「…」
夜のホテルの中で、翔太は1人封筒を手にしていた。
封は切られていて、机の上には何も書かれていない紙が入っているだけだ。
(鬼柳、一体どういうつもりなんだ?)
伊織はホテル内のお菓子が高いという理由で外へ買いに行っていて、まだ戻ってきていない。
「ふう…シャワーを浴びるか」
考えるのをやめ、風呂場へ向かおうとする。
「…何!?」
偶然目の入ったあの紙に驚きを隠せずにいる。
徐々に黒いインクが紙に浮き上がり、文章が形成されていく。
『永瀬伊織は預かった。この文章が浮き上がってから1時間以内にスタジアムのそばにある八幡宮へ来い。 鬼柳』
「…手の込んだことを…」
悪態をつきながら、手紙を破り捨てる。
そして、バイクで指定された場所へ向かった。
「…。ここだな?」
古い八幡宮の前でバイクを停める。
近くには青を基調としたバイクも停まっている。
「鬼柳…どこにいる?望みどおり来てやったぞ」
しばらく待つが、何の反応も帰ってこない。
「正直、俺も暇じゃないんだ。帰って晩御飯を食ってシャワーを浴びて寝なきゃならない」
「待っていたぜ、秋山翔太」
背後から声が聞こえ、翔太は近くにあった石をそこへ向けて蹴り飛ばす。
「さっさと伊織を返せ。今なら3倍返しで許してやる」
「ああ…お前のガールフレンドだったな。それを知りたければ…」
静かに鬼柳はデュエルの準備を整える。
「はあ…。こんなコミュ障はさっさと倒すに限るな。あ…予選落ちって言うのも付け足さないとな」
ため息をつきながら、翔太もデュエルの準備を整える。
(秋山翔太…お前があの男なのか見極める!!)
(さっさと倒して、伊織を連れて帰るか)
「「デュエル!!」」
翔太
手札5
ライフ4000
鬼柳
手札5
ライフ4000
「俺の先攻。俺は手札から《魔装竜ファーブニル》を召喚」
魔装竜ファーブニル レベル4 攻撃1900
「そしてカードを1枚伏せ、ターンエンド」
翔太
手札5→3
ライフ4000
場 魔装竜ファーブニル レベル4 攻撃1900
伏せカード1
鬼柳
手札5
ライフ4000
場 なし
「かなり消極的なスタートじゃねえか。お前のガールフレンドは1ターン目から融合召喚を連発しているぜ?」
「俺はあいつと違って慎重だからな。それに…」
「それに?」
「なんでもない。お前のターンだ。さっさと進めろ」
「…。俺のターン」
鬼柳
手札5→6
「俺は手札から魔法カード《無の煉獄》を発動。俺の手札が3枚以上存在するとき、デッキからカードを1枚ドローし、ターン終了時に手札をすべて捨てる」
(やはり無手札必殺で来るか…)
翔太の脳裏に浮かんだのはコブラとのデュエルで彼が見せた連続シンクロ召喚。
これから翔太はそれらのシンクロモンスターの猛攻に対処しなければならない。
「そして俺はモンスターを裏守備表示で召喚。カードを2枚伏せ、ターンエンド。それと同時に《無の煉獄》の効果で残りの手札はすべて墓地へ送る」
手札から墓地へ送られたカード
・インフェルニティ・アーチャー
・インフェルニティ・ドワーフ
・インフェルニティ・デーモン
翔太
手札3
ライフ4000
場 魔装竜ファーブニル レベル4 攻撃1900
伏せカード1
鬼柳
手札6→0
ライフ4000
場 裏守備モンスター1
伏せカード2
「俺のターン」
翔太
手札3→4
「俺はスケール2の《魔装槍士タダカツ》とスケール9の《魔装剣士ムネシゲ》でペンデュラムスケールをセッティング!!」
2体のペンデュラムモンスターが翔太の左右に浮かび、光の柱を生み出す。
(ペンデュラム召喚…か…)
