「やれやれ、やっとあの甘々ムードから解放されたぜ」
LDSの医療室に遊矢と柚子を連れていたった翔太がため息をつきながら建物から出てくる。
外では権現坂、黒咲、セレナ、青い忍者、沢渡が待機している。
「権現坂その他大勢か」
「っておい!!俺に関しては1度会っただろう!!?」
「翔太殿、遊矢の容態は」
「無視かよ!?」
沢渡が思わず突っ込むが、権現坂が無視して話を進めたことでショックを受ける。
そして、少し後ろの壁に顔を向けた状態で体育座りをする。
そんな彼を忍者は何も言わずに肩に手を置く。
「出血はひどいが一命は取り留めている。1週間くらいしたら、回復する」
「良かったぁ、一時はどうなることかと…」
デニスが安心しつつ、胸をなでおろす。
そんな中、翔太が周囲を見渡し、ある疑問が浮かぶ。
「約3名の姿が見えないが、どうした?権現坂…」
「ミエル殿は家に帰した。しかし…」
「残り2人はこうなってしまった」
黙る権現坂を見かね、黒咲が懐からカード化した未知夫と鉄平を見せる。
「黒咲と…その顔立ちだけは柚子に似ている奴がセレナだな。話は大体柚子から聞いた。とんだ疫病神のようだな。特にお前は」
翔太に指をさされるセレナ。
しかし、思い当たる節があるために反論することができない。
「それで、間抜けの世話をしている青忍者は?」
「…風魔月影」
青い忍者、月影は名前だけ淡々と口にする。
「翔太くーーん!!」
「…ちっ」
東側の道から伊織が走ってくる。
そして、翔太の前に立つと息を整えながら彼の肩に手を置く。
「大丈夫!?けがはない??」
「かすり傷だ。服は燃えちまったけどな。だが、なんで俺の居場所を?」
「僕が教えたんだ」
そう言いながら、侑斗とウィンダが現れる。
そして、彼は翔太の左手を見る。
「(なるほど…だからそんなことが)翔太君、君の力を貸してもらえるかい?」
「…なんだよ?」
「黒咲君、カードをその場において。そして全員カードから10メートルくらい離れるんだ」
「おいおい、一体何をするつもりなんだよ?」
いつの間にか立ち直り、抗議しようとする沢渡だが、黒咲に引っ張られる。
「何すんだよ!!?」
「黙ってあの人の言うとおりにしろ」
「…なんだかよくわからんが、ここは…」
権現坂も黒咲に追随するようにカードから離れた。
他のメンバーも同じようにし、カードの近くには誰もいなくなる。
「じゃあ、頼むよ!」
侑斗は翔太の左手首を掴んだまま、彼の掌をカードにかざす。
痣から緑色の光の糸が出てきて、2枚のカードにつながる。
そしてそれらも同じ色の光を放ち、少し時間がたつと緑色の爆発が発生する。
「何!!?爆発しただと!?」
「翔太殿、未知夫殿と鉄平殿に何を!?」
「ええ!?何々!?一体どうなってるの!?」
突然の出来事に、侑斗と翔太以外の全員が動揺する。
爆発の煙が晴れると、カードがあった場所には未知夫と鉄平が気絶した状態でその場に倒れていた。
「カード化したデュエリストが解放されただと!?」
セレナは2人の姿を見て、目を大きく開く。
権現坂は急いで駆けより、2人の脈と呼吸を確認する。
「異常はない、ただ気絶しているだけ」
「これが翔太君の能力だよ」
「俺というよりも、この痣の力だな」
左手の痣を見ながら、そうつぶやいていると、ウィンダが柚子から預かった2枚のカードをその場に置き、権現坂が気絶する2人を医療室へ連れて行く。
「君の痣はわずかだけど次元に干渉する力がある。その力でカード化した人を安全かつ適切に解放することができるんだ」
「なるほどな」
左手を見つめ、ようやく自分の力について一部を理解することができたものの、なぜ侑斗がそのことを知っているのかという疑問がわいてくる。
「どうやら、君たちは無事に融合次元からの攻撃を生き延びることができたようだ」
そう言いながら、彼らの元へ零児が歩いてくる。
「よお、あんたの言うとおり融合次元の奴らは始末したぜ。これでランサーズの仲間入りは確定だろ?」
「ランサーズ…?」
聞いたことのない団体の名前に翔太たちが首をかしげる。
唯一、侑斗は零児をじっと見ていた。
「ランス・ディフェンス・ソルジャーズ。融合次元に対抗し、スタンダード次元を守るための槍だ。そして、今ここにいない榊遊矢、柊柚子を含めた君たちはペンデュラム召喚を手にしたことでいまや融合次元のデュエリストと対等以上にわたりあう力を得た。君たちこそランサーズにふさわしい」
「なるほどな。だから大会のペンデュラムモンスターを持ち込んだのか」
翔太は遊矢が手術室へ運ばれた後、柚子からバトルロワイヤルのことを聞いた。
舞網チャンピオンシップ3回戦はバトルロワイヤルで、街をすべてアクションフィールドに変え、ペンデュラムモンスターも町中に放出された。
ルールは24時間の間にペンデュラムモンスターを他の出場者よりも多く集めることで、相手とは2枚以上のペンデュラムモンスターをアンティにしてデュエルをすることになる。
権現坂や柚子などの今集まり生き残っている出場者は少なくとも2枚以上のペンデュラムモンスターを手にしている。
