遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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第13話 権現坂の覚悟

「なるほどな、素良がジュニアユース選手権出場決定か」

「うん!!すごいよね、素良君って。遊矢君よりも早く決まっちゃうなんて!!」

「事情が事情だ。仕方ないだろ?」

翔太と伊織が翔太の部屋で雑談をしている。

聖子のいる病院へ行ってから、すでに2日が経過した。

その間に素良はジュニアユース選手権出場を決め、遊矢もあと1勝となっている。

「あ…そうだ、翔太君。これからどうするの?」

「これから…?」

「うん。だって、記憶の鍵になるモンスターの手掛かりがないんでしょ?それだと見つけようが…」

「…」

あの時に聞いた声を思い出す。

聖子の意識を回復させるにはあと9枚の鍵が必要だ。

その9枚がなんなのかはノーヒントだ。

(最初の記憶の鍵は《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》だった…。もしかしたら、ペンデュラムモンスターなのか?記憶の鍵は…)

しかし、現段階でペンデュラムモンスターを所持しているのは翔太、遊矢、零児のみ。

そして、切り札クラスのペンデュラムモンスターの種類はそれほど多くない。

「とにかく可能な限り、多くのデュエリストと戦うしかないか…」

「それなら、塾長に相談…」

「今のあいつが相談に乗ると思うか?」

「あ…」

現在、修造は娘である柚子が融合召喚の特訓のため、ほとんど塾に来なくなったことがショックで自分を痛めつけるような特訓を繰り返している。

その結果、授業が完全にストップしていて翔太と伊織が代わりに授業を行うことになるほど状況が悪化している。

「としたら…」

「あと協力してくれるとしたら、あいつしかいないだろう」

翔太の頭に浮かんだのは権現坂だ。

権現坂道場跡取りである彼に頼めば、情報を集めることができるかもしれない。

「だったら、さっそく権現坂君にお願いしに行こう!」

「伊織、道案内は頼む」

「イエッサー!」

2人はバイクで権現坂道場へ向かう。

 

「はあ…はあ…はあ…」

「もうバテたのか?」

「はあ…はあ…だって、すっごく長い石段なんだもん…」

夕方の石段を2人は上って行く。

果てしなく長い石段を上った先に権現坂道場がある。

権現坂曰く、権現坂道場へ向かうその時から不動のデュエルの修業が始まるらしいが、見学者や相手となるデュエリストには少し酷に思える。

(まあ…心を無にするという形ではいいのか?)

何とか登り終えると、古い日本式の屋敷をモチーフとした道場が見えた。

管板には墨で権現坂道場と書かれている。

「ついたか…」

「ご…ごめんくださーい…」

疲れ果てた伊織が門をくぐり、中へ入る。

しかし、誰も来ず、足音すら聞こえない。

「おーーい、誰かいないのか――!?」

大声で人を呼ぶが、帰ってくるのは外の風の音だけ。

「留守なのか…?」

「でも、それなら門は閉めてるよね?」

「なら、いるということだな?勝手に奥へはいらせてもらうぞ」

「あ…ちょっと、翔太君!!」

靴を脱ぐと、ズカズカと廊下を歩く。

そして、修行場へ足を踏み入れる。

「やっと見つけたぜ。相当不用心なんだな」

修行場のど真ん中で1人座禅をする権現坂を見て、翔太はあきれた表情を見せる。

「おい、客が来たのにその態度は何だ?」

背中をたたくが、全く動じず、何も反応を返さない。

「ちっ…」

「翔太君駄目だよ、そういうことをしたら。ここはこの伊織様に任せなさい!」

「はぁ?」

伊織はこっそりと権現坂の背後に行く。

そして、彼の耳に息を吹きかける。

「なぁ…うわあああ!!」

急にゾクゾクとした感覚に襲われた権現坂は派手に倒れてしまう。

「ひゃっほーい!作戦大成功!」

「こ…この男、権現坂の座禅を邪魔するとは…け…けしからーーーん!!」

「顔、真っ赤だぞ?」

「う…うるさい!!な…な…何の用だ!?」

「ええっと、実はね…」

伊織の口から権現坂に事情を説明する。

「うーむ…多くのデュエリストと戦うのであれば、舞網チャンピオンシップくらいだが…」

「でもそれってプロへ進むためのでしょ?それに、翔太君は公式戦に6連勝しないと出れないよ?」

選手権出場選手の決定は8日後。

それまでに6人相手を見つけ、公式戦をするのは酷な話だ。

「だが、それ以外にも多くのデュエリストと戦える舞台はある。8日後から静岡で行われるタッグデュエルカーニバル、通称TDCだ」

「タッグデュエルカーニバルだと…?」

「そうだ。タッグデュエルの世界大会で、そこでは無条件で大会に出ることができる」

(それにしても、なぜ静岡で…?)

