「よし…これで道は開けた!私は《WW-鉄槌のヘイル》でダイレクトアタック!」
金色のソフトモヒカンで、紺色のジャケットと赤いシャツの男、クリス・ボルガーが攻撃命令を出す。
すると、自分と同じ大きさの鉄槌を持つ青い髪と白いトガの男がダイレクトアタックする。
「うわあああ!!」
ダメージ発生と同時に、ダメージを受けたデュエリストのパートナーに向けて強い向かい風が発生する。
「な…なんて風だ!これじゃあ前へ進めない!!」
彼の手にはすでに2枚のペンデュラムカードがあり、ゴールまですぐそこだ。
そこでこのギミックは痛い。
「よし…よくやってくれた、ボルガー!」
一足遅れてペンデュラムカードを回収した赤いくしゃくしゃな髪で緑色のコートの青年、ロベルト・ピアスンが別の通路からゴールへ向かう。
「し、しまった!!この攻撃を防いでいたら…!!」
「ゴールだ!!」
ピアスンがゴールゾーンに設置されているデュエルディスクの前に立ち、《PSホワイト・バタフライ》と《PSホワイト・フラワー》をセッティングする。
これは実際にペンデュラムカードを2枚回収したうえで到着しているかを確認するためであり、ゴールしたことを証明するためでもある機能だ。
(ロベルト・ピアスン選手!!ゴーーール!!これにより、準決勝進出決定だーーー!!)
勝利したピアスンとボルガーがアンティとして《PSパープル・ソード》と《PSパープル・シールド》を手にする。
PS(ペンデュラムスタチュー)ホワイト・バタフライ(アニメオリカ・調整)
レベル10 攻撃1000 守備1000 光属性 岩石族
【Pスケール:青3/赤3】
(1):1ターンに1度、自分フィールドの昆虫族モンスターの攻撃力を200アップできる。
【モンスター効果】
「PSホワイト・バタフレイ」のモンスター効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードがエクストラデッキからP召喚に成功した場合に発動できる。 デッキから「PSホワイト・バタフレイ」以外の「PS」モンスター1体を手札に加える。
PSホワイト・フラワー(アニメオリカ・調整)
レベル4 攻撃400 守備400 光属性 岩石族
【Pスケール:青9/赤9】
(1):1ターンに1度、自分フィールドの植物族モンスターの攻撃力を200アップできる。
【モンスター効果】
「PSホワイト・フラワー」のモンスター効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードがエクストラデッキからP召喚に成功した場合に発動できる。 デッキから「PSホワイト・フラワー」以外の「PS」モンスター1体を手札に加える。
PSパープル・ソード(アニメオリカ・調整)
レベル2 攻撃200 守備200 闇属性 岩石族
【Pスケール:青10/赤10】
(1):1ターンに1度、自分フィールドの戦士族モンスターの攻撃力を200アップできる。
(2):もう片方の自分のPゾーンに「PS」カードが存在するとき、このカードのPスケールは11になる。
【モンスター効果】
「PSパープル・ソード」のモンスター効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードがエクストラデッキからP召喚に成功した場合に発動できる。 デッキから「PSパープル・ソード」以外の「PS」モンスター1体を手札に加える。
PSパープル・シールド(アニメオリカ・調整)
レベル8 攻撃800 守備800 闇属性 岩石族
【Pスケール:青5/赤5】
(1):1ターンに1度、自分フィールドの戦士族モンスターの守備力を200アップできる。
「PSパープル・シールド」のモンスター効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードがエクストラデッキからP召喚に成功した場合に発動できる。 デッキから「PSパープル・シールド」以外の「PS」モンスター1体を手札に加える。
「それにしても、ペンデュラムモンスターをこんな形で手に入れることになるとはな」
「これで私たちもあの榊遊矢のような大量展開ができるということだな」
「うーーん、早く私たちの出番が来ないかなーー!」
「全くうるさい奴だな」
(続きまして第2試合、秋山翔太選手、永瀬伊織選手ペアとハンス・アンデルセン選手、ジェイク・クロコダイル選手によるダンジョンデュエルだーーー!!)
「いくぞ伊織」
「うん!!」
2人は控室から出て、フィールド行のエレベーターに乗る。
「そういえば、翔太君はどうして手袋をつけてるの?今は夏なのに、熱いでしょ?」
「どうでもいいだろ?別に…」
「けど…」
「それよりも少し準備運動でもしてろ。怪我するぞ?」
「あ、そうだった!!1・2・3・4!」
その場で準備運動を始めると同時にエレベーターの扉が開く。
「する時間すらなかったな」
「むー…もっと早く準備運動しておけばよかった…」
(まぁ…運動音痴じゃないから、大丈夫だろうな)
少し遅れて、向かい側のエレベーターの扉が開く。
そこからはハンスとジェイクが出てくる。
デュエルディスクを装着しているのがハンスだけだとすると、ダンジョンへ向かうのはジェイクのようだ。
「やあ、君のデュエル見たよ!俺もあんなデュエルやってみたいぜ!」
「お前は…?」
「俺はハンス。よろしくな、翔太。それとキツネさん」
「何…?」
翔太のポケットの入っているハンカチをハンスがなぜかキツネさんと呼んでいる。
「お前、気でも狂ったのか?」
「そんなことないぜ。そのハンカチ、精霊が変化しているんだろ?ビークルデュエルのことを考えると、そいつは《魔装妖ビャッコ》じゃないか?」
彼の言うとおり、ハンカチはビャッコが化けたものだ。
普通の人であれば見分けることができないため、どうやら彼は精霊を見ることができるのかもしれない。
だが、ここで話すわけにはいかないと考えた翔太はここで話を終える。
「早くデュエルの準備をしろ。話はその後でもいいだろ?」
「はあ…もうちょっと話したかったのにな。さあ、頼むよ。俺の宝玉獣たち」
デュエルディスクに入っているデッキに語りかける。
そして、翔太とハンスはもう1つのエレベーターに乗り、ソリッドビジョンで構築された空中の無重力デュエルリングへ向かう。
伊織とジェイクはそれぞれのスタート地点で開始を待つ。
(無重力までソリッドビジョンは再現できるのか…!?)
(ではでは皆様!!準備は整いました。これより、デュエルが開始されます!!)