零児が舞網と静岡で大会を行った目的、それは融合次元と戦うことができるデュエリストを集めること、そしてペンデュラムモンスターを渡すことで融合次元に対抗する力を与えることだった。
「だが、俺たちでなくともユースメンバーで…」
「残念だけど、ユースメンバーは全滅、カードを回収することはできなかった」
引き続き、今度は北斗が登場する。
「志島北斗!?」
「行方不明のはずじゃなかったのか??」
「ずっと修行していたのさ。師匠の元で」
侑斗に目を向けてながら、北斗はそう言う。
恥ずかしいのか、侑斗は苦笑いしながら頬を人差し指でかいていた。
「ねえ、翔太君。この人は??」
「彼は剣崎侑斗。俺たちレジスタンスを救ってくれた男だ」
「そして、レオコーポレーションの協力者だ」
侑斗と零児の案内で、翔太たちは地下にある大型デュエルフィールドへ案内される。
「ここは…」
「ここは試作型次世代デュエルフィールド。一番の違いとすれば…」
零児が所持しているスマートフォンにパスワードを入力すると、翔太たちの目の前に遊矢のソリッドビジョンが現れる。
「遊矢!!?」
「いや、こいつは精巧なソリッドビジョン。あいつは今は寝ぼけてることを忘れるな」
「このデュエルフィールドではさらに多くのアクションフィールドやカードに対応できるだけでなく、データ保存されているデュエリストをソリッドビジョンで再現し、デュエルをすることができる。無論、彼とでも…」
更にスマートフォンにパスワードを入力すると、遊矢のソリッドビジョンが石倉純也のものに変化する。
「こいつは…」
「あーーーー!!」
「ん…?誰だコイツは??」
翔太と伊織が驚く中、沢渡は誰かわからず、隣にいる権現坂に質問する。
黒咲とセレナについては問うまでもないだろう。
「彼は石倉純也。5年前に行方不明となったプロデュエリストだ。まさか…知らないとでもいうのか?」
「バ、バカを言うなよ!?俺様が知らないわけがないだろう!?」
実際、この石倉純也行方不明のニュースは当時新聞の第1面に載るほど大きな話題となった。
彼は日本人で初めてアメリカのプロリーグへ行ったデュエリストで、メディアにとっては格好の記事ネタとなりうる人物だからだ。
大抵のデュエリストはそのため、彼について知っているが、同じ次元の日本人であるにもかかわらず知らないデュエリストもいるようだ。
その証拠が沢渡だ。
「秋山翔太、彼とデュエルをしろ」
「はぁ?」
「君のDNAを少し調査させてもらったが、わずかに違いがあるものの構造は石倉純也と同じだ」
「何!?」
「っていうことは…もしかして翔太君って…石倉純也なの!?」
「だが、当時の石倉純也の年齢はすでに30代後半。今の翔太殿の年齢はおそらく16歳くらい。どう見ても同一人物とは思えん」
伊織と権現坂が予想するものの、翔太はまるでうんざりしているように頭をかく。
そして、純也のソリッドビジョンの前に立つ。
「もういい。こいつをぶったおせばいいんだろう?」
「物わかりが良くて助かる」
「黙れ、陰湿メガネ」
勝手にDNAを調べられたのが不快だったのか、悪口に近いあだ名で零児を呼ぶが、彼には痛くもかゆくもないようだ。
「アクションフィールド、《妨げの迷宮》発動」
何もない不作法なフィールドが次第に近代的で見たことのないような薄い黒の金属でできた施設に変化していく。
その金属プレート1つ1つには見たことのない文字が刻まれていて、壁は不規則な移動を繰り返している。
更にはプレートの隙間から定期的に青い光の壁が展開され、デュエリストやモンスターの行動を妨害する。
「ゴチャゴチャしたギミックのフィールドだな」
「このフィールドは石倉純也が最も得意としたフィールドだ。さあ、君の力をソリッドビジョンの彼に見せてもらおう」
「こんな贋物のぼろ人形に俺が負けるとでも思ってるのか?」
「たしかに今ある彼のデータは5年前のもの。だが、彼がプロデュエリストとして高い実力を持った人であることを忘れるな」
ソリッドビジョンの純也がデュエルディスクを展開し、デュエルの開始を待っている。
翔太もデュエルディスクを展開すると、すぐにアクションカードがフィールド上にばらまかれた。
純也
手札5
ライフ4000
翔太
手札5
ライフ4000
「私の先攻。私は手札から魔法カード《予想GUY》を発動。私のフィールド上にモンスターが存在しないとき、デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚できる。私はデッキから《幻のグリフォン》を特殊召喚」
上空から青い光の壁をかわしながら赤い鎧と五芒星がない点以外は《魔装鳥獣グリフォン》とほぼ同じ姿のモンスターが降りてきて、純也を乗せて飛行する。
幻のグリフォン レベル4 攻撃2000
「あいつ、デッキから通常モンスターを!」
《幻のグリフォン》が目指す方向にはアクションカードがある。
追いかけようと壁を登るが、不規則にそれが動くせいで中々上へ昇ることができない。
そんな中、純也はアクションカードを手にする。