「じゃあじゃあ、私と翔太君がタッグを組めばいいってことだよね?」

「な…!?」

伊織の発言に驚く翔太。

「ちょっと待て、なんでお前が一緒に出るんだよ?」

「えー、だって私がいないと翔太君、いっぱいトラブル起こしそうだし」

「問題児扱いか、俺は…」

口が悪いことは自認しているが、どうやら問題児、トラブルメーカーであることは認めたくないようだ。

「翔太君…私と一緒にデュエルしたくないの?」

「何?」

「したくないの…?」

急に涙目と上目使いの連係プレーで翔太に攻撃する。

異性に関して基本的に無関心な翔太だが、そんな伊織を不覚にも可愛いと思ってしまう。

「ちっ…勝手にしろ」

「やったーー!!」

「権現坂、他の奴らはどこにいる?」

「親父殿達は今、隣町の山で修行をしている。そして、俺は不動のデュエルの新たな地平を見出すため、こうして修行をしている」

「修行…なぁ」

そんなのでデュエルが強くなれるわけないだろという野暮な発言をしそうになるが、何とか抑え込む。

「そして、翔太殿と伊織殿。1つ俺からも頼みがある」

「頼み?」

「俺はとある御仁からの教授により、新たな可能性を見出した。その可能性がはたして正しいのか間違いなのかは分からん。故に、明日のデュエルのためにも確かめたいのだ」

「なら、伊織とやれ。俺は見学する」

「え?いいの!?」

「最近お前のデュエルを見てないし、暑苦しいのは苦手だからな。権現坂、ソリッドビジョンの制御室はどこだ?」

「制御室はここの地下室だ。階段は億を右に曲がればある」

「じゃあ、準備してくる。下手なデュエルは見せるなよ?」

翔太は伊織の肩を軽くたたくと、制御室へ向かった。

「翔太君…よーし、頑張るぞー!」

嬉しそうにデュエルディスクを構える。

「クリクリー…」

「え…?」

デュエルディスク起動と同時に、デッキから可愛らしい鳴き声が聞こえる。

「ねえ、権現坂君。何か言った?」

「いや、俺は何も言ってはおらんぞ」

「そ…そう…??」

(おい、さっさと準備をしろ。ソリッドビジョンを起動するぞ)

「はーい!!」

権現坂もデュエルディスクを構える。

そして、両者は距離を取り、対峙する。

「フィールド魔法は勝手に決めるぞ」

翔太はランダムにフィールド魔法を選択する。

コンピュータは《剣の墓場》を選択する。

「よりによって、《剣の墓場》か…」

「じゃあ、権現坂君!全力で行こー!」

権現坂と伊織がデュエル開始を宣言する。

「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが」

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクション…」

「「デュエル!!」」

 

伊織

手札5

ライフ4000

 

権現坂

手札5

ライフ4000

 

「よーし、私のターン!!手札から《E・HEROエアーマン》を召喚!」

 

E・HEROエアーマン レベル4 攻撃1800

 

「このカードの2つ目の効果発動!このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、デッキからHEROを手札に加えるよ。私は《ブレイズマン》を手札に加える!そして、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

伊織

手札5→4(うち1枚《E・HEROブレイズマン》)

ライフ4000

場 E・HEROエアーマン レベル4 攻撃1800

  伏せカード1

 

権現坂

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

権現坂

手札5→6

 

「俺は《超重武者ワカ―O2》を召喚!」

武士を模した青い重装甲で、両腕に傘と盾を融合させた防具を持つ機械が現れる。

 

超重武者ワカ―O2 レベル4 攻撃0

 

「このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、表示形式を変更できる」

 

超重武者ワカ―O2 レベル4 攻撃0→守備2000

 

「俺はこれでターンエンド」

 

伊織

手札4(うち1枚《E・HEROブレイズマン》)