「さあ、楽しいデュエルをしようぜ!!」
「…」
「「デュエル!!」」
ハンス
手札5
翔太
手札5
「よーし、出発ーー!」
デュエル開始と同時に伊織がダンジョンへ向けて走り出す。
「あ…ここにアクションカードが!」
走って3秒後に曲がり角でアクションカードを見つけ、それを手に取る。
ダンジョンデュエルでは、ダンジョンにいるプレイヤーはペンデュラムモンスターを回収するだけでなく、従来のアクションデュエルのようにアクションカードを1枚だけ手札に加え、発動することができる。
お互いの状況は目の前に表示されるソリッドビジョンで確認できるが、互いに声をかけることができないためにアクションカード発動はダンジョンにいるプレイヤーの任意となる。
「やった!これで翔太君を援護でき…」
手に取ったアクションカードを見て、伊織が固まる。
「俺の先攻!俺は手札か…」
(おーーっとここで伊織選手、アクション罠《平手打ち》を手にしてしまったーーー!!)
「何!?伊織…いきなりしくじったか!?」
翔太の前に白い大きな手袋が出てきて、翔太の手をたたく。
すると彼の手から《魔装陰陽師セイメイ》が落ち、墓地へ送られてしまう。
平手打ち
アクション罠カード
(1):自分の手札をランダムに1枚選択して墓地へ送る。その時、墓地へ送られたカードの効果は発動できない。
「ああ…やっちゃった…」
「アクション罠があるのは当たり前だぜ、お嬢さん!」
ポケーッとしている伊織を置いて、ジェイクが高い身長を生かして段差を越える。
「ああ…ぬかされちゃった!!ペンデュラムモンスターは…??」
あわてた伊織は走りながら周囲を見渡す。
「俺は手札から《宝玉獣サファイア・ペガサス》を召喚!」
宝玉獣サファイア・ペガサス レベル4 攻撃1800
「ハンス、敵の力は未知数だ。私達の力を存分に使ってくれ」
「ああ。《ペガサス》の効果発動!このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、手札・デッキ・墓地から宝玉獣1体を宝玉化する。俺は《ルビー・カーバンクル》を宝玉にし、魔法・罠ゾーンに置く!サファイア・コーリング!」
「ルビー!」
ルビーを尻尾につけ、赤い瞳と青いからだと4つの耳が特徴的な4本足の小動物のようなモンスターがかわいらしく鳴くと、ルビーとなってフィールドに置かれる。
「宝玉獣は魔法・罠ゾーンにあるとき、永続魔法として扱われるんだ。俺はカードを2枚伏せてターンエンド!」
ハンス
手札5→2
場 宝玉獣サファイア・ペガサス レベル4 攻撃1800
宝玉獣ルビー・カーバンクル(永続魔法)
伏せカード2
翔太
手札5→4
場 なし
「俺のターン!」
翔太
手札4→5
「俺は手札から《魔装竜ファーブニル》を召喚」
魔装竜ファーブニル レベル4 攻撃1900
「バトルだ。俺は《ファーブニル》で《サファイア・ペガサス》を攻撃!」
《魔装竜ファーブニル》の黄金の炎が《宝玉獣サファイア・ペガサス》を焼き尽くす。
「くぅっ…!!」
ハンス
ダメージ100
ハンスがダメージを受けた瞬間、ジェイクの足元の床が急に落ちる。
「な…うわああああ!!」
「ええ!?人が落ちた??」
急に目の前からジェイクの姿が消え、驚きを隠せない。
「痛たた…ダメージ100でこれか。クレイジーだぜ」
尻をさすりながら、ジェイクはゆっくりと立ち上がる。
そして、目の前にあるはしごを使って元の場所へ戻る。
落ちて戻るだけでもわずかなタイムロスにつながる。
その間に伊織がジェイクを抜かしていた。
「おっさきー!あ、これは…?」
十字路に到達した伊織の足元にはレンガのような模様のデュエルディスクが2つある。
それを装着すると、ここまで歩いた場所だけがマップで表示された。
「わあ…これは便利だね!まるで不○議のダンジョンみたい!」
「痛たた…これはジェイクに迷惑をかけたなぁ。けど…!」
「何!?」
焼き尽くされたはずの《宝玉獣サファイア・ペガサス》がサファイアとなってハンスのフィールドに残る。
「宝玉獣はモンスターゾーンで破壊されると、宝玉となるのさ。更に俺は永続罠《宝玉の集結》を発動。1ターンに1度、俺のフィールド上に表側表示の宝玉獣が戦闘・効果で破壊された時、デッキから新たな宝玉獣を特殊召喚できる。俺はもう1体の《ペガサス》を特殊召喚!」
宝玉獣サファイア・ペガサス レベル4 攻撃1800
「更に俺は《ペガサス》の効果を発動し、デッキから《宝玉獣トパーズ・タイガー》を宝玉化する。サファイア・コーリング!」
今度はトパーズがハンスのフィールドに現れる。
「宝玉化した時に…宝玉獣の真価が発揮されるということか?」
「そういうこと」
「厄介なカードだな!俺は《ファーブニル》の効果を発動!このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、デッキからレベル4以下の魔装モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚できる。現れろ、《魔装妖ビャッコ》」
「キュイー!」
嬉しそうに鳴きながら、ビャッコがフィールドに現れる。
魔装妖ビャッコ レベル3 攻撃400
「このカードが魔装モンスターのシンクロ素材・エクシーズ素材となるとき、レベルが4としても扱うことができる。俺はレベル4の《ファーブニル》と《ビャッコ》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ、魔装の力を宿した紅蓮の番犬、《魔装獣ケルベロス》!」
魔装獣ケルベロス ランク4 攻撃2300
「更に《ビャッコ》が魔装モンスターのシンクロ素材・エクシーズ素材となったとき、デッキからカードを1枚ドローする。そして、カードを2枚伏せ、ターンエンド」
ハンス
手札5→2
場 宝玉獣サファイア・ペガサス レベル4 攻撃1800
宝玉獣サファイア・ペガサス (永続魔法)
宝玉獣トパーズ・タイガー(永続魔法)
宝玉獣ルビー・カーバンクル(永続魔法)
宝玉の集結(永続罠)
伏せカード1
翔太
手札5→3
場 魔装獣ケルベロス(オーバーレイユニット2) ランク4 攻撃2300
伏せカード2
「よいしょ、よいしょ…」
地図を手にした伊織はそのまままっすぐ進み、蔦を使って上へ昇っている。
「きっと、上から見下ろした方が何か見つかる気がする…!」
一方のジェイクは地図を入手した後、左へ進む。
そこからはなぜかプールになっていて、彼は泳いで進まなければならなかった。
「おっと、ここにアクションカードが…!」
もぐりながら、アクションカードを手に取る。
(こいつはいいカードだ。あとはハンスが…)
「俺のターン、ドロー!」
ハンス
手札2→3
「俺は3つの宝玉を墓地へ送り、エクストラデッキから《宝玉騎兵クリスタル・パラディン》を特殊召喚!」
「何!?宝玉騎兵…??」
「宝玉騎兵は宝玉を墓地へ送ることで、1ターンだけフィールドに存在できるのさ!」
3つの宝玉が空中で1つとなると、すべてがクリスタルでできた戦車と重装な鎧の騎士が現れる。
なお、その戦車はクリスタルの馬が引いている。
宝玉騎兵クリスタル・パラディン レベル8 攻撃2800
「《クリスタル・パラディン》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、デッキから宝玉獣モンスター1体を手札に加えることができる。俺はデッキから《アメジスト・キャット》を手札に加える。そして、《アメジスト・キャット》を召喚!」
胸に鳥を模した、アメジストの飾りをつけたピンク色の猫が現れる。
宝玉獣アメジスト・キャット レベル3 攻撃1200
「よし…このタイミングだ!俺はアクション魔法《援助》を発動!」
(おっと!!《クリスタル・パラディン》によって魔法・罠ゾーンに穴が開いたところですかさずジェイク選手がアクション魔法だーー!!)