「私はアクション魔法《防衛システム》を発動。このカードを発動した後、1度だけ相手モンスターの攻撃を無効にできる。更に私は《幻のグリフォン》をリリース。《魔装戦士ヴァンドラ》をアドバンス召喚」
杯のような形をした足場に到着した純也は指を鳴らす。
すると、《幻のグリフォン》が猛スピードで落下する。
そして、光の壁にぶつかると同時にその姿を左腕に羽根のような装甲がついた金色の竜を模したガントレットを装着した青いアーマーの戦士に変化させ、壁を蹴って再び主の元へ戻っていく。
魔装戦士ヴァンドラ レベル5 攻撃2000
「同じ攻撃力のモンスターをアドバンス召喚だと?何かあるのか!?」
上を見上げながら、翔太が質問するが、データである純也が応えるわけもなく、彼はデュエルを続ける。
「私は手札から魔法カード《テイク・オーバー5》を発動。デッキトップから5枚のカードを墓地へ送る。そして、2枚カードを伏せてターンエンド」
デッキから墓地へ送られたカード
・ブラック・マジシャン
・魔装戦士テライガー
・オレイカルコス・シュノロス
・神風のバリア―エアー・フォース
・エメラルド・ドラゴン
純也
手札5→0
ライフ4000
場 魔装戦士ヴァンドラ レベル5 攻撃2000
伏せカード2
翔太
手札5
ライフ4000
「なんだぁ?攻撃力ならさっきの《幻のグリフォン》と同じじゃねえか。プレイングミスか??」
沢渡も翔太と同じ疑問を持ち、デュエルの状況を見る。
そんな中、黒咲とセレナはある話をしていた。
「…黒咲、本当なのか?融合次元のデュエリストが…笑いながらエクシーズ次元を蹂躙したというのは…?」
「ああ、そうだ。融合次元の奴らは俺たちを獲物としか考えていない。戦うことができず命乞いする奴らまでも笑いながらカードに変えていった。その中にはデュエリストでない者もいた。その中には…俺の妹も…」
黒咲は懐から手帳を取り出し、それをセレナに渡す。
恐る恐るそれを開くと、そこには日付と人の名前が丁寧に記入されている。
「俺たちは犠牲になった人たちと仲間の名前をこうして書いている。中には名前がわからず、容姿しか書くことのできなかった奴らもいる…」
「そ…んな…!!」
怒りを抑え、拳を握りしめながら語る黒咲を見て、セレナは彼が嘘をついていないことを確信する。
そして、自分が信じていた融合次元の悪行に絶望していた。
(そうか…だから、剣崎侑斗がエクシーズ次元に力を…)
「俺のターン」
翔太
手札5→6
「俺はスケール1の《魔装鳥キンシ》とスケール5の《魔装郷士リョウマ》でペンデュラムスケールをセッティング。これで俺はレベル2から4のモンスターを同時に召喚可能。来たれ、時の果てに眠りし英雄の魂。漆黒の魂と契約し、封印から解き放たん!ペンデュラム召喚!来い、《魔装獣ユニコーン》!《魔装鳥ガルーダ》!」
魔装獣ユニコーン レベル4 攻撃1600
魔装鳥ガルーダ レベル3 攻撃1200
「翔太君、いきなりペンデュラム召喚を決めた…」
「《ガルーダ》の効果発動。このモンスターの特殊召喚に成功した時、相手フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力を500ダウンさせる」
《魔装鳥ガルーダ》が展開される光の壁の数々を回避しながら、《魔装戦士ヴァンドラ》と同じ高さまで向かう。
そのわずかな時間の間に純也は近くにあるスイッチを押し、それによって出現した4つの棒のような足場を次々と飛び越えてその先にあるアクションカードを手にする。
「私はアクション魔法《対空システム》を発動。相手モンスターの効果の発動を無効にする」
発動と同時に、天井から壁と同じ色の対空機銃が現れ、《魔装鳥ガルーダ》に向けて発射する。
弾幕を張られたことで、火球を発射しても命中する保証がなくなり、《魔装鳥ガルーダ》は諦めて翔太の元へ戻っていく。
対空システム
アクション魔法カード
(1):相フィールド上に存在するのレベル4以下のモンスターが効果を発動した時に発動できる。その発動を無効にする。
「ちっ…だが、こいつでどうだ?俺はフィールド上に存在する《ユニコーン》と《ガルーダ》を融合する!精錬されし一角獣よ!炎の怪鳥よ!魔導の力によりて、今1つとならん。融合召喚!王家の獣、《魔装鳥獣グリフォン》!!」
魔装鳥獣グリフォン レベル6 攻撃2400
召喚された《魔装鳥獣グリフォン》の背中に乗り、上空へ向かう。
ただし、小回りが利く《魔装鳥ガルーダ》と比べると《魔装鳥獣グリフォン》の大きさは倍で、光の壁に何度も阻まれてしまう。
「このフィールドでは小回りが利かないモンスターの動きが封じられやすい。このフィールドでどう戦う?秋山翔太…」
「まさか本当にこんなデュエルフィールドがあるなんてな」
伊織たちがデュエルに夢中になっているさなか、鬼柳が入ってくる。
「鬼柳一真…」
「久しぶりだな、赤馬零児。たしか…10年前のデュエルキャンプ以来か」
「そうだな。あれからはめったに連絡を取ることができなかったが…まさかこうして再会するとはな。ロットンはどうしている?」
「あいつなら、他の参加者と一緒にヴァプラ隊の奴らとデュエルをしている。俺はクリアしたからこうして抜け出している」
