても徹底的に教え込まれているのだから質が悪い。
また、遊矢自身もデュエルをして分かったように、デュエルの実力もLDSに匹敵するものがある。
そんな彼と、遊矢は第2回戦でデュエルをした。
闘争心をむき出しにする彼に一時は敗北寸前まで徹底的に追い詰められたが、ラストターンでズァークの思念に一時的に飲まれてしまい、その中で《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を召喚。
その力で彼を倒した。
「榊遊矢…貴様を、貴様を倒す!倒す!倒す!!」
「俺を倒すだって!?お前…自分がどこで何をしているのかわかっているのか!?」
デュエルで倒すだけならいい。
それなら、道場破りだろうと大会だろうと納得できる。
だが、ここはアカデミアでしかも次元戦争の最中だ。
しかも本来ならスタンダード次元にいるはずの彼がどうしてここにいるのか?
「実はさ、彼…君に負けた後、破門にされちゃったんだよ…。居場所のない彼を僕が拾ってあげたのさ」
「何!?」
「君と戦える…殺しあえると話したら、彼…すんなり転んだよ。いい駒ができて、何よりさ」
スタンダード次元でスパイ活動をしていたころ、遊矢に敗北した勝鬨の元に向かったことがある。
敗北をとがめられ、破門にされた勝鬨は路頭を迷うことになった。
プロデュエリストになる道を閉ざされ、プロデュエリストになるまで帰らないという両親との約束に縛られて故郷へ帰ることもできない彼は抜け殻のようになっていた。
デニスがやったのはそんな彼に生きる理由を与えることだった。
「チャオ、遊矢。彼とのデュエル、楽しんでね。ああ…それから、彼を倒さないと、この門…開かないから」
「待て、デニ…」
「よそ見を…するなぁ!!」
自分のことなど眼中にないと考えているととらえた勝鬨が遊矢に飛び蹴りを放ち、遊矢は左腕で受け止める。
地面に降りた勝鬨は蹴ったときの甲高い音と脚に感じた違和感を察し、遊矢の左腕を見る。
「義手…?」
「ああ、そうさ。すごく、痛かったよ…」
手袋を外し、バイオニックアームの左手を見せると同時に、デュエルディスクを展開する。
「フィールド魔法《修練の梁山》、発動!」
勝鬨のデュエルディスクへの音声入力と同時に、無機質な港だった周辺が霧に包まれた山中へと変貌していく。
「どうしても、やるんだな…?だったら、もう容赦はしない!!」
説得することもできただろうが、遊矢にもやらなければならないこと、守らなければならないものがある。
だから、退くことはできない。
「「デュエル!!」」
勝鬨
手札5
ライフ4000
遊矢
手札5
ライフ4000
「ぐううう…自分の、ターン!!自分は手札から永続魔法《梁山の咆哮》を発動!1ターンに1度、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札から戦士族モンスター1体を特殊召喚できる。ただし、この効果で特殊召喚されるモンスターの攻撃力・守備力は半分になる。自分は手札の《天昇星テンマ》を特殊召喚!!」
勝鬨の背後の木々が砕け散り、それが遊矢を襲う。
そして、その中から飛び出したのは青い馬を模した兜と中国の武人の鎧を身に着けた細長い顔をした青髪の戦士だ。
両腕で身を護る遊矢はその特殊召喚されたモンスターをにらむ。
天昇星テンマ レベル5 攻撃2100→1050
「このカードの召喚・特殊召喚に成功したとき、自分は手札から戦士族・地属性・レベル5モンスター1体を特殊召喚できる。自分は《地翔星ハヤテ》を特殊召喚」
続けてフィールドに現れたのは白い虎を模した兜と鈍い金色の棍を握る戦士で、先に現れた《天昇星テンマ》と共に、勝鬨の前に立つ。
地翔星ハヤテ レベル5 攻撃2100
「《ハヤテ》の効果。手札から戦士族・光属性・レベル5モンスター1体を特殊召喚できる。《天融星カイキ》を特殊召喚!」
更に現れる武人。
今度は胴体部分が悪魔の顔を模したつくりをした群青色の甲冑姿で、そのモンスターが先に現れた2体の武人の間に立つ。
天融星カイキ レベル5 攻撃2100
「《カイキ》の効果。このカードの特殊召喚に成功したとき、自分のライフを500支払い、手札・フィールドのモンスターを素材に戦士族融合モンスター1体を融合召喚する。自分が素材とするのは《テンマ》と《カイキ》!2つの天よ、今ひとつとなって、悠久の覇者たる星と輝け!融合召喚!来い!レベル10!《覇勝星イダテン》!」
前後に三又の穂先がついた槍を手にした、紫の鎧を身に着けた屈強な武人が現れる。
覇勝星イダテン レベル10 攻撃3000
勝鬨
ライフ4000→3500
「《覇勝星イダテン》…」
勝鬨のエースモンスターであり、舞網チャンピオンシップで遊矢を追い詰めたモンスター。
再び現れたそのモンスターの能力は脅威だ。
少しでも弱める手段、止める手段を求める遊矢はアクションカードを探し始める。
「させん!!」
さっそく勝鬨は手ごろな細さの枝を手にし、遊矢に向けて投げ槍のように投擲する。
遊矢は左手を手刀としてその枝を叩き、体への直撃は避けたがその間に近くまで走りこんでいた勝鬨が遊矢の腹部に向けて拳を叩き込む。