ライフ4000

場 E・HEROエアーマン レベル4 攻撃1800

  伏せカード1

 

権現坂

手札6→5

ライフ4000

場 超重武者ワカ―O2 レベル4 守備2000

 

「どちらもまずは無難な立ち上がりだな」

伊織のフィールド上には融合素材となるHEROをサーチする《E・HEROエアーマン》と伏せカード。

そして権現坂のフィールドには守備力2000の《超重武者ワカ―O2》。

更にその超重武者は戦闘では破壊できない。

「私のターン、ドロー!」

 

伊織

手札4→5

 

「(よーし!今日の私、ついてる!!)私は手札から魔法カード《精神操作》を発動!このカードは相手モンスター1体のコントロールをターン終了時まで得るよ!私は権現坂君の《ワカ―O2》を選択!」

「な…何ーーーー!?」

急に《超重武者ワカ―O2》が立ち上がり、スタスタと伊織のフィールドへ移動してしまう。

「そして、手札を1枚捨てて手札から速攻魔法《マスク・チェンジ・セカンド》を発動!私のフィールドの表側表示モンスターをそのモンスターよりもレベルが高い同じ属性のM・HEROに変身させるよ!」

「おのれ…そのための《精神操作》であったか!!」

「《精神操作》を受けたモンスターはコントロールが戻るまで攻撃もリリースも禁じられている。だが、抜け穴はかなりあるな…」

「さあ、お願い!《ワカ―O2》!2つの盾を構えし武者の機械よ、今こそダイヤの力を宿し、新たなヒーローに進化せよ!変身召喚!《M・HEROダイアン》!!」

《超重武者ワカ―O2》の装甲が砕け散り、その中からダイヤモンドの鎧と西洋槍、そして青いマントをつけた細身の騎士が現れる。

 

M・HEROダイアン レベル8 攻撃2800

 

手札から墓地へ送られたカード

・E・HEROネクロダークマン

 

「それが…伊織殿の…」

「そう!これが私のHEROだよ!」

自慢げに《M・HEROダイアン》を見つめる伊織。

「いくよ、権現坂君!私は《M・HEROダイアン》でダイレクトアタック!!ディスバーション!!」

《M・HEROダイアン》が槍を構え、権現坂に向けて突撃する。

「この攻撃と、《エアーマン》の攻撃が通ったら、伊織の勝ちだな」

「させぬわ!!俺は手札から《速攻のかかし》を捨て、効果発動!!自分がダイレクトアタックを受ける時、このカードを手札から墓地へ送ることでその攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる!」

パチンコのような形の木片2本と魔女の帽子、そして赤いサングラスをつけた機械のかかしがダイヤモンドの槍を受け止める。

「まさか、《速攻のかかし》を入れていたなんてな…」

「くうう…決められなかった。私は手札から《E・HEROブレイズマン》を召喚!」

 

E・HEROブレイズマン レベル4 攻撃1200

 

「《ブレイズマン》の効果発動!このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから《融合》を1枚手札に加えるよ。そして、フィールドの《ブレイズマン》と《エアーマン》を融合!炎の切り込み隊長よ、疾風の戦士よ、今こそ1つになりて、新たなヒーローに進化せよ!融合召喚!現れて、紅蓮の申し子、《E・HEROノヴァマスター》!!」

 

E・HEROノヴァマスター レベル8 攻撃2600

 

「く…1ターンに2度もの融合召喚…。さすがは伊織殿」

「えへへ…今日の私はすごいよー?私はこれでターンエンド!」

 

伊織

手札5→1

ライフ4000

場 E・HEROノヴァマスター レベル8 攻撃2600

  M・HEROダイアン レベル8 攻撃2800

  伏せカード1

 

権現坂

手札5→4

ライフ4000

場 なし

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

権現坂

手札4→5

 

「《超重武者テンB-N》は相手フィールド上にモンスターが2体以上存在し、俺のフィールドにモンスターが存在しないとき、手札から特殊召喚できる!」

 

超重武者テンB-N レベル4 攻撃800

 

「更にこのカードの召喚・特殊召喚に成功した時、墓地に存在する《超重武者テンB-N》以外のレベル4以下の超重武者1体を守備表示で特殊召喚する。俺は墓地から《超重武者ワカ-O2》を特殊召喚」

《超重武者テンB-N》から放つ光の中から《超重武者ワカ-O2》が姿を現す。

 

