「遊矢…」
遊矢が出ていった病室の中、ブレスレッドから放たれるかすかな光から、柚子は彼がズァークと戦いを繰り広げているのを感じた。
目覚めてから、出ていくまでの彼の姿が何度も脳裏によみがえる。
「榊遊矢…世界の破壊者の因子を受け継ぎ、縛られた男、か…」
ヒイロが思い出すのは元の世界で今も研究者としてネオドミノシティで活躍している仲間のことだ。
父親の研究で生み出したモーメントがゼロ・リバースを引き起こし、数多くの犠牲者とそこから始まる数々の災厄の要因となったことを彼はずっと感じ、苦しみ続けてきた。
だが、彼はそれを乗り越えて世界を救い、今も戦っている。
それができたのは彼自身の強さ、そして彼とともに戦った存在のおかげだろう。
逆にそうした強さと存在がなければ、縛られた鎖の重みに耐えきれずに堕ちていく。
(榊遊矢…お前には助けとなる存在がいる。あとは、お前自身が強さを得るかどうかだ…)
ズァーク
手札1(《覇王門零》)
ライフ4000
場 スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン レベル8 攻撃5600→2800
伏せカード2
覇王界(永続魔法扱い)
遊矢
手札3
ライフ1200
場 オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン レベル7 攻撃2500
EMペンデュラム・マジシャン レベル4 攻撃1500
EMシール・イール(青) ペンデュラムスケール3
EMオッドアイズ・ユニコーン(赤) ペンデュラムスケール8
「俺の…ターン!!」
遊矢
手札3→4
「ここで俺は永続罠《波紋消滅》を発動。このカードは発動後、3回目の俺のスタンバイフェイズ時に墓地へ送られるが、こいつが存在する限り、お互いにペンデュラム召喚を行えず、ペンデュラム効果も発動できない。これで《オッドアイズ・ユニコーン》の効果も、《シール・イール》の効果も使えないな」
「ぐっ…!!」
まだ発動していない《EMオッドアイズ・ユニコーン》の効果を使えば、《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の攻撃力を上回ることができた。
ズァークが警戒していたのは《ショック・ドロー》の効果で手札に加わったカードの中に、攻撃力1600以上でペンデュラム召喚可能なオッドアイズモンスターが存在する可能性だろう。
「俺は…手札から魔法カード《ペンデュラム・ホルト》を発動!俺のエクストラデッキにペンデュラムモンスターが3種類以上表側表示で存在するとき、デッキからカードを2枚ドローする!」
この状況を突破できるカードが手札にない以上は、これに掛けるしかない。
このドローの代償として、自分はターン終了時までデッキからカードを手札に加えることができない以上はこれが戦局を分けることになる。
「ドロー!!」
勢いよく引いた2枚のカードを見つめる遊矢。
一度目を閉じた遊矢はドローしたカードの内の1枚を手に取る。
「俺は手札から魔法カード《死者蘇生》を発動!その効果により、俺は墓地から《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》を特殊召喚する!」
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500
「俺は手札を1枚墓地へ捨て、速攻魔法《超融合》を発動!!」
「何…?」
「わかっているだろう!?このカードは手札を1枚墓地へ捨てることで、フィールド上のモンスターを素材に融合召喚を行う!俺が融合素材にするのは《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》とお前のフィールドの《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》!!」
上空に稲光が宿る渦が発生し、その中に2体のモンスターが飲み込まれていく。
「次元に隔たれし2体の闇の竜が今一つとなる!融合召喚!現れろ、《ヴァレルロード・F・ドラゴン》!!」
ヴァレルロード・F・ドラゴン レベル8 攻撃3000
手札から墓地へ送られたカード
・ミラージュ・オブ・オッドアイズ
「バトルだ!《ヴァレルロード・F・ドラゴン》でダイレクトアタック!!」
呼び出されたばかりの《ヴァレルロード・F・ドラゴン》の口から露出する銃身から放たれる弾丸がズァークに着弾すると同時に大きな爆発を引き起こす。
煙の中に姿を消すズァークから遊矢は《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》へと視線を移す。
「《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》でズァークを攻撃!!」
