「何!?遊矢が目を覚ました??」
「ふぇぇ!?」
柚子からの連絡に翔太と伊織が驚きと喜びが融合した感情にひたる。
3日近く肉体に異常がないにもかかわらず眠りについていた遊矢が突然目をさまし、すぐに外出できるくらいに元気になっている。
そして、彼女からさらに衝撃的な言葉が告げられる。
(ええ…。それで遊矢、素良が行方不明になった現場である公園で会ったの。その…ユートっていう遊矢そっくりの人と)
「ユート…」
遊矢そっくりの人という言葉で最初に頭に浮かんだのが《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を使うあの少年だ。
「それで…4つの次元というのは?」
「私達がいる世界がスタンダード次元、すべての世界の基礎となっている世界よ。そして、ユートがいるエクシーズ次元、素良がいた融合次元、そしてシンクロ次元が存在するって…」
「スタンダード次元…エクシーズ次元…融合次元…シンクロ次元…!!?」
急に翔太の頭に激痛が発生する。
「な…んだ…この痛みは…うわああ!!」
「翔太君!?」
デュエルディスクを落とし、痛みで床で転げまわる翔太を伊織が必死になって呼びかける。
痛みに苦しむ翔太の目に次々とビジョンが浮かび上がる。
かなり近代化が進んだ都市に現れる赤・黄・青の制服のデュエリストたち。
アンティークモンスターや融合モンスターによって次々と襲われ、カードに変えられていく人々。
そんな彼らに対抗するために、生き残った人々が召喚するエクシーズモンスター達。
(融合次元…エクシーズ次元…侵攻…??)
移り変わるビジョンの数々が翔太の脳に何かを語りかける。
そして、真夜中の舞網市の公園の光景が目に浮かぶ。
ユートとホワイトタイガーを連想させるDホイールに乗る、バナナのような形の黄色い前髪と青い少し長めの髪が融合した髪型で遊矢そっくりの顔をした少年が対峙する。
彼らの表情は憎悪に満ちていて、両者の瞳が青白く染まっている。
「やれ!《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》」
「迎え撃て!!《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!!」
白と青を基調としていて、体の至る部分に青がかった緑色のパーツがついている蛇竜、《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》と《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》がぶつかり合い、それに《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》が飛び込んでいく…。
「…!?はあ…はあ…」
「翔太君…大丈夫…?」
「あ、ああ…」
ビジョンが途切れると同時に翔太に襲い掛かる激痛が消えていく。
(翔太さん、伊織!!何かあったの!?)
「大丈夫だ…何でもない…」
(そ、そう…けど、急に物音が…)
「なんでもないから話を進めろ!!」
(…。分かったわ。融合次元はエクシーズ次元を滅ぼそうと動いていて、エクシーズ次元から来たデュエリストである黒咲が彼らに妹の瑠璃をさらわれたって…)
「なぜそれを俺たちに話すんだ?」
(分からないわ…けど、翔太さん達には知らせた方がいいと思って。とにかく、気を付けて)
柚子との電話が切れる。
この時、2人はまだ知らなかった。
これから始まる長い戦いの運命に巻き込まれてしまったことを。
わずかに時間が流れ、スタジアム…。
(レディースアンドジェントルメン!!みなさんお待たせいたし貸した!!今ここに、ビークルデュエルを制したデュエリストたちが集まっています!!)
観客の歓声の元、翔太たち15人が入場してくる。
オーロラビジョンには入場した組の顔写真と名前が表示される。
●遊勝塾のダークホース 秋山翔太&永瀬伊織
●Mr.マシンブラザーズ ジョー・ハインリヒ&カイル・ディクソン
●盲目の毒蜘蛛 ジョンソン・オーベル
●アメリカからやってきた流浪のデュエリスト ハンス・アンデルセン&ジェイク・クロコダイル
●黒き翼と白き刃 ロベルト・ピアスン&クリス・ボルガー
●意外性の鬼神 枢密院セクト&山上太郎
●凸凹兄弟 プラシド・イリアス&ルチアーノ・イリアス
●沈黙のデュエリスト アモス・ガラム&シド・ガラム
「今日からは本選2回戦!がんばろう、翔太君!」
(気持ちの切り替えの早い奴だな…)
未だに電話で聞いたことを引きずっている自分に対し、再びやかましいくらいの明るさを見せる伊織。
そんな彼女を翔太はうらやましく思っている。
(では、第2回戦は…これだーーーー!!!!フィールド魔法《戦神の迷宮》だーーー!!)