「これで俺はレベル3から8までのモンスターを同時に召喚可能だ。来たれ、時の果てに眠りし英雄の魂。希望の道を照らし、勝鬨を上げろ!ペンデュラム召喚!!現れろ、俺のモンスターたち!!《魔装鳥キンシ》!《魔装騎士ペイルライダー》!!」
上空から《魔装鳥キンシ》が現れ、翔太のフィールドに急降下する。
その背にはマシンガンと盾だけを装備している《魔装騎士ペイルライダー》がいる。
魔装鳥キンシ レベル7 攻撃2400
魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500
「ペンデュラム召喚で上級モンスターを2体か。まあ、俺の無手札必殺には無用の長物だな」
「バトルだ。俺は《魔装騎士ペイルライダー》で裏守備モンスターを攻撃。(たとえ奴の守備モンスターが戦闘では破壊されない効果でも、《ペイルライダー》には戦った相手モンスターを破壊する効果がある)クアトロ・デスブレイク!!」
《魔装騎士ペイルライダー》がマシンガンで裏守備モンスターを攻撃する。
すると、裏守備モンスターは髑髏の装飾があり、体の大部分が煉獄の炎となっている盾型の悪魔となり、銃弾を受けるどころか炎で溶かしてしまった。
「《インフェルニティ・ガーディアン》は手札が0枚の時、いかなる方法でも破壊されない」
「ちっ…。厄介なモンスターを」
マシンガンの弾が尽きた《魔装騎士ペイルライダー》は即座に弾倉を交換する。
「(奴を破壊できるタイミングはドローして、そのカードをプレイするまでの間だけか…)俺はこれでターンエンド」
翔太
手札4→0
ライフ4000
場 魔装竜ファーブニル レベル4 攻撃1900
魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500
魔装鳥キンシ レベル7 攻撃2400
魔装槍士タダカツ(青) ペンデュラムスケール2
魔装剣士ムネシゲ(赤) ペンデュラムスケール9
伏せカード1
鬼柳
手札0
ライフ4000
場 インフェルニティ・ガーディアン レベル4 守備1700
伏せカード2
「俺のターン」
鬼柳
手札0→1
「罠発動!《クアトロ・デスブレイク》」
「…?」
「こいつは俺のフィールドに《ペイルライダー》がいる時、相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を破壊する。俺はその効果で《インフェルニティ・ガーディアン》を破壊する」
《魔装騎士ペイルライダー》が暗闇の中へ姿をくらます。
不気味に思った《インフェルニティ・ガーディアン》は周囲を見渡す。
そして、気配を感じ後ろへ振り返った時にはすでに《魔装騎士ペイルライダー》の光剣で頭部を切り裂かれていた。
「ドローして手札が1枚になった隙を狙ったか」
「そうだ。そして《クアトロ・デスブレイク》は発動後ゲームから除外され、発動から2回目の俺のスタンバイフェイズ時に手札に加わる」
《クアトロ・デスブレイク》が異次元への渦にのまれ、消えて行った。
クアトロ・デスブレイク
通常罠カード
「クアトロ・デスブレイク」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分フィールド上に「魔装騎士ペイルライダー」が表側表示で存在する場合にのみ発動できる。相手フィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。発動後、このカードはゲームから除外される。