「《援助》はデッキからカードを1枚ドローするんだったな。ジェイク、サンキュー!バトルだ!俺は《クリスタル・パラディン》で《ケルベロス》を攻撃!クリスタル・ブレード!」
《宝玉騎兵クリスタル・パラディン》のクリスタルでできた透き通った透明な剣で《魔装獣ケルベロス》を切り裂こうとする。
「罠発動!《くず鉄のかかし》。こいつは相手モンスター1体の攻撃を無効にする」
《魔装獣ケルベロス》の前に現れた《くず鉄のかかし》が盾となり、剣を防ぐ。
《宝玉騎兵クリスタル・パラディン》は再びかかしに向けて剣で切り裂こうとするが、結果は同じだ。
「防がれた…!?だけど、《アメジスト・キャット》は戦闘ダメージを半分にする代わりに相手にダイレクトアタックできる!いけ、《アメジスト・キャット》!!」
《宝玉獣アメジスト・キャット》がフィールドの外周を疾走し、翔太の背後を取る。
そして、そのまま翔太の背に向けて頭突きをした。
「ぐっ…!!」
翔太
ダメージ600
援助
アクション魔法カード
(1):自分はデッキからカードを1枚ドローする。
「よーし、位置確認位置確に…」
下へ降りた伊織がマップを確認しようとする。
しかし、画面にこれまで表示されていたはずの部分がすべて消えてしまっていた。
「えーーー!?どうしてーー??あ…」
画面の隅を見ると、そこにはダメージペナルティと表示されている。
「うう…翔太君ダメージを受けちゃったんだ。あ…」
先程昇降に利用した蔦の隙間にカードが隠れている。
「あー!もしかしてー?」
蔦をどかし、隠れているカードを確認する。
「やったーー!!ペンデュラムモンスター1枚目!」
《閃光の騎士》を手にし、嬉しそうにはしゃぐ。
「よーし、もう1枚のペンデュラムモンスターはどこかなー?」
(おーーー!!ここで伊織選手、ペンデュラムモンスターをゲットだー!)
「早いな…」
「おお、早いなぁ。ジェイク、急いでくれよー?俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド。それと同時に《クリスタル・パラディン》の効果発動。このカードは俺のターン終了時にエクストラデッキに戻り、墓地から宝玉獣1体を手札に加える。俺は墓地から《サファイア・ペガサス》を手札に加える!」
《宝玉騎兵クリスタル・パラディン》が光となって消滅し、ハンスの手に《宝玉獣サファイア・ペガサス》が加わる。
ハンス
手札3→4(うち1枚《宝玉獣サファイア・ペガサス》)
場 宝玉獣サファイア・ペガサス レベル4 攻撃1800
宝玉獣アメジスト・キャット レベル3 攻撃1200
宝玉の集結(永続罠)
伏せカード2
翔太
手札3
場 魔装獣ケルベロス(オーバーレイユニット2) ランク4 攻撃2300
伏せカード2(うち1枚《くず鉄のかかし》)
宝玉騎兵クリスタル・パラディン
レベル8 攻撃2800 守備2000 融合 光属性 岩石族
「宝玉騎兵クリスタル・パラディン」は1ターンに1度しか特殊召喚できない。
このカードは自分フィールド上に存在する「宝玉獣」魔法カードを3枚墓地へ送ることで、エクストラデッキから特殊召喚できる。
(1):このカードの特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「宝玉獣」カード1枚を手札に加える。
(2):自分のターン終了時に発動する。このカードをエクストラデッキに戻し、自分の墓地に存在する「宝玉獣」カード1枚を手札に加える。
「俺のターン!」
翔太
手札3→4
「プハァ!!」
ジェイクがプールを泳ぎ終え、向こう岸に出てくる。
手には水中で手にしたもう1枚のアクションカードがある。
「お…こいつは何だ?」
少し歩くと行き止まりになっていて、壁にはスイッチがついている。
「ここからだと戻るしかないからな、ここはプッシュだ!」
押すと同時にプールの底に下り階段が出現し、水が引いていく。
「こいつはユニークな仕掛けだな。さすがは高校生ゲームプログラマーの御伽竜三が作ったダンジョン・ダイス・モンスターズを参考にしただけあるな」
階段を下りると、そこは完全に水で満ちていた。
しかし、中央には宝箱がある。
「もしかしたら、ここにペンデュラムモンスターが…」
「相手フィールド上にモンスターが存在し、俺のフィールド上に魔装融合モンスター、シンクロモンスター、エクシーズモンスターが存在するとき、このカードはリリースなしで召喚できる。《魔装剣士ローラン》を召喚」
赤い長髪で黄色い鎖帷子を身に着け、右手には傷が一つもない刃で黄金の柄のロングソードを持つ剣士が現れる。
魔装剣士ローラン レベル5 攻撃1700
「バトルだ。俺は《魔装獣ケルベロス》で《サファイア・ペガサス》を攻撃」