スタジアム中央にいる翔太たちを中心に、複雑怪奇な石造りの迷路がソリッドビジョンで構築されていく。
(第2回戦で行われるのはダンジョンデュエル!!このデュエルでは1人がデュエルを行い、もう1人は実際にダンジョンを進んでいただきます!なお、単独参加であるジョンソン選手についてはダンジョンを攻略しつつ、デュエルをしていただきます。このデュエルではライフは存在せず、そのデュエルによって発生するダメージによってその選手のパートナーにとって悪いイベントがダンジョン内で発生します。なお、ライフを回復した場合はパートナーにとって良いイベントが発生します!パートナーとなるデュエリストはダンジョン内である2枚のカードを回収したのち、ゴールを目指していただきます!そして、先にパートナーがゴールした組が勝者となり、敗者が手にした、もしくは手にするはずだった2枚のカードをアンティとして手に入れることができる!!ちなみにそのカードというのは…レオコーポレーションが制作したペンデュラムモンスターだーーーー!!)
(ペンデュラムモンスター…そして、アンティルール??)
MCの言葉に選手と観客は驚きを隠せずにいる。
翔太と伊織もこれほど早くペンデュラムモンスターがばら撒かれることになるとは思わなかった。
もっとも、その原因の一部には伊織や沢渡のようなLDSから渡された試作ペンデュラムモンスターを使用したこともあるが。
「ダンジョンデュエル…楽しみーーー!!」
「伊織、デュエルは俺がやる。お前はダンジョンで動き回ってろ」
「え…?けど翔太君の方が動きが…」
「お前のデュエルはあてにならないからな」
「えーーーー!!」
(第2回戦開始は明日から、その日に組み合わせも決定いたします。そしてここからは…エクシビションマッチを行います!!)
《戦神の迷宮》が消滅すると同時に映像が切り替わる。
映像に表示されたのは赤馬零児だった。
「「わぁーーーー!!」」
「「零児様ーーー!!」」
零児の姿が出ると、客席が猛烈な熱気に包まれる。
(そういえば、奴はプロデュエリストだったな…)
(では、エキシビションマッチの相手を赤馬零児自身に決めていただきましょう!!)
(私のデュエルの相手は…君だ。秋山翔太)
指を差しながら、零児が相手を宣言する。
「俺でいいのか?お前が負けるかもしれないぞ?」
(それはそれで一興だろう。君もまた榊遊勝のエンタメデュエルを見せてくれることを期待している)
「いいなー、翔太君が赤馬零児とデュエルができるなんてー」
(サーカスの見世物をさせられるのがうれしいわけがないだろう…!!)
零児と一度は戦ってみたいと思っていたが、自分が目立つのが嫌いな翔太にとってはエキシビションマッチという形での対戦はしたくなかった。
そのため、不機嫌の方が強くなる。
伊織たちが特設席まで移動すると、翔太とソリッドビジョンの零児が中央へ行く。
(アクションデュエルではないことを先に詫びておこう)
「関係ないな。どちらでも俺のデュエルをするだけだからな」
(そうか…では始めよう)
「「デュエル!!」」
翔太
手札5
ライフ4000
零児
手札5
ライフ4000
「先攻はもらう。俺は手札から《魔装陰陽師セイメイ》を召喚」
魔装陰陽師セイメイ レベル3 攻撃1000(チューナー)
「このカードの召喚に成功した時、手札からレベル4以下の魔装モンスター1体を特殊召喚することができる。俺は手札から《魔装妖ビャッコ》を特殊召喚」
「キュイーー!」
可愛らしい鳴き声と共にフィールドに飛び出したビャッコを見て、女性陣が歓声を上げる。
「わあ、狐さんだーーー!」
「可愛いなぁ」
魔装妖ビャッコ レベル3 攻撃400
「《ビャッコ》が魔装モンスターのシンクロ素材、もしくはエクシーズ素材となるとき、このカードのレベルを4としても扱うことができる。俺はレベル4の《ビャッコ》にレベル3の《セイメイ》をチューニング。黄金の剛腕を持つ漆黒の戦士、その気高き力で道を拓け。シンクロ召喚!現れろ、《魔装剛毅クレイトス》!」
魔装剛毅クレイトス レベル7 攻撃2600
(いきなりのシンクロ召喚!翔太選手、相手がプロだろうとお構いなしかーーーー!?)