(2):このカードはその効果で除外されてから2回目の自分のターンのスタンバイフェイズ時に手札に戻る。
「これで無敵の盾はあっけなく消えたな」
「だが、俺の無手札必殺はその程度では崩せないぜ。手札が0枚の時にこのカードをドローした時、このカードは特殊召喚できる。《インフェルニティ・デーモン》を特殊召喚」
インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800
「《インフェルニティ・デーモン》の効果発動。このカードの特殊召喚に成功した時、手札が0枚の場合、デッキからインフェルニティカードを1枚手札に加える。手札から《インフェルニティ・ビートル》を召喚」
インフェルニティ・ビートル レベル2 攻撃1200(チューナー)
「《インフェルニティ・ビートル》の効果発動。手札が0枚の時、このカードをリリースすることでデッキから《インフェルニティ・ビートル》を2体まで特殊召喚できる」
インフェルニティ・ビートル×2 レベル2 攻撃1200(チューナー)
(これで2回のシンクロ召喚を行えば、《オーガ・ドラグーン》が現れる。あのカードは手札が0枚の時、1ターンに1度相手の魔法・罠カードの発動を無効にし、破壊する。ペンデュラムスケールにセッティングすることは魔法カード発動と同じ。だから《オーガ・ドラグーン》の効果を受ける)
「俺はレベル4の《インフェルニティ・デーモン》にレベル2の《インフェルニティ・ビートル》をチューニング。重力を操りし蛮勇よ、敵に弔いの十字架を与えよ。シンクロ召喚!現れろ、《グラヴィティ・ウォリアー》」
青と銀を基調とした装甲で、狼の頭をした戦士が姿を現す。
グラヴィティ・ウォリアー レベル6 攻撃2100
「《グラヴィティ・ウォリアー》の効果発動。このカードのシンクロ召喚に成功した時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体につき300ポイント、このカードの攻撃力をアップさせる。蛮勇引力(パワー・グラヴィテーション)」
《グラヴィティ・ウォリアー》が翔太のフィールドに存在する3体のモンスターを見て、咆哮しながら自身の両手の爪に重力を与える。
グラヴィティ・ウォリアー レベル6 攻撃2100→3000
「ちっ…。攻撃力3000。だが《魔装剣士ムネシゲ》は1ターンに1度、俺のモンスターゾーンに存在するペンデュラムモンスターを破壊から守る効果がある」
「ああ…。だが戦闘ダメージまでは防げない。《グラヴィティ・ウォリアー》で《魔装鳥キンシ》を攻撃。超重力十字爪(グランド・クロス)」
《グラヴィティ・ウォリアー》が咆哮しながら、《魔装鳥キンシ》に向けて突撃する。
飛んでよけようとするが、そのモンスターの爪から発する重力で地面に落ち、思うように動けない。
「ちっ…!《ムネシゲ》、《キンシ》を守れ!!」
頷いた《魔装剣士ムネシゲ》は《グラヴィティ・ウォリアー》の前に立ち、盾で爪を受け止める。
そして、攻撃の衝撃が翔太へと向かう。
「く…!」
翔太
ライフ4000→3400
「メインフェイズ2だな。俺はレベル6の《グラヴィティ・ウォリアー》にレベル2の《インフェルニティ・ビートル》をチューニング」
(来るか…?《オーガ・ドラグーン》…!!)
「死者と生者、ゼロにて交わりしとき、永劫の檻より魔の竜は放たれる!シンクロ召喚!いでよ、《インフェルニティ・デス・ドラゴン》!!」
脳が露出し、4つの目とハサミのような手の腕を持つ不気味な黒竜が姿を現す。
(何!?《オーガ・ドラグーン》じゃないのか…?)