遊矢の攻撃命令が発せられ、これでデュエルが終了すると思っていた。
だが、遊矢の呼びかけに対して《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》は一切動きを見せない。
「どうして…」
「お前のバトルフェイズは、もう終わっている」
「何!?」
煙が晴れ、そこにはズァークと《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の姿があった。
だが、その瞳の色は両方とも血のような暗い赤をしていた。
「お前のダイレクトアタックを受ける時、俺は罠カード《覇王の勅命》を発動した。俺がダイレクトアタックを受けた時、受けたダメージの数値分ライフを回復し、デッキからレベル7または8の闇属性・ドラゴン族ペンデュラムモンスター1体を特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる」
ズァーク
ライフ4000→1000→4000
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500
「でも、攻撃力なら、俺の《ヴァレルロード・F・ドラゴン》が上!俺は《F・ドラゴン》の効果を発動!1ターンに1度、俺のフィールドのモンスター1体と相手フィールドのカード1枚を破壊する!俺が破壊するのは《ペンデュラム・マジシャン》と《覇王界》!」
ズァークのフィールドに《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》が残るのは気がかりだが、展開や守りの要となっている《覇王界》を無視することはできない。
それに、それを破壊することでこの次元侵食を止めることができるかもしれない。
《EMペンデュラム・マジシャン》が弾丸へと変化し、《ヴァレルロード・F・ドラゴン》に装てん、発射される。
地面に打ち込まれた弾丸が爆発したものの、フィールドは元の状態に戻らない。
「何!?」
「無駄だ!このフィールド魔法を破壊したとしても、この侵食は止まらない!!」
「くっ…!俺はこれで、ターンエンド…」
ズァーク
手札1(《覇王門零》)
ライフ4000
場 オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500
伏せカード1
波紋消滅(永続罠)
遊矢
手札4→3
ライフ1200
場 オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン レベル7 攻撃2500
ヴァレルロード・F・ドラゴン レベル8 攻撃3000
EMシール・イール(青) ペンデュラムスケール3
EMオッドアイズ・ユニコーン(赤) ペンデュラムスケール8
「…お前、何をおびえている?そんなに怖いか?俺が…あのカードを出すのが」
ズァークの笑みをうかべながらの問いかけに遊矢は何も答えることができない。
このターンまでにズァークによって召喚された4体のドラゴン。
そして、その4体を融合して生み出した忌むべきドラゴンの姿が嫌でも遊矢の脳裏に浮かぶ。
「ならば、望み通り出してやろう。覇王龍を!!!俺のターン!!」
ズァーク
手札1→2
「俺は手札から魔法カード《マジック・プランター》を発動。俺のフィールドの永続罠1枚を墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする。俺が墓地へ送るのは《波紋消滅》」
ズァークにとってはもう既に役目を終えている《波紋消滅》が消え、それと引き換えに2枚のカードがデッキから排出される。
手札にそろったこれらのカードと遊矢による協力。
それが生み出す結論は一つ、この世界もまた、かつてのように滅ぶべき。
「俺は墓地の《サンダーヴルム》の効果発動!このカードが墓地に存在するとき、俺のフィールドの闇属性ペンデュラムモンスター1体を手札に戻すことで、墓地から手札に加えることができる。俺の手札に戻れ!《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》、《覇王眷竜サンダーヴルム》!!」
ドクンと耳に大きく響くように心臓の高鳴りを遊矢は感じた。
それとともに駆け抜けた直感が遊矢に対して訴えていた。
「そして、俺はスケール0の《覇王門零》とスケール13の《覇王門無限》でペンデュラムスケールをセッティング!これで俺はレベル1から12のモンスターを同時に召喚可能!ペンデュラム召喚!現れろ、《覇王眷竜ダークヴルム》、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》、《覇王眷竜ウィンドヴルム》、《覇王眷竜サンダーヴルム》…そして、時を読み、星を読み、時空を操りし全知全能の魔術師よ。今ここに降臨しこの我に力を与えよ!出でよ《アストログラフ・マジシャン》!」
