遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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第30話 遊矢暴走

3つのトンネルを連続で抜け、翔太たちを乗せたバスは舞網町につく。

「こんな形で帰ってくるなんてな…」

「はぁーあ、どうせなら優勝トロフィーを持って帰りたかったなー」

ため息をつきながら、外の景色を見る。

「…ふぇええ!!?」

「い、いかがなさいました!?伊織様…」

「な…んで、何がどうなってるの!?」

窓から広がるのは溶岩と岩石。

まるで火山地帯のような空間だ。

「驚くな、どうせソリッドビジョンだ」

「分かってはいるけど、どうしてこんなに大がかりなことを!?」

「俺が知るか」

「…近くでデュエルが行われているな」

翔太たちが話している中、ジョンソンは聴覚を研ぎ澄ます。

「デュエル…?」

「なんや、あのけったいな仮面つけた青服!?ここにも来とったんか??」

里香の言うとおり、1つ向こうの岩の上では何人かのデュエリストがオベリスクフォースと戦っている。

その中の1人がライフ0となり、同時にカード化してしまう。

「デュエリストが…カードになった!?」

「おいおい…クレイジーだぜ、これは…」

(オベリスクフォース…ここまで来ていたのか…。…!!?)

急に翔太の左手の痣が光り始める。

それと共に激しい頭痛が翔太を襲う。

「しょ…翔太君どうしたの!!?」

「伊織様!翔太様の左手が…!」

「光る痣!?もしかして!」

伊織はここでようやく翔太が手袋をつけるようになった理由を理解した。

そんな中、翔太の脳裏にはある光景が浮かび上がる。

古代ギリシャの建築物が並ぶフィールドで黒いオーラに包まれた遊矢が権現坂達を手にかける。

彼の背後には《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》が存在し、その2体が融合していく。

このフィールドはこの地帯からそれほど遠くない。

「…やめろ、遊矢…」

「え…?」

急に翔太が窓を開き、バスを飛び出す。

「翔太君!!?一体どうしたの!?」

「大変だ!!ガーダー、1人飛び出しちまいましたよ!!」

「何!?あいつまた…!」

翔太の突拍子の無い行動に頭を抱えながら、バッジの通信機を起動する。

「ボス、秋山翔太がバスを飛び出しちまった。そいつのフォローをしてやってくれ。俺たちは引き続き、こいつらを本社ビルへ連れて行く」

連絡を入れている間に、複数のオベリスクフォースが先日と同じやり方でバスを包囲し始める。

「はぁー、学習能力がないねえ、こいつらは」

「ガーダー!ラインマン!あと30分で本社ビルです!それまでバスを死守してください!」

「了解、ハイヤー。さあ、ヴァプラ隊…といっても俺たち3人だけか。暴れるとしようか!」

 