インフェルニティ・デス・ドラゴン レベル8 攻撃3000
「《インフェルニティ・デス・ドラゴン》の効果発動。手札が0枚の時、1ターンに1度相手モンスター1体を破壊する」
「何!?」
「《ペイルライダー》は戦った相手モンスターを破壊する。だが、この場合はどうだろうな?インフェルニティ・デス・ブレス!!」
《インフェルニティ・デス・ドラゴン》の口からドリル状に回転する黒いブレスが放たれる。
《魔装騎士ペイルライダー》は避け、マシンガンで牽制射撃するが、その黒竜はブレスを放ち終えると構うことなく直進し、その腕で相手を切り裂いた。
「更に、破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える」
翔太
ライフ3400→2150
「破壊されたペンデュラムモンスターは表向きでエクストラデッキへ送られる」
悔しげな表情を浮かべながら、翔太は《魔装騎士ペイルライダー》をエクストラデッキへ送る。
「どうやらお前が俺にシンクロ召喚してほしかったのは《オーガ・ドラグーン》だったようだな…」
「…」
「図星だな。だが俺もお前の都合にあった行動をとるほどお人好しじゃねえからな。俺はこれでターンエンド」
翔太
手札0
ライフ2150
場 魔装竜ファーブニル レベル4 攻撃1900
魔装鳥キンシ レベル7 攻撃2400
魔装槍士タダカツ(青) ペンデュラムスケール2
魔装剣士ムネシゲ(赤) ペンデュラムスケール9
伏せカード1
鬼柳
手札2→0
ライフ4000
場 インフェルニティ・デス・ドラゴン レベル8 攻撃3000
伏せカード2
「俺のターン!」
翔太
手札0→1
「もう1度頼む。《タダカツ》、《ムネシゲ》」
2体のペンデュラムモンスターはうなずき、力を込める。
「ペンデュラム召喚。現れろ、《魔装騎士ペイルライダー》、《魔装獣ユニコーン》」
魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500
魔装獣ユニコーン レベル4 攻撃1600
「性懲りもなくペンデュラム召喚か…。ということは、この老馬に何か効果があるんだな?」
「そうだ。このカードは俺の魔装騎士の足となり、攻撃力を800ポイントアップさせる」
《魔装獣ユニコーン》の体毛が青白く染まり、《魔装騎士ペイルライダー》をその背に乗せる。
魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500→3300
「攻撃力3300…。《インフェルニティ・デス・ドラゴン》を倒すには打倒な攻撃力だな」
「バトルだ。俺は《ペイルライダー》で《インフェルニティ・デス・ドラゴン》を攻撃!」
《魔装騎士ペイルライダー》を乗せた《魔装獣ユニコーン》が猛スピードで《インフェルニティ・デス・ドラゴン》に突っ込む。
そして、死の騎士は自らを一度死へ誘った黒竜に至近距離からマシンガンを叩き込み、リベンジを果たす。
「《ユニコーン》の効果。このカードを装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、そのモンスターの攻撃力分のダメージを与える」
「…」
鬼柳
ライフ4000→3700→700
「もう少し遊ばせてくれてもよかったのにな」
ロシアンルーレットのように、自分の人差し指を銃口に見立て、こめかみに当てる。
現在ではお笑い番組でよく行われているゲームだが、それと現実のものとは全く違う。
本物は鬼柳がやったように、自分のこめかみに銃弾が1発だけ入ったリボルバーの銃口を当て、実際に引き金を引くというあまりにも命知らずなゲームだ。
「《オーガ・ドラグーン》を出さないなら、これで終わりにする。《ファーブニル》でダイレクトアタック」
《魔装竜ファーブニル》の口から黄金のブレスが放たれる。
「罠発動。《邪神の大災害》。このカードは相手の攻撃宣言時、フィールド上の魔法・罠カードをすべて破壊する」
「何!?」
《邪神の大災害》から黒い大嵐が発生し、翔太と鬼柳の魔法・罠カードを薙ぎ払う。
そして、《魔装槍士タダカツ》と《魔装剣士ムネシゲ》も吹き飛ばされてしまった。
破壊された伏せカード
翔太