超重武者ワカ―O2 レベル4 守備2000

 

「これで召喚権を行使せずにモンスターが2体。来るな…」

この状況で権現坂が呼び出すモンスターは1体しかいない。

「動かざること山の如し…。不動の姿、今見せん!俺は《超重武者テンB-N》と《カブ―10》をリリースしてアドバンス召喚!現れろ、レベル8!《超重武者ビッグベン-K》!」

 

超重武者ビッグベン-K レベル8 攻撃1000

 

「来たーーー!!権現坂君のエースモンスター!!すっごく大きい!!」

自分を聞きに落としれるモンスターが現れたにもかかわらず、キラキラした目で《超重武者ビッグベン-K》を見る。

(たく…。こいつとタッグを組むと相当苦労するな…)

「《超重武者ビッグベン-K》の効果発動!このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、このカードの表示形式を変更できる」

 

超重武者ビッグベン-K レベル8 攻撃1000→守備3500

 

「そして、《ビッグベン-K》は守備表示のまま守備力を使って攻撃できる!バトルだ!《ビッグベン-K》で《M・HEROダイアン》を攻撃!!」

《超重武者ビッグベン-K》に左拳が叩きつけた地面から火柱が発生し、《M・HEROダイアン》に襲い掛かる。

火柱野凄まじい熱がダイヤモンドの鎧をドロドロにとかし、破壊する。

「くぅーーー…やりますなあ、権現坂君」

 

伊織

ライフ4000→3300

 

「罠発動!《ヒーロー・シグナル》!!私のモンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、デッキからレベル4以下のE・HERO1体を特殊召喚できる!《フォレストマン》をデッキから特殊召喚!」

 

E・HEROフォレストマン レベル4 守備2000

 

「むぅ…破壊されても即座に新たなモンスターを…。俺はこれでターンエンド!」

 

伊織

手札1

ライフ3300

場 E・HEROノヴァマスター レベル8 攻撃2600

  E・HEROフォレストマン レベル4 守備2000

 

権現坂

手札5→3

ライフ4000

場 超重武者ビッグベン-K レベル8 守備3500

 

「私のターン、ドロー!」

 

伊織

手札1→2

 

「更に、《フォレストマン》の効果発動!私のターンのスタンバイフェイズに1度、デッキ・墓地から《融合》を1枚手札に加えるよ!」

 

伊織

手札2→3

 

「更に私は手札から魔法カード《マスク・チャージ》を発動!私の墓地からHERO1体とチェンジと名のつく速攻魔法1枚を手札に加えるよ。私は墓地から《ブレイズマン》と《マスク・チェンジ・セカンド》を手札に!」

今の伊織の手札には《マスク・チェンジ・セカンド》と《E・HEROブレイズマン》、そして《融合》。

(もし、伊織がドローしたカードがあのカードなら…おそらくは《ビッグベン-K》を…)

「私は手札から魔法カード《融合》を発動!手札の《E・HEROフェザーマン》とフィールドの《フォレストマン》で融合!」

鳥獣をモチーフとした緑色のマスクとスーツを着ていて、更に白い翼が付いたHEROと《E・HEROフォレストマン》が融合する。

「翼の制裁者よ、大木の番兵よ、今こそ1つになりて、新たなヒーローに進化せよ!融合召喚!現れて、竜巻の王者、《E・HERO Great TORNADO》!!」

伊織のフィールドに凄まじい竜巻が起こる。

そして、その中から黒いマントを身に着けた緑と黄色のスーツ姿のHEROが現れ、右手に装備されている鉤で竜巻を切り裂いた。

 

E・HERO Great TORNADO レベル8 攻撃2800

 

「《Great TORNADO》の効果発動!このカードの融合召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスターの攻撃力・守備力を半分にする!」

「な…何ぃーーーー!?」

「ダウン・バースト!!」

《E・HERO Great TORNADO》が切り裂いた竜巻が復活し、権現坂のフィールドに襲い掛かる。

竜巻は周囲の刀剣を次々と吹き飛ばし、《超重武者ビッグベン-K》に次々と突き刺さった。

それにより、関節部分や頭部のカメラにひびが入り、《超重武者ビッグベン-K》はその場に座り込む。

 

超重武者ビッグベン-K レベル8 守備3500→1750

 