「更に《ビャッコ》の効果発動。このカードをシンクロ素材、もしくはエクシーズ素材としたとき、デッキからカードを1枚ドローする。俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
翔太
手札5→3
ライフ4000
場 魔装剛毅クレイトス レベル7 攻撃2600
伏せカード1
零児
手札5
ライフ4000
場 なし
「私のターン…ドロー」
零児
手札5→6
「私は手札から魔法カード《魔神王の契約書》を発動。私のターンのスタンバイフェイズ時に私が1000ポイントのダメージを受ける。だが1ターンに1度、手札・フィールド上に存在するモンスターを素材に、悪魔族融合モンスターを融合召喚することができる。私が素材とするのは手札の《DDリリス》と《DDD反骨王レオニダス》。闇より誘う妖婦よ、大軍に抗いし王よ!冥府に渦巻く光の中で、今ひとつとなりて新たな王を生み出さん。融合召喚! 生誕せよ!《DDD烈火王テムジン》!」
ソリッドビジョンの零児の前に《DDD烈火王テムジン》が現れる。
タイムラグなしでこのようなことができることからもレオコーポレーションの技術の高さがうかがえる。
DDD烈火王テムジン レベル6 攻撃2000
(ちっ…《反骨王レオニダス》を墓地に落としたか…)
観客が《DDD烈火王テムジン》に注目する中、翔太は融合素材となった《DDD反骨王レオニダス》を見る。
攻撃力2600で、《魔装剛毅クレイトス》と相討ち覚悟で攻撃することができる。
合理的な零児ならば、《魔装剛毅クレイトス》を後の禍根となることを避けるために《DDD反骨王レオニダス》を犠牲にしてでも倒すはずだ。
「更に私は手札から《DDナイト・ハウリング》を召喚」
DDナイト・ハウリング レベル3 攻撃300(チューナー)
「このカードの召喚に成功した時、墓地からDDモンスター1体を攻撃力・守備力を0にして特殊召喚できる。私は墓地から《DDリリス》を特殊召喚する」
《DDナイト・ハウリング》の咆哮がスタジアム中に響き渡り、地中から《DDリリス》が現れる。
DDリリス レベル4 守備2100→0
「更に《烈火王テムジン》の効果発動。1ターンに1度、私のフィールド上にDDモンスターが特殊召喚された時、墓地からDDモンスター1体を特殊召喚できる。私は《DDD反骨王レオニダス》を特殊召喚」
黄金の円盾と剣、鎧に赤いマントをつけた王が《DDD烈火王テムジン》と並ぶ。
DDD反骨王レオニダス レベル7 攻撃2600
「更に私はレベル4の《DDリリス》にレベル3の《DDナイト・ハウリング》をチューニング。闇を切り裂く咆哮よ。疾風の速さを得て新たな王の産声となれ!シンクロ召喚!生誕せよ!レベル7!《DDD疾風王アレクサンダー》!」
DDD疾風王アレクサンダー レベル7 攻撃2500
零児のフィールドに3体の上級モンスターが並び、《魔装剛毅クレイトス》が迎撃のために拳を構える。
「《クレイトス》と《レオニダス》の攻撃力は2600…それに《レオニダス》はエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターじゃないから、攻撃力アップの効果が使えない!」
「このまま《レオニダス》と《クレイトス》が相討ちして、続けざまに2体のモンスターの攻撃が通ったら、ライフは0になるね。問題は…」
伊織が《魔装剛毅クレイトス》と《DDD反骨王レオニダス》を見るのに対して、ハンスは翔太の伏せたカードに注目している。
たった1枚の伏せカードによって、状況が変化したケースが多いことを理解しているためだ。
無論、零児もそれは分かっている。
そうでなければ、プロとして戦うことはできない。
「私は手札から魔法カード《DDDトラスト》を発動。《魔神王の契約書》を墓地へ送り、このターン、私のフィールド上に存在するDDモンスターが攻撃するとき、相手はダメージ計算終了時まで魔法・罠カードを発動できない」
《魔神王の契約書》が消滅し、羊毛紙でできた契約書がくくりつけられた長剣が翔太の伏せカードを突き刺す。
契約書には『DDモンスターが攻撃する際、秋山翔太は魔法・罠カードを発動できない』と書かれている。
DDDトラスト
通常魔法カード