・金満で貪欲な瓶
鬼柳
・煉獄との交信
「俺は破壊された《煉獄との交信》の効果を発動。このカードが効果によって破壊され墓地へ送られた時、手札が0枚の場合、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターをすべて破壊し、エクストラデッキから《煉獄龍オーガ・ドラグーン》をシンクロ召喚する」
「何!?」
鬼柳のフィールドが真っ赤な炎に包まれる。
そして、その炎の中から《煉獄龍オーガ・ドラグーン》が姿を現し、闇夜に向けて咆哮する。
煉獄龍オーガ・ドラグーン レベル8 攻撃3000
煉獄との交信
通常罠カード
「煉獄との交信」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、手札が0枚の場合に発動できる。相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターをすべて破壊する。その後、自分のエクストラデッキから「煉獄龍オーガ・ドラグーン」1体をS召喚扱いで特殊召喚する。
「ちっ…。《煉獄との交信》の効果を使うためにわざと《ペイルライダー》の攻撃を…」
まんまと鬼柳の捨て身の策にはまってしまった翔太。
4体のペンデュラムモンスターをエクストラデッキへ送る。
「そうだ。そして、これでお前のフィールドにモンスターはいなくなり、フィールドもがら空きになった。そして手札も俺と同じ0枚。次のターン、《オーガ・ドラグーン》のダイレクトアタックで俺の勝利が決まる」
「いいや、俺はお前が破壊した罠カード《金満で貪欲な瓶》の効果を発動する」
翔太のフィールドに表面が翔太と遊矢のデッキに入っている《金満な壺》で裏面が制限カードである《貪欲な壺》という変わったデザインの瓶が現れる。
「このカードがカード効果で破壊され墓地へ送られたターンのメインフェイズ時、これをゲームから除外することで墓地に存在するモンスター、もしくはエクストラデッキに表向きで存在するペンデュラムモンスターを合計3枚デッキに戻し、デッキからカードを2枚ドローする」
翔太
手札0→2
墓地からデッキに戻ったカード
・魔装獣ユニコーン
・魔装竜ファーブニル
エクストラデッキからデッキに戻ったカード
・魔装槍士タダカツ
金満で貪欲な瓶
通常罠カード
「金満で貪欲な瓶」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):効果によって破壊され墓地へ送られたターンのメインフェイズ時に墓地からこのカード1枚を除外することで発動できる。自分のエクストラデッキの表側表示のPモンスター及び自分の墓地のモンスターを合計3枚選び、デッキに加えてシャッフルする。その後、デッキからカードを2枚ドローする。
「更に俺はエクストラデッキに存在する《魔装鳥キンシ》の効果を発動。1度だけ、そこから俺の手札に戻すことができる」
翔太のエクストラデッキから炎が噴き出て、それと共に《魔装鳥キンシ》が排出される。
「だがペンデュラム召喚は1ターンに1度しか行えない。とはいっても、お前はまだモンスターを召喚していなかったな」
「ああ…。よって、俺はカードを2枚伏せ、ターンエンドだ」
翔太
手札1(《魔装鳥キンシ》)
ライフ2150
場 伏せカード2
鬼柳
手札0
ライフ700
場 煉獄龍オーガ・ドラグーン レベル8 攻撃3000
「俺のターン」
鬼柳
手札0→1
「俺は手札から魔法カード《バレット&カートリッジ》を発動。このカードはデッキの上から4枚を墓地へ送り、デッキからカードを1枚ドローする。そして、発動後このカードはデッキの一番上へ置き、デッキに戻ったこのカードをドローした場合、俺はそのカードを墓地へ送る」
実質手札消費なしで4枚ものカードを墓地に肥やすことができるカード。
しかし、考えなしで発動すると次のターンのドローを潰してしまう。
そんな扱いの難しいカードを使う鬼柳の実力の高さがうかがえる。
デッキから墓地へ送られたカード
・インフェルニティ・ジェネラル
・インフェルニティ・フォース
・ダッジ・ロール
・インフェルニティ・リベンジャー
「バトルだ。俺は《オーガ・ドラグーン》でダイレクトアタック」