「バトル!私は《ノヴァマスター》で《超重武者ビッグベン-K》を攻撃!!バーニング・ナックル!!」

炎のスピードラッシュが《超重武者ビッグベン-K》に襲い掛かる。

「炎ならば、この男、権現坂も負けておらん!俺は手札の《超重武者装留ファイヤー・アーマー》の効果発動!このカードを手札から墓地へ送ることで、俺の超重武者1体はこのターン、破壊されない!ただし、その効果を受けた超重武者の守備力はターン終了時まで800ポイントダウンする」

炎のラッシュを受け止めるのは炎の装甲。

互いの炎がぶつかり合い、その影響で伊織と権現坂の周囲が炎上する。

 

超重武者ビッグベン-K レベル8 守備1750→950

 

「けれど、まだアクションカードって手があるよ!」

《E・HEROノヴァマスター》のラッシュが続いている間に、伊織は枯れ木の枝に引っかかっているアクションカードを手に取る。

「私はアクション魔法《フレイム・ソード》を発動!私のモンスター1体は守備表示モンスターを攻撃するとき、貫通ダメージを与えるよ!」

《E・HEROノヴァマスター》の体が更に燃え上がる。

そして、その炎が権現坂に襲い掛かった。

「むうううう!!!!」

 

権現坂

ライフ4000→2350

 

フレイム・ソード

アクション魔法カード

(1):自分フィールド上のモンスター1体が戦闘を行う時発動しなければならない。そのモンスターは下記の効果を得る。

●このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 

「破壊には及ばなかったが、貫通ダメージだけは与えることができたか…」

《超重武者装留ファイヤー・アーマー》の効果で下がった守備力はターン終了と同時に元も戻るとはいえ、それでも《超重武者ビッグベン-K》の守備力はたったの1750。

権現坂にとって不利な状況が続くことに変わりはない。

「へっへーん、次のターンで《超重武者ビッグベン-K》とはおさらばだよ!私はこれでターンエンド!」」

 

伊織

手札3→4→2(《H・HEROブレイズマン》、《マスク・チェンジ・セカンド》)

ライフ3300

場 E・HEROノヴァマスター(《フレイム・ソード》の影響下) レベル8 攻撃2600

  E・HERO Great TORNADO レベル8 攻撃2800

 

権現坂

手札3→2

ライフ2350

場 超重武者ビッグベン-K レベル8 守備950→1750

 

これで、伊織と権現坂のライフは逆転し、貫通効果を得たことで《E・HEROノヴァマスター》の手札補充効果が使いやすくなった。

しかし、さすがは権現坂道場跡取り。

この状況でもその場を一歩も動かない。

「俺のターン、ドロー!!!」

 

権現坂

手札2→3

 

ドローしたカードを見て、権現坂が笑みを浮かべる。

「(来たか…我が不動のデュエルをさらなる高みへ導くカードが!!)俺は手札からチューナーモンスター、《超重武者ホラガ-E》を召喚!」

「何…?」

「権現坂君がチューナーモンスターを!?」

赤い胴丸と茶色い傘を装備した小型の足軽型の機械がほら貝を模した機械の笛を持って現れた。

 

超重武者ホラガ-E レベル2 攻撃300(チューナー)

 

「そして、俺は《ビッグベン-K》に《ホラガ-E》をチューニング!!」

《超重武者ホラガ-E》がほら貝を吹くと同時に2つのチューニングリングとなり、《超重武者ビッグベン-K》がその中へ入っていく。

「荒ぶる神よ、千の刃の咆哮と共に砂塵渦巻く戦場に現れよ!シンクロ召喚!!いざ出陣レベル10!《超重荒神スサノ-O》!!」

背中と両肘にスラスターをつけ、全身が大鎧で包まれた鬼神が左手に薙刀を持って現れる。

 

超重荒神スサノ-O レベル10 守備3800

 

「まさか、権現坂がシンクロ召喚を使うなんてな…」

LDSとのデュエルの後、権現坂がさらに力をつけることは予想できた。

しかし、まさかシンクロ召喚を使うとは思わなかった。

そして、シンクロ召喚を自分以外で教えることができる人間は1人しか思いつかない。

「すっごーい!シンクロ召喚が新しい力なんだね!」

「そうだ!その場に立ち止っていては、いずれおいていかれる。ならば、一歩踏み出して新たな不動のデュエルを見出すのみ!バトルだ!《スサノ-O》は《ビッグベン-K》と同じく、守備表示のまま守備力を使って攻撃できる!まずは《フレイム・ソード》で強化された《ノヴァマスター》を攻撃!草薙ソード・斬!!」