「DDDトラスト」は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分の魔法・罠ゾーンの「契約書」カード1枚を墓地へ送ることで発動できる。このターン、自分フィールド上に存在する「DD」モンスターが攻撃するとき、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。
「そんな!翔太君の伏せカードが封じられちゃった!!」
「バトルだ!《反骨王レオニダス》で《クレイトス》を攻撃!!」
《DDD反骨王レオニダス》の剣と《魔装剛毅クレイトス》の拳がぶつかり合う。
両者ともに力は互角で、ぶつかり合いによって生じた衝撃波によって仲良く吹き飛ばされていった。
「これで翔太君のフィールドががら空き!!」
「罠発動、《刹那の調律》」
「え…!?」
「ほう…そのカードを伏せていたか」
「俺のフィールド上に存在するシンクロモンスターが破壊された時、そのモンスターと手札のチューナーモンスターを使って、シンクロ召喚をする!俺は破壊された《クレイトス》に手札の《魔装猫バステト》をチューニング!茨の園より生まれし稲妻の竜よ、空を振るわし、大地に鉄槌を。シンクロ召喚!現れろ、《魔装雷竜リンドヴルム》!」
翔太の目の前に落雷のエフェクトが発生すると同時に、上空から薔薇の花びらと共に蛇のような胴体とコウモリのような羽を持つ青い竜が降りてくる。
その竜の腹部に五芒星が刻まれている。
魔装雷竜リンドヴルム レベル8 攻撃3000
「すごーい!!破壊されてもすぐに上級モンスターを呼び出した!」
「私は手札から魔法カード《異次元の契約》を発動。私のフィールド上にDDDが2体以上存在するとき、デッキからカードを2枚ドローし、手札を1枚墓地へ捨てる」
手札から墓地へ送られたカード
・DDD壊薙王アビス・ラグナロク
異次元の契約
通常魔法カード
(1):自分フィールド上に「DDD」モンスターが2体以上存在する場合にのみ発動できる。デッキからカードを2枚ドローし、その後手札を1枚捨てる。
「私はこれでターンエンド」
翔太
手札3→2
ライフ4000
場 魔装雷竜リンドヴルム レベル8 攻撃3000
零児
手札6→1
ライフ4000
場 DDD烈火王テムジン レベル6 攻撃2000
DDD疾風王アレクサンダー レベル7 攻撃2500
「俺のターン」
翔太
手札2→3
「なるほど…君は《クレイトス》をすぐに倒されることを想定していたようだな」
「ああ、お前は他の奴らとは違って生半可なことは通用しないと思ったからな」
「光栄だな、それほど評価されているとは…」
「バトルだ。俺は《魔装雷竜リンドヴルム》で《疾風王アレクサンダー》を攻撃。ライトニング・ストライク」
《魔装雷竜リンドヴルム》が咆哮すると、《DDD疾風王アレクサンダー》の足元から大量の棘が現れ、そのモンスターを拘束する。
なんとか剣で切り裂こうとするが、棘が想像以上に固く、風を纏わせても斬ることができない。
拘束したのを確認すると同時に、《魔装雷竜リンドヴルム》が全身に雷を纏い、そのモンスターに向けて突撃した。
突撃と同時に、纏っていた雷が《DDD烈火王テムジン》にも襲い掛かり、結果的に《魔装雷竜リンドヴルム》は2体のモンスターを同時に破壊する形となった。
「《魔装雷竜リンドヴルム》は攻撃するとき、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つこのカード以外のモンスター、もしくは魔法・罠カード1枚を破壊する」
「なるほど…だから《テムジン》も破壊されたということか…」
零児
ライフ4000→3500
「だが、《テムジン》の効果は忘れたわけではないだろう?このカードが先頭または相手のカード効果で破壊された時、墓地から契約書を1枚手札に加える。私は墓地から《魔神王の契約書》を手札に加える」
「ああ…。俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」
翔太
手札3→1
ライフ4000
場 魔装雷竜リンドヴルム レベル8 攻撃3000
伏せカード2
零児
手札1→2(うち1枚《魔神王の契約書》)
ライフ3500
場 なし
魔装雷竜リンドヴルム
レベル8 攻撃3000 守備1000 シンクロ 光属性 ドラゴン族