《魔装獣ケルベロス》が牙に炎を宿す。
そして、迎撃しようととびかかる《宝玉獣サファイア・ペガサス》の喉元に食らいついた。
「く…うううう!!!」
ハンス
ダメージ500
「ふうう…ペンデュラムモンスターゲットだ!」
宝箱から《銅鑼ドラゴン》を回収し、階段を上り終えたジェイクだが、急にプールの床がある場所では高くなり、ある場所では低くなる。
「ここまでやるのか!?」
平面な床とは異なり、無作為に高低差が付いた床のせいで余計に戻るのに時間がかかる。
「ふう…ちょっと休憩」
反り立つ壁を登り終えた伊織がその場に座り、あたりを見渡す。
ダメージで発生するもの以外にも様々な障害物が存在し、そのすべてが彼女の体力を奪っていく。
「あ…アクションカード!」
壁の後ろに設置された滑り台に貼りつけられたアクションカードを見つけると、すぐにそこへ向かう。
「今度はアクション罠じゃありませんよーに!」
滑りながらカードを手にとり、それを確認する。
「やった!!あとは発動タイミング!」
「俺は永続罠《宝玉の集結》と《サファイア・ペガサス》の効果を発動。まずはデッキから《宝玉獣エメラルド・タートル》を特殊召喚!」
背中に3つの大きなエメラルドの塊を背負っている青い亀が現れる。
宝玉獣エメラルド・タートル レベル3 守備2000
「そして、宝玉獣は宝玉化する」
ハンスのフィールドに新たにサファイアが現れる。
「《ケルベロス》の効果発動。このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、オーバーレイユニットを1つ取り除くことでこのターン、もう1度攻撃することができる。今度は《アメジスト・キャット》を喰らい尽くせ」
オーバーレイユニットをかみ砕いた《魔装獣ケルベロス》が今度は《宝玉獣アメジスト・キャット》を捕食しようとする。
(ハンス!私の力を…)
「ああ、宝玉となった《サファイア・ペガサス》を墓地へ送り、罠カード《宝玉の祈り》を発動!相手フィールド上のカード1枚を破壊する。俺は《ケルベロス》を破壊する!」
「お…ここはヘルプしてやるぜ!アクション魔法《封鎖》を発動!」
(ここでジェイク選手、またもアクション魔法を発動だーーー!!このカードはターン終了時までお互いにカウンター罠カードを発動できなくするー!)
「ちっ…!俺は《ローラン》の効果を発動。俺にフィールド上に存在する魔装モンスターがカード効果で破壊されるとき、代わりのこのカードを手札に戻すことができる!」
サファイアがドリル状に回転しながら《魔装獣ケルベロス》に襲い掛かる。
しかし《魔装剣士ローラン》がかばい、愛用の剣でサファイアを受け止める。
力尽きたサファイアは姿をけし、疲れ果てた剣士が翔太の手札に戻る。
すさまじい回転を受けながらも、彼の剣は無傷のままだ。
魔装剣士ローラン
レベル5 攻撃1700 守備2100 炎属性 戦士族
【Pスケール:赤6:青6】
(1):このカードはもう片方の自分のPゾーンに置かれているPモンスターが「魔装」モンスター以外の場合、墓地へ送られる。
(2):1ターンに1度、Pゾーンに置かれているカード1枚を対象に以下の効果から1つを選択して発動できる。
●そのカードのPスケールを2つ上げる
●そのカードのPスケールを2つ下げる
【モンスター効果】
「魔装剣士ローラン」は自分のモンスターゾーンに1体しか存在できない。
(1):相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上に「魔装」融合モンスター、Sモンスター、Xモンスターが存在するとき、このカードはリリースなしで召喚できる。
(2):自分フィールド上に存在する「魔装」モンスターが相手の効果によって破壊されるとき、代わりにこのカードを手札に戻すことができる。
封鎖
アクション魔法カード
(1:このターン、互いのプレイヤーはカウンター罠カードを発動できない。
「バトル再開だ。《ケルベロス》!!」
《魔装獣ケルベロス》が咆哮し、再び《宝玉獣アメジスト・キャット》に襲い掛かる。
かみつかれた猫は消滅すると、アメジストとなってフィールドに現れる。
ハンス
ダメージ1100
取り除かれたオーバーレイユニット
・魔装竜ファーブニル
「な…!?1100のダメージ!?」
最初の十字路に戻ったジェイクの周囲を壁がつつむ。
北方向の壁にはなぜかテレビがついている。
「ホワッツ?」
(アタックデュエルクイーズ!これからデュエルに関する問題を出題します。問題に3問連続で成功したら壁が消えます。ただし、クリアするまでここから出ることはできませーん!!)
「なんてクレイジーな仕掛けだ!」
(問題、最近禁止カードとなった《大嵐》。それで飛ばされている人は何人?)