《超重荒神スサノ-O》がその場で胡坐し、手に持っている薙刀を振るう。

《E・HEROノヴァマスター》は炎の拳で迎え撃つが、極限まで強化された薙刀になすすべなく切り裂かれた。

「キャア!!」

 

伊織

ライフ3300→2100

 

余波を受けた伊織が大きく吹き飛ぶ。

「くぅー…さすがだね、権現坂君!」

「俺はこれでターンエンド!!」

 

伊織

手札2(《H・HEROブレイズマン》、《マスク・チェンジ・セカンド》)

ライフ2100

場 E・HERO Great TORNADO レベル8 攻撃2800

 

権現坂

手札3→2

ライフ2350

場 超重荒神スサノ-O レベル10 守備3800

 

「これで、伊織は一気に不利になったな…」

権現坂の《超重荒神スサノ-O》の守備力は3800。

伊織のデッキにはそれ以上の攻撃力を持つモンスターはいない。

攻守を半減させることのできる《E・HERO Great TORNADO》は今はフィールド、そして彼女のデッキには1枚しかない。

《E・HEROアブソルートZero》を召喚しようにも、手札に水属性モンスターがいない。

(《マスク・チェンジ・セカンド》を使って、《Great TORNADO》を《カミカゼ》に変身召喚しても、その場しのぎにしかならないかなあ…)

権現坂の《超重荒神スサノ-O》の実力は未知数。

たとえ戦闘では破壊されない《M・HEROカミカゼ》でも何ターンしのげるかわからない。

「(まあ、いっか!ドローしてからでも遅くない遅くない!)私のターン、ドロー!」

 

伊織

手札2→3

 

「…。私はカードを1枚伏せ、《Great TORNADO》を守備表示にしてターンエンド!」

 

伊織

手札3→2(伏せカードを含め、そのうち2枚《H・HEROブレイズマン》、《マスク・チェンジ・セカンド》)

ライフ2100

場 E・HERO Great TORNADO レベル8 攻撃2800→守備2200

  伏せカード1

 

権現坂

手札2

ライフ2350

場 超重荒神スサノ-O レベル10 守備3800

 

(あの伏せカードに賭けているのか?伊織…)

「俺のターン、ドロー!!」

 

権現坂

手札2→3

 

「俺は《スサノ―O》の効果を発動!俺の墓地に魔法・罠カードがないとき、1ターンに1度、相手の墓地から魔法カードを1枚選択して俺のフィールドにセットすることができる!俺は伊織殿の墓地から《フレイム・ソード》を手札に加える!」

「え…えーーーー!?」

伊織の墓地から自動的に《フレイム・ソード》が排出され、権現坂の手に渡る。

「アクションカードは元々の持ち主を回収したプレイヤーとして扱われる。考えたな、権現坂」

魔法・罠カードを相手の墓地から調達することで、フルモンデッキでも新たな戦い方が可能になる。

まさにフルモンデッキの戦術の縛りを薙ぎ払うカードと言えよう。

「そして、俺は手札から《超重武者装留グレート・ウォール》の効果を発動!このカードを《スサノ-O》に装備し、装備モンスターの守備力を1200ポイントアップさせる!」

《超重武者装留グレート・ウォール》が《超重荒神スサノ-O》の右腕に装着される。

 

超重荒神スサノ-O レベル10 守備3800→5000

 

「これで次のターン、《スサノ-O》は貫通効果を得る。一気にけりをつける気だな。権現坂」

「バトルだ!!《スサノ-O》で《E・HERO Great TORNADO》を攻撃!!草薙ソード・斬!!」

《超重荒神スサノ-O》の薙刀が《E・HERO Great TORNADO》に襲い掛かる。

しかし、急に目の前に現れたクリスタルの仮面がその攻撃を受け止める。

「何!?」

「私は罠カード《マスク・バリア》を発動したよ!相手モンスター1体の私のHEROに対する攻撃を無効にする!」

「むうう…俺はこれでターンエンド!」

 

伊織

手札2(《H・HEROブレイズマン》、《マスク・チェンジ・セカンド》)