《煉獄龍オーガ・ドラグーン》の口に煉獄の炎が集結していく。
「煉獄の混沌却火!」
攻撃名宣言と同時に炎が黒く染まり、翔太に向けて放たれる。
「伏せカード発動!!」
「無駄だ。このカードは俺の手札が0枚の時、1ターンに1度相手の魔法・罠カードの発動を無効にし、破壊する!」
《煉獄龍オーガ・ドラグーン》の鋭い尾が翔太の伏せカードを貫こうとする。
しかし、鬼柳は1つ見落としていた。
翔太が発動を宣言したのが伏せカードだということを。
そして、発動された伏せカードから強風が発生し、尾で貫くことができなくなる。
「何!?こいつは…」
「そうだ。こいつはモンスター、《魔装軍師コウメイ》だ」
緑色の帽子と白い中国軍師風の服を着た黒い整った髭を持つ男が静かに魔法・罠ゾーンからモンスターゾーンへ歩いて移動する。
その手には羽の1つ1つに五芒星が刻まれている羽扇が握られている。
魔装軍師コウメイ レベル3 守備1600
「モンスターを魔法・罠ゾーンにセットだと?」
「ああ…。このカードは魔法・罠ゾーンにセットすることができる。そして、相手がダイレクトアタックをするとき、セットされているこのカードを俺のフィールドに特殊召喚することができる。そしてこの効果で特殊召喚されたターン、俺のモンスターは破壊されず、俺が受けるダメージも0になる」
《魔装軍師コウメイ》が羽扇を振ると翔太のフィールドの前に強烈な風の障壁が設置される。
魔装軍師コウメイ
レベル3 攻撃500 守備1600 効果 風属性 魔法使い族
「魔装軍師コウメイ」の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードは手札から魔法・罠ゾーンにセットすることができる。この効果でセットされている間のみ、このカードは魔法カードとして扱う。
(2):相手の直接攻撃宣言時、このカードが(1)の効果によってセットされている場合に発動できる。このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。この効果で特殊召喚に成功したターン、自分フィールド上のモンスターは戦闘および効果では破壊されず、自分が受けるダメージは0となる。
「俺は手札から魔法カード《インフェルニティ・ロシアンルーレット》を発動」
発動と同時に、リボルバーが空中に現れ、その銃口が鬼柳のこめかみに向けられる。
「ロシアンルーレットだと…?」
「これから俺はカードの種類を1つ宣言し、カードを1枚ドローする。宣言したカードが宣言した種類のカードであれば、そのカードを墓地へ送り、墓地からインフェルニティモンスターおよび《煉獄龍オーガ・ドラグーン》を2体まで墓地から特殊召喚できる。外れた場合は俺のフィールド上に存在するモンスターをすべて破壊する」
銃口を向けられているにもかかわらず、鬼柳は笑っている。
それに対し、翔太は苦い表情を浮かべる。
当然のことだ。
鬼柳も翔太も次にドローするカードの種類がわかっている。
「当然、宣言するのは魔法カードだ」
ドローし、そのカードを見ないまま墓地へ送る。
「当然、ドローしたカードは《バレット&カートリッジ》。よって、俺は墓地から《インフェルニティ・デス・ドラゴン》と《インフェルニティ・デーモン》を特殊召喚」
リボルバーが上空に向けて発砲すると、地中から2体のインフェルニティモンスターが現れる。
インフェルニティ・デス・ドラゴン レベル8 攻撃3000
インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800
インフェルニティ・ロシアンルーレット
通常魔法カード
(1):自分はカードの種類(モンスター・魔法・罠)を1つ宣言し、デッキからカードを1枚ドローし、互いに確認する。当たりの場合、そのカードを墓地へ送り、自分の墓地から「インフェルニティ」モンスター及び「煉獄龍オーガ・ドラグーン」を合計2体まで特殊召喚することができる。ハズレの場合、自分フィールド上に存在するモンスターをすべて破壊する。