「ガァ…!?」
落ちぶれたとはいえ、相手への攻撃のための訓練も積んだ勝鬨の拳は遊矢の肉体にダメージを与え、唾と胃液を吐き出した遊矢はその場にうずくまる。
そして、遊矢が見つけたアクションカードは勝鬨の手に渡る。
「自分は《イダテン》の効果を発動。このカードの融合召喚に成功したとき、デッキから戦士族・レベル5モンスター1体を手札に加える。自分は《ターレット・ウォリアー》を手札に加える。そして、自分はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
勝鬨
手札5→2(アクションカード、《ターレット・ウォリアー》)
ライフ3500
場 覇勝星イダテン レベル10 攻撃3000
地翔星ハヤテ レベル5 攻撃2100
梁山の咆哮(永続魔法カード)
伏せカード1
遊矢
手札5
ライフ4000
場 なし
「ぐううう…」
「どうした?貴様のターンだ」
倒れている遊矢を木の上から見下ろす勝鬨。
ゆっくりと起き上がる遊矢は勝鬨をにらむと、デッキトップに指をかける。
「俺のターン、ドロー!!」
遊矢
手札5→6
「俺は手札から魔法カード《螺旋のストライク・バースト》を発動!その効果で俺はデッキもしくはエクストラデッキのレベル7のオッドアイズを手札に加えることができる。俺は《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》を手札に加える!更に、俺は手札から《EMサイバース・プロスペクター》を召喚」
VRのようなヘッドギアをつけた探検家衣装の青年が現れるとともに、左腕につけているコンソールの操作を開始する。
EMサイバース・プロスペクター レベル4 攻撃1600
《サイバース・プロスペクター》の効果。このカードの召喚に成功したとき、お互いのフィールドに存在するカードの枚数以下のレベルを持つEMをデッキから効果を無効にして特殊召喚できる。今、フィールドには5枚のカードがある!よって、レベル5以下のEMを特殊召喚できる。来い、《EMシルバー・クロウ》!」
コンソールから導き出された数字である「4」が彼の目の前に表示され、同時にその隣に渦が出現する。
そして、その中から《EMシルバー・クロウ》が飛び出した。
EMシルバー・クロウ レベル4 攻撃1800
「そして、俺はレベル4の《サイバース・プロスペクター》と《シルバー・クロウ》でオーバーレイ!漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙!今、降臨せよ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」
「《ダーク・リベリオン》…!!」
エクシーズ召喚されたそのモンスターは勝鬨にとっては過去の敗北の象徴と言えるモンスター。
このモンスターの効果と一撃によって敗れ、今この場にいる。
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃2500
「《ダーク・リベリオン》の効果!オーバーレイユニットを2つ取り除き、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力を半分奪う!トリーズン・ディスチャージ!!」
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》が放つ紫の電撃が《覇勝星イダテン》を拘束する。
その電撃がそのモンスターに宿る力を奪っていき、主である《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》に吸収されていく。
覇勝星イダテン レベル10 攻撃3000→1500
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃2500→4000
取り除かれたオーバーレイユニット
・EMシルバー・クロウ
・EMサイバース・プロスペクター
「更に俺は手札から装備魔法《竜皇の秘宝》を《ダーク・リベリオン》に装備!このカードはドラゴン族専用の装備カードで、装備モンスターの攻撃力を1500アップさせる!」
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃4000→5500
(《イダテン》には自分のレベル以下の相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に1度、その相手モンスターの攻撃力をダメージ計算時だけ0にする効果がある。けど、《ダーク・リベリオン》なら…)
あの時、遊矢がデュエルで勝てたのは《覇勝星イダテン》を《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の効果によって破ったからだ。