零と無限、それぞれの数字の形をした黒い石像が生み出すペンデュラムによって呼び出される3体のドラゴンと共に、《星読みの魔術師》とよく似た姿の魔術師が遊矢の前に現れる。
宇宙のような色彩をした体と化していて、遊矢を見下ろす目は冷たかった。
覇王眷竜ダークヴルム レベル4 攻撃1800
覇王眷竜ウィンドヴルム レベル4 攻撃1200(チューナー)
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500
アストログラフ・マジシャン レベル7 攻撃2500
覇王眷竜サンダーヴルム レベル4 攻撃1900
「《ダークヴルム》の効果により、俺はデッキから《覇王門の魔術師》を手札に加える。そして、《サンダーヴルム》の効果により、デッキから《覇王防壁》を墓地へ送る」
「俺は《ヴァレルロード・F・ドラゴン》の効果を発動!《メテオバースト・ドラゴン》と…《アストログラフ・マジシャン》を破壊する!!」
《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》が変化した炎の弾丸が《ヴァレルロード・F・ドラゴン》によって放たれる。
高熱の焼夷弾といえるそれを受けた《アストログラフ・マジシャン》は炎に包まれていく。
「これで…あのカードは…」
「罠発動、《覇王天龍の魂》!」俺のフィールドの攻撃力2500の魔法使い族ペンデュラムモンスター1体をリリースして発動する!」
発動された罠カードから受けた力により、身を包む炎をかき消した《アストログラフ・マジシャン》が上空へと飛び、手にしている杖を天へと掲げ、魔法陣を生み出していく。
「そして、手札、墓地、フィールド、エクストラデッキ、デッキから融合素材モンスターを除外し、《覇王龍ズァーク》を融合召喚する!さあ、糧となれ!《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》、《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》、《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》!」
「あ、あ、ああ…!!」
《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》以外の3体のドラゴンが再びフィールドに現れる。
4体のドラゴンは上空の魔法陣の中へと消えていき、やがて上空の《アストログラフ・マジシャン》も消滅したことで魔法陣のみが上空に残る。
そして、ズァークの体も宙に浮かび始め、魔法陣の中へと入っていく。
「クフフフフ…見るがいい、これがシンクロ、エクシーズ、融合、ペンデュラム…そのすべての力を得た究極のドラゴン…いや、神だ!!」
魔法陣の中で笑うズァークの四方をかつての《覇王龍ズァーク》であった4体のドラゴンが配置される。
粒子となったドラゴンがズァークに吸収されるとともに魔法陣が砕け散り、覇王龍と化したズァークの巨大な肉体が遊矢の前に舞い降りる。
「《覇王龍ズァーク》…」
覇王龍ズァーク レベル12 攻撃4000
「クククク…いいぞ、実にいい…。これが俺の…いや、我の力!!よもやそれを最初に味わうことになるのが我と一つになり損ねた貴様だとは思わなかったがな。我の効果!我の特殊召喚に成功した時、貴様のフィールド上のカードをすべて破壊する!」
《覇王龍ズァーク》が咆哮するとともにいくつもの落雷が発生し、それが遊矢の周囲に落ちる。
遊矢のペンデュラムゾーンのカードも《ヴァレルロード・F・ドラゴン》も雷を受けて消滅し、遊矢を守る存在が根こそぎ失われた。
「俺のフィールドの…カードが…」
「これで、貴様はもう終わりだ。せめてもの情けとして、我自ら葬ってくれよう」
《覇王龍ズァーク》の目が怪しく光り、それと同時に口から放たれる紫のブレス。
それはマグマにも匹敵し、人間の肉体など灰一つ残さないほどのものだ。
「うわああーーーーーー!!!俺は墓地の罠カード《ミラージュ・オブ・オッドアイズ》の効果を発動!俺のフィールドにカードがない状態でダイレクトアタックを受ける時、墓地のこのカードを除外して、バトルフェイズを終了させる!!そして、墓地のペンデュラムカード1枚をエクストラデッキに表側表示で起き、そのモンスターと同じレベルのペンデュラムモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。俺は墓地の《ファントム・ドラゴン》をエクストラデッキに置き、現れろ…《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》」