何事もなかったかのような鼻で笑いながらそう口にする。
零児はまるで予想していたかのように驚きもせず、ただ彼の話を聞いていた。
「それで、どう思う?」
「秋山翔太のことか?」
「ああ。性格はまるで違うが、やはりあいつは…」
自分なりの予想を言おうとする鬼柳だが、すぐにさえぎられる。
「それ以上言うな、一真。まだ可能性の範囲内に過ぎない。それ以上のことは確証を得てからだ」
彼の言葉に鬼柳はフッと笑みを浮かべる。
彼の調べ上げてから行動する態度をキャンプの時から知っていて、変わっていないことがうれしいからだろう。
「バトルだ。俺は《グリフォン》で《ヴァンドラ》を攻撃!」
《魔装鳥獣グリフォン》の口から放たれた雷鳴が《魔装戦士ヴァンドラ》を襲う。
「《防衛システム》の効果で、その攻撃は無効となる」
天井にある小型ハッチから4つの放熱板のようなものが現れ、《魔装戦士ヴァンドラ》の周囲に展開する。
そして、三角柱型の青いバリアが出現して雷鳴を受け止める。
防衛システム
アクション魔法カード
(1):発動後、1度だけ相手モンスター1体の攻撃を無効にする。この効果を発動するまで、自分は「防衛システム」を発動できない。
「だが、次の攻撃は防げないだろ?《グリフォン》は1ターンに2度攻撃できる。そして、2回目の攻撃で発生する相手への戦闘ダメージは半分になる。もう1度《ヴァンドラ》を攻撃!」
再び《魔装鳥獣グリフォン》の口から雷鳴が放たれる。
2度目の雷鳴によって、放熱板はショートを起こし、機能停止した状態で落ちていく。
そして、残された《魔装戦士ヴァンドラ》は雷鳴を受け、黒こげになって消滅した。
純也
ライフ4000→3800
「私はこの瞬間罠カード《召魔の結界》を発動。私の魔装戦士モンスターが相手モンスターの攻撃によって破壊された時、相手フィールド上の攻撃表示モンスター1体を破壊する」
「何!?」
《魔装鳥獣グリフォン》を包むように、五芒星の魔法陣が現れる。
「くそっ!!」
翔太が飛び降りた後、魔法陣がモンスターと共に消滅し、翔太は何とか壁と壁の間の隙間にあるでっぱりにしがみつく。
しがみつくのと同時にその真下にある隙間から光の壁が数秒だけ出現した。
このまま落ちたままだったら、それに激突していただろう。
「そして、墓地からレベル5以上の通常モンスター1体を特殊召喚できる。私は《ブラック・マジシャン》を特殊召喚!」
ブラック・マジシャン レベル7 攻撃2500
召魔の結界
通常罠カード
(1):自分フィールド上に存在する「魔装戦士」モンスターが相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地へ送られた時に発動できる。相手フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を破壊する。その後、自分の墓地に存在するレベル5以上の通常モンスター1体を特殊召喚する。
「更に《ヴァンドラ》の効果発動。このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、私の墓地に存在するドラゴン族・戦士族・魔法使い族通常モンスター1体を手札に加えることができる。私は墓地から《エメラルド・ドラゴン》を手札に加える」
純也のデュエルディスクから《エメラルド・ドラゴン》が自動排出される。
そして、《ブラック・マジシャン》は表情一つ変えることなく翔太に向けて杖を向ける。
(《ブラック・マジシャン》…石倉純也のエースモンスター…)
零児と鬼柳はキャンプの頃に見た純也のデュエルを思い出す。
《ブラック・マジシャン》が召喚されるたびになぜか心が躍った。
「俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド。同時に《魔装鳥キンシ》の効果発動。俺のターン終了時のペンデュラムスケールが2つ上昇する」
純也
手札0→1(《エメラルド・ドラゴン》)
ライフ3800
場 ブラック・マジシャン レベル7 攻撃2500
伏せカード1
翔太
手札6→0
ライフ4000
場 伏せカード2
魔装鳥キンシ(青) ペンデュラムスケール1→3
魔装郷士リョウマ(赤) ペンデュラムスケール5
「私のターン、ドロー」
純也
手札1→2
「私はスタンバイフェイズ時に墓地の《テイク・オーバー5》を除外し、デッキからカードを1枚ドローする。手札から魔法カード《黒魔術の宝札》を発動。私のフィールド上に存在するモンスターが黒魔術師1体のみの場合、デッキからカードを2枚ドローできる」
純也
手札2→4
黒魔術の宝札
通常魔法カード
「黒魔術の宝札」は1ターンに1度しか発動できず、このカードを発動したターン、自分は魔法使い族モンスター以外のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。
(1):自分フィールド上に存在するモンスターが「ブラック・マジシャン」モンスター1体のみの場合に発動できる。自分はデッキからカードを2枚ドローする。