そして、今の《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の攻撃力は5500で、《覇勝星イダテン》の攻撃力は1500。
これから始める攻撃が決まれば、一撃で片が付く。
「バトルだ!《ダーク・リベリオン》で《覇勝星イダテン》を攻撃!反逆のライトニング・ディスオベイ!!」
早々に幕引きとすべく、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》が動けなくなった《覇勝星イダテン》に向けて、稲妻の牙で襲い掛かる。
牙がそのモンスターを貫いた瞬間、大きな爆発が起こり、遊矢達を爆煙が包んでいく。
「これで、俺の…」
「まだだ!!自分は《梁山の咆哮》の効果発動!自分の戦士族融合モンスターが攻撃対象となったとき、フィールド上のこのカードを墓地へ送ることで、互いのモンスターはその戦闘では破壊されず、戦闘で受ける互いへのダメージも0となる!!」
腹部を貫かれたはずの《覇勝星イダテン》は激しい雄たけびを上げ、なおも死なないそのモンスターに向けてもう一撃浴びせるべく、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》がいったん離れてから突撃しようと構える。
「下がれ、ダーク・リベリオン。貴様ではこやつは倒せん」
「…そのようですね。遊矢、警戒しなさい。あの男の妬みのこもった憎しみに侵食されないで)
オッドアイズの言葉を聞いたダーク・リベリオンは構えを解き、遊矢のフィールドへ戻る。
「くっ…けれど、まだ俺のターンは終わっていない!俺はスケール4の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》とスケール8の《オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン》でペンデュラムスケールをセッティング!俺はこれで、ターンエンド…。同時に、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の効果。このカードを破壊して、デッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスター1体を手札に加える。俺は《オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン》を手札に加える。更に、《オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン》のペンデュラム効果発動。1ターンに1度、俺のフィールドの表側表示で存在するオッドアイズが破壊された時、手札・デッキ・墓地からオッドアイズモンスター1体を特殊召喚できる。俺は《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》をデッキから特殊召喚!」
「自分は《カイキ》の効果を発動!元々の攻撃力とは異なる攻撃力を持つレベル5以上の戦士族モンスターが存在する相手ターンに1度、このカードは墓地から蘇る!」
勝鬨
手札2(アクションカード、《ターレット・ウォリアー》)
ライフ3500
場 覇勝星イダテン(《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の影響下) レベル10 攻撃1500
地翔星ハヤテ レベル5 攻撃2100
天融星カイキ レベル5 攻撃2100
伏せカード1
遊矢
手札6→4(うち1枚《オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン》)
ライフ4000
場 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン(《竜皇の秘宝》装備) ランク4 攻撃5500
オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン レベル7 守備2500
竜皇の秘宝(装備魔法)
オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン(赤) ペンデュラムスケール8
上級モンスター2体を出すことができたとはいえ、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》による《覇勝星イダテン》の戦闘破壊に失敗してしまった。
攻撃力が元に戻ることはないが、勝鬨の手札には《ターレット・ウォリアー》がある。
(《ターレット・ウォリアー》は自分フィールドの戦士族モンスター1体をリリースすることで特殊召喚できるモンスター…。そして、そのモンスターの元々の攻撃力を加える。でも、それでも攻撃力は4200になるくらいだ。攻撃力5500の《ダーク・リベリオン》なら…)
「油断してはなりませんよ、遊矢。彼の心の闇…真実なき光を妬む闇を侮ってはなりません」
「真実なき…光?」
「自分の…ターン!!」
勝鬨
手札2→3