「オウ!シンプルなクイズだ。正解は2人!」
回答と同時にブーッと音が鳴る。
「嘘だろ!?不正解??」
(はい、不正解。答えは3人)
解説として《大嵐》のイラストに描かれている人を矢印で示す。
奥の影となっているシルエットも人だったのだ。
(では、次の問題…)
「まだだ!もう1つのオーバーレイユニットを1つ取り除き、《エメラルド・タートル》を攻撃する!」
最後のオーバーレイユニットを喰らいつくした《魔装獣ケルベロス》が炎を爪に宿し、《宝玉獣エメラルド・タートル》をひっかく。
引っかかれた場所から高温の炎が発生し、水色の亀が焼きつくされる。
炎が消えると、そこにはエメラルドが現れた。
「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
ハンス
手札4(うち1枚《宝玉獣サファイア・ペガサス》)
場 宝玉の集結(永続罠)
宝玉獣エメラルド・タートル(永続魔法)
宝玉獣アメジスト・キャット(永続魔法)
伏せカード1
翔太
手札4→3(うち1枚《魔装剣士ローラン》)
場 魔装獣ケルベロス ランク4 攻撃2300
伏せカード3(うち1枚《くず鉄のかかし》)
「俺のターン、ドロー!」
ハンス
手札4→5
「次はこいつだ。俺は宝玉化した《エメラルド・タートル》と《アメジスト・キャット》を墓地へ送り、エクストラデッキから《宝玉騎兵クリスタル・エクィテス》を召喚!」
「2体目の宝玉騎兵か!?」
2つの宝石が上空で1つになり、青い魔法陣となる。
そして、その魔法陣から《宝玉騎兵クリスタル・パラディン》に似た姿ではあるが、装備が左腕が露出した軽装甲の鎧と槍になっているモンスターが現れる。
宝玉騎兵クリスタル・エクィテス レベル4 攻撃1900
「《クリスタル・エクィテス》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、デッキから究極宝玉神1体を手札に加える。俺はデッキから《レインボー・ドラゴン》を手札に!」
「《レインボー・ドラゴン》…?」
「こいつは俺のエース。召喚するには7種類の宝玉獣がフィールド・墓地に存在しなければならない」
ハンスのフィールド・墓地に存在する宝玉獣は《宝玉獣サファイア・ペガサス》、《宝玉獣アメジスト・キャット》、《宝玉獣トパーズ・タイガー》、《宝玉獣ルビー・カーバンクル》、《宝玉獣エメラルド・タートル》。
召喚するにはあと2種類不足している。
しかし、ハンスの手札には《宝玉獣サファイア・ペガサス》が存在するため、実質的にはあと1種類だ。
「(よし…まずはこれでびっくりさせてやる)俺はスケール2の《宝玉の守護者》とスケール5の《宝玉の先駆者》でペンデュラムスケールをセッティング!」
「ちっ…ペンデュラム召喚か!?」
「そういうこと!これで俺はレベル3と4のモンスターを同時に召喚できる!宝玉の力を持つ聖なる獣たちよ、今こそ大いなる力の元に集結せよ!ペンデュラム召喚!!現れろ、俺の友達!!《宝玉獣アンバー・マンモス》!《宝玉獣サファイア・ペガサス》!」
《宝玉獣サファイア・ペガサス》と共に額にアンバーがついた巨大なマンモスが現れる。
(ちっ…この状況は!!)
宝玉獣サファイア・ペガサス レベル4 攻撃1800
宝玉獣アンバー・マンモス レベル4 攻撃1700
「更に、《サファイア・ペガサス》の効果発動!俺のフィールドに《宝玉獣コバルト・イーグル》が宝玉化して現れる」
「これで準備が整った…ということか?」
「ああ、今ここで見せてやるぜ。俺のエースを!!現れろ、《究極宝玉神レインボー・ドラゴン》!!」
ハンスのデュエルディスクから七色の光が発生する。
それと反応するかのように、上空にオーロラが現れ、7種類の宝玉をその身に宿した、白銀で翼をもつ蛇竜が舞い降りる。
究極宝玉神レインボー・ドラゴン レベル10 攻撃4000
(ついに現れたーーーー!!宝玉獣の切り札、《レインボー・ドラゴン》----!!」
スタジアムを1周するように旋回する《究極宝玉神レインボー・ドラゴン》に観客は言葉も出ず、ただただ眺めるだけだ。
「ここで俺は罠カード《宝玉神の慈悲》を発動!こいつは発動後、装備カードとなって《レインボー・ドラゴン》に装備される。そして、このカードを装備したモンスターは相手の魔法・罠カードの効果を受けない!」
(《くず鉄のかかし》まで封じてきたか!?)
「バトルだ!俺は《レインボー・ドラゴン》で《ケルベロス》を攻撃!オーバー・ザ・レインボー!!」
《究極宝玉神レインボー・ドラゴン》の宝石が輝きを放ち、それと同時に口から七色のブレスが放たれる。
ブレスに対して、《魔装獣ケルベロス》は高い跳躍で回避したものの、それをよんでいた神の尾による薙ぎ払いをうけて、消滅した。
「ぐううう!!」
翔太
ダメージ1700
宝玉神の慈悲
通常罠カード
(1):このカードは発動後、装備カードとなり、自分フィールド上に存在する「レインボー・ドラゴン」モンスター1体に装備する。
(2):このカードを装備したモンスターは相手の魔法・罠カードの効果を受けない。
「ああ、翔太君!(ダメ…このカードじゃ防げない)」
ダメージを受けた翔太を見ていると、背後からソリッドビジョンの《切り込み隊長》が近づいてくる。
「お嬢さん、失礼」
「え…ええ!!?」
振り向き、何が何だか分からずにいる伊織の右足に《切り込み隊長》が枷をつける。
枷には巨大で四角い石が付けられていた。
「えーーーーー!!?」
「ダメージペナルティです。お許しください」
そういって伊織に頭を下げると、煙のように消えてしまった。
ジャングルジムやアスレチックの要素のあるダンジョンデュエルでこのペナルティは痛い。
「ううーーーー、翔太君、助けてーーー!!」
攻撃終了と同時に、なぜかハンスのフィールドに《宝玉獣アメジスト・キャット》が現れる。
宝玉獣アメジスト・キャット レベル3 攻撃1200
「ちっ…またアクション魔法か?」
「おー…またジェイクが発動してくれたんだな。となると…これはアクション魔法《召喚スイッチ》だな」
召喚スイッチ
アクション魔法カード
「召喚スイッチ」は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分のモンスターが戦闘で相手にダメージを与えたときに発動できる。自分の墓地から与えた戦闘ダメージ以下の攻撃力を持つレベル4以下のモンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。
「気を取り直して…次は《サファイア・ペガサス》でダイレクトアタック!」
「罠カード《くず鉄のかかし》を発動!こいつで攻撃を防ぐ!」
《宝玉獣サファイア・ペガサス》の突撃をかかしが受け止めるが、《宝玉獣アメジスト・キャット》が跳躍し、翔太をひっかこうとする。
「…。フン」
「何!?」
翔太の笑みを不審に思ったのと同時に翔太のデュエルディスクから激しい光が発生する。
「この光は!?」
「罠カード《コンフュージョン・チャフ》を発動した。これで《アメジスト・キャット》は《サファイア・ペガサス》に攻撃する」
光で目がくらんだ《宝玉獣アメジスト・キャット》が見境なく仲間である《宝玉獣サファイア・ペガサス》に襲い掛かる。
やむなく《宝玉獣サファイア・ペガサス》は《宝玉獣アメジスト・キャット》を蹴り飛ばした。
「ぐう…!!」
蹴り飛ばされた宝玉獣が上空でアメジストに変化する。
ハンス
ダメージ600
「ようやくクリアしたぜ…」
クイズを突破したジェイクがもう1枚のペンデュラムモンスター入手のために前へ進もうとした。
その第一歩でダメージペナルティが発生する。
「へ…?」
一歩歩くと同時に足元でカチッという音が鳴る。
恐る恐る足をどかすと、そこにはドクロマークがついたスイッチがあった。
「ま…まさか、ここまでやることはないよな…??」
あまりにも危険性の高さを伝えるスイッチであるため、地雷と思ったジェイクだが、予想は違った。
急に足元の床がばねがついていたかのように思い切り跳び、ジェイクが上空へ吹き飛ばされる。
(このダメージペナルティはばねの罠!!ランダムで別の場所へ飛ばされてしまいまーーす!!)