「魔装」チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「魔装雷竜リンドヴルム」の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードが相手モンスターを攻撃するときに、フィールド上に存在する攻撃対象となったモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つモンスター、もしくはフィールド上に存在する魔法・罠カードのいずれか1枚を対象に発動する。そのカードを破壊する。
「すげえ…あの赤馬零児に先制ダメージを与えたぞ!!」
「それになんだよあのモンスター、見たことないぞ!?」
翔太のモンスター、そして彼自身の力量に客席が動揺する。
(今のあいつの手札には《魔神王の契約書》がある。そして、《異次元の契約》の効果で《アビス・ラグナロク》が墓地へ送られた)
(《リンドヴルム》の破壊効果は脅威だ。だが、そのおかげで《魔神王の契約書》を手札に戻すことができた。あとは、攻撃事態を無効にするか、そのモンスターを除去する手をうてばいい)
(今の俺の墓地には《魔装猫バステト》を含めて、魔装モンスターは4体)
「(彼の伏せカードは2枚…どのような動きを見せるか…)私のターン、ドロー」
零児
手札2→3
「私は手札から永続魔法《魔神王の契約書》を発動。その効果で私は墓地のモンスターを素材に、DD融合モンスターを融合召喚できる」
(動くか…《リンドヴルム》を倒しに…)
「私が除外するのは《烈火王テムジン》と《疾風王アレクサンダー》!闇を焼く炎よ、風纏いし征服王よ!異次元の中で1つとなりて、新たな王を生み出さん!融合召喚!生誕せよ、《DDD氷塊王ピョートル》!」
零児のフィールドに次元の裂け目が現れ、そこから全身が永久凍土で構築された鎧に包まれ、右手には錫杖を装備している金髪の若き王が現れる。
DDD氷塊王ピョートル レベル8 攻撃2800
「《ピョートル》の効果発動。このカードの融合召喚に成功した時、墓地か除外されているDDモンスター3体をデッキに戻し、デッキからカードを2枚ドローする」
《DDD氷塊王ピョートル》が錫杖を天に掲げると、除外されていた《DDD烈火王テムジン》と《DDD疾風王アレクサンダー》そして墓地の《DDナイト・ハウリング》が氷の彫像となった状態で消滅し、零児はカードをドローする。
零児
手札3→4
DDD氷塊王ピョートル
レベル8 攻撃2800 守備2300 融合 水属性 水族
融合・S・Xモンスターを含む「DDD」モンスター×2
「DDD氷塊王ピョートル」の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードが融合召喚に成功した時、自分の墓地か除外されている自分の「DD」モンスター3体を対象に発動できる。そのカードをデッキに戻し、自分はデッキからカードを2枚ドローする。
(2):フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから「契約書」カード1枚を手札に加える。
「そして私はスケール1の《DD魔導賢者ガリレイ》とスケール10の《DD魔導賢者ケプラー》でペンデュラムスケールをセッティング」
(来た…!遊矢を倒したペンデュラムモンスター…)
零児の左右に2体の魔導賢者が現れ、光の柱を生み出す。
「嘘だろ…!?」
「赤馬零児までペンデュラム召喚を??」
「わが魂を揺らす大いなる力よ、この身に宿りて闇を引き裂く新たな光となれ!ペンデュラム召喚!!出現せよ、私のモンスター達よ!!誇り高き殉教者、《DDプラウド・マーター》!流れに抗いし王、《DDD反骨王レオニダス》!!」
白銀のフードと白銀のローブをまとった皺だらけで盲目の老人と《DDD反骨王レオニダス》がフィールドに現れる。
DDプラウド・マーター レベル5 攻撃1900
DDD反骨王レオニダス レベル7 攻撃2600
「これで3体…!!」
「更に《DDプラウド・マーター》の効果発動。このカードの特殊召喚に成功した時、このカードをリリースすることで墓地またはエクストラデッキに存在するDDペンデュラムモンスター1体を特殊召喚できる。今こそ現れよ、異次元を操りし王、《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》!」