「更に私は罠カード《凡人の施し》を発動。デッキからカードを2枚ドローし、手札の通常モンスター1体をゲームから除外する」
純也
手札3→5
ゲームから除外されたモンスター
・エメラルド・ドラゴン
「一気に手札補充か…!」
1ターンの間で手札を5枚まで回復される純也。
《魔装戦士ヴァンドラ》を召喚した目的は《ブラック・マジシャン》召喚のためだけでなく、《凡人の施し》の代価とするための通常モンスターを手札に加えることだったのだ。
「私は手札から速攻魔法《サイクロン》を発動。その効果で《魔装郷士リョウマ》を破壊する」
純也が起こした竜巻によって、《魔装郷士リョウマ》が吹き飛ばされ、エクストラデッキへ向かう。
これで翔太は次のターンのペンデュラム召喚を封じ込められてしまった。
「そして私はモンスターを裏守備表示で召喚。バトル。私は《ブラック・マジシャン》でダイレクトアタック。黒・魔・導(ブラック・マジック)!」
《ブラック・マジシャン》の杖に漆黒の魔力の球体が生まれ、翔太に向けて発射される。
しかし、翔太はアクションカードを探そうとしない。
「翔太殿!!このままでは2500もの大ダメージが…」
「ううん、権現坂君!これは…」
伊織が自分の予想を言おうとする前に、翔太の左側の伏せカードに異変が起こる。
伏せカードが《魔装軍師コウメイ》へと姿を変え、突風で球体を吹き飛ばしたのだ。
吹き飛ばされたそれは《ブラック・マジシャン》の頬をかすめ、壁に貼りつけられている装置に命中する。
装置は故障し、純也の近くで発生していた光の壁はグニャグニャと曲がったのち、消滅した。
頬にできた傷をわずかに見た《ブラック・マジシャン》は静かにその目線を《魔装軍師コウメイ》に向ける。
「こいつは魔法カードとしてセットすることができ、相手の直接攻撃宣言時に特殊召喚することで俺と俺のモンスターをこのターンの間、破壊とダメージから守り続ける」
魔装軍師コウメイ レベル3 守備1600
「なるほど…ということは、彼が《魔装戦士ヴァンドラ》を切り札召喚の布石としていることを予測していたということか」
前のターン、やろうと思えば《魔装軍師コウメイ》を先ほどのペンデュラム召喚の際に同時に呼び出すこともできた。
そして、同じレベル3のモンスターである《魔装鳥ガルーダ》と共にランク3のエクシーズモンスターを召喚する、もしくは《魔装獣ユニコーン》の代わりに《魔装鳥獣グリフォン》の融合素材とすることもできた。
それをせず、この事態を想定できたことから翔太の力量がうかがえる。
尊大な態度を取るだけの実力があることがわかる。
「私はカードを2枚伏せ、ターンエンド」
純也
手札5→1
ライフ3800
場 ブラック・マジシャン レベル7 攻撃2500
裏守備モンスター1
伏せカード2
翔太
手札0
ライフ4000
場 魔装軍師コウメイ レベル3 守備1600
伏せカード1
魔装鳥キンシ(青) ペンデュラムスケール3
ダメージを逃れることができたが、純也のフィールドには攻撃力2500の《ブラック・マジシャン》と伏せカード2枚。
それに対して、翔太の手札はなく、ペンデュラム召喚もこの状況では行えない。
次のドローがどうなるかでこれからの行動が決まる。
「俺のターン!」
翔太
手札0→1
ドローと同時に、翔太は壁を登り始める。
(このカードだけじゃ無理だな。アクションカードを…!)
登っている間に向かい側にある壁を見ると、貼りつけられているアクションカードを発見する。
壁を強く蹴ってそこまで飛ぶと、それを手に取り、再び壁を強く蹴って上下に移動している足場を掴む。
足場に上り終えると、もう失格ギリギリの54秒が経過していた。
「俺はアクション魔法《再利用システム》を発動。デッキからカードを1枚ドローし、手札を1枚捨てる」
手札から墓地へ捨てられたカード
・魔装獣バステト
再利用システム
アクション魔法カード
(1):自分はデッキからカードを1枚ドローし、手札を1枚墓地へ捨てる。
「そして俺はスケール8の《魔装鍛冶クルダレゴン》をペンデュラムゾーンにセッティング」
「これで翔太君はレベル4から7までのモンスターを召喚できる!」
「ペンデュラム召喚できるとしても、だせるのはエクストラデッキにいる《魔装郷士リョウマ》だけだよ?これだと守りを固めることしか…」
「そうとも限らないよ、ウィンダ。多分…」
侑斗は翔太が先ほどセッティングした《魔装鍛冶クルダレゴン》をじっと見る。
「ペンデュラム召喚!エクストラデッキから《魔装郷士リョウマ》を召喚する」
魔装郷士リョウマ レベル4 攻撃1900
「やった!そして《リョウマ》の効果を使えば…」
「いいや、伊織殿。《魔装郷士リョウマ》のモンスター効果は手札からペンデュラム召喚することで発動できる効果。エクストラデッキからのペンデュラム召喚では発動できん」
「そんなぁ、《リョウマ》のケチー!」
「いや、モンスターに文句を言われても…」
頬を膨らませ、不満を漏らす伊織の言葉が聞こえたのか、なぜか《魔装郷士リョウマ》の頬に一筋の汗が流れた。