「うわあああああ!!」
派手に吹き飛ばされたジェイクはそのまま西の端にある小部屋まで落ちて行った。
「すごい跳び方だなあ、やっぱり俺がやったほうが良かったかなー?」
派手にとんだジェイクを面白おかしく眺めるハンス。
やっている方からしたらあまり面白くないだろうが。
「おい、よそ見をしている場合か?」
「おっと、そうだった。今度は《クリスタル・エクィテス》と《アンバー・マンモス》でダイレクトアタック!」
「くっ…」
伏せカードを見るが、それでは攻撃を防ぐことができない。
《宝玉獣アンバー・マンモス》の鼻が翔太を弾き飛ばし、飛ばされた翔太の腹部を《宝玉騎兵クリスタル・エクィテス》が槍で叩きつける。
「がはぁ…!!」
翔太
ダメージ1900&1700
「きゃあ!!翔太君、ダメージ受けすぎだよぉ!」
最初のダメージペナルティにより、伊織だけ重力変動が発生したために体が重くなっていく。
更に次のダメージペナルティでは伊織がいる床が高速で回転する。
「うええ…気分が悪いよぉ…」
体が重くなり、枷で動きが制限され、そして高速回転で目を回した伊織がフラフラになりながら歩く。
「あうう…そういえば相手はもう2枚のペンデュラムモンスターを手に入れちゃったかなぁ?」
「伊織…悪い」
やむなくダメージを受けたとはいえ、あまりにきつい状況を生み出してしまったため、さすがの翔太も詫びずにはいられなかった。
それが彼女に聞こえるわけではないが。
「更に追撃したいところだけど、もう攻撃できるモンスターはいないな…。俺はこれでターンエンド!それと同時に《クリスタル・エクィテス》の効果発動!こいつは俺にターン終了と同時にエクストラデッキに戻る」
「俺は罠カード《ショック・ドロー》を発動!このターン受けたダメージ合計1000毎にカードを1枚ドローする!(入れておいて正解だったな…伊織には悪いが)」
このターンに翔太が受けたダメージの合計は5900。
いくらライフダメージを受けても、どちらかがゴールをしない限り敗北にはならないためにこのカードのアドバンテージが上昇する。
そのため、特別ルールで《ショック・ドロー》はこのデュエルでは制限カードとして扱われる。
ハンス
手札5→0
場 宝玉の集結(永続罠)
宝玉獣サファイア・ペガサス レベル4 攻撃1800
宝玉獣アンバー・マンモス レベル4 攻撃1700
究極宝玉神レインボー・ドラゴン(《宝玉神の慈悲》装備中) レベル10 攻撃4000
宝玉獣アメジスト・キャット(永続魔法)
宝玉の守護者(青) ペンデュラムスケール2
宝玉の先導者(赤) ペンデュラムスケール5
翔太
手札3→8(うち1枚《魔装剣士ローラン》)
場 伏せカード1(《くず鉄のかかし》)
宝玉騎兵クリスタル・エクィテス
レベル5 攻撃1900 守備1000 融合 光属性 岩石族
「宝玉騎兵クリスタル・エクィテス」は1ターンに1度しか特殊召喚できない。
このカードは自分フィールド上に存在する「宝玉獣」魔法カードを2枚墓地へ送ることで、エクストラデッキから特殊召喚できる。
(1):このカードの特殊召喚に成功した時、デッキから「究極宝玉神」カード1枚を手札に加える。
(2):自分のターン終了時に発動する。フィールド上に存在するこのカードをエクストラデッキに戻す。
「よいしょ…よいしょ…」
何とか落ち着いた伊織はゆっくりと前進する。
思うように進めない分、注意深く周囲を見渡しながら。
「あ…あった…!」
はしごを上った先に配置されているペンデュラムモンスター。
体は重いが、ジェイクとの差を縮めるにはそのカードを取らなければならない。
「よいしょ、よいしょ…」
重力のせいで、上るための体力がいつもの数倍になる。
枷が片足だけでなく、両腕や首にもついているかのようだ。
「はあはあ…ダンジョンデュエル、デンジャラスだぜ…」
疲れ果てたジェイクが砂場で穴を掘り、隠されていた宝箱を手に取る。
中身はペンデュラムモンスターである《マンドラゴン》だ。
「グッド!これでゴールへ…」
「お!ジェイクも伊織ちゃんもペンデュラムモンスターをゲットできたみたいだな」
「だな。だがゴールまでの距離も走るスピードもお前の相棒の方が有利だな」
「そりゃあそうさ。宝玉獣たちの攻撃でいっぱいダメージを与えたんだしな」
このままでは翔太たちの敗北が目に見えている。
できることとしたら、ハンスに大ダメージを与え、ペナルティを負わせるしかない。
それも1ショットキルレベルのダメージを。
「俺のターン!!」
翔太
手札8→9
(ヒヒヒ!分かってるよな?こういう状況で一番いいカードが何か…?)