遺跡エリア…。

「ダーリン!!」

「遊矢、お前…一体どうしてしまったのだ!!」

赤い足まで伸びた髪で水晶でできたリンゴを持つ青いドレス姿の少女と権現坂が遊矢に困惑する。

血だらけで倒れた3人のオベリスクフォースに向けた怪しい笑み。

まるで、獲物をしとめて狂喜している肉食獣のようだ。

「次だ…次の敵はどこだ?」

3人を足蹴にすると、遊矢の目線が権現坂と少女に向けられる。

「まさか、お前たちか?お前たちが俺の次の敵か?」

「待て、遊矢!!俺は権現坂だ!忘れたのか!!?」

「私はミエルよ、ダーリン!!正気に戻って!!」

「ちっ…痣め。俺をここまで連れて行きやがって…」

権現坂とミエルのすぐ後ろまで来た翔太が恨めし気にそう口にする。

「翔太殿!?静岡にいるのではなかったのか!?」

「野暮用で戻ってきただけだ。それにしても、変わったな、こいつ…」

翔太の目線が遊矢に向けられる。

今の彼の表情は笑みから怒りへ代わっている。

「よお、3つの次元の争いを聞いて、混乱してるんじゃなかったのか?」

「お前も…融合次元の人間か?」

「はあ…質問を質問で返す馬鹿に成り果てたか?」

「融合次元のデュエリストなら…俺が叩き潰す!!」

遊矢がデュエルディスクを展開し、翔太を睨む。

「とことんつまらない奴に成り果てたな、権現坂。下がってろ」

「翔太殿…」

「あの馬鹿は俺が叩き直す。お前はほかの奴らにこのことを知らせに行け」

「…分かった。ここは翔太殿にお任せする!」

権現坂が翔太と遊矢に背を向ける。

「ちょっと…何なのよあなた!私のダーリンを馬鹿呼ばわりして、それに私たちをのけ者に…」

「ミエル殿!そなたも皆に知らせに行くのだ。ここは…俺たちの出る幕ではない…」

「くっ…」

悔しげな表情を浮かべながら、ミエルはその場を後にする。

「翔太殿、後で説明してくれ!」

「ああ…そのつもりだ」

2人が去ったことで、翔太と遊矢の周囲には誰もいなくなる。

「お前とはまだ決着をつけていなかったな、といっても、今のお前には何を言っても無駄だがな」

「邪魔をするな…!!」

「邪魔するに決まってるだろ。鏡見ろ、悪魔の仮面つけたような顔になってるぞ?」

「邪魔をするならお前も潰す!!」

もはや会話が成立していない。

遊矢は完全に何かに取りつかれているようだ。

(まさか…《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》のせいか?)

これ以上話しても無駄だろうと悟った翔太はカードを5枚ドローする。

「できれば、途中で正気に戻ってくれよ。じゃなきゃ、本気でお前を殺さなきゃならなくなるからな」

「「デュエル!!!」」

 

遊矢

手札5

ライフ4000

 

翔太

手札5

ライフ4000

 

「俺のターン…俺はスケール4の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》とスケール8の《時読みの魔術師》でペンデュラムスケールをセッティング。これで俺はレベル5から7のモンスターを同時に召喚可能。揺れろ魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!出でよ我が僕のモンスターよ!《EMハンマーマンモ》!!」

黄色いスーツと黒いシルクハット、鼻にはドラムのようなハンマーをつけた青いマンモスが現れる。

 

EMハンマーマンモ レベル6 攻撃2600

 

「いきなり攻撃力2600のモンスターか」

「このカードは俺のフィールド上にほかのEMが存在しないとき、攻撃できない。俺はこれでターンエンド。そして、《オッドアイズ》の効果発動。サンクチュアリ・フォース!」

光の柱を生み出していた《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》が突然自爆する。

「このカードは俺のターンのエンドフェイズ時、自爆することができる。そして、デッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスター1体を手札に加える。俺はデッキから《相生の魔術師》を手札に加える」

 

遊矢

手札5→3(うち1枚《相生の魔術師》)

ライフ4000

場 EMハンマーマンモ レベル6 攻撃2600

  時読みの魔術師(赤) ペンデュラムスケール8

  

 

翔太

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「《相生の魔術師》?あいつ…新しい魔術師を」

《時読みの魔術師》と《星読みの魔術師》の組み合わせは分かりきっているものの、《相生の魔術師》の効果は居間の翔太にとっては未知数だ。

「(未知数のカードは使わせないようにしないとな)俺のターン!」

 

翔太

手札5→6

 

「このカードは相手フィールド上にのみモンスターが存在するとき、リリースなしで召喚できる。《魔装近衛エモンフ》を召喚」

 

魔装近衛エモンフ レベル5 攻撃1000

 

「このカードをエクシーズ素材とするとき、他の素材は手札の魔装モンスターでなければならない。俺はレベル5の《エモンフ》と手札の《タダカツ》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ、第3の騎士《魔装騎士ブラックライダー》」

 

魔装騎士ブラックライダー ランク5 攻撃2800

 

「ふん…」

《EMハンマーマンモ》以上の攻撃力を持つモンスターが登場しても、動揺していない。

まるで、別の対抗策を持っているようだ。

「バトルだ。俺は《ブラックライダー》で《ハンマーマンモ》を攻撃」

《魔装騎士ブラックライダー》の天秤からミサイル状の隕石が発射される。

隕石によって額を撃ちぬかれたマンモスが静かにその巨体を横にする。

 

遊矢

ライフ4000→3800

 

「俺は手札から《EMシュートビー》の効果発動。俺のEMが戦闘で破壊された時、手札から特殊召喚し、デッキからカードを1枚ドローする」

《EMハンマーマンモ》の肉体が粒子となって消滅すると、その粒子がピンクの蝶ネクタイをつけた遊矢のと同じゴーグルをつけた蜂になる。

その大きさは遊矢の顔と同じくらいだ。

 