「《クルダレゴン》のペンデュラム効果発動。1ターンに1度、俺が魔装モンスターのペンデュラム召喚に成功した時、墓地から魔装モンスター1体を手札に加えることができる。俺は墓地から《魔装獣バステト》を手札に加え、そのまま召喚する」
《魔装鍛冶クルダレゴン》のハンマーに炎が宿り、それが壁にたたきつけられる。
炎によって溶けた壁は衝撃によって砕け、そこから《魔装獣バステト》が飛び出してくる。
魔装獣バステト レベル1 攻撃0(チューナー)
「レベル4の《リョウマ》とレベル3の《コウメイ》にレベル1の《バステト》をチューニング。茨の園より生まれし稲妻の竜よ、空を振るわし、大地に鉄槌を。シンクロ召喚!現れろ、《魔装雷竜リンドヴルム》!」
魔装雷竜リンドヴルム レベル8 攻撃3000
「攻撃力3000!《ブラック・マジシャン》の攻撃力2500を上回った!」
香華く力2500程度ならば、別に上回れても不思議ではない。
問題は純也が伏せている2枚のカードだ。
「(《リンドヴルム》は攻撃するとき、攻撃対象となったモンスターの攻撃力以下の相手モンスター1体か魔法・罠カード1枚を破壊する効果がある。だが、発動を阻止できるというわけじゃない。ま、発動したら下で考えればいいだけだな)バトル。俺は《リンドヴルム》で《ブラック・マジシャン》を攻撃!ライトニング・ストライク」
《魔装雷竜リンドヴルム》の咆哮と同時に、《ブラック・マジシャン》の周囲にある壁を突き破る形で棘が出現し、そのモンスターを拘束する。
そして、拘束された《ブラック・マジシャン》に《魔装雷竜リンドヴルム》が雷を纏って突撃しようとする。
「《リンドヴルム》の効果発動!俺は右側の伏せカードを破壊する!」
竜の体に宿っていた雷が純也の伏せカードを襲おうとする。
しかし、雷に接触する直前にそのカードが発動する。
「罠発動!《シフトチェンジ》。私のモンスター1体が攻撃対象、相手の魔法・罠カードの対象となった時、その対象を私の別のモンスター1体に変更させる」
「何!?」
裏守備表示になっていたモンスターが正体を見せ、《ブラック・マジシャン》の盾となる。
右腕部分が《魔装戦士ヴァンドラ》と同じで、赤を基調とした、6枚の羽根がついている鎧を着た女戦士、《魔装戦士アルニス》はすさまじい突撃によって一撃で消滅した。
魔装戦士アルニス レベル4 守備1200
「ちっ…これだと、《リンドヴルム》の効果を発動した意味がない」
「更に《アルニス》の効果発動。このカードが相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の魔法使い族モンスター1体を特殊召喚できる。私はデッキから《魔装使いイグシュ》を特殊召喚」
《魔装戦士ヴァンドラ》とは異なり、右足部分に金色の装甲がついていて、背中部分に鳥の模様が描かれた赤いローブを身に着けた女性の魔法使いが現れる。
魔装使いイグシュ レベル2 攻撃1200
魔装使いイグシュ
レベル2 攻撃1200 守備700 炎属性 魔法使い族
魔装戦士アルニスを陰で支える魔道士。炎を食べることで自らの魔力を回復させることができる。
「また通常モンスターかよ、どういうつもりだ…?俺はこれでターンエンド。それと同時に、《魔装鳥キンシ》は自らの効果でペンデュラムスケールを2つ上昇させる」
純也
手札1
ライフ3800
場 ブラック・マジシャン レベル7 攻撃2500
魔装使いイグシュ レベル2 攻撃1200
伏せカード1
翔太
手札0
ライフ4000
場 魔装雷竜リンドヴルム レベル8 攻撃3000
伏せカード1
魔装鳥キンシ(青) ペンデュラムスケール3→5
魔装鍛冶クルダレゴン(赤) ペンデュラムスケール8
「私のターン、ドロー」
純也
手札1→2
「私はカードを1枚伏せ、手札から装備魔法《下克上の首飾り》を《魔装使いイグシュ》に装備」
金色で片目が描かれた五芒星が特徴的な首飾りが《魔装使いイグシュ》に装着される。
その首飾りの目は心なしか《魔装雷竜リンドヴルム》に向けられているように感じられる。
「このカードを装備した通常モンスターが自身よりもレベルの高いモンスターと戦闘を行う時、ダメージ計算時のみその攻撃力をレベルの差×500ポイントアップさせる」
「何!?」
これが通常モンスターの恐ろしさにして純也がかつてプロデュエリストとして戦えた所以だ。
通常モンスターの性質を知りつくし、その利点を最大限まで活用することができる。
今、上級モンスターキラーへと変化した《魔装使いイグシュ》は先ほど破壊された《魔装戦士アルニス》の仇たる《魔装雷竜リンドヴルム》を破壊する力を得ている。
「バトル。私は《イグシュ》で《魔装雷竜リンドヴルム》を攻撃!」
首飾りから怪しい紫色の光が放たれ、《魔装雷竜リンドヴルム》を包み込む。
そして、光の中にいる竜目掛けて《魔装使いイグシュ》が右手から鳥のような形をした火球を放つ。
火の鳥に貫かれた《魔装雷竜リンドヴルム》は消滅し、爆風が翔太を襲う。
「うわあああ!!」
翔太
ライフ4000→2800
