遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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第2章 TDC 動き出す戦い
第14話 TDC 新たなライバル登場?


「ふああ…ああ…」

午前8時、モーニングコールによって伊織が目を覚ます。

「あーー!!良く寝たー!」

青いパジャマ姿の伊織が腹部が見えるくらい大きく背伸びをする。

「ふかふかのベッドにおいしいお菓子…もう言うことなしだね!」

少し大きめなテレビとテーブル、そしてきれいに清掃された部屋。

今、伊織はとあるホテルの一室にいる。

「あれ…?翔太君はどこだろう??」

隣で寝ていたはずの翔太がいないことに気づき、周囲をきょろきょろする。

「あー…もしかして…」

居場所に見当がついた伊織はすぐに私服に着替えると、カードキーを持って部屋を出た。

 

「ここが会場か…」

ホットドックと缶ジュースを手に持った翔太が会場となるエコパスタジアムをじっと見ている。

昨日は舞網から静岡まで長時間バイクを走らせたため、かなり疲れをためてしまった。

(TDC…無条件で参加できるタッグデュエル大会…か…)

急にふわりとした手が彼の視界をふさぐ。

「…だーれだ?」

「伊織」

「えーーっ?なんですぐにわかるの?」

「この町でお前以外にこんなことする奴がいるか?」

「おおーーーさすがは翔太君、名探偵!」

「バカでもわかる。それと、そろそろ手をどけろ」

「はーい…」

つまらなそうに伊織は翔太を解放する。

「明日が大会か…」

1週間前に2人はネットでエントリーを済ませた。

この大会はまず2日かけて予選を行い、その後2つの形式で本選を行い最後に残ったペアが優勝するという仕組みだ。

「うーん…明日が楽しみだね!翔太君!!」

「まあ、勝つのは俺だからどうでもいいがな」

「私たちが…でしょ?」

「…。行くぞ」

食べ終えた翔太がホテルへ戻るために歩き始める。

「あーーー!!翔太君、こーゆーときはそうだな、とか俺たちがって言うものだよー?」

「悪いなー!そういう言葉、持ち合わせてないからな!!」

「もーう!翔太君のいけず!!」

「いけずで結構!!」

周囲からは痴話げんかのようにしか思えない争いが数分続いた。

 

「うーん…パンおいしー!!ねえねえ、翔太君!!次はあそこの…」

「食べながらしゃべるな。パン粉が飛ぶ」

いろんな食べ物屋を嬉しそうに見る伊織に対して、翔太は早くホテルに戻りたいという気持ちでいっぱいだった。

「うん…?」

ホテルまであと少しというところで、小さなカード屋を見つける。

張り紙には『アクションデュエル用のフィールドもあります』と書かれている。

「何か掘り出し物があるかもな…」

「翔太君、ここに入るの?なら私も!!」

「…。勝手にしろ」

いつの間にいろんなお菓子を手に持っている伊織にため息をつきながら、翔太は店に入る。

デュエルフィールドは地下に設置されている。

「もう先客がいるのか…」

「あーーー!!」

「なんだよ、いきなり大声を出すな」

「翔太君…左側を見て…」

「はぁ?」

伊織の言うとおり、フィールドの左側をみる。

黒く前にとがった髪で長いもみあげと浅黒い肌、そしてかなり筋肉質な肉体を軍服のようなもので包んだ男性がデュエルの準備をしている。

「誰だ?こいつ」

「コブラだよ!南米のプロリーグで上位争いをしてるデュエリストだよ」

「で、そいつの相手をするこいつは?」

翔太が指を差したのは水色の長い髪で茶色いロングコートを着た少年だ。

身長はコブラには及ばないものの、翔太よりも高い。

「さあ…?あの人もTDCに参加するのかな?」

 

「坊主、名前は?」

「鬼柳…。鬼柳一真だ。さあ、満足させてくれよ」

「そうだな。手加減はしないぞ」

「ああ…。そうしてくれ」

両者がデュエルの準備を終えると同時にアクションフィールド《深緑の熱帯雨林》が発動する。

アマゾンの熱帯雨林のようなフィールドで、ターザンロープや10メートル近い高さを持つ反りたつ石の壁、筏が浮かぶ巨大な皮なども存在する。

そして、2人はデュエル開始を宣言する。

「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが」

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクション…」

「「デュエル!!」」

 

一真

手札5

ライフ4000

 