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500
どうにか首の皮一枚がつながり、敗北を免れることができた遊矢だが、あくまでも敗北への道から一歩遠のいただけの状態だった。
「バトルフェイズ終了か…。だが、貴様に希望など何一つ存在しないことを教えてやる。我はレベル4の《ダークヴルム》にレベル4の《ウィンドヴルム》をチューニング!光の翼持つ眷属よ。その鋭利なる両翼で敵を討て!シンクロ召喚!現れろ《覇王眷竜クリアウィング》!」
《覇王龍ズァーク》の左に控えるように、緑色のラインが体に刻まれた《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》がフィールドに舞い降りる。
覇王眷竜クリアウィング レベル8 攻撃2500
「《クリアウィング》の効果発動。このカードがシンクロ召喚に成功した時、貴様のフィールドに表側表示で存在するすべてのモンスターは破壊される!」
「何!?」
「消え失せろ!!」
《覇王眷竜クリアウィング》から放たれる、血のような赤いプリズム状の光が遊矢がせっかく召喚した《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》をたやすく消滅させた。
フィールドのカードがすべて失われ、なおも落雷は続く。
「我はこれで、ターンエンドだ…」
ズァーク
手札2→1(《覇王門の魔術師》)
ライフ4000
場 覇王龍ズァーク レベル12 攻撃4000
覇王眷竜クリアウィング レベル8 攻撃2500
覇王眷竜サンダーヴルム レベル4 攻撃1900
覇王門零(青) ペンデュラムスケール0
覇王門無限(赤) ペンデュラムスケール13
遊矢
手札3
ライフ1200
場 なし
「残存している観測ポッド、すべて射出しました。命令通りに」
「ああ、それでいい。こちらに回すのは最低限だ。あとはすべて…」
《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》のビームが《覇王眷竜クリアウィング》を消滅させ、零児が見つめるのは遠く離れたアカデミア本島、遊矢がズァークと戦い、翔太と伊織が残った場所。
あの次元の中に入ることはできないだろうが、外側から観測した情報を船のシステムを使って解析し、デュエルの状況をかろうじて可視化し、記録していく。
たとえそれが敗北であり、4つの次元の終末であったとしても、こうして記録していくことに意味がある。
ただ、勝利の娯楽、刺激のみを強要してきた社会が生み出した怪物とその一部であった道化師のデュエル。
仮にかろうじて世界が生き延びたとき、この記録を見ることで何かを感じ取ってくれることを願うしかない。
そうでなければ、ズァークの誕生から次元戦争までの長き時の悲劇は何一つ報われないのだから。
「待ってくださいよぉ、ああ…もう。僕はこういうの専門じゃないんだってのに…」
艦内の通信室で解析のプログラムを組んでいくハイヤーはヴァプラ隊においては航空機や車両、船舶を操縦しての輸送のスペシャリストとして入っている。
こうした通信の仕事もできないというわけではないが、それを専門としていた隊員は既にカード化しており、翔太によって解放されていない今この仕事が一番できるのは彼となった。
そうした事態に備えてその隊員がある程度マニュアルを残してくれたから、それを頼りに観測ポッドからもたらされる不気味な映像を解析していく。
「あとはここの数値をいじれば…よし、どうだ!!って、でええ!!」
解析しなければよかった、そんな後悔がよぎる。
映ったのは遊矢と空っぽになっている彼のフィールド。
そして、2体の覇王眷竜と2つの石人形が左右に控え、中央にいるのは《覇王龍ズァーク》。
少しでも遊矢の状況を知りたいと通信室まで来ていた柚子たち4人はモニターに映る《覇王龍ズァーク》に戦慄するとともに、脳内に彼を封じるレイの姿がよみがえる。
「遊矢のフィールドにカードはない、この様子では、遊矢のターンではあるが…」
「遊矢…」
ここからでは何も助けることはできない。
できるのはただ、遊矢の勝利を祈ることだけだった。
「さあ、どうする?もはやフィールドには何もない。そして、我のフィールドには我と共に2体の覇王眷竜。よもやこれで終わりではなかろう…?」
「はあ、はあ、はあ…」
デッキトップに指をかける遊矢の手は震えが止まらず、目を閉じた遊矢は宣言なくカードを引く。
遊矢
手札3→4
「…俺はスケール1の《星読みの魔術師》とスケール8の《時読みの魔術師》でペンデュラムスケールをセッティング!」
手札にそろった2枚の、始まりのペンデュラム召喚の組み合わせである2人が久方ぶりに遊矢のフィールドに出現し、光の柱を生み出す。
《アストログラフ・マジシャン》の存在を考えると、彼らもまたズァークが生み出したカードの一部なのだろう。