頭部と両肩に角がついた漆黒の鎧と兜を身に着け、各所に青い宝玉が埋め込まれている王が現れる。
それと同時に彼の背後からナイフがついた黒い縄が数本出現する。
DDD壊薙王アビス・ラグナロク レベル8 攻撃2200
「《アビス・ラグナロク》…赤馬零児、また新たなペンデュラムモンスターを…」
「《アビス・ラグナロク》の効果発動。1ターンに1度、私のDDモンスター1体をリリースすることで、相手フィールド上のモンスター1体を除外する。私は《氷塊王ピョートル》をリリースする」
「何!?」
《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》のすべてのナイフに霊体となった《DDD氷塊王ピョートル》が宿る。
氷の宿ったナイフはすべて《魔装雷竜リンドヴルム》を貫き、氷像にした後で粉々に打ち砕いた。
「ちっ…!!」
「これで再び君のフィールドからモンスターはいなくなった…。さあ、どのような動きを見せてくれる?バトルだ!!《反骨王レオニダス》でダイレクトアタック!!」
《DDD反骨王レオニダス》の剣が翔太を縦一線に切り裂く。
「ぐう…!!」
翔太
ライフ4000→1400
「俺は罠カード《ダメージ・コンデンサー》を発動!俺が戦闘ダメージを受けたとき、手札を1枚墓地へ捨てることで受けたダメージ以下の攻撃力を持つモンスターをデッキから攻撃表示で特殊召喚できる。現れろ、第4の騎士、《魔装騎士ペイルライダー》!!」
魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500
手札から墓地へ送られたカード
・魔装詩人ダンテ
「出たーーー!《ペイルライダー》!」
翔太のエースカード登場に伊織は大喜びだ。
「更に俺は罠カード《クアトロ・デスブレイク》を発動。俺のフィールド上に《ペイルライダー》が存在するとき、相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を破壊し、このカードを除外する!」
《クアトロ・デスブレイク》から射出されたガトリング砲を受け取った《魔装騎士ペイルライダー》はそれを《DDD反骨王レオニダス》に向けて発射する。
ガトリングの猛攻により、丸楯が砕け、鎧もろとも肉体がハチの巣にされていった。
「フィールド上に存在するペンデュラムモンスターは墓地へは行かず、エクストラデッキへいく」
零児の手で《DDD反骨王レオニダス》がエクストラデッキへ送られる。
「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
翔太
手札1
ライフ1600
場 魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500
伏せカード1
零児
手札2→0
ライフ3500
場 DDD壊薙王アビス・ラグナロク レベル8 攻撃2200
DD魔導賢者ガリレイ(青) ペンデュラムスケール1
DD魔導賢者ケプラー(赤) ペンデュラムスケール10
魔神王の契約書(永続魔法)
伏せカード1
「俺のターン」
翔太
手札1→2
(実際に戦ってみてわかる…。なぜ遊矢が彼に敗れたのかがな。だが…)
翔太はドローしたカードと墓地に存在する《魔装猫バステト》を見る。
「(俺のキャラじゃないが、なぜか楽しくなる。あいつを本気で倒したくなる…。俺は…あいつに勝ちたい!)俺は墓地に存在する《魔装猫バステト》の効果を発動。俺のフィールド上に魔装モンスターが存在するとき、手札・墓地から特殊召喚できる」
魔装猫バステト レベル1 攻撃0(チューナー)
「更に手札から魔法カード《魔装融合》を発動!俺の手札・フィールド・墓地に存在するモンスターを素材に魔装融合モンスターを呼び出す。俺が素材とするのは墓地の《魔装雷竜リンドヴルム》と《魔装剛毅クレイトス》。雷鳴を呼ぶ棘の竜よ、征服王の従者よ、魔導の力によりて、今1つとならん。融合召喚!炎の聖女、《魔装聖女ジャンヌ》!」
首にロザリオをかけ、青い騎士の鎧を身に着けた金髪の少女が翔太の前に現れる。
右手には刀身に五芒星が刻まれた剣があり、左手には十字架が刻まれた青いカイトシールドがある。
魔装聖女ジャンヌ レベル8 攻撃?