コブラ

手札5

ライフ4000

 

「俺のターン。俺は《インフェルニティ・ネクロマンサー》を召喚。このカードは召喚に成功した時、守備表示となる」

青いボロボロのローブをまとった屍術士の骸骨が姿を現す。

 

インフェルニティ・ネクロマンサー レベル3 攻撃0→守備2000

 

「そして、手札から永続魔法《ワンダー・バルーン》を発動。このカードは1ターンに1度、手札を任意の枚数墓地へ送る。俺は残り3枚の手札すべてを墓地へ送る」

緑色のプレゼントボックスに一真の3枚のカードが入り、それと同時に3つのバルーンが彼の周囲を守る。

「《ワンダー・バルーン》はこの効果で墓地へ送ったカードの数だけバルーンカウンターが乗り、その数×300ポイント、相手の攻撃力をダウンさせる」

「バルーンカウンターは3つ。よって、私のモンスターの攻撃力は900ポイントダウンするか」

 

手札から墓地へ送られたカード

・インフェルニティ・デーモン

・インフェルニティ・アーチャー

・インフェルニティ・ビートル

 

「インフェルニティ…?」

「さあ…聞いたことないよ??」

舞網市のカード屋には何度も足を運んだが、そのカテゴリーのカードを見たことがない。

「《ネクロマンサー》の効果発動。1ターンに1度、手札が0の時、墓地からインフェルニティモンスター1体を特殊召喚できる。俺は《インフェルニティ・デーモン》を特殊召喚」

オレンジ色の髪で、人型の悪魔が《インフェルニティ・ネクロマンサー》が生み出した魔法陣から姿を見せる。

 

インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800

 

「このカードの特殊召喚に成功した時、手札が0の場合、デッキからインフェルニティカードを1枚手札に加えることができる。俺はその効果で《インフェルニティ・ガン》を手札に加え、そのまま発動。発動したこのカードを墓地へ送ることで、俺が墓地からインフェルニティモンスター2体を特殊召喚できる。俺は《インフェルニティ・ビートル》と《インフェルニティ・アーチャー》を特殊召喚」

黒が勝った緑の鎧をまとい、クロスボウを武器とする騎士と同じ色のヘラクレスオオカブトのような小さな昆虫が現れる。

 

インフェルニティ・アーチャー レベル6 攻撃2000

インフェルニティ・ビートル レベル2 攻撃1200(チューナー)

 

「チューナーだと!?」

「おっと、驚くのはまだ早いぜ。《インフェルニティ・ビートル》の効果発動。手札が0の時、このカードをリリースすることでデッキから《インフェルニティ・ビートル》を特殊召喚できる」

《インフェルニティ・ビートル》がさなぎに戻る。

そして、脱皮するとその中から2体の《インフェルニティ・ビートル》が姿を見せる。

 

インフェルニティ・ビートル×2 レベル2 攻撃1200(チューナー)

 

「いくぜ!俺はレベル6の《アーチャー》にレベル2の《ビートル》をチューニング!そしてレベル4の《デーモン》にレベル2の《ビートル》をチューニング!!」

「う…嘘!?」

「1ターンでレベル8と6のシンクロモンスターをシンクロ召喚するだと…!?」

1ターン目の先行であるにもかかわらず、とてつもない爆発力。

彼の力量なのか、インフェルニティモンスターそのものの力なのか、どちらにしてもとんでもない強さだ。

「ダブルシンクロ召喚!《煉獄龍オーガ・ドラグーン》!《天狼王ブルー・セイリオス》!!」

体の各部分に膨大なエネルギーがこもった玉石が埋め込まれている禍々しく黒い翼竜と複数の刃物が付いた鋼の鎧をつけた、両腕が頭部になっている青い人狼が同時に現れる。

 

煉獄龍オーガ・ドラグーン レベル8 攻撃3000

天狼王ブルー・セイリオス レベル6 攻撃2400

 

「俺はこれでターンエンド」

 

一真

手札5→0

ライフ4000

場 インフェルニティ・ネクロマンサー レベル3 守備2000

  煉獄龍オーガ・ドラグーン レベル8 攻撃3000

  天狼王ブルー・セイリオス レベル6 攻撃2400

  ワンダー・バルーン(バルーンカウンター3)(永続魔法)

 