ライフ2100

場 E・HERO Great TORNADO レベル8 守備2200

 

権現坂

手札3→2

ライフ2350

場 超重荒神スサノ-O(《超重武者装留グレート・ウォール》装備 《フレイム・ソード》の影響下) レベル10 守備5000

  伏せカード1(《フレイム・ソード》)

 

「私のターン、ドロー!」

 

伊織

手札2→3

 

「私は墓地から《マスク・バリア》の2つ目の効果を発動!」

「何!?先ほど発動した《マスク・バリア》を…」

「このカードを墓地から除外することで、手札に存在するチェンジと名のつく魔法カードか《融合》をデッキに戻し、デッキからチェンジと名のつく魔法カードか《融合》を手札に加える!私は《マスク・チェンジ・セカンド》をデッキに戻して、デッキから《マスク・チェンジ》を手札に加えるよ!」

 

マスク・バリア

通常罠カード

(2)の効果はこのカードが墓地へ送られたターン、発動できない。

(1):自分フィールド上の「HERO」モンスターが攻撃対象となったときに発動できる。その攻撃を無効にする。

(2):このカードを墓地から除外することで発動できる。自分の手札の「チェンジ」魔法カードまたは「融合」を1枚デッキに戻し、デッキから「チェンジ」魔法カードまたは「融合」を1枚手札に加える。

 

「そして、手札から《ブレイズマン》を召喚!」

 

E・HEROブレイズマン レベル4 攻撃1200

 

「私は《ブレイズマン》のもう1つの効果を発動!1ターンに1度、デッキから《ブレイズマン》以外のE・HEROを墓地へ送り、エンドフェイズまでそのモンスターの力と属性を得る。私は《オーシャン》を墓地へ送るよ!」

青いイルカのような姿で、半月状の飾りがついた杖を持ったHEROの幻影と《E・HEROブレイズマン》の姿が重なり合う。

 

E・HEROブレイズマン 炎属性→水属性 レベル4 攻撃1200→1500 守備1800→1200

 

「そして、手札から速攻魔法《マスク・チェンジ》を発動!その効果で《ブレイズマン》を変身させるよ!水を宿した切り込み隊長よ、今こそ酸の力を宿し、新たなヒーローに進化せよ!変身召喚!《M・HEROアシッド》!!」

 

M・HEROアシッド レベル8 攻撃2600

 

「《アシッド》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、相手の魔法・罠カードをすべて破壊し、相手モンスターの攻撃力を300ポイントダウンさせる!Acid rain!!」

「何ぃ!?」

《M・HEROアシッド》の銃から強い酸がこもった弾丸が複数放たれる。

《超重荒神スサノ-O》は右腕の《超重武者装留グレート・ウォール》でそれを防ぐが、その強い酸が強靭なはずだった装甲をドロドロに溶かしていった。

 

超重荒神スサノ-O レベル10 守備5000→3800 攻撃2400→2100

 

「だが、まだ《アシッド》と《Great TORNADO》の攻撃力は《スサノ-O》の守備力には及ばない…」

このままではせっかく呼び出した《M・HEROアシッド》が無駄になってしまう。

「私は《Great TORNADO》を攻撃表示に変更!」

 

E・HERO Great TORNADO レベル8 守備2200→攻撃2800

 

「それがどうした!?どちらのモンスターも俺の《スサノ-O》の足元にも及ばん!」

「そっれはどうでしょー?」

「何ぃ?」

「忘れたの、権現坂君。私のHEROは融合と変身によって真価を発揮するんだよ。私は手札から魔法カード《ホープ・オブ・フィフス》を発動!墓地のE・HERO5体をデッキに戻し、デッキからカードを2枚ドロー!」

 

伊織

3→1→2

 

墓地からデッキに戻ったカード

・E・HEROエアーマン

・E・HEROブレイズマン

・E・HEROオーシャン

・E・HEROフォレストマン

・E・HEROフェザーマン

 

「来たー!まずは手札から魔法カード《ヒーローズルール3―バーニング・ストライク》を発動!このカードは私のフィールド上のHEROと名のつく融合モンスターの攻撃力を1000ポイントアップさせる!」

2体のHEROが灼熱の炎に包まれる。

 

E・HERO Great TORNADO レベル8 攻撃2800→3800

M・HEROアシッド レベル8 攻撃2600→3600

 