だが、それよりも考えるべきはズァークを倒すことだけだ。
「これで俺はレベル2から7までのモンスターを同時に召喚可能!揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!もう1度力を貸してくれ!《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》、《オッドアイズ・ファントム・ドラゴン》、《EMペンデュラム・マジシャン》、《EMジェントルード》、《EMマンモスプラッシュ》!!」
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500
オッドアイズ・ファントム・ドラゴン レベル7 攻撃2500
EMペンデュラム・マジシャン レベル4 攻撃1500
EMジェントルード レベル4 攻撃1500
EMマンモスプラッシュ レベル6 攻撃1900
「《ペンデュラム・マジシャン》の効果発動!《ペンデュラム・マジシャン》と《ジェントルード》を破壊し、デッキから《EMオッドアイズ・ディゾルヴァー》と《EM天空の魔術師》を手札に加える!そして、《マンモスプラッシュ》の効果発動!《マンモスプラッシュ》を含めた俺のフィールドのモンスターを素材に、ドラゴン族融合モンスターを融合召喚できる!《マンモスプラッシュ》と《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》を融合!ふた色の眼の龍よ!巨獣のしぶきをその身に浴びて、新たな力を生み出さん!融合召喚!雷鳴纏いし疾風の竜、《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》!!」
オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン レベル7 攻撃2500
「《ボルテックス・ドラゴン》…だが、我は相手のカード効果の対象にならず、相手のカード効果では破壊されぬ!」
「《ボルテックス・ドラゴン》の効果!俺は《クリアウィング》をエクストラデッキに戻す!ライトニング・トルネード!!」
覇王龍を戻すことができずとも、その眷属を取り除くことだけならできる。
《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》の起こす竜巻が《覇王眷竜クリアウィング》を吹き飛ばしていく。
だが、まだフィールドには《覇王龍ズァーク》が残っていて、《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》の攻撃力2500では到底かなわない。
フィールドに残っている《オッドアイズ・ファントム・ドラゴン》についても言うまでもない。
だとしたら、今は少しでもダメージを与えることだ。
「バトルだ!《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》で《覇王眷竜サンダーヴルム》を攻撃!轟け、雷光のスパイラルバースト!!」
雷を宿した竜巻が口から放たれ、それを受けた《覇王眷竜サンダーヴルム》が消滅する。
だが、ズァークをそのまま襲うはずだったブレスは《覇王門零》に取り込まれていく。
「何!?」
「我がフィールドに存在する限り、《覇王門零》のペンデュラム効果により、我が受けるダメージはすべて0となる。貴様のやることは無意味なのだ」
ズァークの手札に《覇王門の魔術師》が存在し、更にエクストラデッキに送られた《覇王眷竜サンダーヴルム》もある。
今のペンデュラムスケールでは、レベル1から12のモンスターを同時に召喚可能で、これではズァークの手伝いをしただけと思えた。
「安心するがいい、《覇王門無限》の効果により、我のフィールドにモンスターが存在する場合、我はペンデュラム召喚を行えない」
「俺は…手札から魔法カード《一時休戦》を発動。お互いにデッキからカードを1枚ドローし、次の相手のターンが終わるまで、お互いが受けるすべてのダメージを0にする。俺はこれで、ターンエンド…」
ズァーク
手札1→2(《覇王門の魔術師》)
ライフ4000
場 覇王龍ズァーク レベル12 攻撃4000
覇王門零(青) ペンデュラムスケール0
覇王門無限(赤) ペンデュラムスケール13
遊矢
手札3(うち2枚《EM天空の魔術師》、《EMオッドアイズ・ディゾルヴァー》)
ライフ1200
場 オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン レベル7 攻撃2500
オッドアイズ・ファントム・ドラゴン レベル7 攻撃2500
星読みの魔術師(青) ペンデュラムスケール1
時読みの魔術師(赤) ペンデュラムスケール8