コブラ

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「たった1ターンでここまで…」

翔太も何度か遊勝塾メンバーや伊織とのデュエルでペンデュラム召喚から連続シンクロ召喚、もしくはエクシーズ召喚や融合召喚をしたことがある。

しかし、一真のインフェルニティデッキはペンデュラム召喚なしに墓地を利用してすさまじい回転力を見せつけてくる。

「私のターン、ドロー!」

 

コブラ

手札5→6

 

ドローすると同時に、反りたつ壁を1回で越えて木にかかっているアクションカードを取る。

「アクション魔法《スネーク・バイト》を発動。フィールド上の特殊召喚されたモンスターを破壊する!」

草むらの中から大量の毒蛇が現れ、《煉獄龍オーガ・ドラグーン》にかみつこうとする。

「《オーガ・ドラグーン》の効果発動。1ターンに1度、手札が0の場合、相手の魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する!」

「何!?」

《煉獄龍オーガ・ドラグーン》が放つブレスで、毒蛇たちが一瞬で消滅する。

 

スネーク・バイト

アクション魔法カード

(1):フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを破壊する。

 

「ふん…。私は永続魔法《ヴェノム・フォレスト》を発動」

発動と同時に、周囲の木から蛇の毒が混じった樹液があふれ出る。

「そして、手札から魔法カード《テイク・オーバー5》を発動。デッキトップから5枚のカードを墓地へ送る」

「《オーガ・ドラグーン》の効果は1ターンに1度しか使えない…」

「アクションカードをけん制に使ったってことだね」

 

デッキから墓地へ送られたカード

・ワーム・ヤガン

・貪欲な壺

・ダメージ=レプトル

・ワーム・カルタロス

・ワーム・テンタクルス

 

墓地に送られた5枚のうち、3枚がワームモンスター。

「伊織、ワームって何だ?」

「爬虫類族モンスターで、強力なリバース効果を持ってるんだ」

「更に、私は手札から《ワーム・ゼクス》を召喚」

緑色のX状の肉体で、4つの触角に目、中央に巨大な口がある不気味な爬虫類が姿を現す。

 

ワーム・ゼクス レベル4 攻撃1800→900

 

「このカードの召喚に成功した時、デッキから爬虫類族モンスター1体を墓地へ送る。私は《ワーム・グール》を墓地へ送る。更に、《ヴェノム・フォレスト》の効果発動。私のフィールドに爬虫類族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、フィールド上の爬虫類族モンスター以外のモンスターにヴェノムカウンターを1つ置く」

再び草むらから毒蛇が現れ、《煉獄龍オーガ・ドラグーン》と《天狼王ブルー・セイリオス》、《インフェルニティ・ネクロマンサー》の足にかみつく。

毒を受けた煉獄の龍と蒼き狼が毒で苦しみ始める。

そして、屍術士の死霊は毒でバラバラとなった。

 

煉獄龍オーガ・ドラグーン レベル8 攻撃3000→2500

天狼王ブルー・セイリオス レベル6 攻撃2400→1900

 

「《ヴェノム・フォレスト》は置かれているヴェノムカウンター1つにつき、500ポイント攻撃力をダウンさせる。そして、攻撃力が0のモンスターは破壊される」

 

ヴェノム・フォレスト

永続魔法カード

「ヴェノム・フォレスト」はフィールド上に1枚しか存在できない。

(1):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分は「ヴェノム・スワンプ」を発動できず、このカードの発動に成功した時、フィールド上に存在する「ヴェノム・スワンプ」は破壊される。

(2):自分フィールド上に爬虫類族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、フィールド上に表側表示で存在する爬虫類族モンスター以外のモンスターにヴェノムカウンターを1つ置く。ヴェノムカウンター1つにつき、攻撃力は500ポイントダウンする。

(3):攻撃力が0のモンスターは破壊される。

 

「そして、《ワーム・グール》の効果を発動。このカードを墓地から除外することで、墓地からワームモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚できる。現れろ、《ワーム・テンタクルス》」

黄色い以下のような姿をした爬虫類が土色ににごった川から出てくる。

 

ワーム・テンタクルス レベル4 攻撃1700→800

 

「更に、《ヴェノム・フォレスト》の効果を受けてもらおう」

「くそっ…!!」

再び毒蛇にかまれる一真のモンスター。

毒が少しずつ彼らを蝕んでいく。

 

煉獄龍オーガ・ドラグーン レベル8 攻撃2500→2000

天狼王ブルー・セイリオス レベル6 攻撃1900→1400

 