また夢で聞こえた声が翔太の脳裏に響く。
「(黙れ…!今はお前の力を借りる気はない!!)俺はスケール2の《魔装槍士タダカツ》とスケール9の《魔装剣士ムネシゲ》でペンデュラムスケールをセッティング!これで俺はレベル3から8のモンスターを同時に召喚可能。来たれ、時の果てに眠りし英雄の魂。希望の道を照らし、勝鬨を上げろ!ペンデュラム召喚!!現れろ、俺のモンスターたち!!《魔装騎士ペイルライダー》!《魔装剣士ローラン》!《魔装軍師オリヴィエ》!《魔装郷士リョウマ》!」
《ショック・ドロー》によって大量に手札に加わったモンスターたちが出てくる。
その中には、青い長髪で腰に金でできた刀身と柄であるにも関わらず、《魔装剣士ローラン》の剣に負けずとも劣らない切れ味と硬さを持つ剣を差した水色の鎧の青年がいる。
魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500
魔装郷士リョウマ レベル4 攻撃1900
魔装軍師オリヴィエ レベル4 攻撃800(チューナー)
魔装剣士ローラン レベル5 攻撃1700
魔装軍師オリヴィエ
レベル4 攻撃800 守備800 チューナー 水属性 魔法使い族
「魔装軍師オリヴィエ」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
このカードをS素材とする場合、「魔装」モンスターのS召喚にしか使用できず、他のS素材モンスターはすべて「魔装」モンスターでなければならない。
(1):このカードの召喚に成功した時、自分のエクストラデッキに表向きで存在する「魔装剣士」モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
(2):この効果で特殊召喚されたモンスターが「魔装剣士ローラン」の場合、このカードは以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このカードのレベルを1つ上げる。
●このカードのレベルを1つ下げる。
「《魔装郷士リョウマ》の効果発動!このカードを手札からペンデュラム召喚した時、俺の墓地に存在する魔装モンスター1体を手札に加える。俺は墓地から《魔装妖ビャッコ》を手札に加える」
「おっ!ここでお前の精霊登場ってことか??」
「そうだ。俺は手札から《魔装妖ビャッコ》を召喚」
「キュイーーーー!!」
フィールドにソリッドビジョンで現れるビャッコ。
危機的状況にもかかわらず、のんきにみたらし団子を食べている。
魔装妖ビャッコ レベル3 攻撃400
「一気に5体もモンスターを出した…やっぱりすごいぜ、ペンデュラム召喚!!」
「驚くのはまだ早いぞ。俺は更にレベル5の《ローラン》にレベル4の《オリヴィエ》をチューニング。勝利と支配をもたらす第2の騎士よ、終戦を告げるその矢で敗者を鎮めよ!シンクロ召喚!《魔装騎士ホワイトライダー》!!」
魔装騎士ホワイトライダー レベル9 攻撃3100
「おお…ご自慢の魔装騎士がもう1体!ワクワクするぜ!」
「更に俺は手札から魔法カード《黙示録の悪夢》を発動。俺のフィールド上に名前の異なる魔装騎士が2体以上存在するとき、相手フィールド上のカードをすべて破壊する!」
「何!?」
2体の魔装騎士が互いの武器をぶつけ合う。
すると上空に黒い大嵐が発生し、風と雷がハンスのフィールドを蹂躙しようとする。
「く…俺は《宝玉の守護者》のペンデュラム効果を発動!1ターンに1度、俺の究極宝玉神と宝玉獣をカード効果による破壊から守る!!」
《宝玉の守護者》が《究極宝玉神レインボー・ドラゴン》をかばい、落雷を受ける。
そして受けた落雷のエネルギーを剣に宿し、それを天に掲げる。
剣から放たれた七色の光は漆黒の嵐を一瞬のうちに消したものの、その時には2体の宝玉の名を持つペンデュラムモンスターの姿が無かった。
「破壊されたペンデュラムモンスターはエクストラデッキにいく。ありがとうな、俺の新しい友達」
エースの呼び水となるだけでなく、破壊から守ってくれた新たな友に礼を言いながら、そのカードをエクストラデッキに置く。
黙示録の悪夢
通常魔法カード
(1):自分フィールド上に元々のカード名が「魔装騎士ホワイトライダー」「魔装騎士レッドライダー」「魔装騎士ブラックライダー」「魔装騎士ペイルライダー」となるモンスターのうち2種類以上のモンスターが存在する場合にのみ発動できる。相手フィールド上のカードをすべて破壊する。
「さあ、これで《レインボー・ドラゴン》も宝玉獣も無傷だ!さあ、ここからどうする?もっとデュエルを楽しもうぜ!あいつらのためにもさ」
ハンスがダンジョン内における2人の姿が映ったソリッドビジョンを見る。
「ああ…そうだな」
ジェイクも伊織も2枚のペンデュラムモンスターを既に手に入れている。
しかし、ダメージペナルティのせいでお互いに既にボロボロでフラフラになりながら走っている状態だ。
距離で見ると、今はジェイクの方が有利だ。
そして、アクションカードを持っているのは伊織だけだ。
「2人ともアクションカードは持っていない…俺たちのことを信じてるみたいだな」
「伊織に関しては、ただ単に疲れているだけだと思うけどな。俺は手札から魔法カード《蘇生融合》を発動。俺の墓地に存在するレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。俺は墓地から《魔装竜ファーブニル》を召喚」
魔装竜ファーブニル レベル4 攻撃1900
「そして、俺の手札・フィールド上に存在するモンスターを素材に融合召喚を行う。俺が素材とするのは《ファーブニル》、《ビャッコ》、《リョウマ》だ。財宝を守る飛竜よ!可憐なる式神よ!大海を駆ける郷士よ!魔導の力によりて、今1つとならん。融合召喚!真紅の騎士、《魔装騎士レッドライダー》!!」
魔装騎士レッドライダー レベル8 攻撃3000
蘇生融合
永続魔法カード
「蘇生融合」は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分の墓地に存在するレベル4以下のモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。その後、自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められたからこの効果で特殊召喚されたモンスターを含む融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
(2):このカードがフィールドから離れたとき、この効果で融合召喚されたモンスターは墓地へ送られる。この効果は無効化することはできない。
(3):このカードは墓地に存在する場合、カード名を「融合」として扱う。
(なんとここで翔太選手が3体目の魔装騎士を召喚したーーー!!)