「クフフフフ!アハハハハハハハ!!認めよ、そして絶望せよ!己の無力を!」
苦し紛れに発動した《一時休戦》も、今の状況では敗北という終点がわずかに遠のいたに過ぎない。
今の状況で圧倒的に有利なのはズァークだ。
「我の…ターン!!」
ズァーク
手札2→3
「我は手札より永続魔法《ペンデュラム・エボリューション》を発動。このカードは我がフィールドに存在する場合、我は相手フィールドのすべてのモンスターへの攻撃を可能となる」
「何!?」
とっさに遊矢の脳裏に《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》の効果がよぎる。
今ここでこのカードの効果を使うことで、《ペンデュラム・エボリューション》の発動を無効にし、破壊することができる。
だが、たとえそれを無効にしたとしても、今の状況では2体のモンスターはすべて破壊されるだけ。
他の効果はわからないものの、今の状況で止めても何の意味もない。
「更に、《覇王門無限》の効果。我がフィールドに存在するとき、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力分、我のライフを回復できる」
《覇王門無限》が淡く光るとともに、ズァークの体も光り始める。
高笑いするズァークと連動するようにデュエルディスクに表示されるライフの数値が上昇する。
ズァーク
ライフ4000→6500
ライフ回復効果に対しても、遊矢は《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》の効果を発動できなかった。
守りを固めるモンスターを少しでもエクストラデッキに残さなければという思いが強かった。
「さあ、バトルだ。我は貴様のフィールドのすべてのモンスターを攻撃する!!」
《覇王龍ズァーク》の黒いレーザーのようなブレスが遊矢のフィールドを一閃する。
わずかなタイムラグの後で激しい爆発が起こり、その爆発に飲み込まれた2体のオッドアイズが消滅し、遊矢の体がダメージ0であるにも関わらず、大きく吹き飛ばされていく。
「うわあああああ!!!!」
地面を転がり、義手から発する嫌な音が耳に届く。
関節部はまだ動くものの、手が機能を失い、手札として握っていた1枚が地面に落ちた。
勢いが収まり、地面から起き上がろうとする遊矢だが、こみ上げる吐き気でそれができず、思わず吐き出したそれは鮮やかな赤い血だった。
「い…た、い…」
今の攻撃で内臓にまでダメージがあったのか、体内からあふれ出る痛みに我慢できず、立ち上がることも地面に落ちたカードをつかむこともできない。
幸い、義手には手が動かなくなった場合に備えて、ライディングデュエルの時に使う手札保管のスペースがある。
それを使うためにも、立ち上がってデュエルを続けなければならないが、痛みのせいで起き上がることができない。
「ふん…立ち上がる力すら失せたか。もはや、デュエルを続けることもできぬだろう。次のターンで、貴様の敗北だ!我はこれで、ターンエンド!」
ズァーク
手札2(《覇王門の魔術師》)
ライフ6500
場 覇王龍ズァーク レベル12 攻撃4000
ペンデュラム・エボリューション(永続魔法)
覇王門零(青) ペンデュラムスケール0
覇王門無限(赤) ペンデュラムスケール13
遊矢
手札3(うち2枚《EM天空の魔術師》、《EMオッドアイズ・ディゾルヴァー》)
ライフ1200
場 星読みの魔術師(青) ペンデュラムスケール1
時読みの魔術師(赤) ペンデュラムスケール8
「俺…は…」
這いずる遊矢は右手を落ちているカードに向けて伸ばす。
視界がゆがみ、それが自分が追い詰められていることを思い知らせている。
だが、この手札も遊矢にとってはもはや意味のないカード。
かろうじて手にした遊矢だが、それが残った最後の力だったのか、それからピクリとも動かなくなる。
「ふん…死んだか。安心するがいい、すぐに貴様の愛する者も、仲間も、すべてが後を追う」
「遊矢、遊矢!立って、遊矢!!」
モニターに映る倒れた遊矢に声を上げる柚子だが、その声は今の遊矢にはシステムにも心にも届くはずがない。
ただ見ていることしかできず、レイとしてズァークを封じる役目すら果たす手段のないことにセレナは悔し紛れに拳を壁にたたきつけた。
拳から伝わる痛みはセレナの心をいやすはずもなく、むなしさを覚えさせるだけ。
「ユート…」
「ユーゴ…」
もはやズァークの一部と化した2人が遊矢に力を与えられる状態ではない。
《覇王龍ズァーク》の手が倒れた遊矢へと向かい、つかまれた遊矢の目は空ろだ。
このまま握りつぶされるのを待つだけの遊矢。
彼の目には《覇王龍ズァーク》と一体化しているズァークを映していて、視界がぶれるとともにユーリ達にも彼が見えた。
(ユート…ユーゴ、ユーリ…。俺には、誰も、助けられない…。笑顔に、できないのか…?)