ワーム・グール

レベル5 攻撃1500 守備1100 効果 光属性 爬虫類族

「ワーム・グール」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):墓地に存在するこのカードを除外し、自分の墓地に存在する「ワーム・グール」以外の「ワーム」モンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを特殊召喚する。

 

「これでレベル4のモンスターが2体!」

「更に手札から魔法カード《サイクロン》を発動。その効果で《ワンダー・バルーン》を破壊。そして私はレベル4の《ワーム・ゼクス》と《テンタクルス》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ、《キングレムリン》」

川から複数の水泡が現れる。

そして、その水泡と共に緑色で屈強な肉体の人型爬虫類が現れた。

 

キングレムリン ランク4 攻撃2300

 

「さあ、《ヴェノム・フォレスト》の効果を受けろ」

3度毒を受けた一真のモンスターはもはや立ち上がれないくらいに弱っていた。

 

煉獄龍オーガ・ドラグーン レベル8 攻撃2000→1500

天狼王ブルー・セイリオス レベル6 攻撃1400→900

 

「《キングレムリン》の効果発動。1ターンに1度オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、デッキから爬虫類族モンスター1体を手札に加える。私はデッキからもう1体の《ワーム・ゼクス》を手札に加える。バトルだ。《キングレムリン》で《オーガ・ドラグーン》を攻撃!」

《キングレムリン》が再び水中へもぐり、猛スピードで泳ぎ始める。

毒で弱りきった《煉獄龍オーガ・ドラグーン》にはそのモンスターを追うことができず、突然目の前に現れたそのモンスターの頭部を攻撃され、消滅した。

 

一真

ライフ4000→3200

 

「あーあ…せっかくシンクロ召喚した《オーガ・ドラグーン》が倒されちゃってるよ」

「爬虫類族モンスターを連続で特殊召喚し、着実に相手モンスターの力を奪っていくのか…」

唯一、一真のフィールドに残った《天狼王ブルー・セイリオス》の肉体は噛まれた痕跡と紫色に変色した肌で弱りきっている。

これが王の名の持つモンスターなのかと思えるくらいだ。

「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

一真

手札0

ライフ3200

場 天狼王ブルー・セイリオス(ヴェノムカウンター3) レベル6 攻撃900

 

コブラ

手札6→1(《ワーム・ゼクス》)

ライフ4000

場 キングレムリン(オーバーレイユニット1) ランク4 攻撃2300

  ヴェノム・フォレスト(永続魔法)

  伏せカード1

 

「俺のターン!」

 

一真

手札0→1

 

「このカードは手札が0の場合にドローした時、相手に見せることで特殊召喚できる。《インフェルニティ・デーモン》を特殊召喚」

 

インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800

 

「更に、《インフェルニティ・デーモン》の特殊召喚に成功した時、手札が0の場合、デッキからインフェルニティカードを1枚手札に加える!手札から魔法カード《インフェルニティ・ブラスト》を発動!俺の墓地に存在するレベル4以下のインフェルニティモンスター2体を特殊召喚し、その後、俺のフィールド上に存在するシンクロモンスター1体を破壊する。俺は《デーモン》と《ネクロマンサー》を特殊召喚し、《ブルー・セイリオス》を破壊する」

「何!?自らシンクロモンスターを破壊するだと!?」

紫色の魔法陣から2体のインフェルニティモンスターが現れると同時に、《天狼王ブルー・セイリオス》が爆破される。

 

インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800

インフェルニティ・ネクロマンサー レベル3 守備2000

 

「更に、この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力は500ポイントアップする」

 

インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800→2300

 

インフェルニティ・ブラスト

通常魔法カード

このカードは自分の手札がこのカードの時にのみ発動できる。

(1):自分の墓地に存在するレベル4以下の「インフェルニティ」モンスター2体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚する。その後、自分フィールド上に存在するシンクロモンスター1体を破壊する。この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。

 

「《インフェルニティ・デーモン》の効果発動。デッキから《インフェルニティ・リバース》を手札に加える。そして、《ブルー・セイリオス》の効果発動!」

「何…!?」

上空から《天狼王ブルー・セイリオス》の精神体が現れ、《キングレムリン》に食らいつく。

「《ブルー・セイリオス》は破壊され墓地へ送られた時、相手モンスター1体の攻撃力を2400ポイントダウンさせる」

 