「このカードで…貴様を、貴様を殺す!!《カイキ》の効果発動!ライフを500支払い、《カイキ》と《イダテン》を融合!!」
「《イダテン》を素材に更に融合召喚だって!?」
「天にとけし者よ、悠久の覇者よ、重ねし力で天下を取らん!融合召喚!来い、レベル12!《覇道星シュラ》!うおおおおおおお!!」
勝鬨の叫びと共に、黒いオーラと化した《天融星カイキ》を取り込んだ《覇勝星イダテン》が苦しみだす。
鎧が徐々に暗い緑と黒をベースとした色合いに変わっていき、赤く染まった瞳を《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》に向ける。
肉体も余計なものを切り捨てたほっそりとしたものに変わったが、放つプレッシャーは以前以上のものとなっていた。
覇道星シュラ レベル12 攻撃0
勝鬨
ライフ3500→3000
「攻撃力0…一体、どんな効果を持っているんだ!?」
「そう慌てるな…。貴様を殺すにはまだ足りない…。手札からアクション魔法《補給》を発動。デッキからカードを1枚ドローする…。そして、自分は手札から魔法カード《寄生融合-パラサイト・フュージョン》を発動!手札の《パラサイト・フュージョナー》を墓地へ送り…手札・フィールドのモンスターを素材に融合召喚を行う!」
「また融合召喚!?《シュラ》をさらに融合素材にして…!?」
遊矢の言葉を鼻で笑う勝鬨の背後から赤いオタマジャクシのような寄生虫が飛び出してくる。
そのモンスターは遊矢の《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》の頭部に飛びつくと、6本の鉄でできた脚で自らを固定させ、尻尾を頭部に突き刺した。
苦しんだ《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》だが、目を虚ろにした状態で宙を舞い、上空の融合の渦の中へ《地翔星ハヤテ》と共に取り込まれていく。
「そんな!?《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》が…どうして!?」
「《パラサイト・フュージョン》のもう1つの効果…。相手フィールドのモンスター1体を《パラサイト・フュージョナー》が寄生し、融合素材とする。そして、その相手モンスターは融合モンスターカードにカード名が記された融合素材モンスター1体の代わりにできる!!地を飛ぶ星よ、内なる声を聞き、新たな力を呼び覚ませ!融合召喚!現れろ、レベル8!《超魔導騎士-ブラック・キャバルリー》!!」
漆黒の馬が渦の中から飛び出し、その背中に乗っているのは《ブラック・マジシャン》を彷彿とさせる鎧姿で、両手に黒い槍を手にした騎士。
だが、融合素材となった要因である《パラサイト・フュージョナー》の影響を受けているためなのか、ところどころにそのモンスターの尾が生えていた。
超魔導騎士-ブラック・キャバルリー レベル8 攻撃2800
自分のモンスターを素材にされたこともそうだが、遊矢は《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》をこのような形で除去されたことに苦虫をかみつぶす。
(《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》は相手によって破壊されて墓地へ送られた時、デッキ・墓地から別のオッドアイズを特殊召喚して、更にデッキから《螺旋のストライク・バースト》1枚を手札に加えることのできるカード…けど、融合素材にされたなら、その効果は不発…。それに…)
「ふふふ…どうだ?榊遊矢!まんまと己のモンスターを奪われた感想は!!最も、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》を奪いたかったがなぁ!!」
「くっ…勝鬨…!!」
「そうだ!その顔だ!苦悩と苦痛!貴様を引きずり込んだうえで、殺してやるぅ!!《ブラック・キャバルリー》の攻撃力はお互いのフィールド・墓地の魔法・罠カードの数×100アップする!今、フィールド・墓地に存在する魔法・罠カードは7枚!!」
超魔導騎士-ブラック・キャバルリー レベル8 攻撃2800→3500
「バトルフェイズと同時に、俺は《シュラ》の効果を発動!自分・相手バトルフェイズ時に1度、相手フィールドのモンスターすべての攻撃力を0にする!!」
「何!?」
《覇道星シュラ》の激しい咆哮が衝撃波となり、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》が大きく吹き飛ばされて木々をなぎ倒しながらあおむけに倒れる。
まだ倒れていない木をつかんでどうにか起き上がったものの、その肉体はただ咆哮を受けただけとは思えないほどに傷ついていた。
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃5500→0
「ダーク・リベリオン!?」