魔装使いイグシュ(ダメージ計算時) レベル2 攻撃1200→4200
「更に《ブラック・マジシャン》でダイレクトアタック。黒・魔・導」
吹き飛ばされ、背中を壁に激突させている翔太に追い打ちをかけるように《ブラック・マジシャン》が魔力の球体を発射する。
「ぐおおおお!!」
翔太
ライフ2800→300
「翔太君のライフが一気に300に!?」
「翔太殿のエクストラデッキにはペンデュラムモンスターである《魔装郷士リョウマ》が存在する。だが、今のペンデュラムスケールでは召喚できん!」
《魔装鳥キンシ》のペンデュラムスケール上昇効果は扱いによれば自分を有利にすることができる。
しかし、現状は召喚できるモンスターを減らしてしまうだけだ。
事実として、今の翔太にはペンデュラム召喚できるモンスターが手札にもエクストラデッキにもない。
だとすれば、やることは…。
「罠発動《ショック・ドロー》!!俺がこのターン受けたダメージ1000につき1枚カードをドローする!」
翔太が受けたダメージは3700。
これならば3枚ドローできるが…。
「カウンター罠《王者の看破》を発動。私のフィールド上にレベル7以上の通常モンスターが存在するとき、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚または魔法・罠カードの発動と効果を無効にし、破壊する」
《ブラック・マジシャン》が杖を《ショック・ドロー》のソリッドビジョンに向けると、それは一瞬で消滅してしまった。
(なるほどな…ということは既にそのカードを伏せていた時に《下克上の首飾り》が手札にあり、その効果を最大限に活用するためにわざとシンクロ召喚を許したのか。ただのデータのくせにふざけた真似を!!)
結果的に翔太は《魔装雷竜リンドヴルム》を倒されてしまい、挙句の果てに《ショック・ドロー》を阻止されてしまった。
ライフもわずか300。
上級モンスターを召喚しても《魔装使いイグシュ》の餌食になる。
翔太は窮地に立たされている。
(だが、《下克上の首飾り》はあくまでレベルに対応する効果だ。なら…こいつを使えばいい)
翔太は壁を登りながら、これからの戦略を立てようとする。
(問題は手札だ。アクションカードによって手札補充ができれば、少なくともあいつを呼び出しやすくなるはずだ…!)
「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
純也
手札2→0
ライフ3800
場 ブラック・マジシャン レベル7 攻撃2500
魔装使いイグシュ(《下克上の首飾り)装備) レベル2 攻撃1200
伏せカード1
翔太
手札0
ライフ300
場 魔装鳥キンシ(青) ペンデュラムスケール5
魔装鍛冶クルダレゴン(赤) ペンデュラムスケール8
壁を登りながら、アクションカードを探し続ける。
しかし周囲を見渡してもアクションカードはなく、見つけたとしてもまだ生き残っている光の壁が邪魔をする。
(なるほど…俺自身のデッキを信じろってことか)
あと20秒カードを操作しなければ負けとなるところで翔太はカード探しをやめる。
そして一番近い足場につき、デッキを見る。
「(ま、アクションカードはギャンブルだからな。極力使いたくねえな)俺のターン」
翔太
手札0→1
「俺は手札から魔法カード《逆境の宝札》を発動。相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが存在し、俺のフィールド上にモンスターが存在しないとき、デッキからカードを2枚ドローする」
ドローしたカードと純也の2体のモンスターを見て、にやりと笑う。
「引いたぜ。ペンデュラム召喚!現れろ、第4の騎士《魔装騎士ペイルライダー》!」
魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500
「おいおい、攻撃力2500でレベル7じゃあ《イグシュ》の餌食になるだけだぜ!?」
「《クルダレゴン》のペンデュラム効果で、俺は墓地から《魔装獣ユニコーン》を手札に加える。俺は手札から《PCM-シルバームーン・アーマー》を発動。俺のフィールド上に存在するレベル7のペンデュラムモンスター1体を同じ種族でランク7のエクシーズモンスターに変化させる。俺は《魔装騎士ペイルライダー》でオーバーレイ!月の鎧に拘束されし第4の騎士よ、その重力を戒めとし覚醒せよ。ムーンライトエクシーズチェンジ!現れろ、月の鎧纏いし死の騎士、《MLX-魔装騎士ペイルライダー・ムーンレイス》!」
《魔装騎士ペイルライダー》が天井に向けて銃弾を発射すると、その銃弾が銀色の魔法陣に変化し、そのモンスターを包み込んでいく。
そして、魔法陣が消えると同時に第4の騎士が月の鎧を装備する。
MLX-魔装騎士ペイルライダー・ムーンレイス ランク7 攻撃2500