キングレムリン ランク4 攻撃2300→0

 

「そして手札から魔法カード《インフェルニティ・リバース》を発動。俺のフィールドに存在する攻撃力1600以上インフェルニティモンスター1体をリリースすることで、墓地からインフェルニティモンスターもしくは《煉獄龍オーガ・ドラグーン》1体を特殊召喚する。俺は《デーモン》をリリースし、《オーガ・ドラグーン》を復活させる!」

「グオオオオオン!!!」

《インフェルニティ・デーモン》が煉獄の炎に包まれ、炎の中から《煉獄龍オーガ・ドラグーン》が現れる。

そして、煉獄龍の咆哮と共に炎は縦横無尽にはじけ、熱帯雨林を熱で包む。

 

煉獄龍オーガ・ドラグーン レベル8 攻撃3000

 

インフェルニティ・リバース

通常魔法カード

「インフェルニティ・リバース」は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上に表側表示で存在する攻撃力1600以上の「インフェルニティ」モンスター1体をリリースすることで発動できる。自分の墓地からリリースしたモンスターと異なる名前を持つ「インフェルニティ」モンスターまたは「煉獄龍オーガ・ドラグーン」1体を特殊召喚する。

 

「ぐぅぅ…」

「更に《インフェルニティ・ネクロマンサー》の効果で墓地から《インフェルニティ・デストロイヤー》を特殊召喚」

浅黒い人型悪魔が両手の爪を研ぎながら姿を現す。

 

インフェルニティ・デストロイヤー レベル6 攻撃2300

 

「バトルだ。《インフェルニティ・デストロイヤー》で《キングレムリン》を攻撃」

爪を研ぎ終えた悪魔が水中に潜る《キングレムリン》に狙いをつける。

「くぅ…!!」

現在、コブラが伏せているカードは《次元幽閉》。

だが、攻撃モンスターを除外する罠も《煉獄龍オーガ・ドラグーン》の前では無意味だ。

急いでアクションカードを探す。

しかし、カードを見つける前に《キングレムリン》が爪でバラバラにされてしまった。

「うわあああ!!」

 

コブラ

ライフ4000→1700

 

「更に、《インフェルニティ・デストロイヤー》の効果発動。手札が0の状態で相手モンスターを戦闘で破壊した時、相手に1600ポイントのダメージを与える」

《インフェルニティ・デストロイヤー》は《キングレムリン》の消滅を見届けると、一瞬でコブラの前へ向かい、爪で切り裂いた。

「く…うう…!!」

 

コブラ

ライフ1700→100

 

「これで終わりだ。《オーガ・ドラグーン》でダイレクトアタック。煉獄の混沌却火!」

毒が消え、本来の動きができるようになった《煉獄龍オーガ・ドラグーン》が黒いブレスを放つ。

ブレスに触れた草木は炭となり、水は蒸気と化す。

「うわああああ!!」

 

コブラ

ライフ100→0

 

「う…嘘…」

一瞬でプロデュエリストであるコブラのライフを0にしてしまった。

「はあ…こんなんじゃあ、満足できねえぜ」

少しがっかりした表情となった一真が店を出ていく。

(伊織のデッキが融合デッキとしたら、奴のデッキは手札0の状態でシンクロモンスターを大量に展開する高速シンクロデッキ…)