傷だらけになったダーク・リベリオンに駆け寄ろうとする遊矢だが、彼女が右手を伸ばして制止させる。
満身創痍の彼女の姿に勝鬨は歓喜の笑みを浮かべる。
もうすぐ、屈辱を晴らしたうえで遊矢を殺すことができる。
その後どうなるかなど知ったことではない。
ただ、彼を殺すことができるならなんでもいい。
「バトル!!《覇道星シュラ》で《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を攻撃!そして、同時に《シュラ》の効果!!モンスター同士がバトルを行うダメージ計算時に1度、互いのモンスターの攻撃力はそのダメージ計算時のみ、自らのレベル×200アップする。《シュラ》のレベルは12…だが、貴様の《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》にはレベルはない…。よって、攻撃力は0のままだ!!」
覇道星シュラ レベル12 攻撃0→2400(ダメージ計算時のみ)
「更にぃ!!」
追い討ちをかけるべく、枝にかかっているアクションカードを跳躍して手にし、着地と同時に発動する。
「アクション魔法《痛撃》を発動!!ダメージ計算時のみ、自分の攻撃モンスターの攻撃力を1800アップさせる!!」
覇道星シュラ レベル12 攻撃2400→4200(ダメージ計算時のみ)
先ほどのターンと一転して、今度は遊矢が1ショットキルされる展開に突入する。
「くっ!!俺は罠カード《ブレイクスルー・スキル》を発動!!相手フィールドのモンスター1体の効果をターン終了時まで無効に…」
「《ブラック・キャバルリー》の効果発動。フィールド上のカードを対象とするカード効果が発動された時、手札1枚を墓地へ送ることで、その発動を無効にし、破壊する」
《超魔導騎士-ブラック・キャバルリー》が左手に握る槍を投げつけ、遊矢が発動したばかりの《ブレイクスルー・スキル》を貫き、破壊する。
そして、《覇道星シュラ》はその手に握っている槍でボロボロの《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を何度も何度もめった刺しにする。
恨みのこもった槍を何度も受けた彼女は消滅する。
手札から墓地へ送られたカード
・ターレット・ウォリアー
「これで…4200の戦闘ダメージが榊遊矢、貴様にぃ!!」
「俺はアクション魔法《エナジー・メイト》を発動!俺のライフを500回復させる!!」
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》に注意が向けられている間に手に入れることのできたアクションカード。
それが攻撃の余波が向かう直前に遊矢に一時しのぎできるだけの力を与えた。
だが、すぐに余波が及び、遊矢は大きく吹き飛ばされて背後の気に激突する。
「うわ、あああ…!!」
血を吐いた遊矢はたたきつけられるように地面に倒れる。
遊矢
ライフ4000→4500→300
かろうじてライフを残した遊矢は起き上がろうとするが、上げようとする顔が再び地面にぶつかり、味のない草と土が口に入る。
後頭部から伝わる痛みから、明らかに勝鬨に踏みつけられていることが分かる。
「はあ、はあ…エクシーズ素材になった《サイバース・プロスペクター》の効果…。このカードをエクシーズ素材としてエクシーズ召喚されたドラゴン族モンスターが戦闘・効果で破壊された時…デッキからカードを1枚ドローする…」
「それがどうした!?これで…貴様にはもう身を護る手段はない!!もう貴様は俺に勝てない!!あとは…《ブラック・キャバルリー》が攻撃することで貴様のライフは尽き、貴様は死ぬ!!貴様も味わえ!!俺の闇を!!俺の受けた屈辱を!!思い知れ、思い知れ!!思い知れ思い知れ思い知れぇ!!」
何度も踏みつけ、笑いだす勝鬨。
血を流しながら受け続ける遊矢は奥歯をかみしめる。
破門され、屈辱と共に生きてきたことへの責任があることは分かる。
デュエルの結果、勝敗の結果となり、それが勝鬨を苦しめる結果となったのなら、非は笑顔を与えることのできなかった自分にもあるかもしれない。
だが、それを晴らすためにデュエルを貶め、そして自分を殺す道具にしていることが遊矢には許せない。
そうなった時点で、もはや勝鬨はデュエリストではない。
「思い…知るかよ!!俺は手札の《ヴァレット・リチャージャー》の効果発動!!」
「何!?」
遊矢の効果発動宣言と同時に、頭部に弾丸がついているかのような赤い小さなドラゴンが飛び出し、勝鬨に向けて突撃する。
回避のためにその場を離れると、自由になった遊矢は起き上がり、額から流れる血を左すそで拭う。
「《ヴァレット・リチャージャー》…だと!?」
カテゴリーもそうだが、明らかに兵器をモチーフとしてデザインのモンスターで、それは勝鬨のイメージの中の遊矢が使うことがないはずのカードだ。
「《ヴァレット・リチャージャー》はエクストラデッキから特殊召喚された自分の闇属性モンスターが戦闘・効果で破壊された時、このカードを手札・フィールドから墓地へ送ることで、そのモンスターと元々の名前の異なる闇属性モンスター1体を墓地から特殊召喚できる!俺は…《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》を再び特殊召喚する!!」
オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン レベル7 守備2500
「…《エナジー・メイト》が墓地へ送られたことで、《キャバルリー》の攻撃力はアップする」
超魔導騎士-ブラック・キャバルリー レベル8 攻撃3500→3600
「更に《ブラック・キャバルリー》は守備モンスターを攻撃したとき、貫通ダメージを与える。たとえ《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》を守備表示で召喚したとしても、無意味!!《ブラック・キャバルリー》で《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》を攻…何!?」
超魔導騎士-ブラック・キャバルリー レベル8 攻撃3600→3700
「なぜだ!?なぜ《ブラック・キャバルリー》の攻撃力がさらにアップしている!?」
「はあ、はあ…発動、したんだ…アクション魔法《大脱出》を!これで、バトルフェイズは終了した」
遊矢がデュエルディスクに入れた、血で濡れたアクションカード。
ちょうど倒れていたところにあったことが、遊矢に命拾いさせた。
「ちぃ…ターンエンド!!」
勝鬨
手札3→0
ライフ3000
場 覇道星シュラ レベル12 攻撃0
超魔導騎士-ブラック・キャバルリー レベル8 攻撃3700
伏せカード1
遊矢
手札4→5(うち1枚《オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン》)
ライフ300
場 オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン レベル7 守備2500
オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン(赤) ペンデュラムスケール8
どうにか敗北を免れた遊矢だが、残りライフは300で、勝鬨のフィールドには《覇道星シュラ》と《超魔導騎士-ブラック・キャバルリー》がいる。
特に《覇道星シュラ》が遊矢にとっては脅威で、どうにかそのモンスターを取り除かなければ、バトルフェイズ中遊矢のすべてのモンスターが一方的にそのモンスターにやられることになる。
また、守備表示で出したとしても、貫通効果を持つ《超魔導騎士-ブラック・キャバルリー》の餌食になる。
「(でも…負けるわけにはいかない!邪魔をするというなら、乗り越えるだけだ!!)俺のターン、ドロー!!」
遊矢
手札5→6
「俺は墓地の《竜皇の秘宝》の効果を発動!俺のフィールドにレベル7のドラゴン族モンスターが存在するとき、墓地のこのカードを除外することで、俺の墓地のドラゴン族エクシーズモンスター1体を効果を無効にして、特殊召喚できる!甦れ、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!!」
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃2500
「そして、この効果で特殊召喚されたモンスターはターン終了時までランクが7になり、そのランクと同じ数値のレベルのモンスターとしてエクシーズ素材にすることができる」
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4→7 攻撃2500
「ランクを操作し、更なるエクシーズ素材にしたからといっても、レベルがないことは変わらん!《覇道星シュラ》の餌食になるだけだ!!」
「いや、これでいい!倒して見せる!《覇道星シュラ》を!俺はレベル7の《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》と《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》でオーバーレイ!!」
遊矢の脳裏に、シンクロ次元でクロウとのデュエルの際に召喚したズァークの片鱗を思い浮かべる。
あれ以来、遊矢のデッキに眠っていたそのカードを今度は遊矢本人の意思で召喚する。
「二色の眼の竜よ。深き闇より蘇り、怒りの炎で地上の全てを焼き払え!エクシーズ召喚!いでよ、ランク7!災い呼ぶ烈火の竜、《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》!」
覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン ランク7 攻撃3000
「何だ…この、ドラゴンは…!?」
これまた遊矢らしからぬモンスターであり、激しい怒りの炎でその身を包んでいるように見えた。
光の中にいるはずの遊矢がなぜそのようなカードが使えるのか?