「このカードの攻撃力は融合素材となった魔装モンスターの攻撃力の合計となる」
2体のモンスターの魂が剣に宿り、刀身が赤い炎に包まれる。
魔装聖女ジャンヌ レベル8 攻撃?→3000→5600
「攻撃力5600!?」
「更に俺は手札から魔法カード《魔装旋風》を発動。俺のフィールド上に魔装モンスターが3体以上存在するとき、相手の魔法・罠カードをすべて破壊する。このカードの発動に対して、相手はカード効果を発動できない」
《魔装猫バステト》が巨大な砂嵐を引き起こし、《魔装聖女ジャンヌ》がそれに炎を宿す。
更に《魔装騎士ペイルライダー》がミサイルランチャーで視界を封じると、その竜巻は零児のフィールドを襲う。
砂嵐が消えると、零児のフィールドから光の柱と伏せカードが消滅していた。
魔装旋風
通常魔法カード
「魔装旋風」は1ターンに1度しか発動できない。
このカードの発動に対して魔法・罠・モンスターの効果は発動できない。
(1):自分フィールド上に「魔装」モンスターが3体以上存在する場合にのみ発動できる。相手フィールド上に存在する魔法・罠カードをすべて破壊する。
「更にこのカードが攻撃するとき、相手は魔法・罠カードを発動できない。バトルだ!俺は《ジャンヌ》で《アビス・ラグナロク》を攻撃!」
《魔装聖女ジャンヌ》の炎の剣が《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》を斬る。
すると異次元の王の肉体が灼熱の炎に包まれ、一瞬で灰化していった。
「ぐうううう!…くっ!!」
零児
ライフ3500→100
魔装聖女ジャンヌ
レベル8 攻撃? 守備? 融合 炎属性 天使族
レベル5以上の「魔装」モンスター×2
このカードは融合召喚でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードの元々の攻撃力・守備力はこのカードの融合素材としたモンスターの元々の攻撃力を合計した数値になる。
(2):このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。
「一気にライフを100に!?」
「このままとどめをさしちゃえ、翔太くーん!」
「《ペイルライダー》、あいつにとどめを刺せ!」
《魔装騎士ペイルライダー》が2本の光剣で零児を切り裂こうとする。
刃が彼を切り裂こうとするのと同時に、翔太と零児を包み込むような巨大な爆発が発生する。
「爆風が…!?」
「デュエルの結果は…一体!?」
煙が晴れると、同時に翔太が片膝を地面につける。
彼の肩にはレイピアが深々と刺さっていた。
それに対して、零児は何事もなかったかのようにその場に立っていた。
「ちっ…俺の負けか…」
「その通りだ。私は墓地から罠カード《ペンデュラム・ショック》を発動した。私のフィールド上に表側攻撃表示で存在するペンデュラムモンスターが破壊された時、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを君に与える。《アビス・ラグナロク》の元々の攻撃力は2200だ」
翔太
ライフ1600→0
ペンデュラム・ショック
通常罠カード
「ペンデュラム・ショック」は相手によって破壊されたターンに1度しか発動できない。
(1):自分フィールド上に攻撃表示で存在するPモンスターが相手の攻撃・効果によって破壊された時に発動できる。このカードを墓地から除外し、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
「見事なデュエルだった…秋山翔太」
零児のソリッドビジョンが翔太の傍に向かう。
「ちっ…あと少しで勝てたところを」
ゆっくりと立ち上がりながら、悪態をつく。
「そうだな…だが、君の実力は正直私の想像をはるかに超えていた。そして、君についていろいろ知ることができた」
「俺に…ついて?」
「また会おう、秋山翔太。そして8組のデュエリストたち、君たちのデュエルが多くの人々を楽しませてくれることを願う」
それだけ言うと、零児のソリッドビジョンが消えた。
「翔太君、惜しかったね」
駆け寄った伊織が心配そうに翔太を見る。
「ああ…だが、記憶を取り戻す以外にデュエルをする理由ができた」
「え…?」
「赤馬零児を倒す。あいつを超えたい」
「…う、うわあ、翔太君がそんなことを…明日嵐が来るかも…」
「はぁ、何を言ってんだ?俺がそういうのがおかしいってのか?」
「うん、絶対おかしい!翔太君、全然そういうキャラじゃないもん」
「伊織、お前!!」
エキシビションデュエルの後に開催された2人の喧嘩。
観客の前だというのに…。
大勢が沈黙する中、ハンスが次のようなことを口にした。
「これが日本でいう痴話喧嘩っていうのかー」