EMシュートビー レベル3 守備500

 

「更に《ショートビー》の効果でドローしたカードが魔術師と名のつくペンデュラムモンスターの場合、それを相手に見せることでデッキからカードを1枚ドローする」

遊矢が公開した魔術師は《相克の魔術師》、また翔太が見たことのないモンスターだ。

 

遊矢

手札3→4(うち2枚《相克の魔術師》《相生の魔術師》)

 

EMシュートビー

レベル3 攻撃500 守備500 効果 地属性 昆虫族

「EMシュートビー」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上に存在する「EM」モンスターが相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地へ送られた時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、デッキからカードを1枚ドローする。その時ドローしたカードが「魔術師」Pモンスターの場合、それを互いに確認し、更にデッキからカードを1枚ドローする。

 

「くそ…あいつの手札にペンデュラムモンスターが2体も」

フィールドにはすでにセッティングされている《時読みの魔術師》が存在する。

このままではペンデュラム召喚を許してしまう。

「俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

 

遊矢

手札4(うち2枚《相克の魔術師》《相生の魔術師》)

ライフ3800

場 EMシュートビー レベル3 守備500

  時読みの魔術師(赤) ペンデュラムスケール8

  

 

翔太

手札6→2

ライフ4000

場 魔装騎士ブラックライダー(オーバーレイユニット2) ランク5 攻撃2800

  伏せカード2

 

「融合次元…お前たちは絶対に許さない…」

ブツブツと怒りの言葉を口にする。

彼の眼には目の前でデュエルをしている翔太が映っていない。

「俺のターン、ドロー」

 

遊矢

手札4→5

 

「俺は手札から魔法カード《パラレル・ツイスター》を発動。俺のフィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を墓地へ送り、フィールドのカード1枚を破壊する。俺は《時読みの魔術師》を墓地へ送り、《魔装騎士ブラックライダー》を破壊する」

《時読みの魔術師》が自身の姿を竜巻に変え、《魔装騎士ブラックライダー》を襲う。

「俺は手札から《魔装守衛ランマル》の効果を発動。俺の魔装騎士が破壊されるとき、代わりに手札のこのカードを墓地へ送ることができる」

紫色の袴を着た、黒いポニーテールの小姓が《魔装騎士ブラックライダー》の前に立ち、刀を竜巻を切り裂く。

「更にこの効果を発動した時、俺のフィールド上に存在するモンスターが1体のみの場合、デッキからカードを1枚ドローできる」

 

魔装守衛ランマル

レベル1 攻撃400 守備400 チューナー 闇属性 戦士族

(1):自分フィールドの「魔装騎士」モンスターが破壊されるときに発動できる。代わりに手札に存在するこのカード1枚を墓地へ送る。

(2):(1)の効果を発動した時、自分フィールド上に存在するモンスターが1体のみの場合に発動できる。自分はデッキからカードを1枚ドローする。

 

「俺はスケール3の《相克の魔術師》とスケール8の《相生の魔術師》でペンデュラムスケールをセッティング」

炎の形のような青い後ろ髪と太陽が描かれた楯が装着された双刃剣を持つ緑と白のローブの魔術師である《相克の魔術師》とピンク色のローブ姿で右目を銀の眼帯で隠し、緑色の宝石が付いた白と赤が基調とした弓を持つ女性の魔術師である《相生の魔術師》が光の柱を生み出す。

「これで…レベル4から7までのモンスターを同時に召喚可能。現れろ、我が僕のモンスター達よ!《EMプラスタートル》、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500

EMプラスタートル レベル4 攻撃100

 

「《プラスタートル》は1ターンに1度、フィールド上のモンスターを2体まで選択し、レベルを1つ上昇させることができる。俺は《EMシュートビー》のレベルを1つ上げる」

《EMプラスタートル》がレベルを示すマークを《EMシュートビー》の針にハンコでつける。

 

EMシュートビー レベル3→4 守備500

 

「俺はレベル4の《シュートビー》と《プラスタートル》でオーバーレイ!」

2体のモンスターがオーバーレイネットワークを構築するとともに遊矢が発するプレッシャーが更に強大化する。

(ちっ…余計厄介になったな!)

「漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙!今、降臨せよ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃2500

 

「《ダーク・リベリオン》か…」

かつて、ユートとデュエルをしたときのことを思い出す。

《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の利点は敵が強大であればあるほど攻撃力を高めることができることだけでなく、《闇のデッキ破壊ウイルス》と《魔のデッキ破壊ウイルス》の媒体とすることができるところにもある。

後者に関しては《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》にも言えることだが。

「《ダーク・リベリオン》の効果発動。オーバーレイユニットを2つ取り除くことで、相手モンスター1体の攻撃力を半分奪う!!トリーズン・ディスチャージ!!」

《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の翼部が展開し、無数の電気が無数の棘のような形となって《魔装騎士ブラックライダー》を縛り上げようとする。

「2度も同じ手を受ける馬鹿だと思うか?永続罠《デモンズ・チェーン》を発動!」

《デモンズ・チェーン》が左右にある遺跡から発射され、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を縛り上げる。

縛り上げると同時に鎖は電気を吸収し、さらに強固なものへと変化していく。

「こいつはフィールドのモンスター1体の攻撃と効果を封じ込める。これで、トリーズン・ディスチャージは不発に終わったな」

鎖によって拘束されたユートの竜を見て、遊矢の怒りが増していく。

「黙れ…融合次元のデュエル戦士め!!お前たちは…俺の手ですべて破壊してやる!!俺は《相生の魔術師》のペンデュラム効果を発動!!1ターンに1度、俺のエクシーズモンスター1体のランクをターン終了時まで俺のレベル5以上のモンスター1体のレベルと同じ数値にすることができる!」

《相生の魔術師》が放った矢が《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の胸を貫く。

2体の竜の胸に開いた穴はすぐに修復されるとともに、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の眼の色が遊矢の竜と同じになる。

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4→7 攻撃2500

 

「更に《相克の魔術師》のペンデュラム効果を発動!1ターンに1度、俺のエクシーズモンスター1体を同じランクのエクシーズモンスターのエクシーズ素材にすることができる。これで、《ダーク・リベリオン》はランク7のエクシーズモンスターのエクシーズ素材となれる!」

上空に再び現れたオーバーレイネットワークに《相克の魔術師》が自身の武器を投げ入れると、それに引かれるように《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》がその中へ入っていく。

「まさか…遊矢!!」

「俺は《オッドアイズ》と《ダーク・リベリオン》でオーバーレイ!!二色の眼の龍よ!その黒き逆鱗を震わせ、刃向かう敵を殲滅せよ!エクシーズ召喚!いでよ、ランク7!怒りの眼輝けし龍!《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》!」

オーバーレイネットワークの中で、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の肉体が黒に染まっていく。

そして、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の肉体は翼部を残しつつ、巨大な2つの鉄球型のパワーユニットがついたアーマーに変化する。

アーマーを装着し、破壊竜と化した《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》は自らオーバーレイネットワークを破壊し、遊矢の元へ舞い降りる。

 

覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン ランク7 攻撃3000

 

「こいつが…痣が俺に見せた竜か!?」

2体の竜の力が宿ったその竜に翔太と《魔装騎士ブラックライダー》が戦慄する。

「このカードはエクシーズモンスターを素材にエクシーズ召喚に成功したターン、1度の場と絵うフェイズ中に3回攻撃することができる!!!」

「何!?」

《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》が咆哮するとともに、パワーユニットから大量の電気が漏れ出す。

電気を受けた建造物が次々と爆発を起こし、周囲が火の海と化していく。

「こいつ…あのモンスターに取りつかれたか!?」

「バトルだ!!《オッドアイズ・リベリオン》で攻撃!!反旗の逆鱗ストライク・ディスオベイ!!!」

パワーユニットから供給される膨大なエネルギーが電気となって龍の牙に宿る。

そして、《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》の口から螺旋状のブレスが放たれると同時に《魔装騎士ブラックライダー》の肉体をトリーズン・ディスチャージと同じやり方で拘束する。

ブレスは黒き騎士を貫くと、そのまま翔太を巻き込んでいく。

「ぐおおおお!!」

 

翔太

ライフ4000→3800

 

破壊すべきモンスターが消滅しても、ブレスがとまる気配はなく、そのまま翔太を焼き尽くしていく。

「ぐうう…う!!」

 

翔太

ライフ3800→800

 

来ている学ランの焦げるにおいが翔太の鼻に伝わってくる。

このまま炎を受ければ、確実に翔太を焼殺することができる。

にもかかわらず、破壊竜はブレスを止める。

(何…ブレスを??)