そのかすかな疑問をそのドラゴンの効果が焼き尽くす。
「《オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》の効果!エクシーズモンスターを素材にエクシーズ召喚されたこのカードは1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、相手フィールドのすべてのカードを破壊し、破壊したカード1枚につき、攻撃力を200アップさせる!!」
「何!?」
「焼き尽くせ!!デストロイ・ギガ・フレア!!!」
オーバーレイユニットを取り込んだ《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》が激しく咆哮すると同時に全身から炎を噴出させる。
その炎は木々を業火に包むとともに《超魔導騎士-ブラック・キャバルリー》を消滅させ、《覇道星シュラ》をも焼き尽くそうとする。
「くぅ…自分は罠カード《メタル・コート》を発動!このカードを《覇道星シュラ》に装備し、装備モンスターはカード効果では破壊されない!!」
「破壊するカードは《ブラック・キャバルリー》と《メタル・コート》!よって、《オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》の攻撃力は400アップする!!」
覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン ランク7 攻撃3000→3400
取り除かれたオーバーレイユニット
・オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン
「それがどうした!?いかに攻撃力があろうともエクシーズモンスターである以上、レベルがない!《覇道星シュラ》の前では無力!!」
「甘いぞ、勝鬨!!俺は手札から《ヴァレット・シンクロン》を召喚!」
「何!?またヴァレットだと…榊遊矢!?エンタメデュエルはどうした!?貴様の生ぬるいデュエルはどうした!?」
今度は弾丸つきの青いドラゴンが出現する。
確かに今の遊矢のデッキはオッドアイズ中心だが、いつもなら使っているはずのEMの姿がない。
勝鬨が憎悪するエンタメデュエルの象徴がいまだにこのデュエルでは姿を見せていない。
ヴァレット・シンクロン レベル1 攻撃0(チューナー)
「《ヴァレット・シンクロン》の効果!このカードの召喚に成功したとき、墓地に存在するレベル5以上の闇属性・ドラゴン族モンスター1体を効果を無効にして、守備表示で特殊召喚できる。この効果で特殊召喚されたモンスターはターン終了時に破壊される!もう1度現れろ、《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》!!」
オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン レベル7 守備2500
「そして、俺はレベル7の《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》にレベル1の《ヴァレット・シンクロン》をチューニング!!王者の咆哮、今天地を揺るがす。紅蓮の炎と共に、覇者の力宿して今こそ現れろ!シンクロ召喚!王者の魂、《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》!!」
「王者…覇者…!?」
ジャックから借り受けたドラゴンが再び遊矢に力を貸すべく姿を現す。
ランサーズとして戦ってきた遊矢をわずかな記録でしか見ていない勝鬨にはわからないことだ。
レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト レベル8 攻撃3000
「《スカーライト》の効果発動!1ターンに1度、《スカーライト》以外の、このカードよりも攻撃力の低い特殊召喚された効果モンスターをすべて破壊し、破壊したモンスター1体につき500のダメージを与える!!」
「何!?」
「《覇道星シュラ》を焼き尽くせ!!アブソリュート・パワー・フレイム!!」
《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》が燃え上がる森の中で拳を地面にたたきつける。
そこを中心に地割れが発生するとともにマグマがあふれ出し、それが生み出す灼熱の業火に焼かれた《覇道星シュラ》は消滅する。
「ぐおおおお!!おのれぇ!!だが、融合召喚された《シュラ》が相手によって破壊された時、エクストラデッキに存在する《覇勝星イダテン》を融合召喚扱いで特殊召喚できる!現れろ、《覇勝星イダテン》!!」
覇勝星イダテン レベル10 攻撃3000
勝鬨
ライフ3000→2500
再び勝鬨が召喚した《覇勝星イダテン》。
だが、攻撃力3000では《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》には及ばない。
そして、遊矢の墓地にはあのカードがある。
「俺は墓地の《ブレイクスルー・スキル》の効果発動…。自分のターンに墓地のこのカードを除外することで、相手の効果モンスター1体の効果をターン終了時まで無効にする」
特殊召喚されたばかりの《覇勝星イダテン》が《ブレイクスルー・スキル》で縛られ、効果のすべてを奪われる。
それでも、逆転の手をつかむべく、勝鬨はアクションカードを探そうとする。
燃え上がる炎の中、そしてそれが制限なしのリアルソリッドビジョンで生み出されているものであれば、たとえ訓練している勝鬨であってもただでは済まない。
だが、どんなに火傷を負っても、たとえ死ぬことになったとしても、勝鬨は再びの敗北を認めるわけにはいかなかった。
「勝鬨…次元を超えても、梁山泊塾を出ても…お前は変われなかったんだな」
「ふざけるな!ふざけるな!!貴様のせいだ!!貴様のせいで、自分は…自分はぁ!!」