「こいつは俺のライフが1000以下の時、相手フィールド上に存在するすべてのモンスターに1回ずつ攻撃することができる。更にペンデュラムオーバーレイユニットに《魔装騎士ペイルライダー》が存在するとき、1ターンに1度墓地の魔装モンスター1体を除外することで、相手モンスター1体の攻撃力・守備力をターン終了時まで0にすることができる。ムーンライト・シューティング!」
レールガンに《魔装鳥ガルーダ》の力が吸収され、超高速で質量弾が《ブラック・マジシャン》に向けて発射される。
しかし着弾する前に《ブラック・マジシャン》が姿をけし、質量弾は壁に当たる。
壁に当たったことで質量弾が勢いを失うと、同時に《ブラック・マジシャン》が再び姿を見せる。
「罠カード《ブラック・イリュージョン》を発動。このターン、私の攻撃力2000以上の闇属性・魔法使い族モンスターは効果を失う代わりに戦闘では破壊されず、カード効果を受けない」
カード効果の説明が終わると同時に再び《ブラック・マジシャン》が自らの魔力で生み出した紫色の霧の中に姿を消す。
その霧は純也と《魔装使いイグシュ》の姿をも隠していく。
だが、これで純也のフィールドにはもう伏せカードがない。
「俺は手札から《魔装獣ユニコーン》を召喚。こいつは魔装騎士の装備カードとなり、攻撃力800アップさせる」
《魔装獣ユニコーン》が足場を飛び移りながら現れ、《MLX-魔装騎士ペイルライダー・ムーンレイス》を背に乗せる。
すると、老馬が月の力の宿った銀色の無骨な鎧に包まれる。
MLX-魔装騎士ペイルライダー・ムーンレイス ランク7 攻撃2500→3300
「げげっ…そのモンスターは…」
《魔装獣ユニコーン》を見て顔を青くする沢渡をそのモンスターはギロリと睨みつける。
どうやら、彼に死にぞこないの馬と言われたことをまだ根に持っているようだ。
「こいつを装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える」
《ブラック・マジシャン》は戦闘破壊できなくなったものの、ダメージを通すことはできる。
このまま《MLX-魔装騎士ペイルライダー・ムーンレイス》が《ブラック・マジシャン》と《魔装使いイグシュ》を攻撃すれば、合計ダメージは4100。
ライフ3800の純也を倒すことができる。
「バトルだ。俺は《ペイルライダー》で攻撃する!フルバースト・デスブレイク!!」
霧に向けて《MLX-魔装騎士ペイルライダー・ムーンレイス》がすべての武装を解放し、弾丸を叩き込んでいく。
その中に隠れていた《魔装使いイグシュ》がガトリングの餌食となり、ミサイルが純也に向けて飛んでいく。
しかし…。
「な、何…!?」
急に翔太の目の前に位置する壁に砲台が出現し、翔太の左胸を青い光線で撃ちぬいていた。
霧が晴れると、先ほどまでなかったアクション魔法のソリッドビジョンが見えてくる。
「アクション魔法《奇襲システム》。これは相手に500のダメージを与える。《ブラック・マジシャン》が攻撃される前に発動した」
「くそ…」
ライフが0になった翔太は床を拳で叩く。
純也
ライフ3800→1700→500
翔太
ライフ300→0
奇襲システム
アクション魔法カード
(1):相手に500ダメージを与える。
ソリッドビジョンがデュエル終了と同時に消滅する。
「楽しめていただけたかな?」
零児が翔太の元へ歩いていく。
ゆっくりと立ち上がった翔太は気に入らないと言いたげな目を彼に向ける。
「見事なデュエルだった。あと一歩のところまで追いつめるとは…」
「ふん…どうせ俺を試すつもりだったんだろう?敗れたとなったら俺は…」
「合格だ。君をランサーズに迎えたい」
「何?」
敗北したにもかかわらず合格という零児に翔太は怪訝な顔をする。
それを気にすることなく、零児は話を進める。
「ここまでに見たように、現在我々は融合次元という強大な敵に狙われている。彼らの野望からこの次元を守り、その野望を貫く槍が今求められている。そして、これからヴァプラ隊の元で訓練を行い、可能な限り他次元のデュエリストと対等以上にわたりあうための力を得てもらう」
そう言い残すと、零児は侑斗、ウィンダ、北斗と共にその場を後にし、エレベーターに入る。
そして、入れ替わるように中島がエレベーターから出てくる。
「秋山翔太、そしてランサーズの一員となったお前たちには翌日からレオコーポレーションで訓練を受けてもらう。それから秋山翔太、永瀬伊織。すぐに私と共に来い」
「えーーー!?なんで!?」
「君は勝手に抜け出して、まだヴァプラ隊とデュエルを行っていないからだ!」
「そんなー、でもそれは翔太君も…」
「彼も同じだ。これから2人とも私と一緒に来てもらう」
伊織の度重なる抗議を受ける中島。
そんな中、翔太は純也との関係を疑問に思っていた。
(DNAがあの男と同じ…?だが、年齢はかなり違う。あいつが俺の記憶の鍵なのか…?)
「おい、君も早く来るんだ」
考える翔太の邪魔をするように中島が肩をたたく。
(ランサーズ、興味はねえが、記憶を取り戻すきっかけになるなら…)
更新遅れて本当にすみません!!
考えてはいるのですが、書く時間がなかなかなくて…。
ランサーズに加わることになった翔太がこれからの物語にどのようにかかわっていくのか…?