「死ねぇ!!」
(オッドアイズ…ダーク・リベリオン…クリアウィング…スターヴ・ヴェノム…。みんなは、悪くない…。悪いのは、こんなことにしか…力が、使えなかった…俺たちの、弱…さ…)
視界が真っ黒に染まっていき、同時に全身に冷たさを覚える。
何もできずに死んでいき、そのまま世界も死んでいく。
絶望が心を塗りつぶしていく。
(それは…どうだろう?君は、ここで終わってしまうのかね?)
暗闇の中で、茶色いバケットハットをかぶり、茶色いコートで身を包んだ男の姿が映る。
その声は翔太そっくりで、動けない遊矢は声をかけようとするが、今は口すらうまく動かすことができなかった。
そっくりな声ではあるが、棘のある彼とは到底思えない穏やかな声。
一瞬で遊矢のそばに移動した彼が優しく頬を撫でる。
そこで遊矢は彼の顔を間近で見ることになった。
「翔…太…?」
「君はここで終わってはいけない。確かにここで戦うのは君一人、だが…ここではないどこかで戦っている人たちがいる。感じるんだ、彼らの思いを…彼らの戦いを…」
「ああ…」
脳裏に次々と浮かぶ、戦いの光景。
融合次元だけでなく、人々が避難しているスタンダード次元にも覇王眷竜が現れ、町を攻撃している。
だが、それにあらがう人々も存在する。
「まだだ…!柚子と遊矢が帰る場所を守るためにも!熱血だああああ!!!」
「塾長…」
「遊矢…あんたも戦っているんだろう?あんたが帰ってきたときに家も塾もなくなってましたなんて、話しにならないだろう!!」
「母さん…」
「ふん…我が魂も世界も、まだ屈しはしない!!見せてやろう、このジャック・アトラスの…我らの力を!!」
「ジャック…!」
「ジャックにばかりいい格好をさせるかよ!こうなったら、ぶっ倒れるまで戦い抜いてやる!これが…俺の贖罪だ!!」
「シンジ…!」
「くっそぉ!倒しても倒しても…次から次へと…」
「ダメよ!まだあきらめちゃダメ!!」
「アレン、サヤカ!!」
スタンダード次元での戦いの光景が消え、次に見えたのは融合次元での権現坂達の戦う姿。
「遊矢は必ず勝利する!!必ずだ!!」
「そうだ…故に、私たちは私たちのできることを!!」
「権現坂、零児…!」
「彼らだけじゃない…。まだまだ思いはこの世界と…君の勝利を信じている」
ポォッと柔らかな音とともに熱を持つ光が遊矢たちの周囲に集まる。
カードとなってしまい、いまだに解放されていない人々、そして死んだ仲間たち。
その熱が遊矢の心臓や心に伝わり、目から涙がこぼれる。
そして、男のそばにレイが現れる。
「私たちは信じている。あなたは…絶望と力におぼれたズァークの中に残された光。デュエルとみんなの笑顔を愛した彼の純粋な思いの欠片だということを…」
「さあ…目を覚ますんだ。榊遊矢」
「あなた、は…まさか!!」
「何?この光は…」
あとは握りつぶすだけのはずの遊矢の体から放たれる白く、熱のこもった光。
嫌悪感を抱いたズァークは彼を上空に向けて投げる。
「ならば、握りつぶすまでもない!焼き尽くしてくれる!!」
今だの手に残る熱を振り払うように、上空に浮かぶ遊矢に向けた放たれるブレス。
だが、それを阻んだのは4枚の魔法カード。
かつて、ズァークを封じた4枚のカードだ。
「貴様…レイかぁ!!」
「まだ…終わっていない…。俺も、世界も…」
まだ痛みが残る遊矢の手に吸い寄せられるように、地面に落ちていた遊矢のたった1枚の手札が飛んできて、右手でそれをつかんだ遊矢はそれをホルダーに納める。
そして、デッキトップに指をかける。
「俺の…ターン!!」
遊矢
手札3→4
「俺は…手札から魔法カード《揺れる眼差し》を発動!ペンデュラムゾーンに存在するカードをすべて破壊する!!」
「ふん…今更2枚の覇王門を破壊したとて、貴様も!!」
「4枚のペンデュラムカードが破壊されたことで、俺はデッキからもう1枚の《揺れる眼差し》と、ペンデュラムモンスターの《EMレディアンジュ》を手札に加える!そして、相手に500のダメージを与え、相手フィールドのカード1枚を除外する!俺が除外するのは、《覇王眷竜クリアウィング》!!」
破壊された4枚のペンデュラムカードの粒子がズァークと《覇王眷竜クリアウィング》を襲う。
(また…この光!?気持ちの悪い光を!!)