手札が0となることを引き金に、強力な効果を発揮するカードたち。

そして、彼のエースカードはおそらく《煉獄龍オーガ・ドラグーン》。

「鬼柳一真…。もし、TDCで戦うことになったら、気をつけたほうがいいな」

「なあ、お宅らもTDCの前にデュエルしに来たんか?」

「うん…?」

翔太と伊織に声をかけたのはピンク色のパーカーと緑色の半ズボンを着た茶色いポニーテールの少女。

「楽しみやなぁー、TDC。優勝してみんなをあっと言わしたいわぁー」

「だ…誰だ?この中学生か小学生っぽい奴?」

「さあ…?」

「むう…これでも高校生や!!真田里香、今年から高校生や!!」

「1年前まで中学生なら、あまり変わりねえだろ?」

「なんやとぉ!!」

かなりムキになって、翔太に迫る。

「はあ…、伊織。あの女子中学生をなんとかしてくれ」

「高校生や!!こうなったら…あんたに昨日できたウチの新デッキの実験台になってもらうで!!」

「なんで俺がそんなことを…」

「まあまあいいじゃん、頑張れ翔太くーん」

「伊織、お前…」

唯一味方になると思われた伊織がこの態度。

知り合いが1人もいないこの場所ではもはや孤立無援。

「はあ…なら、軽く倒してやるよ」

「それはウチのセリフや!この性悪男!!」

「ああ…俺は性悪だ」

2人はフィールドに出ると、アクションフィールド《砂の城塞》が発動する。

シリアにある中世都市であるマシャフをモチーフとした、石と風とわずかな緑で構成されたフィールドだ。

そして、里香と伊織(翔太がこのようなことをする気がないことをよく知っているため)がデュエル開始の宣言をする。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが」

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクション…」

「「デュエル!!」」

 

里香

手札5

ライフ4000

 

翔太

手札5

ライフ4000

 

(それにしても、翔太君大丈夫かな…?)

翔太から預かったデッキケースを手に、心配そうに見つめる伊織。

「ウチの先攻!ウチは手札から儀式魔法《影霊衣の万華鏡》を発動!」

発動と同時に上空から万華鏡のように、回転する度に映る光景が変化する丸い鏡が姿を見せる。

「このカードは手札・フィールドからモンスターを1体リリースするか、エクストラデッキのモンスター1体を墓地へ送ることでそのモンスターと同じレベルになるように手札から影霊衣と名のつく儀式モンスターを特殊召喚できる!」

「何!?」

「たった1枚で複数の儀式モンスターを同時に儀式召喚できるカード!?」

エクストラデッキのカードを儀式の素材にできるだけでも驚きなのに、条件さえ整えば複数の儀式モンスターの儀式召喚ができるカードに2には驚きを隠せない。

「見て驚き!これがウチの影霊衣デッキ、儀式召喚が時代遅れだとはだれにも言わさんでぇ!ウチはエクストラデッキの《氷結界の龍グングニール》を墓地へ送る!!」

《影霊衣の万華鏡》に溶ける気配のない氷で肉体が構成されている翼龍が映し出される。

「ウチのモンスターに近づいたらアカンで、氷漬けになるでー!儀式召喚!レベル3《クラウソラスの影霊衣》!レベル4!《ユニコールの影霊衣》!!」

砕けた万華鏡から、緑色で赤い瞳の怪鳥を模した鎧と剣を持つ赤と灰色の髪の少年と白いグリーブと赤い腰巻が付いた白いローブ、紫色のマントと白い槍を装備し、馬の尾のような飾りがある灰色の髪の魔導士が現れる。

 

クラウソラスの影霊衣 レベル3 守備2300

ユニコールの影霊衣 レベル4 攻撃2300

 

「いきなりの儀式モンスターか…」

「ふっふっふ…この程度でびっくりしたらあかんで。《クラウソラス》、頼むで!!」

《クラウソラスの影霊衣》から怪鳥の部分が分離し、その足を掴んで空を飛ぶ。

そして、古代シリア地方では伝統的な泥レンガの家の屋根にあるアクションカードを取る。

「よっしゃ!これはいいカードやで!ウチはこれでターンエンドや!」

 

里香

手札5→3(アクションカード込)

ライフ4000

場 クラウソラスの影霊衣 レベル3 守備2300

  ユニコールの影霊衣 レベル4 攻撃2300

 

翔太

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札5→6

 

「手札から《真六武衆―カゲキ》を召喚」

背中に2本の副腕をつけ、左目と黄色い甲冑の一部が機械化している武士が姿を現す。

 

真六武衆―カゲキ レベル3 攻撃200

 

「六武衆…あんたのデッキ、六武衆なん?」

「ああ。手加減して勝てる相手だと思うなよ?」

このデッキは今伊織に預けている魔装デッキとは異なり、一から構築したデッキだ。

「このカードの召喚に成功した時、手札からレベル4以下の六武衆1体を特殊召喚できる。俺は《六武衆の影武者》を特殊召喚」

緑色の甲冑をつけ、目以外を仮面と兜で隠している槍使いが《真六武衆―カゲキ》の隣で正座する。

 

六武衆の影武者 レベル2 守備1800(チューナー)

 

「レベル3の《カゲキ》にレベル2の《影武者》をチューニング。シンクロ召喚!現れろ、《真六武衆―シエン》!」

背中に竜の羽根を模した飾りがついている赤い甲冑とノコギリ刀を装備した若き武将が現れる。

 