「グオオオオオオオオオン!!」

天に向けて激しく咆哮するとともに龍が跳躍する。

そして、その巨体を利用して翔太を踏みつぶそうとする。

「く…俺を舐めているのか!?罠カード《ガード・ブロック》を発動!!」

透明なバリアが翔太の身を包み込む。

攻撃は無理だと判断した《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》は電磁浮遊をしながら遊矢の元へ戻っていく。

「これで…3回目の攻撃で俺が受ける戦闘ダメージは0。そして、デッキからカードを1枚ドローする」

 

翔太

手札2→3

 

「…。《相生の魔術師》のペンデュラム効果発動。自分フィールドのカードが相手フィールドのカードの数より多い場合、ペンデュラムスケールが4となる、俺はこれでターンエンド」

 

遊矢

手札5→0

ライフ3800

場 覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン(オーバーレイユニット2) ランク7 攻撃3000

  相克の魔術師(青) ペンデュラムスケール3

  相生の魔術師(赤) ペンデュラムスケール8→4

  

 

翔太

手札3

ライフ800

場 デモンズ・チェーン(永続罠)

 

「ちっ…もらい物の制服をよくも焼いてくれたよな」

やけこげた制服とシャツを脱ぎ捨てる。

手袋は燃え尽きたためか、左手の痣が露出する。

(こいつは危険だ。このままだと町中を破壊して回るぞ。止めねえと…たとえ殺してでも)

もはや目の前にいる人間は自分が知っている榊遊矢ではない。

もはや魂を竜に奪われた敵。

敵であるならば容赦できない。

こころの中で納得させていく。

「殺す…俺はお前を。榊遊矢、貴様を殺す!!!」

必殺の意志を固めると同時に、翔太のエクストラデッキが青白い光を放ち始める。

それと同時に、翔太の脳裏に浮かんだのはとんがり帽子を深々と被り、ボロボロな茶色い服とブーツを着た金髪の少年。

「俺のターン!!!」

 

翔太

手札3→4

 

「俺は手札から魔法カード《戦士の生還》を発動。墓地から《魔装槍士タダカツ》を手札に戻す」

翔太の脳裏には勝利の方程式が構築されつつある。

明確な殺意と共に。

第4の騎士が何よりも欲する意志だ。

「俺はスケール2の《タダカツ》とスケール9の《ムネシゲ》でペンデュラムスケールをセッティング!来たれ、時の果てに眠りし英雄の魂。漆黒の魂と契約し、封印から解き放たん!ペンデュラム召喚!現れろ、闇の名馬《魔装獣ユニコーン》!」

 

魔装獣ユニコーン レベル4 攻撃1600

 

「更にこのカードは通常召喚できないが、手札・墓地に存在する魔装騎士を除外することで、手札から特殊召喚できる。俺は墓地の《ブラックライダー》を除外し、現れろ、死の騎士を喚起させる無名なる騎士。ペンデュラムチューナー《魔装騎士ケントゥリア》」

ローマ帝国の騎士が装備する組み立て式のプレートアーマーを装備した騎士が現れる。

フルフェイスの仮面がついた兜を装備しているためか、顔は全く見えない。

 

魔装騎士ケントゥリア レベル2 攻撃300(チューナー)

 

魔装騎士ケントゥリア

レベル2 攻撃300 守備500  無属性 戦士族

【Pスケール:青4/赤4】

「魔装騎士ケントゥリア」の(1)のP効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードをPゾーンに置いた時に発動できる。このカードを破壊し、自分のエクストラデッキに表向きで存在するPモンスター1体を自分のPゾーンに置く。

【チューナー:モンスター効果】

このカードは通常召喚できない。

このカードは自分の手札・墓地に存在する「魔装騎士」モンスター1体をゲームから除外することで手札・エクストラデッキから特殊召喚できる。この効果で除外されたカードは次の自分のターン終了時にデッキに戻る。

(1):「魔装騎士ケントゥリア」は自分フィールド上に1枚しか存在できない。

(2):このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した次の相手のターン終了時までしかS素材とすることができない。この効果は無効化できない。

(3):1ターンに1度、自分のエクストラデッキに表向きで存在するPモンスター1体を対象に、以下の効果から1つを選択して発動できる

●選択したカードを自分の手札に加える。

●選択したカードを裏向きにしてエクストラデッキに戻す。

 