しかし、3体の魔装騎士を召喚したとしても《究極宝玉神レインボー・ドラゴン》の攻撃力の方が上回っている。
更にそのモンスターはまだ効果すら見せていないことから、危険性は未知数だ。
とはいっても、このままでは先にゴールするのはジェイクになってしまう。
「バトルだ!俺は《魔装騎士レッドライダー》で《サファイア・ペガサス》を攻撃!」
《魔装騎士レッドライダー》の五芒星から力を受けた大剣が白き天馬を切り裂こうとする。
「《レッドライダー》は俺のターンにモンスターの特殊召喚に成功した場合、バトルフェイズ終了時まで攻撃力を1000ポイントアップさせることができる」
魔装騎士レッドライダー レベル8 攻撃3000→4000
「攻撃力4000!?」
「更にこいつは戦闘で相手モンスターを破壊した時、続けてもう1度だけ相手モンスターを攻撃できる。このまま《アンバー・マンモス》を破壊すれば、ダメージは2200と2300。2重のペナルティが発生する!これなら、今の伊織でも先にゴールできる」
《魔装騎士レッドライダー》の刃が《宝玉獣サファイア・ペガサス》を両断しようとしていた。
「…それはどうかな?」
「何?」
「俺は《レインボー・ドラゴン》の効果発動!俺のフィールド上に存在する宝玉獣をすべて墓地へ送ることで、1枚につき1000ポイント攻撃力がアップする!《サファイア・ペガサス》、《アンバー・マンモス》!!」
《宝玉獣サファイア・ペガサス》と《宝玉獣アンバー・マンモス》がそれぞれ身に着けている宝玉と同じ色の光を放ちながら姿を消す。
そして光は《究極宝玉神レインボー・ドラゴン》に宿り、その力を限界まで高めていく。
究極宝玉神レインボー・ドラゴン レベル10 攻撃4000→6000
「攻撃力6000!?《レッドライダー》、攻撃をやめろ」
翔太の命令を受けた《魔装騎士レッドライダー》は五芒星の光を消すと、元の位置へ戻っていく。
「これで俺のフィールドのモンスターは《レインボー・ドラゴン》だけ。けれど、お前のフィールドにはそれを上回る攻撃力を持つモンスターはいない」
ハンスの言うとおり、今の翔太のフィールド上に存在する最も攻撃力の高いモンスターは攻撃を中断した《魔装騎士レッドライダー》。
《魔装騎士ペイルライダー》の効果を使えば倒すことは可能だが、返ってくる3500のダメージによるペナルティで敗北は確実となる。
「《ペイルライダー》…」
翔太がエースの名を呼ぶと、そのモンスターは彼に顔を向け、静かにうなずいた。
「バトルだ!俺は《ペイルライダー》で《レインボー・ドラゴン》を攻撃!」
《魔装騎士ペイルライダー》が2本の光剣を取り出し、《究極宝玉神レインボー・ドラゴン》に向けて突撃する。
「迎え撃て!《レインボー・ドラゴン》!!」
《究極宝玉神レインボー・ドラゴン》の口から虹色のブレスが放たれるが、《魔装騎士ペイルライダー》の装甲はひび割れを起こしたものの崩壊には至らない。
「何!?」
「《魔装剣士ムネシゲ》は1ターンに1度、俺のモンスターゾーンに存在するペンデュラムモンスター1体を破壊から守る。そして、《ペイルライダー》は戦った相手モンスターをダメージステップ終了時に破壊する!」
「たとえ破壊されたとしても、反射ダメージ3500は…」
「ああ…そうだな。今の俺の手札には対策のためのカードはない。けどな、忘れるなよ?ダンジョンデュエルにはアクションカードがあるってことをな!」
「な…!?」
アクションカードという言葉にハンスがはっとする。
《魔装騎士ペイルライダー》の剣が《究極宝玉神レインボー・ドラゴン》に届く直前に、伊織がアクション魔法を発動する。
「アクション魔法《反射》!!自分に発生する戦闘ダメージを反射する!!」
「は…《反射》だって!?」
「ああ。これでダメージ3500は俺ではなく、お前が受ける!!」
ブレスをしのぎ切った《魔装騎士ペイルライダー》の光剣が《究極宝玉神レインボー・ドラゴン》を真っ二つに切り裂く。
それと同時に、戦闘で発生した嵐のようなエネルギーが刃となってハンスに襲い掛かる。
「うわあああああ!!!」
ハンス
ダメージ3500
反射
アクション魔法カード
(1):自分フィールド上のモンスターが相手モンスターと戦闘を行う時に発動できる。その戦闘で発生する戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。
「ホワッツ!?一体なんだこのロープは!!?」
突然、四方八方から飛び出したロープがジェイクの体を縛り上げる。
「やった!!おおおおーーーーー!!」
ジェイクが動けなくなったのを見計らい、伊織がラストスパートをかける。
「いけ、伊織!!」
「よーし!私はスケール2の《フーコーの魔砲石》とスケール7の《閃光の騎士》でペンデュラムスケールをセッティング!!」
デュエルディスクが2枚のペンデュラムモンスターの存在を確認する。
(決まったーーーー!!準決勝戦第2試合を通過したのは秋山翔太選手と永瀬伊織選手だーーーーー!!)
デュエル終了と同時にソリッドビジョンが消え、4人は元の場所へ浮遊しながら移動する。
(浮遊…??レオコーポレーション、何に金をかけてるんだ?)
「いやぁー、面白かったよ。まさか《レインボー・ドラゴン》の攻撃力アップを逆手に取られるなんてな」
「へっへーん。翔太君、今回はこの伊織様に感謝しなさーい!」
「マグレだろ。今回の…!?」
急に翔太に襲う激しい頭痛。
「翔太君!?もしかして…」
「ああ…記憶の…鍵だ…!!」
頭痛とともに新たな光景がフラッシュバックする。
舞網市そっくりの町の中の公園。
そこで黒い短髪で色白な7歳くらいの年齢の少年がブランコに乗っている。
時間帯は昼なのか、多くの子供がそこで遊んでいる。
「おーい、迎えに来たぞーー!」
ブランコに乗る少年を同じ髪型で色黒な少年と黄色い髪の少女が迎えに来たところで翔太の視界が元の光景に戻っていく。
「はあ…はあ…はあ…」
「どうしたんだ?急に頭を抱えて…」
「なんでもねえ…」
なんでもないとは言うものの、先ほどハンスが見たあの翔太の苦しむ姿からはとても大丈夫という言葉が当てにならない。
だが、本人がそう言っているならと彼はこれ以上追及するのをやめた。
「そうだ!これから一緒に俺たちに部屋に来ないか!?精霊たちの紹介がしたいからな!!」
「精霊…??もしかして、ハンス君って精霊が見えるの!!?」
「ああ!こいつが俺の精霊だ!」
ハンスの背後にすべての宝玉獣が若干透明な状態で姿を現した。