ヒーローズルール3―バーニング・ストライク

通常魔法カード

「ヒーローズルール3―バーニング・ストライク」は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上に表側表示で存在する「HERO」融合モンスターの攻撃力を1000アップする。

 

私は手札から魔法カード《合体攻撃―ダブル・アタック》を発動!私のHEROの攻撃力に私のM・HERO1体の攻撃力を加えるよ!」

《E・HERO Great TORNADO》が竜巻を発生させると、《M・HEROアシッド》がその中に酸の弾丸を放つ。

弾丸が砕け、強い酸と更に炎が竜巻と一体化していく。

 

E・HERO Great TORNADO レベル8 攻撃3800→7400

 

「攻撃力7400!?攻撃力を融合させただとーーーー!?」

「バトル!私は2体のHEROで《スサノ-O》を攻撃!!HERO BURNING DOUBLE ATTACK!!」

《E・HERO Great TORNADO》が鉤を《超重荒神スサノ-O》に向ける。

すると、酸の竜巻が胡座している鬼神に襲い掛かり、バラバラに砕いていった。

「《合体攻撃―ダブル・アタック》の効果発動!この効果を受けたモンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える!!これでおしまいでござーい!」

「うわああああ!!」

炎と酸の竜巻によって、権現坂が天井まで吹き飛ばされていった。

 

権現坂

ライフ2350→0

 

合体攻撃―ダブル・アタック(漫画オリカ・調整)

通常魔法カード

「合体攻撃―ダブル・アタック」は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上に表側表示で存在する「HERO」モンスター1体を選択して発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで自分フィールド上に表側表示で存在するそれ以外の「M・HERO」モンスター1体の攻撃力分アップする。この効果を受けたモンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 

「ふう…やっと終わったか」

ソリッドビジョンを解除し、2人の元へ向かう。

「くぅ…まだまだ修行が足りんか…」

「そうとも言えないよ。《合体攻撃―ダブル・アタック》がさっきのターンドローできなかったらどうなってたか…。すっごく強かったよ、権現坂君!」

「伊織殿…」

(それにしても、どうやってそんなカードを手に入れたんだ?)

召喚方法は教われば習得できる。

しかし、カード自体は自分で見つけなければならない。

そして、超重武者のシンクロモンスターが都合よく存在する。

(まあ…聞かないことにするか)

「それで、明日デュエルをする相手って?」

「遊矢だ。俺はジュニアユース選手権に出場する前に、どうしてもあいつと全力でデュエルをしなければならない」

「遊矢君と!?」

「それで、あいつのペンデュラム召喚に対抗するためにシンクロ召喚を…?」

翔太の言葉に権現坂が何も言わずにうなずく。

「伊織殿のおかげで、改良すべき点は分かった。あとは明日のデュエルのために、できることをするだけだ」

「どういう風の吹き回しなんだ?本選で戦うって手もあるだろう?」

「それでは駄目なのだ、翔太殿。どちらも後がない状況でなくば、真剣勝負などできん。俺たちは今まで何度もデュエルをしてきたが、全力で戦ったことはなかった」

「まあ…そうだろうな」

公式戦は別として、これまで2人が戦ったときはおそらく楽しむことを主な目的としていただろう。

だが、権現坂の公式戦のデータを見ていると、あと1勝で出場決定という状態になっている。

「まあ、俺には関係ないか」

「え…?翔太君!!」

翔太が帰る準備を始める。

「遊矢達が自分自身のための戦いを始めるなら、俺も同じことをするだけだ。じゃあな、無様なデュエルはするなよ」

「翔太君、待ってよー!じゃあ、権現坂君、これにて失礼!」

翔太と伊織が道場から出ていく。

権現坂は《超重荒神スサノ-O》をじっと見る。

(遊矢、必ず俺に全力で立ち向かってこい。そうでなければ、プロの夢はかなわんぞ!)




《超重荒神スサノ-O》の効果をどうしようか考えた結果、すっかり更新が遅くなってしまいました。
さて、翔太と伊織は遊矢達とはしばらく別行動になります。
TDCで2人は何を見るのか?
そして、伊織のデッキから聞こえたあの鳴き声の主とは?

2014年10月21日
《超重荒神スサノ-O》と《超重武者ホラガ-E》のOCG版効果が決まったので、能力値と効果を変更しました。権現坂おめでとうございます!!勝手にここでお祝いします。
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