「そして、《インフェルニティ・デーモン》の効果により、俺はデッキから《インフェルニティ・ガン》を手札に加える。そして、手札から永続魔法《インフェルニティ・ガン》を発動。手札が0枚の時、このカードを手札から墓地へ送ることで、墓地からインフェルニティモンスターを2体まで特殊召喚できる。現れろ、《インフェルニティ・ビートル》、《インフェルニティ・ドワーフ》!」
《インフェルニティ・ビートル》と共に灰色の肌をしたヨーロッパの木こりの姿のドワーフが現れる。
インフェルニティ・ビートル レベル2 攻撃1200(チューナー)
インフェルニティ・ドワーフ レベル2 守備500
「《インフェルニティ・ドワーフ》…?」
「このカードは手札が0枚の時、俺のモンスターすべてに貫通効果を与える。これでお前は守備モンスターを出す意味がなくなった。レベル4の《インフェルニティ・デーモン》にレベル2の《インフェルニティ・ビートル》をチューニング。青き瞳を持つ狼よ、天と地を喰らい、魂を煉獄へ導け。シンクロ召喚。現れろ、《天狼王ブルー・セイリオス》」
天狼王ブルー・セイリオス レベル6 攻撃2400
「俺はこれでターンエンドだ」
翔太
手札1(《魔装鳥キンシ》)
ライフ2150
場 魔装軍師コウメイ レベル3 守備1600
伏せカード1
鬼柳
手札1→0
ライフ700
場 煉獄龍オーガ・ドラグーン レベル8 攻撃3000
インフェルニティ・デス・ドラゴン レベル8 攻撃3000
インフェルニティ・ドワーフ レベル2 守備500
天狼王ブルー・セイリオス レベル6 攻撃2400
このターンはしのぐことができたが、鬼柳のフィールドには貫通効果を持ったシンクロモンスターが3体。
そして《煉獄龍オーガ・ドラグーン》と《インフェルニティ・デス・ドラゴン》によって、確実に1体のモンスターと1枚の魔法・罠カードが灰にされてしまう。
翔太の手札に存在するのは《魔装鳥キンシ》のみ。
この状況を打開できるカードとして、翔太の頭に浮かんだのはあの1枚だ。
(《魔装獣剣スイモウ》…)
そのモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。
今の鬼柳のライフを考えると、そのモンスターの一太刀で翔太の勝利が決定する。
このドローで引き当てることができればの話だが…。
「俺のターン!。このターンのスタンバイフェイズ時に、俺は除外されている《クアトロ・デスブレイク》を手札に加える」
翔太
手札1→3
「…。俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」
翔太
手札2→1(《魔装鳥キンシ》)
ライフ2150
場 魔装軍師コウメイ レベル3 守備1600
伏せカード3
鬼柳
手札0
ライフ700
場 煉獄龍オーガ・ドラグーン レベル8 攻撃3000
インフェルニティ・デス・ドラゴン レベル8 攻撃3000
インフェルニティ・ドワーフ レベル2 守備500
天狼王ブルー・セイリオス レベル6 攻撃2400
「どうやら望んでいたカードが来なかったようだな…。俺のターン」
鬼柳
手札0→1
「罠発動、《威嚇する咆哮》」
「また俺の手札が1枚ある状態で魔法・罠を発動したか…」
「これでお前はこのターン攻撃できない」
これで翔太は3体のシンクロモンスターから攻撃を受ける心配はなくなった。
しかし、鬼柳がこのままターンを終えるはずがない。
「俺はカードを1枚伏せ、《インフェルニティ・デス・ドラゴン》の効果発動。《魔装軍師コウメイ》を破壊する。インフェルニティ・デス・ブレス!!」
《インフェルニティ・デス・ドラゴン》の口から放たれた炎によって、《魔装軍師コウメイ》が消滅する。
「《コウメイ》の攻撃力は500。よって、お前は250のダメージを受ける」
「…」
翔太
ライフ2150→1900
「これでお前のフィールドにモンスターはいない。ターンエンドだ」
翔太
手札1(《魔装鳥キンシ》)
ライフ1900
場 伏せカード2
鬼柳
手札1→0
ライフ700
場 煉獄龍オーガ・ドラグーン レベル8 攻撃3000
インフェルニティ・デス・ドラゴン レベル8 攻撃3000
インフェルニティ・ドワーフ レベル2 守備500
天狼王ブルー・セイリオス レベル6 攻撃2400
伏せカード1
「俺のターン!」
翔太