真六武衆―シエン レベル5 攻撃2500

 

「甘々や!《ユニコールの影霊衣》の効果発動やで!!このカードが表側表示で存在する限り、エクストラデッキから特殊召喚されたモンスターの効果は無効になるんやでぇ!!」

《ユニコールの影霊衣》が上空に槍を掲げると、雨雲が生まれる。

そして、その雲から大量のあられが降り注ぎ、《真六武衆―シエン》の体力を奪う。

「だが、倒してしまえば問題ないだろ?《シエン》で《ユニコール》を攻撃。天下布武!!」

《真六武衆―シエン》がノコギリ刀で《ユニコールの影霊衣》に斬りかかろうとする。

「それも駄目やで!《クラウソラスの影霊衣》の効果発動や!1ターンに1度、エクストラデッキから特殊召喚されたモンスター1体の攻撃力と効果をターン終了時まで封じる!」

「何!?」

《ユニコールの影霊衣》をかばうかのように《クラウソラスの影霊衣》が前に出て、《真六武衆―シエン》とつばぜり合いをする。

すると、ノコギリ刀から徐々に《真六武衆―シエン》の体が氷漬けになっていく。

 

真六武衆―シエン レベル5 攻撃2500→0

 

「冷凍だと!?く…」

翔太は走り始める。

「そうそう、アクションカードを早よ探さんと」

「ちっ…あのデッキよりはましか…」

エクストラデッキからの特殊召喚が主体となってしまう魔装デッキでは影霊衣デッキに言いように使われてしまっていただろう。

自分はまだ運がいいと言い聞かせながら、翔太は要塞の入り口に張り付けられているアクションカードを手に取る。

「アクション魔法《論争》を発動!俺のモンスターが戦闘を行う時、そのモンスターの攻撃力を戦闘を行う相手モンスターと同じにする!」

「お見通しや!ウチはアクション魔法《砂嵐》を発動や!」

「何!?」

「このカードは相手のターンのバトルフェイズ中に発動したアクションカードの発動を無効にするんや!」

《論争》の効果で冷凍から解放されそうになっていた《真六武衆―シエン》の目を《砂嵐》が塞いでいく。

嵐が起こっている間、2体の影霊衣は後方へ退避する。

 

砂嵐

アクション魔法カード

(1):相手のバトルフェイズ時、相手がアクションカードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし、破壊する。

 

「さあ、反撃やで!《ユニコール》!!」

視界がふさがれ、身動きが取れない《真六武衆―シエン》を《ユニコールの影霊衣》が槍で貫こうとする。

「く…だがこれであのカードを回収できる!」

翔太は近くに転がっていたひびが入った壺の中にあるアクションカードを手に取る。

「アクション罠《失踪》を発動!このカードは俺のフィールド上のモンスター1体を破壊する!」

槍が接触する前に、《真六武衆―シエン》がフィールドから姿を消す。

「そんな…せっかくシンクロ召喚したモンスターを自分で破壊しなきゃいけないなんて」

本来なら、自分に対してはデメリット効果しか与えないアクション罠だが、今回だけは助けとなったと言えよう。

 

失踪

アクション罠カード

(1):自分フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。

 

「く…」

「ええか?確かにシンクロ、エクシーズ、融合は強力な召喚方法やで。せやけど、デュエルに勝つ絶対条件って訳やないで?」

《ユニコールの影霊衣》が効果を、《クラウソラスの影霊衣》が攻撃力を奪う。

幸いなことは《クラウソラスの影霊衣》の効果が1ターンに1度のみということくらいだ。

(儀式召喚…。遊矢もこういうモンスターに苦戦したと言っていたな)

遊矢から聞いた話を思い出す。

彼は儀式モンスターとリバースモンスターのコンボで敗北寸前まで追い込まれたという。

もし、その時にあるカードを手にしていなければ本当に敗北していただろう。

「さあ…ウチをバカにした報い、たっぷり受けてもらうでぇ…」

 

(翔太のターンのバトルフェイズ中)

里香

手札3→2

ライフ4000

場 クラウソラスの影霊衣 レベル3 守備2300

  ユニコールの影霊衣 レベル4 攻撃2300

 

翔太

手札6→4

ライフ4000

場 なし




2人の新キャラ、鬼柳一真と真田里香登場です!
インフェルニティの影霊衣、どちらがえげつないのか!?(笑)
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