「いい加減にしろよ!!勝つことだけに固執して、それ以外のすべてを捨てるお前は…俺がいなくても、同じなんだよ!!《オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》はエクシーズモンスターをオーバーレイユニットとしている場合、1ターンに2度攻撃することができる!!行け、《オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》!!」
《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》が激しい咆哮と共に紅蓮の炎を吐き出す。
更なる獄炎に包まれた《覇勝星イダテン》は勝利の星をつかむことができないまま灰となり、炎は勝鬨をも飲み込んでいく。
「貴様だけは!貴様だけは!!殺してやる!呪ってやる!!榊遊矢!!榊遊矢ぁぁぁ!!!」
勝鬨
ライフ3000→2600→0
梁山の咆哮
永続魔法カード
(1):1ターンに1度、自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。手札から戦士族モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力・守備力は半分となる。
(2):自分フィールドの戦士族融合モンスターが相手モンスターの攻撃対象となったとき、自分フィールドに存在するこのカードを墓地へ送ることで発動できる。互いのモンスターはその戦闘では破壊されず、戦闘で受けるお互いへのダメージは0となる。
EMサイバース・プロスペクター
レベル4 攻撃1600 守備1200 効果 闇属性 サイバース族
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードの召喚に成功したとき、自分のデッキに存在する、フィールド上に存在するカードの枚数以下の数値のレベルを持つ「EM」モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。
(2):このカードを素材としてS召喚・融合召喚・X召喚・リンク召喚されたドラゴン族モンスターは以下の効果を得る。
●このカードが戦闘・効果によって破壊されたときに発動する。自分はデッキからカードを1枚ドローする。
竜皇の秘宝
装備魔法カード
ドラゴン族のみ装備可能。
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):装備モンスターの攻撃力が1500アップする。
(2):このカードが墓地に存在し、自分フィールドにレベル7のドラゴン族モンスターが存在する場合、このカードを除外し、自分の墓地に存在するドラゴン族Xモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。また、ターン終了時までそのモンスターのランクは7となり、そのランクと同じ数値のレベルのモンスターとしてX召喚の素材にできる。
補給
アクション魔法カード
(1):自分はデッキからカードを1枚ドローする。
寄生融合-パラサイト・フュージョン
通常魔法カード
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分の手札に存在する「パラサイト・フュージョナー」1体を墓地へ捨てて発動できる。自分の手札・お互いのフィールドから、融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを、相手モンスター1体を含めた状態で墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから特殊召喚する。その際、素材となる相手モンスターは融合モンスターカードにカード名が記された融合素材モンスター1体の代わりにできる。
痛撃
アクション魔法カード
(1):自分モンスターが攻撃するダメージ計算時にのみ発動できる。ダメージ計算時のみ、そのモンスターの攻撃力が1800アップする。
リアルソリッドビジョンが消え、港の扉が開かれていく。
敗北した勝鬨はうつぶせに倒れていて、体からはデュエルによるダメージの影響からか、煙が出ている。
「…勝鬨、俺の言った言葉、よく考えてくれよ」
気を失っているであろう勝鬨にその言葉が届いているかは分からない。
だが、今の遊矢にはそのことを気にかけている場合ではない。
扉が開いた以上は進むだけ。
作戦では、遊矢は遊撃兼斥候として先へ進む必要がある。
「こちら遊矢、港の扉は開いた。俺は先に進む」
黒咲の元へ向かったデニスのことは気になるが、黒咲であれば負けることはない。
彼を倒して、追いかけてくると信じて、遊矢は先へ進んだ。
「ふん…雑魚どもが」
3人がかりで襲い掛かってきたにもかかわらず、1ポイントもこちらのライフを減らすことができないまま倒れたデュエル戦士達を黒咲は見下すように見る。
彼らをカード化することはせず、拘束具をつけたうえで先へ進もうとするが、何者かの気配を感じたことで足を止める。
「デニス・マックフィールド…。いつまで隠れている?」
「はは…やっぱり、君に対しては隠れるなんて意味がないかもね。けど、甘いんじゃないかな?倒したデュエル戦士をカードにしないなんて」
物陰から出てきたデニスは拘束されただけのデュエル戦士を見つめる。
シンクロ次元では、デニスがカード化される可能性があったが、されたのは腹への蹴りだった。
「俺はデュエル戦士ではない。デュエリストだ。一緒にするな。特に…貴様とはな」
「はは…言ってくれるね。君のせいで、僕もいろいろと事情ができてしまったよ…だから」
デニスがデュエルディスクを展開し、構えた状態で黒咲をにらむ。
「いいだろう…。もう1度貴様を叩き潰すだけだ」
デニスが手加減して勝てる相手ではないため、少なくとも1度は勝利している黒咲が戦った方が勝率が高く、彼を引き付けることはできる。
互いにカードを引くとともに、アクションフィールドが自動的に展開されていく。
「アクションフィールド、《ヴァイキング・フィヨルド》発動」
吹雪が発生し、港が9世紀ごろのノルウェーのフィヨルドのような光景へと変貌していく。
「「デュエル!!」」
デニス
手札5
ライフ4000
黒咲
手札5
ライフ4000