手札1→2
「俺は《魔装獣剣スイモウ》を召喚!」
魔装獣剣スイモウ レベル3 攻撃1200
「罠発動。《インフェルニティ・ブレイク》。手札が0枚の時、墓地のインフェルニティカード1枚を除外することで、相手フィールド上のカードを1枚破壊する」
「何!?」
突然上空から落ちてきた雷を受け、《魔装獣剣スイモウ》が破壊されようとした。
「これでお前の望みが絶たれたな…」
「望みが絶たれたのはお前だ。俺は罠カード《アサシン・ブレイク》を発動。俺のターンに俺のフィールド上に存在する魔装モンスターが効果で破壊された時、俺の墓地・エクストラデッキに存在する《ペイルライダー》をデッキに戻すことで、相手フィールド上で最も攻撃力の高いモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える」
「無駄なことを…。《オーガ・ドラグーン》の効果発動。俺の手札が0枚の時、1ターンに1度相手の魔法・罠カードの発動を無効にし、破壊する!」
《煉獄龍オーガ・ドラグーン》の尾が《アサシン・ブレイク》を貫こうとする。
「俺は《アサシン・ブレイク》のもう1つの効果を発動。俺のフィールド上にセットされている《クアトロ・デスブレイク》を墓地へ送ることで、このカードの発動に対して、相手はカードを発動できなくする」
「何…!?」
尾は確かに《アサシン・ブレイク》を貫いた。
しかし、その時には《アサシン・ブレイク》が蜃気楼だったかのように姿をけし、代わりに霊体となっている《魔装騎士ペイルライダー》が姿を現す。
「死の騎士の魂が煉獄の竜を冥界へ誘う。クアトロ・デスブレイク!!」
《魔装騎士ペイルライダー》が《煉獄龍オーガ・ドラグーン》を光剣で真っ二つにした。
鬼柳
ライフ700→0
アサシン・ブレイク
通常罠カード
「アサシン・ブレイク」は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分のターンに自分フィールド上に表側表示で存在する「魔装」モンスターが効果によって破壊されたとき、自分のエクストラデッキ・墓地に存在する「魔装騎士ペイルライダー」1体をデッキに戻すことで発動できる。相手フィールド上で最も攻撃力の高いモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。
(2):このカードを発動するとき、自分フィールド上にセットされている「クアトロ・デスブレイク」1枚を墓地へ送ることができる。そうした場合、相手はこのカードの発動に対して魔法・罠・モンスター効果を発動できない。
「…。やるな、秋山翔太」
負けたにもかかわらず、鬼柳はにやりとしている。
「(《オーガ・ドラグーン》…。こいつは違うのか…?)約束だ。伊織がどこにいるのか教えろ」
「さあ…どこにいるだろうな?」
「とぼけるな!!」
怒声を浴びせながら、鬼柳の胸ぐらをつかむ。
すると、急にデュエルディスクが鳴る。
「こんな時に…」
鬼柳を突き放し、電話に出る。
「もしもし…」
(やっほー、翔太君。今どこにいるの?)
「伊織…!?お前今どこに…」
(やっだなー翔太君。今はホテル。10分くらい前に戻ったよ。それに、コンビニへお菓子を買いに行くって言ったじゃん。翔太君はどこに…?)
「はあ…。散歩していただけだ。これから戻る」
電話を切り、すぐに鬼柳がいると思われる方向に目を向ける。
しかし、そこに鬼柳の姿はなかった。
「ちっ…あいつどこへ行った!?」
大急ぎでバイクを置いた場所へ向かうが、すでに鬼柳のバイクは消えていた。
(一体何が目的だったんだ…?あいつは…)
「…」
自身が滞在するホテルの一室で、鬼柳はポケットから写真を出す。
写真には少し幼い自分自身とその頃一緒にいた友人たち、そして聖子と純也の姿が映っている。
(顔立ちがあの人に似ている…。それに…)
「鬼柳。頼まれてたものを見つけたぜ」
ノックもせずにロットンが部屋へ入り、書類を机に置く。
「それで、秋山翔太が見つかった場所は」
「ああ…。6年前に純也さんが行方不明になったところと同じだ。もしかして、あいつは…」
「どうだろうな…。もしそうじゃないとしても、あいつが手掛かりになるはずだ…」