ズァーク
ライフ6500→6000
「それはどうした!?我はまだフィールドに存在する!そして、《ペンデュラム・エボリューション》の効果により、我はすべてのモンスターを攻撃できるのだぞ!!」
「ああ…わかってる!そして、これで俺のフィールドにカードがなくなった!俺は…手札から魔法カード《ユニバース・ペンデュラム》を発動!俺のフィールドにカードがない時、お互いのエクストラデッキ、そして墓地に表側表示で存在するドラゴン族モンスターを除外し、ドラゴン族融合モンスター1体を融合召喚する!俺が融合素材にするのは融合モンスター、《ヴァレルロード・F・ドラゴン》、シンクロモンスター、《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》、エクシーズモンスター、《オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン》、そして、ペンデュラムモンスター、《覇王眷竜ダークヴルム》!!」
「何!?我の覇王眷竜をも、融合素材に…!それに…融合、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラムだと…!」
発動された《ユニバース・ペンデュラム》が上空へと飛び、その周囲にレイの4枚のカード、そして遊矢が指定した4枚のドラゴンが集まる。
それらが虹色の光を放ち、一体化していくと、虹色に光の柱となって遊矢を包んでいく。
「砕かれし4つの次元をさまよう光と闇。今こそ一つとなりて、、破顔一笑の光となれ!融合召喚!!現れろ、《覇王天龍オッドアイズ・アークレイ・ドラゴン》!!」
遊矢の体が宙に浮かび、彼を中心に光がドラゴンに肉体を構築していく。
その姿は対峙する《覇王龍ズァーク》とよく似ている。
だが、違いがあるとしたら、それは遊矢たち4人が持つそれぞれのドラゴンの特徴を引き継いでいることだ。
そして、現れたもう1体の覇王龍といえるドラゴンの咆哮が世界を侵食しつつあったフィールドを消し飛ばしていき、欠片は白い熱を持つ光へと還元されていった。
覇王天龍オッドアイズ・アークレイ・ドラゴン レベル12 攻撃4000
覇王眷竜サンダーヴルム
レベル4 攻撃1900 守備1500 闇属性 ドラゴン族
【Pスケール:青4/赤4】
(1):自分Pゾーンにカードがなく、相手フィールドにEXデッキから特殊召喚されたモンスターが存在するときに発動できる。EXデッキに表側表示で存在するこのカードを自分Pゾーンに置く。
【モンスター効果】
このカード名の(1)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードの召喚・特殊召喚に成功したときに発動する。自分はデッキから「覇王」カード1枚を墓地へ送る。
覇王の勅命
通常罠カード
(1):自分が直接攻撃によって戦闘ダメージを受けたときに発動できる。受けたダメージの数値分LPを回復する。その後、デッキからレベル7・8の闇属性・ドラゴン族Pモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる。
ミラージュ・オブ・オッドアイズ
通常罠カード
(1):自分フィールドの「オッドアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。発動後、このカードは装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。このカードを装備したモンスターは戦闘では破壊されず、戦闘で発生する自分への戦闘ダメージが0となる。
(2):相手の直接攻撃宣言時、自分フィールドにカードがない場合、墓地に存在するこのカードを除外することで発動できる。相手のバトルフェイズを終了させる。その後、自分の墓地に存在するPモンスター1体を自分のEXデッキに表側表示で置き、EXデッキに表側表示で存在するそのモンスターとは異なる名前で、同じレベルを持つPモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。