「ペンデュラムチューナー…だと!?それに、属性がない!?」

自分の知らない未知のモンスターに怒りに囚われた遊矢が驚愕する。

「俺はペンデュラムゾーンに存在するレベル5の《タダカツ》とレベル3の《ムネシゲ》にレベル2の《ケントゥリア》をペンデュラムチューニング!!」

《魔装騎士ケントゥリア》が透明な2つのチューニングリングに変化し、《魔装槍士タダカツ》と《魔装剣士ムネシゲ》がその中へ入っていく。

「死者と生者を整理せし漆黒の力、今こそ惰生をむさぼりし魂を無へ落とせ!ペンデュラムシンクロ!!現れろ、魂を無へ導く者、《魔装騎士HADES》!」

チューニングリングをくぐって現れた《魔装騎士ペイルライダー》を包む鎧が砕け散る。

そして、翔太の脳裏に現れたあの金髪の少年の姿へと変化していく。

 

魔装騎士HADES レベル10 攻撃3000

 

「ペンデュラム…シンクロ…」

「ああ、こいつが出た時点はお前の敗北は確定した」

《魔装騎士HADES》が右手を天に掲げる。

すると、遊矢のフィールドに存在する2体の魔術師が生み出した光が突然巨大な火柱となる。

魔術師たちはその炎に焼かれ、消滅した。

更には《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》の影からもう1体の《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》が召喚される。

2体の竜は互いに首を牙で貫かれる形で消滅した。

「な…何…!?」

「こいつはシンクロ召喚に成功した時、フィールド上のカードを3枚まで破壊することができる。終わりだ…」

《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》が破壊されたことで、あれほど怒りに飲まれていた遊矢が魂を抜かれたかのように静かに立ち尽くす。

《魔装獣ユニコーン》が最初に攻撃し、遊矢を蹴り飛ばす。

あまりにも一角獣の足の力が強かったのか、蹴り飛ばされた遊矢は路上を転げまわる。

 

遊矢

ライフ3800→2200

 

「とどめを刺せ…《HADES》!」

《魔装騎士HADES》が手を倒れている遊矢にかざすと、彼の周囲に大量のナイフが現れる。

手を握ると同時に、そのナイフたちは一斉に遊矢をハチの巣にしようと襲い掛かる。

「駄目だよ、君まで怒りに飲み込まれたら」

「何!?」

急に激しい風が起こり、すべてのナイフが飛ばされていく。

それらはすべて地面に刺さり、巻き添えを受ける形で怪我をする人が出ないようにされていた。

 

遊矢

ライフ2200→0

 

魔装騎士HADES(ハデス)

レベル10 攻撃3000 守備2000 シンクロ 無属性 戦士族

【Pスケール:青4/赤4】

(1):1ターンに1度、自分のPゾーンに存在するこのカードを破壊することで発動できる。自分の手札・エクストラデッキに存在するPモンスターのチューナー1体を表側守備表示で特殊召喚する。

(2):このカードはエクストラデッキへ送られるとき、裏向きとなる。

【モンスター効果】

Pモンスターのチューナー+Pゾーンに存在するモンスター2体

「魔装騎士HADES」の(1)のモンスター効果は1ターンに1度しか発動できない。

このカードはP召喚することができない。

(1):このカードのS召喚に成功した時、フィールド上に存在するカードを3枚まで破壊することができる。

(2):このカードよりも高い攻撃力を持つモンスターと戦闘を行う時、このカードはその戦闘では破壊されず、戦闘を行った相手モンスターをダメージ計算後に破壊する。その後、相手に1000ダメージを与える。

(3):モンスターゾーンのこのカードが戦闘・効果によって破壊された場合に発動できる。自分のPゾーンに存在するカードをすべて破壊し、このカードを自分のPゾーンに置く。

 

「お前は…」

声がした方向に目を向ける。

そこには侑斗が立っていた。

「やぁ、久しぶりだね。翔太君」




新たに無属性というのを追加してみました!
アニメGXで登場したクリアーモンスターのように、属性を持たないのが特徴です。
そして、翔太が明確な殺意を持ったことで生まれた新たなモンスター、《魔装騎士HADES》。
このモンスターが翔太に何をもたらすのか?
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